2018年10月10日(水)、経済学部の三木ゼミ2年生は、東大阪市にある株式会社繁原製作所を訪問し、代表取締役の繁原秀孝さん、取締役営業統括の繁原秀和さんにお話をうかがいました。
 株式会社繁原製作所は1968年創業。高精度な歯車加工技術と最新鋭設備を備え、レース用サーキットパーツや、自動車のエンジンやミッションの歯車部品を、板金から金型製作までの一貫体制で、試作・単品受注をベースに短納期で提供しています。またEV(電気自動車)向け減速機を開発するなど、高付加価値化を追求する技術開発型企業です。平成27年(2015年)には大阪中小企業顕彰事業実行委員会(注1)が実施する「大阪ものづくり優良企業賞」を受賞、大阪を代表するものづくり企業です。
 経済学部三木ゼミは、グローバル人材を育成する「グローバルキャリアプロジェクトゼミ」であると同時に、民間企業出身の教員が指導するという特色を活かし、企業/行政/地域との接点をできるだけ多く持つようにしています。三木ゼミ2年生は今年度も昨年度に引き続き、大阪府商工労働部の連携協定に基づく事業の1つとして「ものづくり中小企業と大学生の求人求職ミスマッチ解消」という課題に取組んでいます。今回はその活動の一環として訪問しました。

(注1) 大阪中小企業顕彰事業実行委員会:
大阪府、大阪府商工会議所連合会、大阪府商工会連合会、公益財団法人大阪産業振興機構、地方独立行政法人大阪府立産業技術総合研究所で構成

 以下に今回の訪問見学で得られた、学生たちの気付き(一部)を紹介します。

経済学部2年生 西野 有咲 さん

 株式会社繁原製作所は、高い精度が要求される歯車加工や金属の3D加工などの高度な技術力を持って、試作品段階である部品などを作る会社である。社内で一貫して生産ができるため、それぞれの取引先に対して対応できるように機械設備も様々なものを取り入れているとのことだった。他の会社では真似できないものを作っている会社だと感じた。
 今回訪問して印象に残ったことは2つある。1つ目は、社員への教育制度に力を入れていると感じた。スキルマップやキャリアマップというものがあるらしいが、きちんと文書に示した研修マニュアルはない。今まさに取り組んでいるそうなのだが、ここの企業はコミュニケーションを取りながら、学んでいくスタンスであると感じた。ひとつひとつの技術などを直接、プロの技術者から教えてもらうことにより、文字だけでは伝わらない些細なことなどを吸収できる。それにより、鍛えられた技術を駆使し、精度の高い部品などが作られるのだと思った。
 次に印象に残ったことは、売上に対しての粗利率がとても高かったことだ。その粗利率を可能にしているのは、ほとんどのことを自社で行なっているからだということだと思った。また粗利率が良いと、機械などに設備投資できる。設備投資をすると、より精度が高くなり良い製品ができる。精度が高い製品ができると、利益が生まれる。このような好循環ができ、会社もより良いものになっていくのだと感じた。
 株式会社繁原製作所は、今までバブル崩壊やリーマンショックなとが起こっても、業態を変えながら成長してきた会社であった。これまで培ってきた技術をさらに成長させながら、持っている会社の強みを活かし、なおかつ、技術者のノウハウを継承し、育て続けていける会社だと感じた。

経済学部2年生 森 梓 さん

 今回訪問した株式会社繁原製作所という企業は金属部品加工業を主な仕事としていて、例えば高精度な歯車の加工や世界初EV用多段減速機開発等に力を入れているそうだ。また、他の企業に作れないものを造る、利益率が高いのを強みにしている企業である。
 この企業を訪問して、とても良いと思った点が二つあった。一つ目は、経営理念をしっかり持っているという点だ。これは一見当たり前の様に感じるかもしれないが、私が今まで訪問してきた企業は、経営理念自体はあるかもしれないが、それを推していないというかあまり大事にしていないのかなという企業が多かったからである。やはり経営理念をしっかり持っているというのは、会社自体の目標がしっかり定まっている訳であり、従業員全員が同じ目標をもって働ける為、結束もしっかりしてくるのではないかと思った為良い点であると感じた。二つ目は、会社の課題、中小企業としてのこれからの課題をしっかり捉え、長期的な準備をしている点だ。今日話して頂いた繁原さん(次期社長)自体が凄く中小企業の事を勉強しているのが話を聞いていて伝わった。例えば少子高齢化の問題で、技術をどう若者に継承していくべきか、働き方改革でどう会社を上手く回していくかなどしっかりこれから中小企業が抱えるであろう問題を研究し、もうすでにそれに向けて対策しているとの事だ。やはり今儲かってそれに乗っかって経営している会社よりこんな風に将来の事を真剣に考えてそれに備えて準備している企業がこの先生き抜いていくのだなと実感した。

経済学部2年生 岩根 仁志 さん

 東大阪市にある世界初の電気自動車用の多段減速機を開発し、主に自動車関係の金属部品加工業を営む繁原製作所に訪問し、会社説明と工場見学を行った。繁原製作所は大手自動車メーカーや電機メーカーなどと取引を行っており、バブル崩壊やリーマンショックを生き延びてきた強い会社である。
 繁原製作所を訪問する中で感じたのは大きく2つあり、1つ目は人間教育が行き届いているなということである。会社説明をしていただいた部屋へ若手社員や幹部の方が入ってきた時、私たちに向かい大きな声で挨拶をする姿や、工場見学の際、社員の方が挨拶や会釈をする姿を見て挨拶の徹底がしっかりとなされており、人間教育に力を入れているんだなと感じた。会社説明をしていた方も私たちの目をみて会社説明をしてくださり、分かりやすいなと感じた。指導する立場の人間が人の目を見てしっかりと話し、挨拶をきっちりとできるというのは、当たり前かもしれないが、それが従業員の手本となり、人間教育になっているのではないかと感じた。
 次に、2つ目は設備投資がしっかりと行われているということである。工場見学をしている中で、金属を削る機械や金属に穴を開ける機械、ワイヤーを使って切断する機械、金属を曲げる機械など様々な機械があり、多くの種類の機械があった。この設備の良さが自社でミッションを作り、レースに出るほどの車を作れるのではと感じ、技術の高さを感じた。技術設備の充実を感じ、大手と言われる企業と取引していることもうなずけるなと感じた。また、社員への技術教育の為に手動で動かす資格試験で使われるものと同じ機械を設備しており、社員の技術向上や資格取得への協力もすごいと感じた。
 最後に、繁原製作所を訪問した中で、多くの会社では、人間教育に力を入れていますと会社説明でよく言われるがそれが身に染みて感じることは少ないと感じる。しかし、繁原製作所は挨拶が徹底されており教育が行き届いている印象をもった。また、工場見学で設備を見た時稼働率はあまり良くない印象を持ったが、様々な種類があることにより、他社で断られたような難しい発注も受けることができ、社内一貫生産ができるのではないかと感じた。

ご参考