2021.11.9

【2020年度】ソフト開発企業及びゲーム分析会社と連携した、サッカー戦術の質的把握のための分析ソフト活用

活動テーマ:ソフト開発企業及びゲーム分析会社と連携した、サッカー戦術の質的把握のための分析ソフト活用
連携先:株式会社ダートフィッシュ・ジャパン


 表記活動に関して、ゲーム分析ソフトウェアを取り扱う「ダートフィッシュ・ジャパン」の取締役・営業本部長の藤井透氏の協力を得て、4年生を中心に、3年生ゼミを巻き込んで、キャリアゼミとして取り組んできた。活動内容としては、以下を中心に活動した。今年度は新型コロナ禍で関西学生サッカーリーグの前期が中止となり、後期のみの開催となったため、前期はエクセル表のまとめ方やオンラインでの映像分析の学習にとどめ、実際には後期からの活動となった。
阪南大学サッカー部の公式戦のゲーム分析とミーティング資料作成
  1. 映像分析:
    ①撮影&映像のキャプチャ(試合当日)、②1試合を6分割し、それぞれ割り当てられた学生が映像編集(タグ付け)=ゲーム分析ソフトダートフィッシュを活用し、タグ付け(試合当日~翌日)③6分割した分析を前半・後半でまとめ、プレー能力の評価・達成度・問題修正点の抽出(火曜日のゼミ)
  2. 数量データ分析:
    ①ゼミ生と試合出場メンバーとでデータ整理(チャンス‐ピンチのグレーディング、選択したプレーの技術・戦術的内容のチェックと評価、ゲームの流れの把握)、②今年度は縦パスのデータ分析(点数化)、③表・グラフの作成
  3. 映像分析と数量データ分析を検討し、試合の達成度評価、問題点と課題の抽出を行う。
    主に火曜日の午前中までにゼミ生中心に試合出場メンバーとともにディスカッション、Aチームメンバーで共有するデータ・映像の抽出

学生活動状況報告

 前期は当初緊急事態宣言下でダートフィッシュ搭載のPCを置いている施設の利用が不可能だったので、ゲーム分析の視点や方法などを学習するしかなかったのですが、いろいろ整理出来た点は良かったです。6月からダートフィッシュソフトの活用に慣れるためワールドカップやヨーロッパリーグなどトップクラスのゲーム分析をし、分析項目の確認や追加を行いました。
 サッカー部の公式戦は10月からでしたが、試合までの準備期間が短く、急ピッチでトレーニングに取り組みました。9月に入ってゼミ準備に間があると思っていましたが、ゲーム分析して反省して次のゲームに臨む、そのための分析作業と思っていても、大変でした。
 試合もスタンド付きの競技場が少なく、カメラと逆サイドでのプレーの把握が難しく、分析作業に手間取りました。1試合(90分)を6分割して担当を割り当てていったので、一人15分程度で楽なはずなのに、1試合ドッキングさせて(前後半に分けるが)、通して観て課題の抽出作業がギリギリのことが多く、ミーティング(オンライン)への資料も間に合わないこともありました。
 そのため、オフ明けの練習開始日前に課題を確認してトレーニングに取り組みという理想にはなかなか結び付きませんでした。
 それでも週の半ばまでにはAチームメンバーに抽出した課題、その画像等をラインして確認しあえました。自分達で十分に出来ないところは須佐先生にご指導頂きながら取り組み何とか形になったと思います。
 コロナ禍ということで十分な成果が出せたかは少し不安もありますが、ゼミ生で協力して取り組めたことは非常に勉強となりました。
流通学部 亀安 晃太

参加学生一覧

宇佐見 大雅、大野 泰成、大野 郁哉、垣花 一斗、片岡 永典、亀安 晃太、川本 雅也、迎田 健太、小林 拓真、神門 優呂、坂本 大地、澤田 祐輝、白石 健 田中 彰馬 稗田 圭吾、真瀬 拓海、山口 拓真、本石 捺

連携団体担当者からのコメント

株式会社ダートフィッシュ・ジャパン
藤井 透 様

 実際に学生たちと接触したのは、2020年度のリーグ戦に突入し、すでに分析作業に入ってしまったけれども、以下の点を再確認していきました。
  1. リアルタイムゲーム分析をより効率化
    ショートカットキーの作成してリアルタイム分析の実現、ビデオカメラからの映像をパソコンまでストリーミングする経路を確立することを再確認しました。
  2. 最新ゲーム分析パネル項目の作成方法
    ゲームコンセプトを明確にする分析項目の検討を調整し、収集されたデータから、ゲーム内容の評価、映像ファイルのデータベース化がされ、ある程度フィードバックができるようになったように思われます。
  3. データの個数、統計情報
    収録データから、マトリックス表示、統計データ表示が出力を利用した応用するように教授しました。
    ゲーム分析により取得した、ゲーム内容を、CSV形式のデータを書き出し、他の分析官と共有する方法を容易にできるように取り組みました。例えば、分析者Aが分析した内容を分析者Bがデータを新たに追加することができるようになりました。
【その他の講習内容】
  • 3Dドローイング機能の紹介
    キャリブレーションにより、より正しい数値をだせるように取り組みました。
    ビデオカメラで撮影した映像内のサッカーフィールドに、規定したキャリブレーションを加え、距離間や移動スピードなどのデータを簡単に表示させることができます。
    口頭での説明に加えて、これらの分析映像を共有することで、より分かりやすいコーチングが実現できるように使用方法が確立できたように思いました。
  • VAR、ベンチリクエスト機能の紹介
    FIFAで正式採用されているVAR(ビデオアシスタントレフェリー)や海外の強豪国、日本代表も利用しているサッカー場のスタントとベンチのように離れた場所へ、映像とデータを送受信する技術の紹介しました。
    今後、高速化かつ、一般化されている高速通信技術を利用した映像フィードバック環境について、必要性と可能性について議論を深めていきました。

教員のコメント

流通学部 須佐 徹太郞 教授

【分析内容の現場への落とし込み作業】
今年度のキャリアゼミの狙いは昨年度に引き続き、リーグ戦の分析と現場への落とし込み作業とAチームメンバーでの共有にあった。具体的には①全攻守のシーンを取り出し、その中での突破・被突破の回数・時間分布とその型の分析(チャンス‐ピンチのシーンを学生の作業がグレードをつけてゲームの流れを追いながらの分析)、②突破できないボールプログレスの問題点の分析、③守備の問題点の分析であったが、今年度は分析項目(ダートフィッシュ分析ソフトではタギングパネル内のイベントボタン / キーワードボタンという)の入力作業のやり直しが多かったが、タグ付け作業自体は、今年度の4年生は昨年度の経験もあって、随分スムーズになった。【現場】への落とし込みという点では未熟な面はのぞかせたが、学生の戦術的分析眼はかなり向上したように思う。ただし、映像整理、数量データ整理に時間をとられ、十分なディスカッション時間をとれず、また縦パス分析は思った以上に大変で、ゲーム評価に間に合わないなど課題は残した。

【学生の成長】
必ずしも「地域社会の課題」に取り組んだわけではないけれども、産学連携の一環として分析ソフトの専門家や本学教育情報課の指導を受けられたことにより、学生の分析の幅を広げられたと思う。また後期限定だが、シーズンを通してデータ収集、分析、課題の抽出・提示に取り組み、【現場】の改善に向き合い、次の試合までのトレーニング、試合準備に役立ったと思われる。つまり【前の試合】⇒【分析】‐【総括】⇒【トレーニング改善】⇒【もっといい試合】という、いい図式を実感できたという点で学生の成長がみられたことである。
今年度はコロナ禍での緊急事態宣言などで活動制限が多く、満足な状態での後期リーグ参戦とはならなかったけれども、上記のような一連のサイクルでプレー内容の改善に努めた結果、リーグでは準優勝、今年度唯一の全国大会である「#atarimaeni CUP」出場を果たしたこと、および11月以降には一定水準以上のプレー内容の向上をみせ、全国大会では1回戦敗退したものの、プレー内容の成熟度を示してくれた。

【残した課題】
【現場】への落とし込みという点では未熟な面をみせたことは上述したとおりである。また次年度以降の課題にしたいと思う。
さらに、連携団体の藤井徹氏より、選手の距離間や移動スピード等のデータを分析できる3Dドローイング機能を教授していただいたが、分析にかける時間的余裕がなく、知識として理解するにとどまった。また、競技場のスタンドからの映像・データをベンチへ送受信するベンチリクエスト機能も教授していただいたが、利用したとしたときは学生を介してではなく、コーチである分析スタッフとのやり取りにとどまった。