2014.2.24

「大阪証券取引所」と「造幣局」を視察しました

「大阪証券取引所」と「造幣局」を視察しました!

 2013年11月29日(金)、京極ゼミではゼミ活動を学外で実施、「フィールドスタディ」として大阪市内の2カ所の施設を訪問、視察しました。本ゼミでは、『金融の実務』を中心テーマにしていますが、キャンパス内での研究だけでは実感が伴わないことも多いのです。
当日は、2年生10名、3年生14名の合計24名が参加、『金融』に関連する『現場』を実際に視察・体験することで、所期の目的である『金融リテラシー』の向上を図りました。

1.大阪証券取引所

 大阪証券取引所(大証)は、第二次世界大戦後の1949(昭和24)年4月に設立されましたが、その前身は1878(明治11)年に設立された「大阪株式取引所」です。また、その源流といえるのは、17世紀から18世紀にかけて経済の中心地「大坂」に誕生した「堂島米会所」です。当初は米穀の現物取引から始まり、後には当時の「コメ」が貨幣代替物であったことから、金融商品としての「先物取引(デリバティブズ)」が中心となりました。「堂島米会所」は世界で初めての整備された先物取引所といわれています。

 当日の視察では、30分程度の施設内見学に加え、取引所の上場推進部課長 岡野 豊氏による特別講義を受けました。テーマは証券取引所の歴史・機能・現状、日本取引所グループの説明、株式上場(IPO)と現況などです。

 施設の中で学生が最も興味を示したのは、5階にある『大証マレット(売買監視ルーム)』です。現在の証券取引は全てコンピュータ化されシステム上で日々膨大な取引が行われていますが、それを24時間体制で監視している場所です。また、講義では先物取引もさることながら、1999(平成11)年に全面システム化による廃止以前に取引が行われていた『立会場』と『ハンドサイン』のお話です。広い立会場の中で仲買人や証券会社の社員がひしめき合い、喧噪のなかで売買注文を成立させるため、手を使って数字や業種、個別銘柄を表現していたものです。

 2013年1月、グローバル化への対応から大証と東京証券取引所(東証)が経営統合して、株式会社日本取引所グループが発足しました。両取引所とも現物市場と先物市場を運営していましたが、現物は東証(同年7月統合)、先物等は大証(2014年3月統合)に集約されます。歴史的経緯から、もともと東証は現物中心、大証は先物中心であったものをそれぞれの得意分野に特化する戦略です。更に、大証は2014年4月に社名変更(証券の文字をなくしてあらゆる金融取引を行う「大阪取引所」に変更)を予定しており、今後の発展が期待されるところです。

2.造幣局

 造幣局は、『貨幣』のうち「硬貨(専門用語では「補助貨幣」)を製造するため明治政府によって1871(明治4)年大阪に設立されたもので、現在は「独立行政法人 造幣局」が運営しています。因みに、「紙幣(日本銀行券)」は東京に本局がある「独立行政法人 国立印刷局」が印刷しています。造幣局では、500円から1円まで6種類の通常硬貨だけではなく、大きな行事を記念して発行される記念硬貨や勲章・褒章、工芸品など多様なものを製造していることは新たな発見でした。また、硬貨製造には多くの工程があり、徐々に姿を変えていく工程は「ものづくり日本」を象徴する感動的なもので、最後は見学者全員から歓声があがりました。

 現地では、映像を使った概要説明と工場見学が行われましたが、学生が最も反応を示したことは、以下の二点です。

(1)硬貨は年によって製造枚数に大きな違いがある
 10円・100円・500円硬貨など使用頻度の高い硬貨は毎年相当数が製造されていますが、1円・5円・50円硬貨は年によって製造枚数に大きな違いがあります。特に最近は製造枚数が少なく、2011〜2013(平成23〜25)年は販売用貨幣セット用以外殆ど製造していないため、市中でお目にかかることはありません。この3年間の年銘の1円・5円・50円硬貨を見つけた人には幸運が訪れるかもしれません。(?)
 中でも1円硬貨の製造枚数に波があります。2011(平成23)年は456千枚ですが、1989(平成元)年からの3年間は毎年23億枚以上、その後も1995(平成7)年まで毎年10億枚以上と高水準の製造枚数です。これはなぜでしょうか?
 最も大きな理由は「消費税」です。消費税は1989(平成元)年4月に初めて導入(税率3%)され、1997(平成9)年4月に税率が5%に引き上げられました。この間大量の1円硬貨が製造され、流通・貯蔵されているため最近は製造されていないのです。5円・50円硬貨も1円硬貨と概ね同じ動きをしています。
 なお、2014(平成26)年4月には消費税率が8%に引き上げられますので、久し振りに1円・5円・50円硬貨の製造が予定されています。

(2)日本の硬貨だけでなく、外国の貨幣も製造している
 日本の硬貨製造技術は高いレベルにあること、最近は電子マネーの普及もあって製造枚数全体に減少傾向にあるため、積極的に外国の貨幣製造の受注に取り組んでいます。今回の視察時は、バングラデシュから受注した同国通常貨幣である「2タカ(約2円相当)貨幣」5億枚の製造最盛期でもありました。こんなところにも、グローバルビジネスや国際貢献が及んでいるのです。
 工場見学の後、構内にある『造幣博物館』も視察しました。創業当時をしのぶ様々なものや大判・小判を含む古銭、明治以降の我が国の貨幣・外国貨幣など約4,000点が展示されており、必見の博物館です。

(文責:阪南大学経済学部 京極 孝)