新今宮地域での協働活動が,大阪集客プラン支援事業に認定されました!! (レポーター:松村嘉久)

良いアイデアはあるが実現する能力と資金がない…

 この春,大阪観光コンベンション協会が,『大阪へ行こう! 大阪で遊ぼう! アイデアプラン支援事業(大阪集客プラン支援事業)』を募集していました。大阪の集客力を高め,宿泊や周遊を促進する事業の提案を募集し,大きな効果が期待できる事業を認定・支援する制度で,特に効果が認められる事業には事業規模の半分以内で,上限を設けて助成金が交付されます。
 阪南大学国際観光学部松村嘉久研究室(松村ゼミ)は,大阪国際ゲストハウス地域創出委員会(OIG)と大阪府簡易宿所生活衛生同業組合(簡宿組合)との協働で,これまで新今宮地域の課題解決に向かって,様々な活動を行ってきました。新今宮観光インフォメーションセンター(TIC)の運営はその試みのひとつです。
 松村ゼミではいつも,新今宮地域やTICの発展に向けて,「こんなことができたらいいだろうなあ」,「こんなものがあったら便利だろうなあ」という議論をしています。しかし,いずれも,私たちの現在の技術・能力では難しいものであったり,とてもお金がかかるものであったりで,良いアイデアは浮かぶのですが,なかなか実現しそうにないのが現状でした。今年も含めて過去3年間,阪南大学のキャリアゼミの活動として,私たちのゼミ活動資金の一部は大学当局から支援していただいています。しかしながら,TIC運営や街歩きツアーなどで大学からの支援は吹き飛んでしまい,地域のための次の一手を打つ余裕はありませんでした。

支援事業は新今宮地域にとって絶好のチャンス,絶対にとらなあかん!!

 そこにこの支援事業の募集が舞い込んで来ました。支援事業となり活動資金が確保できれば,足りない技術・能力はプロフェッショナルに任せ,私たちはTICでの経験を踏まえ,新今宮地域の特性を活かして,外国人個人旅行者(FIT)の集客・宿泊・周遊を促進するアイデアの提案に専念できます。何よりも,大阪観光コンベンション協会の支援事業に認定されれば,同協会ほか大阪市・大阪商工会議所などのバックアップも得られ,それらの関連組織を通じて,私たちの取り組みの紹介・PR活動も展開してもらえます。
 これは新今宮地域にとって絶好のチャンスであり,松村ゼミにとっても,積年の課題を一挙に解決する突破口になるものです。そこで,OIGや簡宿組合と協議を重ね,最も急を要する課題を絞り込み,それらをゼミに持ち帰り,FITと最前線で接してきた経験を踏まえ,実現可能で効果の高い事業提案に仕上げていきました。
 その結果,『大阪国際ゲストハウス地域を宿泊拠点とする滞在型観光の促進』というアイデアがまとまり,OIGを筆頭に松村ゼミと簡宿組合の連名で応募しました。審査員からは「ゲストハウス宿泊者は地域の重要な顧客であり,支援すべきである。」,「FITをターゲットとした多面的な展開が期待できる。」とのコメントをいただき,厳正な審査の結果は,「認定」!! ヤッター!!

大事なのはやはりFIT向けの情報発信やろう!!

 私たちのアイデアは基本的に情報発信力の強化策。具体的には,パンフレット『大阪の安い宿(仮称)』,FIT向けの街歩き冊子『Osaka Walking Tour(仮称)』を作成し,地域・観光情報サイト『新今宮観光インフォメーションセンター(仮称)』を立ち上げ,TIC・ゲストハウス・新今宮地域からの情報発信を試みるものです。
 『大阪の安い宿』はA3両面印刷の六つ折。OIGのメンバーも増えたので,地域も巻き込み既存のものを充実させます。表面では,大阪到着地点から新今宮地域へのアクセス,新今宮地域から関西圏観光地へのアクセスを盛り込み,新今宮地域の便利な立地を強調する。裏面では,OIG加盟18軒のゲストハウスの地図を中心に据え,西成区側の地元商店を紹介するなど,新今宮地域に滞在するFIT向けの生活情報を掲載したい。
 『Osaka Walking Tour』は松村ゼミでのFIT向け街歩きツアー経験を活かし,ガイドブックに書かれていない大阪の魅力を体感できるコースを,A4サイズ12ページくらいの冊子にして紹介したい。この冊子はTICやゲストハウスで無料配布する予定であり,FITが気軽に街歩きに出かけたくなるような内容にして,定期的に増補・改訂したい。
 最後のサイト『新今宮観光インフォメーションセンター』は,TICの運営予定,TIC発の街歩きの告知とレポート,新今宮界隈の地域情報,新今宮から関西圏観光地へのアクセスなど,FITの旅と滞在をサポートする情報を満載する予定です。OIG加盟のゲストハウスには,たいていインターネットのつながったパソコンが設置されています。そのパソコンのInternet Explorerを起動すると,このサイトが初期画面として立ち上がるようにすることで,多くのアクセスを獲得できると見込んでいます。

松村からの一言

ゼミ生のみなさん,責任重大やで!!

 大阪観光コンベンション協会からの助成金はいわば公金なので,松村ゼミの責任は重大です。これまでのような内輪で完結する話ではなく,社会的責任を負う外向きの真剣勝負です。 
 というわけで,ゼミ生たちへ!!
 この仕事は必ず結実させなければなりません。みんなの頑張りが,新今宮地域に変革をもたらし,その変革を定着させる起爆剤となります。また,みんなが卒業してからもこの仕事は残り,後々も自慢できる意義深いものです。卒業研究とうまくリンクさせて,真摯に取り組みましょう。8月6日(金)に第1回目の打ち合わせ会議を,プロフェッショナルなデザイナー同席のもと行い,すでに解決すべき課題がいくつか浮かび上がりました。
 来年は新今宮地域とTICに更なる注目が集まり,大きく飛躍する奇跡の一年になる,と私は予想しています。この仕事はその基礎固めとなります。これからの数ヶ月が踏ん張りどころ。みなさん,心してかかりましょう。
 この夏休み,8月1日(日)から9月26日(日)までの57日間,新今宮TICは毎日運営する予定です。その合間をぬって,毎年夏恒例の答志島ゼミ旅行とフィールドワーク合宿があり,全員集合してのゼミを3回開催します。松村はこの他に東京山谷・北京への調査出張が入り,ふと気付くと,夏休みの予定はすでにびっしり!!
 それはさておき,心配なのは新今宮TICのスタッフ確保です。7代目18名(4回生),8代目7名(3回生),9代目確定2名(2回生)の戦力では,この長期戦は乗り越えられません。やる気のある1・2回生をもっと巻き込んで,後継者を育てましょう。
 これを読んだやる気のある国際観光学部の1・2回生へ。夏場のTICは本当にインターナショナルな空間で,まさに国際観光の最前線。TICの運営に参加すると,確実にコミュニケーション力が高まり,関西圏の観光地理知識が身に付きます。松村ゼミの活動に参加して,奇跡の一年を一緒に経験しませんか。
 心が動いた人は,松村(matsumuy@hannan-u.ac.jp)まで連絡ください。