2018年10月3日(水)、経済学部の三木ゼミ2年生は、八尾市にある株式会社アイキを訪問し、専務取締役の松下絢一さんにお話をうかがいました。
 株式会社アイキは1998年創業、板金から金型製作までの一貫体制で、家電やOA機器向け部品、コネクターなどの電子部品、自動車部品などの精密試作板金を手がけています。多様な試作加工に短納期で対応できるのが強みで、平成25年(2013年)には大阪中小企業顕彰事業実行委員会(注1)が実施する「大阪ものづくり優良企業賞」を受賞、大阪を代表するものづくり企業です。
 経済学部三木ゼミは、グローバル人材を育成する「グローバルキャリアプロジェクトゼミ」であると同時に、民間企業出身の教員が指導するという特色を活かし、企業/行政/地域との接点をできるだけ多く持つようにしています。三木ゼミ2年生は今年度も昨年度に引き続き、大阪府商工労働部の連携協定に基づく事業の1つとして「ものづくり中小企業と大学生の求人求職ミスマッチ解消」という課題に取組んでいます。今回はその活動の一環として訪問しました。
(注1) 大阪中小企業顕彰事業実行委員会:
大阪府、大阪府商工会議所連合会、大阪府商工会連合会、公益財団法人大阪産業振興機構、地方独立行政法人大阪府立産業技術総合研究所で構成
 以下に今回の訪問見学で得られた、学生たちの気付き(一部)を紹介します。

経済学部2年生 西野 有咲 さん

 株式会社アイキは、量産になる前段階である試作部品を作っている会社である。社内で一貫して部品を製造・加工できるようにしているため、納期を早めることができる。部品を作る上で、とても精密なものを扱うため、機械設備自体もしっかりと投資している会社であった。また、創業20年、社員数25人と少ない数ではあるが、技術の安売りをしないと公言できるほど、自社の持っている技術にしっかりと自信を持つことができている会社だと感じた。
 今回訪問して印象に残ったことが2つある。まず1つ目は、今まで訪問した企業には"営業部"というものが存在したのだが、株式会社アイキにはその"営業部"が無かった。理由は、営業に行っても、その会社自体に注文したい物が無ければ、依頼を受けることすらもできない。その代わり展示会で知り合った人など交流を深めていき、後日に仕事の依頼があるとのことであった。確かに、営業に行った会社に何も無ければ「ではまたの機会に」となり、効率が悪い。展示会など大勢の人と関われる時に関わっておく方が効率が良いと思った。
 2つ目は、教育制度にとても力を入れていると感じた。毎日記入する日誌や2週間ごとに行うルーティンチェック表などがあった。日誌ではやるべきこと、良かったこと、今日の出来なかったことを出来るようになるにはなどの項目があるとのこと。「反省」という言葉を使わずに「出来るように変えるには」と言葉を変えていることがとても良いと感じた。反省ではマイナスなところを書いてしまいがちだとは思うが、出来るように変えるにはという言葉を使っているため、こうすれば出来るようになるのではないかなどプラスに考えれることができる。ルーティンチェック表では、自分の弱み強みを分析できるらしい。本人もその結果を見るとどうすれば良いかわかるし、上司も人それぞれ教え方などを変えれるため、その人にあった教育ができると思った。
 企業説明を聞いて、加工技術の精密さや教育制度の取り組み方などに力を入れていると感じた会社であった。取引会社も信頼して任せられるだろうし、働いている社員も安心して働ける会社だと感じた。

経済学部2年生 桑山 楓香 さん

 八尾市にある株式会社アイキを訪問した。ホームページは項目別になっており写真も使用されているので見やすいと感じた。
 株式会社アイキは高い技術力でお客様のニーズに合わせたモノづくりを行っている会社だ。量産になる前の商品を作っているため納期が短く、高い技術の商品を作る必要がある。
 最も印象に残った言葉がある。「技術の安売りはしないよう心掛けている」というものだ。自社の技術や製品に対する気持ちが感じられた。早く商品を作るために一貫して加工できるようにしているそうで社員数より設備の数のほうが多いそうだ。たくさんの設備を扱えているのも社員たちの向上心が高いからなのだと話を聞いて感じた。やる気があって仕事ができる人は給料が上がる。そしてボーナス面でも仕事ができなければ今後は金額が減っていくようにするという。頑張りや努力を認めてもらえるというのはやる気やモチベーションにつながると感じた。
 女性の数はかなり少なかったが、働いている女性は目標を持って働いていると伺い女性にも良い環境なのではないかと感じた。また、女性活躍社会を作っていきたいとおっしゃっていたのでそれも含め女性でも活躍できる会社なのではないかと感じた。また社員間も仲が良すぎて困るほどといった言葉からもうまくやっていける会社なのではないかと感じた。
 給与やボーナス面においても努力ややる気次第で増え日々学ぶことがある会社で働くのは楽しく感じられると思った。そして話を聞くと慰安旅行でも、社長が普段の頑張りを見ているので自由だと聞き、高い技術力や自社への思いの強い、社員思いな会社であると感じた。
 今まで様々な中小企業に訪問してきたがそれぞれに違いがあり発見があるのでこれからもたくさん学んでいきたい。

経済学部2年生 松本 華歩 さん

 株式会社アイキはこれまでいった企業とは全く別のタイプだったと感じた。営業がないところや、値下げなどに応じないところなどだ。それは自社製品に対する絶対的な自信からくるものだ。強みとして語っていた3点は、「どこよりも精密な製品を作れる」「設備投資に力を入れているので常に最新の設備で仕事ができる」「納期が早い」だ。この3つも強みがアイキを支えている以上、成長していくと感じた。
 また、自分の行動ややる気で評価され、昇進のできる近代的な考え方の会社だと思った。専務取締役の松下さんの話だけ聞くと入社2年目でも評価が高ければ課長にもなれるという。一般的な企業ではありえない話だと思う。しかし松下さんが体育会系ということもあり親近感がわいて、信憑性あるように感じて好印象を持った。確かに、採用人材を見ても、「やる気と元気があって自ら考え行動でき、マニュアルを超越できるような、将来のリーダーになっていってくれる人を求めます。今後新しいことにも挑戦していく予定です。何かにチャレンジしたい!! 新しいこと始めてみたい!! 手に職をつけたい!! そんな意欲のある方大大大歓迎です」と熱く書かれている。この思いは説明を聞いていても感じられた。
 私は営業職希望なのだがアイキには営業職がない。移動中松下さんから、個人のやる気があれば営業職を作れないこともない、と言われた。今は十分に黒字を保っているが、今後需要が減っていくのは明らかで、営業部署を作って利益率が上がるのなら期待しても良い。とのことだった。説明の時も話されていたように、個人のやる気や行動で変えられる会社という点に魅力を強く感じました。

経済学部2年生 森 梓 さん

 今回私たちが訪問した企業は株式会社アイキという企業だ。この企業では主に量産になる前の試作品の金属部品を造っているそうで、例えばケータイの中の部品、エアコンの中の部品、最近だと某欧州系有名自動車メーカーの新型の世界初電気自動車向け部品の試作品を造るのに携わっているそうだ。
 この企業の訪問し、最も良いと思った点が二つあった。まず一つ目は、技術の安売りをしないところ。最近のものづくり企業では安さを売りにしている所が多いのにもかかわらず、この企業では取引先に高いと言われても、値引き交渉されても絶対に交渉しないそうだ。技術と納期の早さだけで勝負している。専務の話によると、日本は技術力が高いにも関わらず、それを安く提供しすぎて、他国にその技術を奪われ、発展していたはずの日本が、他国に追い負かされていき高い技術力を無駄にしていて勿体ないという考えから技術の安売りはしないそうだ。この話を聞き、自社の職人や製品を強く信頼しているからこそこの考えを貫けるのだろうと自社に対する強い想いを感じた。
 二つ目は、入社歴・年功序列等関係なく頑張り次第で昇格できるところ。この方針の良い点は自分の頑張り次第でいつでも昇格できるチャンスがあるのだから、仕事に対するモチベーションがすごく上がる所だ。これは本当に良い取り組みだと思い、他の企業もこの取り組みを採用すれば従業員がとても頑張ってくれるのではないかと感じた。
 今回の企業を訪問させて頂いて気づいた事があった。それは社内の清潔さと自分が入社したいと思うかという点が比例しているという所。今までたくさんの企業を訪問して、入社したいと感じた企業の社内はとっても清潔で従業員の人の対応も良く、従業員は目標・やりがいをもっていきいき働いていて将来性・福利厚生面についても問題はないような所が多かった。それに対し、社内が清潔とは言えないような企業は将来性や福利厚生面も少し心配になるような企業が多かった様に感じたし、そんな企業は従業員もやりがい・目標もあまりもてていないように感じた。
 今日訪問させて頂いたアイキさんは、工場内も、応接室もとっても清潔だったし、給与面・やりがい・目標・今後どう発展していくかなどの点に関してもとても良かったし、なにより従業員が今まで訪問してきた企業に比べていきいきと働いているように感じた。

ご参考