2018.9.25

企業見学会報告:企業情報研究科

 阪南大学大学院企業情報研究科では,学生が,ビジネスで生じる問題や課題を正しく認識・把握できるように企業見学会を毎年行っています.今年は,製品の企画・生産・流通・販売という川上から川下の各段階の企業の役割や課題について学ぶため,兵庫県の播州織に関連する複数の企業や団体の見学を行いました.
 企業見学の行程は下記のとおりでした.

2018年9月20日(木)

・播州織産元協同組合   
  ~播州織の歴史や産業の構造について講義方式で学ぶ~
・東播染工株式会社
  ~染・織・加工までの工程を一貫性の工場見学~
・遠孫織布株式会社
  ~ものづくりなど手広く行われている~
・播州織工房館見学
  ~播州織の情報発信基地として、小物・生地など販売。
・島田製織株式会社
  ~産地の産元業を行っている社で商品の企画など~
 播州織染織は,江戸時代末期に地域で栽培された綿花から作る綿糸を草木染料で染め織物にしたことが始まりといわれています.明治時代,大正時代には近代繊維工業として発展し,その品質や生産性の高さから,戦後,先進諸国にも輸出されるようになったそうです.さらに高付加価値の先染め繊維として,海外高級ブランドにも使用されるようになりました.しかし他のアジア諸国における繊維産業の勃興によって競争が激化し,播州織の生産はピーク時から大きく減少しています.この事態を打開するため,薄利多売から高付加価値製品の生産を目指すべく,国内市場におけるブランド化が課題となっているとのことでした.

 染織には,糸を先に染めてから織る先染めと,織ってから染める後染めに分類できますが,播州織は先染めの方式をとっており,多くの場合,糸染,織布,加工の各工程を異なる企業が分業で担っています.播州地区一体となって,播州織のブランド化を進めるべく東京,大阪での催事を展開されているそうです.また,企業独自でのブランド化や高付加価値製品の販売に取り組んでおられることを見学や訪問でご教示いただきました.

 今回の企業見学会に参加した学生は,繊維工業の生産プロセスをはじめ,業界の構成や課題について,企業見学や講演によって,具体的に理解できたと思います.さらに,高付加価値製品の出荷を目指した製品のブランド化のための地域連携活動や個別企業の活動について理解を深めることができたと思います.(報告者:三好哲也)
※この活動は,学部教育研究活動助成制度(阪南大学学会)の補助を受けています。ご支援いただいたことに感謝いたします。
写真1)播州織産元協同組合,播州織工業組合での概要説明
写真2)東播染工業株式会社の見学の様子
  • 写真3)遠孫織布株式会社の展示販売所見学 

  • 写真4)播州織工房館見学

  • 写真5)島田製繊株式会社での製品開発やブランド展開の説明の様子