今年もやって来た平野郷の夏祭り!!

松村先生不在のまち歩き!?

 今年も暑く熱い平野郷の夏祭りがやってきました。外国人旅行者(FIT)をこの祭りに誘って見に行くのは,今回で3年連続の3回目です。平野郷の夏祭りは,曜日とは全く関係なく,毎年7月11・12・13・14日と決まっていて,13日が最も盛り上がり,9台のだんじりが杭全神社へと順番に宮入りします。
 ところが,7月13日は水曜日で,阪南大学では平常授業が行われています。案内するボランティアスタッフは,授業のない松村ゼミの3・4回生で組織しました。
 肝心の松村先生は4限に2回生対象のゼミ選択説明会が入っていて,どうしてもそちらに行かなければならないとのこと。2009年から始まった松村ゼミのFIT向けまち歩きツアーは,今回で通算15回目になりますが,松村先生が不在で学生スタッフのみで行われるのは今回が初めてだそうです。

頼もしい助っ人Get!!

 事前のゼミでの打ち合わせの際,松村先生の「平野郷は鉄板ネタで下見もしたし,わしが行かんでも大丈夫やんな」との言葉に,勢いで「大丈夫です,問題ありません」と答えてしまいました。入念に下見を行い,ゼミ生力を合わせて準備を進めてきましたが,まち歩き当日が近づくにつれ,やはりどんどん不安が大きくなっていきました。
 ゼミOBの濱中勝司さん,ホテル中央オアシスのフロントスタッフの細谷さんが,助っ人で参加してくださることになり,不安はぐっと和らぎました。濱中さんは松村ゼミ3代目(3回生の私・小林が9代目)のOBで,ほぼ全てのまち歩きを経験されていて,英語も上手く平野区在住の地元民。細谷さんは帰国子女で英語がペラペラ,松村先生によると「日本語よりも英語の方が得意」な方です。

原発事故の影響でFITがそもそも少ない…

 今回のまち歩きでは,もうひとつ大きな不安がありました。それは参加してくれるFITがいるのか,という不安です。いつもの年ならば,夏のハイシーズンの新今宮には,毎日500名近いFITが宿泊しています。ところが今年は原発事故の影響で,新今宮でもFITの宿泊者は激減しています。新今宮TICを運営していても,外国人が来ない,そもそも道を歩いていない…見かけない…という日々が続きました。
 まち歩きの集合は新今宮TICに13時半,出発は14時ちょうどの予定。私たちのまち歩きツアーは,いつも当日の勧誘が決め手となります。朝から集まれた数名のゼミ生で,新今宮のゲストハウス8軒をこまめに回り,ロビーでくつろぐFITに参加を呼びかけて回りました。ゲストハウスのフロントスタッフも,前日あたりから参加を呼びかけて下さっていました。

FITも集まった!! さあ出発だ!!

 そうした努力の結果,FITは8名が参加することになりました。ノリの良いスペイン人5名,姫路から当日大阪に着いたばかりのオーストラリア人親子2名,英語の上手い香港人1名で,男性が3名,女性が5名でした。松村ゼミのまち歩きのファンという日本人男性1名も加わり,参加者は総勢で9名。案内する私たちの方は,1回生9名(平野郷で現地合流した者も含む),3回生7名,4回生2名,これに濱中さんと細谷さんを加えた20名でした。松村先生も駆けつけてくださり,ツアー開始の挨拶だけして,「10代目のゼミ生をゲットしてくるわ」と言いながら私たちを見送り,ゼミ選択説明会へと向かわれました。
 この日は雲ひとつない快晴で,とても蒸し暑い日でした。私たちはJR新今宮駅から平野駅まで,車中で会話を楽しみながら,おおよそ10分160円で到着。「さあテンションあげて歩こう!!」と思いきや,ゼミ生たちはすでにバテ気味,元気なスペイン人もさすがにこの暑さはつらそうでした。最初の説明休憩ポイントの大念仏寺までは,JR平野駅から歩いてほんの10分ほど,大念仏寺のお堂のなかは広くて涼しい…。気をとり直して,いざ大念仏寺へ!!

今年も会えた馬場町のだんじり!!

 大念仏寺の前まで来ると,法被姿の若くてカッコいい祭り男たちが何名か立っていました。背中に「馬」の文字が染め抜かれた「馬場町」の方々でした。外国人を連れて祭りを見に来たと伝えると,「外国人はこんな祭り見たことないやろう!! だんじり止めたるわ!!」と,引手に合図してだんじりを止めてくれました。早速のチャンス到来,FIT参加者も私たちもだんじりを背に記念撮影の連写の嵐,暑さも吹っ飛び一気にテンションがあがりました。
 その後,予定通り大念仏寺のお堂へと向かいました。大念仏寺は日本で最初に建てられた念仏道場で,大阪で一番大きな木造建築で,有形登録文化財でもあります。お堂は畳百畳以上もあり,何とも言えない厳かな雰囲気を感じることができます。風の抜ける涼しいお堂で,この夏にアメリカ短期留学する予定の3回生の内田裕規が,念仏寺の歴史を英語で説明しました。説明が終わるとみんな拍手をしてくれて,内田もまさかの拍手に満面の笑みでした。参加者たちは自由にお堂の内部を見て回り,少しの休憩をはさんで,お堂の前で記念撮影をしました。

連続してだんじりと遭遇!!

 大念仏寺から全興寺へと,古いまち並みを見ながら向かう途中,何台ものだんじりに遭遇しました。だんじりと会うたびに,参加者たちは足を止めて,写真を撮り見送りました。平野郷のだんじりは,各まちが1台のだんじりを持っていて,まちごとに掛け声なども違い,とても個性があります。
 FIT参加者のひとりから,「ヨーイヨ!!ってどういう意味,なぜ言っているの?」と質問され,答えるのにとても苦労しました。外国人を連れて歩いていると,私たちが普段当たり前に思っていることを,「なぜ?」と改めて聞かれるので,戸惑いますがとても新鮮で勉強になります。
 昔ながらのお店が並ぶ商店街を抜け,聖徳太子が建立されたと言われている全興寺へ着きました。全興寺での説明は,3回生の山崎育美が担当しましたが,ここでもやはり説明が終わると拍手が起こりました。全興寺の境内には,駄菓子屋博物館や地獄世界を表現したユニークな施設があり,FITもスタッフも一緒に楽しみました。スペイン人5人組は境内の井戸に興味を持ち,はしゃいでいました。FITが興味を持つツボは,日本人とは全く異なりとても興味深いものです。ここで松村先生からの差し入れで,「ガリガリ君」がみんなに配られました。

杭全神社でツアーは終了

 新今宮を出発してから2時間弱が経過し,そろそろみんなに疲れの色が見え始めたので,最終目的地の杭全神社へ向かいました。杭全神社では鳥居から本殿までの参道沿いに屋台がずらっと並び,まさに夏祭りの現場でした。屋台をひやかしながらゆっくりと歩き,みんなで祭りを満喫しました。
 本殿前で少し休憩してから,16時半頃,4回生のタン・イーヘンから,ツアー終了を告げる挨拶がありました。最後もFIT参加者から拍手がわき起こり,その後は握手大会となり,名残を惜しみ解散しました。
 まち歩きツアーでは,同じ経験を共有するので,いつも不思議な一体感が芽生え,幸せな気分になります。この後,松村ゼミの有志は平野郷に残り,17時半過ぎに松村先生と合流して,宮入を見学しました。スペイン人グループと香港人もその後居残り,エキサイティングなだんじりの宮入を楽しまれたそうです。

フォトギャラリー

  • 大念仏寺に到着!!

  • 全興寺境内にて説明を聴き入る

  • ガリガリ君を食べるスペイン人参加者たち

  • 頼もしい1回生たち

  • 杭全神社の屋台を楽しむ

  • 馬場町の宮入

松村先生からの一言

 本当に暑い熱い平野郷での1日でした。9代目ゼミ生のがんばりと8代目ゼミ生や助っ人のサポートもありましたが,しっかりと準備さえしておけば,たとえ私がいなくても,まち歩きはできると確信しました。
 ゼミ選択説明会も大成功で,10代目も良いゼミ生が集まりそうです。今回のまち歩きは11代目候補の1年生たちも多数参加してくれました。平野郷の夏祭りを見ていると,松村ゼミの伝統とノウハウを代々引き継いで行くことがとても大事だと実感します。親から子へ,先輩から後輩へ,確実にバトンをつなぎ,一歩一歩前進して行ければ,必ず明るい未来が切り開かれます。