2019.4.26

吉野町における森林資源を活用した地域活性化のための調査および上下流連携による情報発信

活動テーマ:吉野町における森林資源を活用した地域活性化のための調査および上下流連携による情報発信
産学連携先:奈良県吉野町


 2018年6月、主に林業をテーマとしたキャリアゼミの活動として、初めて吉野町を訪れた。最初に、吉野町の山守の方からお話を伺った。吉野町の観光名所としての魅力、吉野杉の端材を活用した割りばしや和紙、日本遺産としてのまちづくりなどの内容を、短い時間ながら講演してくださった。山守は山林をただ管理するだけでなく、雨や雪による影響があれば設備もしているのだと知った。午後からは、まず森林セラピーを体験し、吉野町の森林の中をインストラクターの方の指導のもと練り歩いた。気温が上がり、日向にいると汗がにじんできたが、森林の中に入ると、日光が木々によって遮られ、かなり涼しく感じられた。体験中、山の手入れがされていないところもちらほら見受けられ、山守の高齢化による山の現状を実際に見て知ることができた。森林セラピー終了後は上市地区へ移動し、上市周辺のまちあるき、よしよしよしのinよしのに参加した。上市の町並みを楽しみながら、スタンプラリーとチェックポイントを周った。
 次に吉野を訪ねたのは10月。その際は、国栖の伝統工芸である和紙をテーマとしたFWの活動として訪れた。まず、植和紙工房の和紙職人さんから和紙作りの歴史や現状、使用目的、特徴、問題点などのお話を伺った。和紙作りの工房は減少しており、後継ぎ問題等により現実的に起こっていることを感じた。
 そして、年度最後のFWとして、2019年2月に鬼フェスin吉野山に参加した。アンケートを実施する予定だったが、事情により中止になってしまったのが残念だった。その代わりに、鬼バルをより楽しむことができた。地域の人との交流の機会も持てた。近鉄吉野駅から中町エリア内にある勝手神社の手前まで徒歩で上り歩き、吉野の伝統的な食べ物を購入、堪能できた。

学生活動状況①

 キャリアゼミ活動は新しい体験の連続でした。吉野町でのフィールドワークはもちろん、ゼミでのグループワーク等を通して様々な経験を積むことができました。フィールドワークでは、現地の方々と関わることで、農山村地域や林業の問題について実感を持って学ぶことができました。他にも、今まであまり経験したことがないことを経験できたと思います。また、フィールドワークにおいては、当日行って調査するだけではなく、事前に予備知識をつけるためゼミ内で報告会やグループワークを行ったので、グループ協力して学ぶプロセスを身に付けることができました。
 キャリアゼミ活動での経験は今後にも大きく活かされると思います。例えば、今年度はグループごとにテーマを設定して研究活動を行っていますが、そうしたグループ研究においてはキャリアゼミで身に付けたフィールドワークの力が活かされています。今後もキャリアゼミ活動で学んだことを活かして、学内外の活動に取り組んでいきたいと思います。

経済学部 2年生 中村 大翔

学生活動状況②

 まちづくりは、その地域の住民や団体が主体となって行っている。まちづくりにおいての問題点は多々挙げられるが、一番大きいのは、高齢化による後継ぎや人口減少だと感じられた。もっと吉野町に都会から人を呼び込むためにはどのような宣伝すべきなのか考えるきっかけになった。FWの活動では、グループワークを行うことが多くあり、自らの意見を押し通すのではなく、グループメンバーの良い意見をいかにまとめるかが重要だと学び、多少、感受性が豊かになったように感じる。発信するだけでなく、相手の意見をよく聞く、いわゆる聞き上手になることが大切だ。自分の足で歩き、目で見て、耳で聞いて、手で触る。このような体験ができることにもっと感謝すべきであるし、もっとそれを使ってたくさんのことを体験してみたいと思った。3回生では自分で研究テーマを設定し、自ら研究を行っていくことになると思う。今年度学んだことを今一度思い出し、来年度につなげていきたい。

経済学部 2年生 小谷 奈都美

参加学生一覧

小林 律翔、濱砂 魁人、福井 覚士、藤井 祐希、森 将真、多田 裕樹、中村 大翔、堀川 潤也、和田 優花、柳平 葵、小谷 奈都美、岡本 拓巳、中島 拓輝、有村 拓海、坂田 稜介、田中 聡、出水 俊輝、長尾 亮平、福嶌 健太、福留 大智

ゼミ集合写真

連携団体担当者からのコメント

奈良県吉野町
八釣 直己氏、紙西 圭祐氏

 今年度は櫻井准教授、千葉准教授のゼミ生に奈良県吉野町をフィールドに活動を行っていただきました。6月には地元林業(山守)を営む中井氏より吉野林業の歴史などレクチャーを受けた後、その資源を活かした観光コンテンツである「森林セラピー」を体験していただきました。先生方のゼミ生の方々には、以前より、本町の森林資源を活用して地域経済の活性化につなげる「木の駅プロジェクト」に参加していただいたり、吉野の木材を使った割箸製作のワークショップを開催していただいたりなど、木材関連産業と経済・環境というテーマで継続した活動を展開頂いています。 学生さんのコメントの中に、「吉野のために自分も関わっていきたい」という言葉があり、まさに吉野町が目指す「関係人口」の基礎となるものであると思い、嬉しく感じました。都市部に住む若年層の方々が継続活動をできる仕組みや、今後への発展を検討していきたいと思います。

教員コメント

経済学部 千葉 知世准教授

 吉野町でのフィールドワーク活動開始から早3年となりました。これまでの活動は、吉野町で実施されている地域活性化事業を学生が体験するという「体験型」が主でしたが、今年度は、阪南大学の学園祭で吉野町の森林資源を使った割箸づくりをお客さんに体験していただくワークショップを開催したり、フィールドワークの成果を発信するパネルを作成して展示するなど、より主体的な活動へと展開することができました。
 また、国栖地方で現役の和紙職人の方々から、和紙工芸の後継者問題等についてお話を聞けたことで、「地域の伝統文化の衰退」という社会問題をリアルに感じることができたようです。さらに、手取り足取り和紙の作り方を教えていただいたことで、都市部での大量消費・大量廃棄生活では触れることのできない「モノが作られるプロセス」を体験しました。経済学部生として、モノの価値を考える良いきっかけになったと思います。
 一方、今後の課題もいくつかあります。その大きなもののひとつは、活動の意義に対する学生の理解です。どうしても個々の活動をこなすことが目的化してしまい、吉野町の置かれている状況は活動の背景にある事情を捉え、自身が何をすべきかを考えるという、探求性が欠けています。来年度は、社会的背景をマクロ的に捉え、フィールドワークによって自分の目でミクロな課題を発見するという段階にステップアップしていって欲しいです。