2020.3.2

インバウンド観光客を取り込んだ大阪の商店街振興とまちづくり-「内なるグローバル人材」の養成-

活動テーマ:インバウンド観光客を取り込んだ大阪の商店街振興とまちづくり-「内なるグローバル人材」の養成-
産学連携先:すみれナレッジ


 ここ3年間、キャリアゼミの新たな課題を立ち上げ、インバウンド観光客の急増を受けて、「内なるグローバル化」が日本の経済社会にどのような影響をもたらすのか?をテーマに、岡部佳子氏の3回の講義で基礎知識を学んだあとに、その動向の実態把握のためのフィールドワークに取り組んでいます。特に絞り込んだ問題関心としては、①訪日インバウンド観光客の変化(モノからコト消費へ)、②新世界・賑わい空間の一角にあるシャッター通り化した商店街の振興の2点を結び付けた「街づくり」のあり方を探求することにあります。
 こうした課題にアプローチするために、1月18日(土)に行ったフィールドワークでは、①訪日外国人旅行者が多数訪問して体験できるカップヌードルミユージアム(池田市)②インバウンド観光で再生・復活した黒門市場、③シャッター通り化の中で新たな試みにチャレンジする新世界市場商店街の3カ所を重点的に視察しました。カップヌードルミュージアムでは、訪日外国人旅行者にも人気がある世界に一つだけのカップヌードル作りを実際に体験して、体験・交流型の 「コト観光」の意味や価値を考え、また、訪日外国人観光客で賑わう黒門市場との対比で、新世界市場商店街を歩いたのち、その再生の方向性についての提案やアイデアをFWの成果として提出してもらいました。今後の継続的な取り組みを行ううえで、学生ならではの貴重なアイデアや提案が数多くありました。
 近い将来、訪日外国人旅行者の急増を契機に、さらに外国人労働者の雇用や定住が進行する中で、日本国内に「内なるグローバル化」は確実に浸透してくことが予想されます。インバウンド観光を取り込んだ商店街振興や街づくりは、外国人と共に働き生活する共生社会の中で生きるという意味での「グローバル人材」養成の一つの実践活動になり得ると考えています。

学生活動状況報告

 訪日外国人観光客の動向のフィールドワークのために、1月18日に、池田市のカップヌードルミュージアム、黒門市場とシャッター通り化した新世界市場商店街に行きました。
 まず、カップヌードルミュージアムでは、日本の家族連れだけでなく、海外からの観光客も多数訪れているのが理解できました。ミュージアムの従業員の中にも中国人の方がおられて、海外らの中国人観光客の対応に当たっている様子をうかがうことができました。
 次に黒門市場を視察しましたが、私はそこの場所に行くのは初めての経験でした。そこでの一番の驚きは、お店で売っているモノの値段があまりにも高いことでした。このような高い値段を設定して、はたして商売が成り立つのかなと思いながらお店を巡回しました。しかし、日本人の客はほとんどいなく、中国人がほとんどで海外の旅行者の人ばかりでした。高い値段設定でも、外国人観光客がお金を使いっているおかげで、黒門市場は成り立っているんだろうなと私は考えました。また、そこで働いている人の多くが海外の人であることも知り得ました。
 最後に通天閣の近くにあるシャッター通り化した新世界市場商店街に行きました。まさか周りがあんなに人がいて賑やかなエリアに、あのようなシャッター通りがあるなんて思いもしませんでした。シャッター通り化した商店街を活性化するために私が考えたのは、若い客をターゲットにしたナイトマーケットの企画・運営の提案はどうだろかと考えました。夜に屋台のような沢山の多国籍料理を少し食べながら、少しお酒を飲んでバイキング形式で通り抜けていくような感じで、商店街通りを使えば、若い客や外国人観光客も多数集まり、道も狭くて人と人が近いので、密度の濃い話し合いや良い交流の「場」をつくれるのではないかと思いました。
 今回の活動は、このような貴重な体験をできて大変意義があったし、現地に行かないとわからない事が沢山あり、日本・大阪では外国人に向けて実に様々な対策をしていることに驚きました。

経済学部 2年生 岡本 巧人

参加学生一覧

石原 寛大、大原 楓多、竹牟禮 優妃、福永 紳造、藤澤 大和、小倉 昇馬、長尾 香穂、前田 匡吾、井筒 亮汰、井上 寛太、岡本 巧人、合田 修人、瀧本 雄正、瀧本 理帆、野村 優真、林垣 直子、溝端 快斗、山口 湖南

ゼミ集合写真

連携団体担当者からのコメント

すみれナレッジ 代表
岡部 佳子 様

 今回は、学生さんたちで話し合い考えてもらう時間をできるだけ多くとりました。それにより、日常生活では外国人と触れ合う機会が多くない学生さんたちにとっても、実は「内なるグローバル」が身近なことであること気づき、問題意識を持っていただきたいと考えました。
 そして、その問題点の解決策まで深く考えてもらいました。来日外国人と接した経験がほとんどないにもかかわらず、的を射た意見を述べてくれたり、理解をしようとする前向きな姿勢が見え、将来の共生社会が望ましい方向に進んでいくのではないかと明るい展望を抱くことができました。
 今後は在留外国人との意見交換の場を設けることができれば、文化や習慣の違いを理解しあったり、外国人が日本に対して求めるものや在住(共生)にあたっての困難な点などを聞き出すことができたりということが見込めます。そのうえで、問題点や解決方法を考察することにより、理想的な共生社会の実現に更に近づけるのではないかと期待します。

教員のコメント

経済学部
石井 雄二 教授

 最近、急激にインバウンド観光客が訪日し、すでに短期間のうちに3000万人を超えるまでになっています。今後の国の政策転換如何にもよりますが、徐々にではありますが、今後確実に日本で雇用され生活する外国人も増加することが予想されます。学生たちの世代が社会の中心となり活躍するときには、外国人との共生が多くの分野で課題となることは、ほぼ間違いないと思われます。「共生」と言うことは理念的には容易ですが、そこに至るまでには、相互の協力や協調とともに、葛藤や軋轢、衝突や対立・矛盾などの問題が必ず浮上するはずです。身近な問題としては、定住するエリアでの現場に即した理念的な共生のあり方を考え、それをデザインする具体的な課題解決策や提案がどうしても必要となります。
 このキャリアゼミでは、将来を担う学生たちに少しばかり考えるきっかけを与えたにしかすぎません。ともに末永く学生たちと一緒に、教員である私も考えることを持続することがミッションだと受け止めたいと思います。そのことが、日本のあるべきグローバル化像を検討するうえで有益なことであると同時に、これまでの日本人相互の関係や日本社会のあり方を相対化し、日本の内外のグローバル化時代に適応できる「人づくり」に少しでも資することになれば、これ以上嬉しいことはありません。