2016.5.9

ニュージーランド便り 第2回 ~あらためて感じる日本の便利さ~

ニュージーランド便り 第2回 〜あらためて感じる日本の便利さ〜

 5月に入り、ニュージーランドでの生活も2ヵ月目になりました。私は今クライストチャーチに隣接するPrebbletonという町に住み、毎日バスで大学まで通っています。ここはカンタベリー地方でも古い町のひとつで、町名は1840年代にPrebbleという人が初めてこの土地に住んだことに由来しています。現地の人に聞くとtonはtownの訛りで町を意味するそうです。その説明を聞いて、クライストチャーチ最大の繁華街Riccartonや首都のWellingtonはじめtonの付く地名が多い理由がわかりました。Prebbletonから大学のあるリンカーンまではバスで約15分、反対方向のクライストチャーチ中心部まで約25分の距離です。通常の時間帯は30分に1本の間隔でバスが走っており、渋滞もなくほぼ定時運行しています。クライストチャーチはバス網が充実しており、Metrocardという合理的な運賃システムもあってそれなりに快適なのですが、やはり車の必要性を強く感じます。
 日本では大都市とその近郊では鉄道網が非常に発達しており、どこに出かけるにも大変便利です。そのため自家用車を持たなくても不自由を感じることはほとんどありません。クライストチャーチの人口約35万人は日本の平均的な地方の県庁所在地並で、近畿の和歌山市や奈良市とほぼ同規模ですが、通勤・通学の手段として鉄道が機能していないため、日本の地方都市同様マイカーが必需品になります。幸いクライストチャーチでは渋滞はありませんが、この国第一の都市で人口150万人を抱えるオークランドでは朝の通勤時の交通渋滞が慢性化しています。
  • クライストチャーチのバスターミナル

  • プレブルトンの町並み

 交通渋滞で思い出すのは、20年前に訪れたタイの首都バンコクでタクシーに乗ったところ1時間の内55分は動かず、ドライバーが文庫本を読みながら運転していたのが強烈な記憶として残っています。残念ながらその状況はいまもあまり変わっていないようです。世界の大都市でもロンドンやパリやニューヨークは地下鉄が発達していて移動が便利です。アジアの香港やシンガポールやソウルでも日本をモデルにした地下鉄網が整備され、渋滞の緩和に貢献しています。しかし、鉄道が発達する前にモータリゼーションが進んでしまった多くの新興国の巨大都市では交通渋滞は極めて深刻で、渋滞による時間とエネルギーの無駄が年間数千億円規模の経済的損失をもたらし、環境悪化の原因ともなっています。
 外国に来てあらためて実感するのは、日本は「安全」、「便利」、「清潔」でとても快適な生活ができる国だということです。交通の分野にはその特長が見事に発揮されており、年間3億人を運ぶ新幹線や1日1600万人が利用する地下鉄の充実ぶりは世界でも例を見ないといっていいでしょう。「パラダイス鎖国」という言葉があるように、日本はあまりにも居心地が良すぎるためわざわざ海外に出ようとする人が少ないのかもしれません。しかし海外を経験することで日本の良さを再認識することができます。経済の長期停滞でこのところ自信を失いかけている日本ですが、世界に誇れるものはまだまだたくさんあります。