株式会社交通論壇社を訪問しました(経済学部三木ゼミ 3年生)

2016年4月20日(水)、経済学部の三木ゼミ3年生は、ハイヤー・タクシー業界の専門誌を発行している株式会社交通論壇社を訪問し、代表取締役社長の小北隆弘さんにお話をうかがいました。

 三木ゼミは、グローバル人材を育成する「グローバルキャリアプロジェクトゼミ」であると同時に、民間企業出身の教員が指導するという特色を活かし、企業/行政/地域との接点をできるだけ多く持つようにしています。
 交通論壇社は2007年に小北社長がそれまで勤めていた会社から独立する形で設立、以降徹底した独自取材と豊富な人脈、斬新な視点でタクシー業界の理論誌「TAXISTA」、FAX新聞「交通論壇」を発行、常に最新ニュースを提供しています。交通論壇社は昨年度の三木ゼミ3年生に続いて2年連続の訪問となります。
 小北社長からは、タクシー業界を取り巻く厳しい環境についてのお話があり、参加学生との間で今後のタクシー業界のあり方に対する活発な意見交換が行われました。三木ゼミ3年生としては今年度「タクシー事業を若者にとって魅力的な業界に変革するには」というテーマでの調査分析及び提言を行います。

日本のTAXI業界はどうなるのか 3年生 椎葉 昌也

 4月21日、日本のTAXI業界に新たな風を吹かせるためどうしたらよいのか、そのことについて考えるために、交通論壇社さんへ訪問致しました。新たな学年としては初めて、三木ゼミにおいて久しぶりの学外活動です。
 お昼過ぎの15時頃に最寄りとなる駅へと着き、三木先生が交通論壇社さんに着いたことを電話で連絡します。しばらくすると道路の向かい側に黒い車が停車、運転席から一人の男性が降りられました。交通論壇社代表取締役社長の小北隆弘さんです。私たちは乗車させて頂き小北さんの運転で事務所へと向かいました。中へ入り、皆が席へ座ると早速日本のタクシー業界の現状について小北さんにお話しをして頂きました。
 まず近年のタクシー業界は高齢産業となっており、平均年齢60歳を超えられている方がほとんど。所得が低く、魅力となる要素が少ないため若い人がなかなか集まらないことが大きな問題となっているようです。東京の日本交通では今年大卒50人採用されたそうですが、業界全体からみれば雀の涙。より若者を惹きつけるために私はタクシー業界でしたいことが見つからないこと、タクシードライバー=高齢の方というイメージが強いことがネックなのではと思えました。山田さんがアルバイト案を出されたのですが私もこれには賛成でした。私は警備員のアルバイトをしているのですが高齢の方が多く、タクシー業界と似た状況です。しかし、元はアルバイトだったが入社し社員となったという若い方が少なからずいます(私の先輩3人がそうでした)。タクシー業界でもアルバイトを募り、多くの若者に業界がどういったものか認知させることができれば集まるだろうと思います。
 またタクシー会社は府内だけでも160社あり、日本全国となればとんでもない数になります。タクシー会社は町に1つ2つ存在すると聞いて、確かに私の地元の町にも隣町にも1つずつタクシー会社があり、今住んでいる松原市にもタクシー会社が数社あることを思い出しました。会社がこんなにも存在するのに対し、利用者が少ない。この利用者は目的地まで移動することが困難である、人混みを避けたいという方が多いのではないかと思います。この層を狙って、どう動くか研究し回転率を上げればドライバーの稼ぎは上がりますし利用者は増えるのではないかと考えましたが、母数を増やすことはできません。タクシーを利用されない方は運賃が高いことを気にされて電車という選択をする人が多いので、この高いというイメージを塗り替えないと利用者増加は難しいです。
 配車アプリの出現、ドライバーの高齢化等問題を抱えるタクシー業界を救うには多くの人の並々ならぬ努力が必要なのだと感じました。日本のタクシー業界に明るい未来があることを信じたいです。

改善案を出すことの難しさを実感しました 3年生 松井 大輔

 今回、私たちは大阪市東淀川区にある交通論壇社に訪れ、日本のタクシー業界の現状についてお話を聞き、高齢化が進む業界にどうすれば若者が集まるか、について考え様々な意見の交換をし、考えました。
 現在、特に大阪府を筆頭にタクシー業界は高齢化が進んでおり、就業者の平均年齢が東京都の50歳台に対し、大阪府は65歳となっています。普通のサラリーマンの定年に相当する年齢が大阪府のタクシー就業者の平均年齢であり、業界における若者の減少、また、高齢化が見てとれ、今後、より一層、タクシー業界の厳しい状況が強まると考えられます。この厳しい状況を打破する為には、当然、若年層の従業員の確保が必要であり、その確保のためには、若者に魅力ある職業と認識させる必要があり、仕事に関して「変化」が必要になると考えます。では、どのような変化が必要なのか、と私自身が考えたところ、「高くない給与」「非スマートな仕事イメージ、また、環境イメージ」利用者目線では「他の交通機関と比較しても、非常に高い運賃」という点を変えるべきだと考えました。しかし、学生の私としては、価格をある程度下げた所で、利用客は増えるのか、また、逆に従業員の給与が下がる懸念もあるのではないか、と感じ、タクシー業界全体が一斉に「大幅」な値下げを行わない限り、現状とあまり変わらないのではないか、と思い、私個人としては価格問題は優先順位としては後ろだと思いました。1番に手掛ける点は「仕事イメージ、環境イメージ」などの改善だと考えます。近年「Uber」といった、スマートフォンのアプリケーションを駆使し、一般人が「人を乗せる」という活動が誕生しました。配送における時間の面、コスト面においても、タクシーを上回る期待があり、このままではタクシー業界が飲み込まれる可能性があります。しかし、タクシーには「Uber」と比べ「信頼、実績」がある長所もあります。この長所とプラスアルファに変化をつけることで「Uber」との競争に勝てると考え、同時に若者の普及も狙えるのではないかと感じました。私は、そのプラスアルファに「仕事イメージ、環境イメージ」を変えるという点で、近代的な車種への変更、内装、サービスの充実が必要であり、先に手掛けるべきだと思いました。イメージを変えるという点において「銭湯」の例があります。「銭湯」と聞くと町中に店を構え、正直、綺麗なイメージは無く、若者が利用しているイメージもありません。しかし、近年では敷地面積は広く、店内は明るい、いわゆる「スーパー銭湯」が人気を集めています。従来の銭湯と雰囲気も違い、「銭湯」に対する価値観、イメージも変えたとも言えると思います。私は、この成功例は、タクシー業界でも適応できるのではないかと感じ、この考えに至りました。価格を下げ成功することがベストだと私自身も感じましたが、まずは、業種に対するイメージの改善が優先的だと私は感じました。
 今回、交通論壇社を訪問し、タクシー業界の問題について考え、自分なりに考えを持ちました。しかし、答えの無い状況で案を考える、ということの難しさも実感しました。今回、とても貴重な体験をさせていただき、長期的にこの問題について考えてみたいと思いました。

タクシー業界の現状を伺いました 3年生 山田 恭歌

 今回私たち三木ゼミは、株式会社交通論壇社へ訪問させていただき代表取締役社長の小北隆弘さんにタクシー業界の現状などのお話を伺いました。現在、タクシー会社は大阪だけでも約160社もあるそうです。最大の問題点として、小北さんは人材だと断言されていました。というのも、タクシー会社の運転手として働く人の高齢化が進んでいるそうなのです。すでに大阪ではその平均年齢は60歳を超えたと聞いてとても驚きました。タクシー業界は全体的に、人材を募集してはいても若者の求職率が低いそうなのです。では、どうすれば若者がタクシー会社に就職しようと考えるのか、それが今回の課題でした。私個人のイメージとして学生がタクシー業界に就職を希望しないのはタクシーと関わる、つまりタクシーを利用する機会が少ないことが理由として挙げられるのではないかと思いました。本来タクシーとは公共交通機関で、電車やバスと同じように誰もが気軽に利用できる交通手段なのです。しかし、学生の身からするとタクシーは初乗り運賃から高く、電車やバスを使う、もしくは多少の距離なら歩くという選択をします。学生にとってタクシーとは全く気軽に乗れる交通手段ではないのです。そのためお客さんが少ないというイメージ=給料が少ないであろう問うイメージが簡単に思い浮かんでしまいます。実際、タクシー運転手の月収は低いという現状です。
 小北さんは、かつての銭湯が姿を消し、スーパー銭湯として生まれ変わり若い従業員がたくさん働いているようにタクシー業界も変えていきたいとおっしゃっていました。しかし、スーパー銭湯で働いている若者はアルバイトがほとんどだと思います。タクシーの運転をするには自動車の第二種免許を取得しなければならないため、学生がアルバイト感覚で応募できる職種ではないのです。小北さん曰く、現在は自動運転車が開発中で、2,3年のうちにとまではいかないが長い目で見れば今後実現されるだろうとのことでした。それが実現された際に運転手ではなくアテンダントという形でなら、特別な資格はいらず若者を雇いやすくなるのではないか、といったところまで考えは進んでいるようでした。私もそれならば車が好きだったり、接客でお客さんと話すことが好きだったりする人が働いてみようと思うのではないかと感じました。
 先ほど私は学生がタクシーを利用する機会がないと記述しましたが、日本では高齢化が進んでおり、電車が通らない地域では現在バスも本数を減らしていたりだとか、さらにはバス自体もう通らなくなってしまっていたりだとかで、タクシーがなくなってしまっては急病・急用の時に困る地域や人もたくさんいます。そういった人たちのために、さらにはこれからのタクシー業界のためにも、少しでも良い提案をしていければいいなと思いました。

ご参考