2023年4月26日(水)、経済学部の三木ゼミ3年生は、枚方市にあるSSA工業株式会社を訪問し、製造部部長の岩根大典さん他からお話をうかがいました。
 SSA工業株式会社は昭和28(1953)年創業、黄銅、アルミニウム、銅、チタンなど非鉄金属の型打鍛造技術に特化しています。また、近年チタン、ステンレスなどの特殊金属の機械加工事業にも力をいれています。平成30(2018)年には大阪中小企業顕彰事業実行委員会(注1)が実施する「大阪ものづくり優良企業賞」を受賞、大阪を代表するものづくり企業です。
 経済学部三木ゼミは、グローバル人材を育成する「グローバルキャリアプロジェクトゼミ」であると同時に、民間企業出身の教員が指導するという特色を活かし、企業/行政/地域との接点をできるだけ多く持つようにしています。三木ゼミ2・3年生は今年度も昨年度に引き続き、大阪府商工労働部の連携協定に基づく事業の1つとして「ものづくり中小企業と大学生の求人求職ミスマッチ解消」という課題に取組んでいます。今回はその活動の一環として訪問しました。
(注1) 大阪中小企業顕彰事業実行委員会:
大阪府、大阪府商工会議所連合会、大阪府商工会連合会、公益財団法人大阪産業局、地方独立行政法人大阪産業技術研究所で構成

 以下に今回の訪問見学で得られた、学生たちの気付き(一部)を紹介します。

経済学部3年生 田中 大智 さん

 1.はじめに
 今回の企業訪問はSSA工業株式会社様に訪問させていただきました。今年度初という事もあってとても楽しく企業訪問をすることができました。訪問させていただいたSSA工業株式会社様の良かった部分を本レポートでまとめていきます。
 
2.SSA工業株式会社で感じた良かった点
 SSA工業株式会社では主に鍛造や機械加工、金型設計などを行っている企業です。私がこの企業で良かったと感じた点が3つありました。
 まず一つ目が若手の育成に注力しているところです。昨年から新卒採用を開始し、1年目から免許・資格の取得や様々な経験ができるなど、新人にも関わらず多種多様な仕事を経験できることはとてもいいことであると感じました。
 次に二つ目は研修制度がしっかりとしている点です。一年間という歳月をかけてしっかりと人材育成を行っている点が非常に良い点であると感じました。更に社内だけの研修だけでなく外部講習も行っていて新人研修はもちろん、図面の読み方や工場安全など本当に初歩の初歩から教えることのできる環境があるので右も左も分からないような状態で入社しても安心だと感じました。
 最後に三つ目が管理職の人たちの人柄の良さです。若手社員からは上司の方が企画して交流イベントを行ってくれたことなどを聞きました。他にも工場見学の際にも分かり易いように説明をしてくださったり逐一質問が無いかを聞いてくださったりなど、見学をしやすいような空気づくりをしてくださっていました。更に若手社員とバトンタッチする際にも声をかけていて普段からしっかりとコミュニケーションを取っているのだなと感じました。
 以上が工場見学をした際に感じたSSA工業株式会社の良かった点です。

3.最後に
 SSA工業株式会社様ではとにかく顧客と従業員を大切にしている事が窺えました。更に現在でも社内で様々な改革を行っているので、まだまだこれから良くなるのではないかと感じました。

経済学部3年生 吉川 美優 さん

 1.はじめに
 今回三木ゼミでSSA工業株式会社の本社工場に訪問した。SSA工業株式会社は、非鉄金属を扱う熱間鍛造業である。1番想像しやすかった例としては、1円玉に使用されているアルミ、5円玉に使用されている真鍮、10円玉に使用されている銅などを取り扱っている会社だ。
 
2.印象に残ったこと
 1つ目は資格取得ができる会社である。仕事をするには資格が必要であるため、1年目は資格取得制度という期間がある。人材育成の一環として資格取得制度は企業にとってもメリットであり、資格を取れるというのは従業員にとってもメリットであると考えた。その中でも外部講習制度、図面の読み方講習、工場安全基本講習、動力プレス特別講習、OJT講習の5つの講習が設けられている。このように入社1年目は資格取得に集中ができる環境である職場というのは非常に魅力的だ。さらに従業員の資格取得が進むことによって、企業全体の生産性・業務効率を高められる効果も期待できるだろう。
 2つ目は新人インタビューで会社の新人として担当してくださったKさんという男性の話し方や雰囲気が大変好印象だった。インタビューでは私たちの難しい質問や、答えにくい質問までハキハキと元気に回答して頂いた。Kさんのような人柄が会社にいると場面が明るくなるのが想像できた。私もプラスアルファ人柄で会社に貢献できるような人間になりたい。
 3つ目は鍛造品の加熱と鍛造の製造工程である。加熱加工では材料素材ごとに設定された「鍛造に適した温度域」まで加熱される。例えば真夏と真冬など、外気温の変化によって炉内に送り込まれる材料の温度も変化するそうだ。真っ赤という次元ではなくオレンジ色になっている金属を見たのは初めてで驚いたが、この後する鍛造工程をスムーズに進めるための加熱ということが目でわかった。
 次に鍛造で、加熱された材料は専用金型を用いてプレスされ、必要な形状へと成型される。プレスされる瞬間を見たが、人の手で加熱された材料をセットしているのを見て、SSA工業株式会社の従業員の集中力は凄いことが分かった。これは非常にデリケートな工程であり、安定した金型プレス成型を実現するSSA工業にとって最も大きな優位性を持つ工程だそうで、この工程を拝見できて、大変嬉しい。
 
3.最後に
 パワーポイントを使用しながら企業説明をして下さった男性も凄く笑顔が素敵な人だった。学生に対して距離がないように説明も行っていただき、優しかった。SSA工業株式会社は4S活動も行っており、工場は汚いというイメージを持たれる方が多いと思うが、綺麗で安心ができる会社だ。日頃、自分が使用し終えた場所をほうきではくという掃除はもちろん、3ヶ月か半年に1回午前から全てをストップし清掃を行うこともあるとのこと。4S活動は労働災害の防止だけではなく、作業のしやすさ、作業の効率化も期待できると感じた。

経済学部3年生 安田 花音 さん

 1.はじめに
 昔、中卒者の労働力は金の卵と呼ばれるほど、貴重な存在であった。このことを私はとある大学の授業で習いました。しかし、近代では多くの方が大学または専門学校に通い、知識の向上と就職時期の遅延が進んでいます。高卒者よりも大卒者の方が給料は高い傾向にあり、中卒者の方は滅多に見かけない世の中になりました。
 このような世の中で、中小企業の若手も少子高齢化に伴い、年々減少傾向にあると今回の企業様からお伺いしました。若手の力は欲しいのに、その若手が中小企業に志願しないというのが現状です。
 SSA工業株式会社様では、今回お伺いした若手社員の方が、大学新卒採用一期生に当たるそうです。新しい力。芽生えがでた今、企業はどのように企業内改革をおこなっていくべきであるのか。本レポートではこの観点に着目志願、論じていきたいと思います。
 
2.若い力
 「地元で就職出来ること。何より、先輩方が若者を見捨てるのではなく、見守ってくれる。この職場環境に感動し、御社に志願した。」
 若手社員の方がこのようにおっしゃっていました。中小企業は技術職であり、職人気質の強い企業形態であることを、今まで様々な企業を訪問し、感じてきました。この企業で特に強い印象を受けた言葉は「見守ってくれる」という言葉です。「教えてくれる」という言葉をお伺いしたことはありましたが、教えることのほかに、若者の成長を願う姿を感じとることができました。視線や姿から暖かさや人情味を感じ取ることができるというところがSSA工業株式会社様の強みであると考えます。
 また、SSA工業株式会社様は今、発展の最中であることを伺いました。若手の力を取り入れていくこと。若手が今後、会社生活で暮らしやすいように教育体制を整えてくこと。賃金の上昇を毎年行なっていることなど、毎日思案しながら「今ある力」と「未来の力」の融合を図っている様子が伺えました。さまざまな企業がある中で、現状維持にとどまらず、常に発展の姿勢を見せていく。私も自身の私生活に置いて見習わなければならない行動力であると感じます。
 
3.おわり
 新しい力は、時に手間になり得る時もあります。私も最近、新しいアルバイトを始めましたが、ずっと働いている方の足手まといにならないように、日々学習しながら労働しています。既存の力が若い力によってより良い会社形態になる。日々の邁進と発展が大きな力になり、私たち世代の若者が中小企業で活躍できるように、個々の力を培うべきであると感じました。
 

ご参考