新今宮TICスタッフ養成企画「大阪をフィールドワークする!!」(レポーター:松村嘉久)

国際観光学部の新入生も多数参加!!

 2011年4月23日(土)・24日(日)の二日間,新今宮TICのスタッフ養成企画として,「大阪をフィールドワークする!!」とのタイトルで大規模なフィールドワークを行いました。この春にAO入試や観光地域特別入試で入学してきた国際観光学部1年生にも参加を呼びかけ,参加者は23日が41名(うち1年生23名),24日が30名(うち1年生11名),23日は20名ほどが新今宮のホテルセレーネで合宿しました。
 いつもなら,新今宮TICを運営しながら,フィールドワークも行うのですが,今回は人手不足だったので,この土日は運営を止め,フィールドワークに全力を注ぎました。TICを立ち上げた7代目のゼミ生たちは卒業しましたが,新たに迎えた9代目は,ここ数ヶ月で急成長を遂げてくれています。これに,アメリカに留学している昌山志保と井上咲季が帰国して加われば,これまで以上に充実した新今宮TICの運営が行えることでしょう。そのためにも,スタッフのスキルアップと優秀でやる気のある新入生の勧誘は欠かせません。このフィールドワークで新今宮TICの活動に興味を持ち,参加してくれる新入生が増えることを願っています。写真は小路望が率いるチームの出発前の記念撮影。

23日は大阪周遊パスで大阪を巡る!!

 23日は朝から昼過ぎまで風雨で大荒れの天気のなか,朝9時に新今宮TICに集合しました。参加者全員に大阪周遊パス(2,000円)を配布して,六つのグループに分かれて,松村ゼミの3・4年生の指導のもと,9時過ぎから17時過ぎまでフィールドワークを行いました。
 このフィールドワークの目的は,(1)新今宮TICのスタッフとして必要とされる大阪観光の地理知識を習得する,(2)新入生にフィードワークの楽しさと先輩からの指導を体験してもらう,(3)2011年12月3・4日に阪南大学で開催される日本観光研究学会で報告し得るデータを収集する,の三つでした。大阪周遊パスはお得で便利なチケットですが,実際に使用してみて,観光行動や観光スポットの満足度などを分析して,その真価を探ろうという試みです。
 写真は国際観光学部新入生の弘田愛美さんのフィールドノートです。1年生でも,上級生から少し教われば,しっかりと記録がとれるようになり,フィールドワークの貴重な戦力になります。

とにかく徹底的に事実を記録しよう!!

 各グループが回るコースやフィールドワークの役割・エリア分担などは,松村ゼミで何度も話し合い検討して決め,1年生にも事前に説明しました。具体的には次の二点を調査しました。(1)新今宮を出発してから新今宮で解散するまでの旅程の詳細,巡った観光スポットの印象などを徹底的に記録する。(2)各グループで担当エリアを決め,日本語の読めない外国人の視点に立ち,移動の導線や観光スポットの多言語表示の現状を徹底的にチェックする。
 松村入門ゼミの1年生参加者たちは真新しいフィールドノートが配られ,移動の途中や梅田HEPの観覧車のなかでも熱心に記録の整理をしていました。初めてフィールドノートを手にすると,何か不思議な感動とワクワク感を感じるものです。記録をとればとるほど,愛着がわいてくることでしょう。
 強い雨のなかの調査でとても大変でしたが,全員が無事17時過ぎに新今宮へ帰還し,新今宮でいったん解散。松村ゼミの3・4年生はそのまま残り,その日の報告と明日の打ち合わせを夜遅くまで行い,1年生の宿泊希望者とともにホテルセレーネで合宿しました。

24日の午前はあいりん地区のフィールドワーク

 24日は朝10時から,松村の案内で,1年生2名と3年生5名の計7名の学生たちが,あいりん地区の国際観光対応と今なお厳しい地域の現状を見て回りました。さすがにこのフィールドワークは,慣れた私でも7名程度の引率が限界なので,参加希望者を厳選しました。松村ゼミの3年生にとっては,ある種の入学式のような,通過儀礼的なフィールドワークで,歴代ゼミ生たちも全員経験しています。
 新今宮TICと連携している8軒のゲストハウスを全てまわり,太子2丁目から山王1・2丁目にかけての戦前から残る古い街並みを歩き,飛田新地を横切り堺筋へ戻る。堺筋から阪堺線の高架下を西へと入り,三角公園,西成警察,あいりん労働福祉センターと巡りました。わずか2時間ほどのフィールドワークですが,学生にとっては普段は見慣れない風景ばかりで,衝撃の連続だったことでしょう。
 このフィールドワークを案内する時はいつも,とても気を使います。学生たちをいきなりこの地域に連れて行くと,学生たちの住む世界とこの地域の現実が,余りにもかけ離れているため,学生たちが本能的に「恐い」と感じてしまうからです。それは,一種のアレルギー反応のようなものです。新今宮TICで地道に活動していると,強い免疫ができ抗体ができ,異質な存在を少なくとも理解できるようになります。その最後の仕上げがこのフィールドワークです。
 写真はホテル東洋に宿泊していたオージーボールの選手たちとの記念撮影。東日本大震災の発生から1ヶ月以上が過ぎ,新今宮では徐々にですが,外国人個人旅行者が戻りつつあります。

昼からは外国人向けまち歩きツアーの下見

 24日(日)の昼12時からは,鶴橋・コリアタウン,平野郷,住吉・堺の三つのグループに分かれて,フィールドワークに出かけました。この三つの地域へは,2011年の5月から7月にかけて,外国人向けのまち歩きツアーで訪れる予定です。今回のフィールドワークの主な目的は,そのツアーの下見と段取りでした。
 三つのグループとも収穫が一杯で,特に松村ゼミの新3年生たちは,まち歩きツアーのイメージが高まったことでしょう。1年生参加者のなかからも,外国人向けのまち歩きツアーにスタッフとして参加したい,との意思表明が何人かからあり,心強い限りです。写真は松村の案内で鶴橋・コリアタウンの下見に行った1年生中心の参加者たち。
 思い起こせば,2010年はホテルセレーネの改装モニター宿泊を利用して,2009年もホテルオアシスの新築モニター宿泊を利用して,大人数でのフィールドワークを行ってきました。8代目,9代目のゼミ生たちは,1年生の頃から,そうしたフィールドワークに参加した者ばかりで,フィールドワークの経験は実に豊富。私が大阪市立大学の地理学教室で学んでいた学生時代よりも,フィールドワークの現場を踏んでいます。かつて先輩から教えてもらったことを後輩に伝える,良い学びの循環を実感しました。
 さて,現在,フィールドワーク参加者たちが各チームの調査結果についてのレポートを書いています。GW前後にかけて,阪南大学ホームページ上で随時,紹介していきたいと思います。