太陽パーツ株式会社を訪問しました

 2014年6月4日(水)、経済学部の三木ゼミは、特講(PBL)と共同で、堺市北区にある太陽パーツ株式会社を訪問し、代表取締役社長の城岡陽志さんにお話をうかがいました。
太陽パーツ(株)は、2008年度に大阪中小企業顕彰事業実行委員会(注1)が実施する「大阪ものづくり優良企業賞」を受賞、大阪を代表するものづくり企業の1社です。



 三木ゼミは、グローバル人材を育成する「グローバルキャリアプロジェクトゼミ」であると同時に、民間企業出身の教員が指導するという特色を活かし、企業/行政/地域との接点をできるだけ多く持つようにしています。今回は2014年度第3回校外学習となります。
(注1) 大阪中小企業顕彰事業実行委員会:
大阪府、大阪府商工会議所連合会、大阪府商工会連合会、公益財団法人大阪産業振興機構、地方独立行政法人大阪府立産業技術総合研究所で構成

会社概要

 私たちが訪問した太陽パーツ株式会社は、昭和55年1月に創業、昭和58年5月に設立された資本金3000万円の中小企業です。代表取締役の城岡陽志社長を筆頭に100人を超える従業員が独自のメーカー機能(自社開発・部品製造)と商社機能を活かし、お客様にとっての最良のパートナーとなることを基本使命と考え、お客様に喜ばれる企業、社会に必要とされる企業を目指しています。
 部品事業部と住宅建材事業部の2事業部で構成されており、部品事業部では、切削加工、プレス加工、板金加工、アルミ押出、ダイカストなどの部品加工の技術を駆使して数々の洗練された部品を生み出しています。これらの部品は社内に展示されており、私達も実際に数々の工夫に工夫を凝らした部品を目の当たりにしました。この部品事業部では金型代を半額に抑える製法「ダイカストカセットシステム」を開発、金型を共通化部分(ベース)と新規制作部分に分けることにより、顧客は新規制作部分のみのコスト負担で済むという画期的な製法で特許を取得、他社との差別化を図っています。また住宅建材事業部では、オリジナル商品のアイデア考案、開発を主に行っており、見学の際に見せていただいた、スムーズダウンウォール(キッチン用昇降ラック)をはじめとする、もともとある形のものに、太陽パーツ(株)自社独自の技術力とアイデアを付加することで、収納力アップや出し入れのし易さを実現させたオンリーワン商品など、キッチンや住宅設備を中心とした機能アイテムの企画開発を行っています。

 太陽パーツ(株)では、長年の経験と実績を持った技術スタッフとセールスエンジニアが、造る立場、買う立場、売る立場、いろいろな方向から物を考え、開発を手がける「技術部門」、自社工場及び協力工場約100社と連携を図り、新技術と品質の向上に務め、あらゆる要望に応えられる生産体制を構築している「製造部門」、お客さまのニーズに対応するため、あふれる迄の情報を収集、整理、加工して、プロのセールスエンジニアがお客様に必要な情報を提供すると共に、蓄積されたノウハウを提案し続ける「営業部門」、材料手配から仕掛品、半製品、完成品までの生産管理、部材管理を早く正確に行うためOA化を図り、多品種、少量、短納期のユーザーニーズに対応できる体制を構築している「管理部門」、品質の向上、安定こそ信頼を得る源泉と考えお客様に安心と満足を届けている「品質保証部門」の5つの部門が設けられており、それぞれが価値ある商品を生み出す要となっています。

訪問当日の様子

当日訪問した私たちを、朝早くにも関わらず城岡社長は暖かく迎えて下さいました。冒頭今年度入学の本学OB(西村知晃さん、2014年3月卒、流通学部)をご紹介いただきました。西村さんに「太陽パーツ(株)さんへの就職を決めた『決め手』は何だったのですか?」と尋ねると「製造と販売(商社)機能の両方を持っていることが大変魅力的だった」と回答いただきました。確かに中小企業の中には製造するだけで販売は外部に委託するというケースも多い中、開発・製造・営業提案まで一貫して担当されていることは、顧客要望を直接開発部門や製造部門にフィードバックできるという点で大きな強みになります。また、城岡社長からは「彼を見て阪南大学への評価が上がった」というようなお言葉もいただきました。本学OBがこのような形で活躍されているのを見ると、私たちも非常に心強く感じ、また身の引き締まる思いがしました。
 また、太陽パーツ(株)さんは「大失敗賞」の創設で有名な企業でもあります。「大失敗賞」とは、大きな失敗をした社員に対して社長から賞状と報奨金が与えられるという制度です。これは城岡社長の若き日が失敗の連続であったこと、その経験から、社員には何か新しいことに挑戦した上で失敗した場合は、その経験を踏まえて更に新しいことにチャレンジしてほしい、という城岡社長の思いがあります。
 大失敗賞のご紹介の後は、会社概要のご紹介がありました。売上の7割が金属、3割が樹脂やプラスチック等で構成されています。また部品の加工技術は切削、板金、プレス等多数ありますが、自社で全てを持っているわけではなく膨大なネットワークを利用してどんな加工も可能にしています。これこそが製造や開発を担当するメーカー機能以外の、「提案力を駆使する商社機能」です。それでも城岡社長は「部品産業に占める当社のシェアは微々たるもの。まだまだ無限大のマーケットがある」とおっしゃっていました。
その後は「日本の産業構造における中小企業の果たす役割」「企業のグローバル化」についてのお話がありました。大企業/中堅企業/中小企業/小企業がピラミッド型になっている、裾野の広い産業構造を持っていることは日本の大きな特色である、しかし経済のグローバル化による海外企業との競争、日系企業の海外事業展開(海外シフト)に伴い、日本の中小企業が生き残る道は、海外にはできない「多品種、少量、短納期」への対応である、というご説明がありました。
その後商品展示室で商品説明をいただきました。様々な加工技術を用いて製造された、いわゆる「部品」が多かったのですが、システムキッチンに組み込まれている昇降棚をメーカーと一緒に開発しているのが印象的でした。

今回の訪問を通じての感想・気づき

 私たちは2014年6月4日に、大阪府堺市北区にある太陽パーツ株式会社を訪問させていただきました。私たちは事前にインターネット等で、太陽パーツ(株)及び専門用語(ダイカスト、鋳造など)を勉強し訪問させていただきました。
 太陽パーツ(株)は中国の上海と大連に進出しています。城岡社長のお話の中で、産業構造の裾野が広く中小企業が十分育っている国(台湾、中国、タイ等)には自動車産業や電機産業、部品産業をはじめとするハイテク産業が進出できるが、そうでない国々ではそれは難しい(例えばミャンマーやスリランカではミシンと材料があれば服を作れるアパレルのような産業なら進出可能)、とのお話がありました。私たちは単純に海外進出すれば何でも成功すると思っていましたが実はそうではないこと、 また日本は他の国に比べて産業構造がしっかりしていることを知りました。
また、太陽パーツ(株)には「大失敗賞」という、失敗した社員に対する表彰制度があります。たとえ失敗してもさらにチャレンジしてほしいという気持ちから作られた賞です。前向きな挑戦に対しては例え失敗しても評価されるという意味で、従業員にとって大変やりがいがある企業だと感じました。
 太陽パーツ(株)は部品だけを作ること以外に販売(商社)機能も持っていました。私たちは、中小企業は下請けで部品を製造しているだけと思っていたのですが、販売も自社で担当していることを知り、驚きました。太陽パーツ(株)に今年入社した阪南大学の卒業生が太陽パーツ(株)を選んだ理由は、開発、製造、販売(商社)機能を一貫して持っていることであるとおっしゃっていたので、ありとあらゆる顧客ニーズにこたえられる商社機能を有していることは太陽パーツ(株)の魅力だと思いました。
 今回、太陽パーツ(株)を訪問させていただき大変多くの学びと気づきをいただきました。城岡社長様はじめご対応いただいた皆様に感謝申し上げます。ありがとうございました。