ゆめまち奨励賞の授賞式から7代目の引退式まで(レポーター:松村嘉久)

みんなでいただいた奨励賞

 このたび,阪南大学国際観光学部松村研究室が,第3回ゆめづくりまちづくり賞の奨励賞を受賞することになり,2011年2月1日(火)に大阪天満橋のドーンセンターでの授賞式に参加してきました。受賞のタイトルは「大学生による新今宮観光インフォメーションセンターの運営と国際ゲストハウス地域づくりに向けた社会的実践」でした。受賞団体については,松ゼミWalker vol.57をご覧ください。
 授賞式に集まったのは,松村ゼミの3・4年生とOB,それにゼミ入りが決まった2年生ほか,定期試験期間中にも関わらず総勢で30名を超えました。学生スタッフみんなの頑張りでもらった賞だから,みんなで受け取りに行こう,と広く参加を呼びかけました。私もゼミ生たちも褒められて育ち,また頑張ろうと調子に乗るタイプです。私たちの活動目標は何よりも地域貢献であり,少しでも地域の現状を良い方向へ変えて行きたいと思っています。今回はその点が評価されての受賞なので,とても嬉しく思っています。審査をご担当された快適都市実現委員会の先生方に感謝いたします。思い起こせば,第2回・第5回の関西元気な地域づくり発表会でも活動を発表させていただき,そのたびに,色々な方々から元気や知恵をもらって地域へ帰り,私たちの活動をパワーアップできたと実感しています。このような刺激的な場をご提供いただいた近畿地方整備局の関係各位にも,本当に感謝いたしております。

安藤忠雄先生のサイン入りの楯をいただく!

 代表として表彰式で登壇したのは,松村・佐藤有(7代目ゼミ長)・仲田美穂(8代目ゼミ長)の3名。日本都市計画学会の岸井隆幸会長から,安藤忠雄先生のサイン入りの楯を佐藤が受け取り,記念植樹一式の目録を仲田が受け取りました。新今宮TICではこれまで何度も外国人から,「Tadao Andoの建築を見たい。光の教会はどこですか。」という類の問い合わせを受けてきたので,関西圏の安藤建築は,超有名なものから,「ええこんなところにもあったの…??」というものまで,作品リストを用意しています。この楯は新今宮TICに飾らせていただき,次にこのような問い合わせがあった際,ぜひ自慢したいと思います。記念植樹は新今宮TICの近くが理想ですが,適当な場所は見当たらず…,地域の人たちともう少し相談してから決めようと思います。
 プレゼンテーションはいつもならばゼミ生代表が行うのですが,発表時間がわずか5分と短いこともあり,松村が担当しました。プレゼン終了後の岸井会長による受賞団体の講評のなかで,安藤先生のコメントも紹介されました。私たちの取り組みは,「若い人たちの大阪を愛する気持ちが集約され発信されている。今後の発展がとても期待される。」とのこと。ふと考えてみれば,私たちの活動はまだ始まって2年,新今宮TICの運営日数も2009年から2010年末でちょうど290日。しっかりと自分たちの足で立てるようになり,歩み始めたばかりです。あと,1年,3年,5年と,もっと若い世代が引き継いでくれて,小さな成功を積み重ねいければ,新今宮地域も私たちも大きく変わり発展することでしょう。新今宮TICの2010年の運営実績については,近々,改めて公表する予定ですので,ご期待ください。2010年の1年間の運営で集めたデータからは,新今宮TICが全国的に見ても稀有な存在であることが裏付けられ,新たな立ち位置を打ち出せそうな予感がしています。
 授賞式に続く基調講演のなかで,岸井会長は都市計画の立場から,吉田松陰の言葉を引用して,「夢なき者に理想なし,理想なき者に計画なし,計画なき者に実行なし,実行なき者に成功なし。故に,夢なき者に成功なし。」と語られました。高杉晋作ら幕末の志士を育てたやんちゃな教育者としての吉田松陰を,私も大好きで尊敬しています。「二十一回猛士」と号した吉田松陰から,私は,「公」を考え,学問としての学問をするのではなく,現実を知り仲間を説き伏せ一緒に行動する姿勢を学びました。これからもこの受賞を励みとして,ゼミ生たちと一緒に夢を描き,現実を見ながら行動していきたいと思います。

「焼肉じゅんちゃん」で引退式

 新今宮TICの立ち上げから大活躍してきた7代目ゼミ生たちは,2011年3月に卒業します。記念すべきこの授賞式の日に,7代目ゼミ生たちの引退式も行いました。授賞式に集まったゼミ生たちは,午後からの第6回関西元気な地域づくり発表会に参加して,15時に天満橋でいったん解散。16時に私の地元のJR塚本駅東口に再集合しました。定期試験を受けてから駆け付けた者も加わり,引退式会場の「焼肉じゅんちゃん」には,40名を超えるゼミ生らが集まりました。そこで美味しい焼肉を食べて,美味しいお酒も飲み,7代目たちの労をみんなでねぎらいました。私は食べ放題・飲み放題のお店が大嫌いで,ゼミ生らの社会性や自律性を育てるためにも,ちゃんとしたモノをちゃんと提供するお店に行き,ちゃんとした食べ方や飲み方を教えるのも大事だと考えています。「焼肉じゅんちゃん」の御主人からは,「今の若い人でも,こんなに和気あいあいと,乱れることもなく楽しい宴会ができるんですね。」と褒めていただきました。
 改めて,7代目ゼミ生たちは本当に個性溢れる多彩で多才な集団でした。何か困難に直面しても,各々が各々の長所を出し合って欠点を補い,気がつけば困難を軽く乗り越えている,という感じでした。新今宮TICを立ち上げて軌道に乗せられたのは,間違いなく7代目の功績で,以前にも言いましたが,一緒に戦った「戦友」だと思っています。私は今でも,何十年来の戦友たちとたびたび会って,お互いの現在を確かめ,明日を語り合っています。戦いが激しければ激しいほど,一緒に戦った友との結びつきは強くなります。7代目とは今後とも,そういう付き合いになることでしょう。

ゆめまち奨励賞を受賞して

佐藤有(7代目ゼミ長)

 今回,ゆめづくりまちづくり賞で奨励賞を受賞できたのは,地域の皆さんをはじめ,まち歩きや新今宮TICの運営を手伝ってくれた学生スタッフと沢山の方々のご協力があって,全力で活動に取り組むことが出来たからだと思います。ありがとうございました。新今宮での私たちの活動は,まさに地域の方々,松村先生,学生たちの夢や希望で溢れています。私たち学生にとっては,まさに挑戦と成長の現場。その全ての活動を通して,新今宮地域の進化とともに,私たち4年生も成長することができたと確信しています。一緒に泣いたり,笑ったり,たくさんの時間を過ごした松村先生,仲間たちにも感謝します。これからも後輩たちには,松村ゼミらしく自分たちの色を出すことを忘れずに突っ走り,成長を体感して欲しいです。

仲田美穂(8代目ゼミ長)

 第3回ゆめづくりまちづくり賞で奨励賞をいただき,とても嬉しく思います。新今宮TICはひとつ上の7代目が中心となって築き上げてきましたが,もっと上の代の先輩方の経験と,地域の方々の思いもこもっています。夏休みや春休みや土日など,大学の授業が無い期間しか運営していませんが,外国人個人旅行者の宿泊拠点ならではの質問が多く,本当に必要とされている存在だなあと思います。この2月からは私たち8代目と新たに迎えた9代目が中心となり,TICを運営していかなければなりません。頼りになる先輩方が抜けるので,とても不安でしたが,この奨励賞の受賞でエネルギーをいただき,モチベーションがあがりました。これからも新今宮TICでの活動を通して,少しでもまちづくりに貢献できればと思います。