2022.3.22

アジアにつながる大阪の商店街の魅力再発見と街づくり

産学連携先:すみれナッレッジ

 商都・大阪の魅力が吸引力となって、アジアからのインバウンド観光客が多数訪問し、そのことが街づくりの活性化につながればという想いから継続的にプロジェクトを実施しています。石井キャリアゼミでは、これまで有益な知識や実態把握の情報を蓄積してきました。今年も、いまどきの若者視点からみて、大阪の商店街がどのように映るのか?商店街の問題点や課題、その魅力や街づくりに果たす役割など多面的な興味をもってプロジェクトに取り組むことになりました。
 まず、中国人観光や大阪の商店街の実態に詳しい岡部佳子氏(すみれナレッジ)を講師に招聘して、11月に2回授業を行ったいただき、新今宮・通天閣界隈の商店街の実態やインバウンド観光客の動向や特徴についての基礎的・予備的知識をマスターしました。そのうえで、12月~1月に2回のフィールドワークを実施しました。12月のFWでは、天王寺のテンシバを起点に、通天閣の賑わい空間の一角にあるシャッター通り化した新世界市場商店街を歩き、周囲にインバウンド観光客用の特区民宿やホテルが増加している様子を知ることができました。また、至近距離の新今宮駅前の星野リゾートの建設中の現場を実際に見て、この商店街の活性化策をいろいろ考えて、その将来像に想いを馳せました。さらに、1月には、大阪の伝統的な商店街や最近話題を集めている商店街のFWを実施しました。訪問した商店街の順路は、①空堀商店街→②お初天神商店街→③天神橋筋商店街→④黒門市場商店街→⑤千日前道具屋筋商店街で、駆け足に歩いただけでも、様々な問題や課題があるものの、その魅力や街づくりに果たす役割を再発見することができました。
 商店街は、個店一つ一つが魅力的で、消費者の「コミュニケーションの場」を形成し、商店街全体が一丸となって取り組んで、街の賑わいを生み出し、「コミュニティの担い手」としての役割も果たし、安心、安全、福祉、環境、子育て、高齢者の相談相手、歴史の伝承など、多面的な公共的な機能を持っていることも理解できました。こうした商店街の役割や機能がが、アジアからのインバウンド観光客とのコラボで、今後どのように新たな魅力の再発見が現場で活かされていくのか、さらなる探究を続けていくことにします。なお、本プロジェクトには、石井ゼミ所属および観光ビジネスコースの大学院生たちの地道な研究成果の年々の継続的な蓄積が大いに役立ったことを付け加えておきます。

学生活動状況報告

 ゼミのフィールドワークで大阪の色々な商店街を回りました。商店街を回ってみた若者目線からの感想は、地味だと感じました。その理由は2つあります。
 1つ目は、若者の興味を引く店が少なく、SNSを中心に生活している最近の若者が興味を引き付ける魅力的な商品の品揃えがないという点です。
 2つ目は、多彩なイベントを行うことができる空間やスペースがないということです。例えば、大型店のモールやテラスなどでは華やかな芸能人のトークショウなどのイベントがあり、瞬間的に訪問者数が急増しして賑わい空間を演出することができます。
 今後、こうしたフィールドワークで調査した結果をふまえて、商店街に存続する古き良きお店やおしゃれなカフェなどを活かしながら、従来の伝統的商店街になない新たな魅力を創出して、それをテコにアジアの人々と交流できる新たな街づくりを考えてみたいと思いました。私にとって、今回のFWは、商店街振興を街づくりに結びつけて深く考えるきっかとなり、とても有益な活動となりました。
経済学部 清水 怜

参加学生一覧

上月 清加、湯浅 乃莉華、恵良 優菜、前田 悠佑、山名 優芽、HUANG KAIMING、梅本 理奈、奥 愛弥、村上 更紗、浦山 智樹、小畑 拓巳、改發 諒、國廣 太一、清水 怜、大東 圭吾、川上 紘輝、清村 光希、新谷 浩太、寺迫 有咲、松田 夕佳

連携団体担当者からのコメント

すみれナレッジ
代表 岡部 佳子 様

 基本的に外国人観光客が入国できない状況下で、学生たちにとっては外国人観光客の動向をイメージすることが難しい環境です。そんな中で、外国人観光客を取り込むことで商店街を活性化するためのイベントやアイデアをグループで考えていただきました。情報はほぼ私の講義内容だけにもかかわらず、皆さん積極的に意見を出し合い議論をし、非常に斬新で画期的なプランが上がってきました。
また、大人から見るとそれは無理なのではと思われるようなアイデアもありました。しかし、発表を聞いていると、若い人たちの思考と行動力で実現していけるものと推察できました。
 外国人観光客はただ単に昔ながらの日本文化を求めているわけではありません。そこで、商店街に残る日本の良き文化と若い人たちのアイデアを融合することで新たな日本文化を創り出すことができれば、日本が外国人観光客にとって更に魅力的な旅先となり、街が活性化すると考えられます。若い人たちに大いに期待しています。

教員のコメント

経済学部
石井 雄二 教授

 フィールドワークの面白い点は、各自の持っている問題関心によって、同じ共通の現場をみて調査しても、各自の思い描く世界が異なることです。最初から専門的知識と方法のモノサシでとらえるのとは違って、ゼミ生のそれぞれのモノサシでとらえた分だけの多様な感じ方や事実があるはずです。特に商店街振興と結びつけた街づくりのテーマなどは、一筋縄ではいかない課題解決が求められます。重要なことは、様々にとらえた各自の「事実」の世界を情報共有し、それを自らのとらえ方と突き合わせて、深く考え抜くことにあります。「考え抜く力」は、広く社会人の基礎力であり、そのためには同時に「チーム力」や「一歩踏み出す力」も必要となります。みんなの得た情報や知見が「つながって」、そしてみんなが「つながって」一定の課題解決を模索するプロセスの経験は、きっと将来の多方面での活躍に有益であると思います。ある一人が突出して新たな情報や知識が創発されるのではなく、一人ひとりの中に個別に分散している情報・知識が融合して集約されることが、広く各人の喜びとなるような経験は、きっと自身の人間的な成長につながるはずです。それは専門知を学ぶ大学教育・研究の原点でもあります。