大阪府商工労働部との連携事業「ものづくり中小企業と大学生の求人求職ミスマッチ解消」⑬
株式会社中田製作所を訪問しました(経済学部三木ゼミ2年生)

 2017年4月26日(水)、経済学部の三木ゼミ2年生は、八尾市にある株式会社中田製作所を訪問し、生産管理課の若手社員3名にお話をうかがいました。
 株式会社中田製作所は昭和52年創業、アルミ専門の精密部品機械加工メーカーとして高品質で魅力ある製品をお客様にお届けしています。納品先は液晶・半導体・産業用ロボット・医療機器など多岐に渡り、特に近年はアルミを含む幅広い金属材料に対する超微細加工技術の開発に成功。平成19年(2007年)と平成25年(2013年)には内閣総理大臣表彰「ものづくり日本大賞」優秀賞に選ばれるなど、大阪を代表するものづくり企業です。
 経済学部三木ゼミは、グローバル人材を育成する「グローバルキャリアプロジェクトゼミ」であると同時に、民間企業出身の教員が指導するという特色を活かし、企業/行政/地域との接点をできるだけ多く持つようにしています。三木ゼミ2年生は今年度も昨年度に引き続き、大阪府商工労働部の連携協定に基づく事業の1つとして「ものづくり中小企業と大学生の求人求職ミスマッチ解消」という課題に取組んでいます。今回はその活動の一環として訪問しました。

 以下に今回の訪問見学で得られた、学生たちの気付き(一部)を紹介します。

【経済学部2年生 渡邉 果穂 さん】

 2017年4月26日、私たち三木ゼミ生は八尾市にある「株式会社 中田製作所」を訪問しました。会社の雰囲気はとてもよく、説明をしてくださった社員の方々も私たちの質問に気さくに答えてくれました。
 この企業は、アルミ専門の精密部品機械加工メーカーとして、高品質で魅力のある製品をお客様に提供している企業です。アルミは温度で変化しやすいため、工場は一定の温度にされていて感心しました。また、社員の方の話を聞いていると、お客さんの立場で考えて、製造をしているとわかりました。この企業で印象に残ったことは、作ってもらいたい部品の図面はお客さんが持ってきて、その図面をもとに一緒に打ち合わせをして製造に取り掛かるということです。普通は図面からすべて行うものと思っていたのですが、中田製作所さんではお客さんの要望を聞いて製造すると知りました。お客さんが完成した製品を見たときに私は満足するものになっているのではないかと思いました。また、お客さんの要望に応えて製造することを心掛けているのでお客さんとの信頼関係は深いものではないかと思いました。
 中田製作所さんは他企業とは違い、大量に生産をするのではなく、多品種を少量に生産しており一つ一つ丁寧に製品を作っています。そこが他企業との大きな違いなのではないかと思いました。
 中田製作所さんでは技術職、営業職、事務職の3つがあります。その中の事務職の仕事内容を聞いて驚いたことがありました。それは、採用活動や営業アシスタント、また展示会の出展を事務職の方がしているということです。事務職は書類を発行や、事務処理をしているイメージがあったのですが、中田製作所さんはそれだけではないということを聞いて、いろんなことをできる会社だと思いました。技術職では、男女問わず活躍できるCAD(作図)/CAM(プログラム作成)を行ったり、加工された製品が要求された精度を満たしているかを検証する三次元測定をします。CAD/CAMを行うのは難しいのではないかと思ったのですが、ほとんどの社員の方がマニュアルを見たり先輩に教わったりして覚えられたそうです。
 福利厚生のお話の中に誕生日や結婚記念日に記念日休暇というものがあり、珍しいものがあると思いました。また、ほぼ定時で帰ることができ、残業時間も決まっていて良い印象を受けました。残業をしすぎると社長さんから注意されるといった徹底された環境はこれから重視されていくのではないかと思いました。

【経済学部2年生 岡嵜 維也 さん】

 今回、中田製作所を見学して社員を大切にしている企業だと感じました。中小企業は休日が少なく残業が多いイメージを持っていました。ですが休日もきちんとあり、体調のことを考え残業を好まなかったので僕の持つイメージと全然違いました。さらに結婚記念日や誕生日にもらえる記念日休暇という面白い休暇もありました。このような大切な日を休暇にしているところから社員思いの企業だと感じました。また社員の声を聴いてそれを実現してくれるのが魅力的でした。おそらく大手だったら配属される部署は勝手に決められると思います。けれど中田製作所は社員がしたいことに合わせた部署に配属してくれるので、より自覚が持てて高いモチベーションで働けると思いました。
 鏡面加工のアルミを見て本物の鏡かと思うくらい鮮明に見えて感動しました。しかし、ミクロンサイズの穴を開ける加工の方が感銘を受けました。ミクロンサイズのドリルを金属に当てたらドリルが折れたりきれいに開かなかったりすると思いますが、中田製作所は折れずにきれいに開けられるので素晴らしい技術力だと感じました。大企業が高い技術力を持っているのはお金や人など持っているから当然ですが、中小企業も各企業の得意分野を見れば大手と同等レベルの技術力を持っているのではないかと思いました。しかも中田製作所は8割が文系出身と聞いて工場勤務は工業科を卒業じゃなきゃ務まらないという勝手な思い込みもなくなりました。
 社員さん同士仲が良くて働くならこんな場所で働きたいと感じました。おそらく少人数だから部署が違っても社員全員の名前を覚えられると思います。年に何回か全員参加の社内行事も行っているので良好な人間関係が築けていると思います。良好な人間関係が築けると仕事中の意思疎通がうまくできミスが減ると思いますし、何より仕事が楽しくなると思います。
 初めての中小企業訪問だからというのもあると思いますが、中田製作所は労働環境が良くて社員の方も親切でいい方ばかりでこんな素晴らしい企業で働きたいと思う企業でした。

【経済学部2年生 鈴木 麻友 さん】

 私は大企業で自分の強みを活かせるような所で働きたいと漠然と思っていたけれど、大きな会社には、沢山の人がいてそこで働く自分はやりがいを見いだせるのかと感じたこともありました。今回訪問した企業は人と人との関わりが親密で、そこで働く人たちも仕事にやりがいを感じていることに関してとても関心を持ちました。すべての中小企業がこのように人と人との関わりが親密なわけではないと思うが、大企業にはない特徴だと私は感じたしそういう所で働きたいと思いました。また、例えば私がこの大学生活で、ものづくりに興味を持ってそういうことに携わる仕事がしたいと思っても、ものづくりに関しての知識・経験がいるのではないかと悩んでいたと思いますが、中田製作所で働く大半の人が入社時は専門知識を持っていなかったということは、幅広い人たちにものづくりに関して関心を持ってもらうことにも繋がると思いました。また、前回訪問したMOBIOで、中小企業はものをつくる技術が優れていても後を継ぐ人がいなくて受け継がれるべき高い技術が消えてしまうことへの懸念があると感じたけれど、若い人や女性がたくさん活躍しているということでそれも解消されると思いました。
 今回の企業訪問で私が一番印象に残っていることは、中田製作所の営業の方法でした。私の営業のイメージは商品についてのセールスポイントなどをアピールし、売上にノルマがありそれを達成するために何件も駆け込み営業するなどといったものでしたが、中田製作所はお客さんのこういうものを作って欲しいという要求に応えるスタイルは技術面での信頼だけではなく人間関係の信頼も深まると感じました。社員だけではなく企業とお客さんとの距離が近いというのはたくさんの企業も取り入れるべきだと思いました。お客さんのニーズを直で対応しコストダウンに繋げることはそこで節約された資金をより良い技術を求めるために使えることも企業のメリットになると感じました。
 このことから技術面だけで優れるのではなく企業が成長するのには、お客さんや取引先の企業との間に親密な人間関係を築くことが重要だと知ることができました。

ご参考