2014.12.8

「平和と宗教」:フォトジャーナリスト・宇田有三先生にゲスト講義をしていただきました。

「平和と宗教」:フォトジャーナリスト・宇田有三先生にゲスト講義をしていただきました。

 11月26日、「平和と宗教」のゲスト講師として、フォトジャーナリストの宇田有三先生に来ていただきました。宇田先生は、アメリカで写真を学ばれたあと中南米で取材をされ、アジアで長期に渡って軍事政権が続くビルマで20年以上取材を続けて、数多くの写真を撮ってこられました。
 まず、宇田先生がなぜフォトジャーナリストの道に進まれたのかというお話から始まりました。「皆さんは、感動して身体がふるえるほどの経験をしたことはありますか? 私はそういうふるえるほど感動した経験があるから、取材を続けてこられたんだと思います」。「身体がふるえるほど」の感動をもつという感受性は、社会で起きている現象に関心をもつきっかけとして大事な点といえるでしょう。

 また、ジャーナリストとしての視点から、メディアが発信する情報や「常識」とされていることについて、立ち止まって吟味する必要性を教えていただきました。私たちが当然と思っていることが、実は無意識に刷り込まれた考え方であることを、絵を描くなどの実験を通して学びました。こうした点を自覚して情報を得ることは、ビルマのようにあまり情報が多くない国を理解するうえで大事な点です。
 「ビルマ」か「ミャンマー」か、という英語呼称の違いがもつ政治的な意味合いや、ビルマの最北部はチベットに近い高山地帯で沖縄よりも緯度が高いことなど、ふだん見聞きする情報やイメージが実態に即していないことを、スライドで教えていただきました。またビルマは「仏教国」といわれますが、日本の仏教とは大きく異なりますし、多民族国家のためキリスト教やイスラームを信ずる人々も少数ながら存在しています。
 宇田先生はビルマの各地で様々な人々の写真を撮ってこられましたが、軍事政権の監視下での取材は、しばしば生命の危険をともないます。日本人ジャーナリストが2007年、民主化デモを取材中に射殺されてもいます。宇田先生は常に軍情報部の監視と尾行を警戒しつつ、同時に取材相手であるビルマ人の身の安全に配慮しながら、取材を続けてこられたそうです。
 その軍事政権時代と「民政移管」後で、何が変わったのか。ビルマの軍部は、選挙を実施して「民政移管」したと公言し、外国人を国内に入れても政権を維持できるという自信があるのではないか、と宇田先生は話されました。2010年に総選挙が行われて現政権に変わったけれども、その選挙の方法や議会に占める軍人の高比率といった問題などがあるからです。こうしたビルマの選挙がはらむ問題について知ることは、近く行われる日本の総選挙とその問題についても、あらためて考え直すきっかけにもなるでしょう。
 最後に、ビルマの上座仏教で生きることは「苦」であると教えているがそれはなぜだろうか、という課題を出していただきました。普段の授業と違う課題でしたが、みな真剣に大きな問題について考えていました。