2015.8.21

実学シリーズ2015 流通学部 大村邦年研究室のキャリアゼミ活動 ルクア全館での企業見学会を実施

実学シリーズ2015 流通学部 大村邦年研究室のキャリアゼミ活動 ルクア全館での企業見学会を実施

キャリアゼミとしてファッションビジネスに挑む、流通学部大村邦年(おおむらくにとし)研究室。今回は、国内最大級の駅型商業施設であるルクア大阪でのインサイト・フィールド・リサーチを行いました。

大村ゼミの2年生全員と平山&西口連携ゼミ生の希望者が参加

2015年7月29日(水)、流通学部の大村研究室がJR大阪駅に隣接するルクア大阪でインサイト・フィールド・リサーチを実施しました。今回も遅刻者はなく、2年生が全員参加。また、連携ゼミの平山ゼミと西口ゼミからの希望者もリサーチに加わりました。
ルクア大阪は、2011年5月にオープンした「ルクア(東館)」と、2015年4月に三越伊勢丹から生まれ変わってオープンした「ルクアイーレ(西館)」の両館からなる人気の商業施設です。駅型としては国内最大級の規模を持つ最新の商業施設についてリサーチできるとあり、集まった学生の表情は熱意に満ちていました。

スタッフの働きやすさに配慮した数々の工夫を見学

まずは、ルクアイーレの開発・運営に携わったJR西日本SC開発株式会社・営業本部営業統括グループリーダー・ルクアイーレ 舟本恵フロア統括にご案内いただき、館内施設を見学しました。

最初に訪れたのは、休憩に利用されるスタッフルームです。スタッフ専用のファミリーマートが設置されており、お客様の目を気にせず、好きなものを買ってゆったりと休憩できる環境が整っていました。また各階の従業員用エレベータ前にある掲示板には、各フロア担当からの伝言が掲示されており、スタッフへ確実に情報が行き渡るように工夫されています。さらに事務的な業務を行うオフィススペースは、在庫商品などで雑然としがちですが、すっきりと整頓されています。買い物客からは見えない部分ですが、売り場を担うスタッフにとって働きやすい職場づくりに力が入れられていることがわかりました。

両替機や搬入口では、スケールの大きさを体感

ルクアイーレは、6階すべてがファストファッションのフロアになっているのが大きな特色です。単価が低いために数多くの商品を売る必要があるため、バックヤードには非難動線を阻害しないレベルで「フォーエバー21」の衣服が大量に積まれています。学生たちは、その量の多さに驚いているようでした。また、現金を扱うスペースにも特別に入らせていただきました。両替機・入金機・ブランド別の金庫がずらりと並ぶ様子はSF映画のようです。最後に訪れた地下の搬入フロアは、トラック78台分のスペースが確保された広大な場所。それでも午前中は休みなく各社からのトラックでいっぱいで、この広さがなければ搬入が間に合わないそうです。ルクアが、日本最大級で世界でも指折りの規模であることを、こうしたバックヤードでも理解することができました。

ルクアイーレ開発戦略のレクチャーを受講

見学を終えた一同は、会議室へ。舟本フロア統括によってルクアイーレが開発についての講義が行われました。30〜40代の百貨店離れと専門店志向を意識し、百貨店とSCを融合させることでターゲットを最大化し、グランフロント大阪とは趣向性で棲み分けることで、大阪駅北エリア全体を盛り立てていくという戦略です。講義には開発の企画書の抜粋も配られましたが、メインターゲット4種ごとの年収・職業・ライフスタイルなど、テナント企業募集を想定した詳細な設定を、学生たちも興味深く読み込んでいました。

大人ブランド×ファストファッションの目的とは

講義が終わると、学生からの質問に応える質疑応答の時間になりました。最初の質問は、「6階だけ雰囲気が違うのはなぜですか?」。これは6階だけがファストブランドになっている理由を尋ねた質問です。舟本フロア統括は「ルクアは西館と東館ともに5階までがエントランスフロアとなっていて外から入りやすいですが、6階以上は館内からしか上がれません。上層階にどんなコンテンツを入れるかが集客の鍵になるのですが、伊勢丹時代には上層階には旅行代理店や骨董品フロアなどしかなく、賑わいを創り出せませんでした。そこで6階に低価格のファストファッションを、9階に蔦屋書店を設置しました」と買い回り効果をねらったことを教えてくださいました。
さらに、「ファストファッションと高級ブランドのコーディネートを楽しんでいただきつつも、“やはり高級ブランドは違う”“高価なものはデザインや素材が素晴らしい”という風に、ファッションの本質を理解いただけたらという思いもあります」と、顧客の成長を促す目的もあると答えてくださいました。

キタのマーケットを理解することの大切さ

学生からの質問は他にも「ミナミの客をどうキタに引っ張ってきますか?」「B系(ブラック系ストリートカジュアル)のファッションが無いのはどうしてですか?」「エストネーションは関西初上陸だったそうですが、売れるかわからないのにどのように出店を決めたのですか?」などがありました。
舟本フロア統括はいずれの質問も「するどい視点ですね」と評価してくださった上で、ルクアは梅田近辺の周囲の施設と協力して相乗効果を生み出し、梅田エリア全体を盛り上げていることを説明してくださいました。そのためミナミとは棲み分けており、ミナミの顧客を引っ張る意図はないこと、ミナミの方がB系のマーケットが大きいためB系はミナミに譲ったことを解説。キタで大きなマーケットとなっているのはモード系やセレクトカジュアルなどのファッションテイストであり、ルクアイーレもこの特色に基づいたビジネスを展開していると答えてくださいました。
また、関西に初出店する際のニーズの測定には、インターネットショップでの購買状況を分析したり、ツイッターなどの反応を地道に追いかけるなどして情報を集めていることも教えてくださいました。

自分の目で多彩なファッションを分析できる人に

舟本フロア統括は、大村教授がファッション業界の第一線で活躍していた時代のビジネスパートナーでもあり、仕事の大先輩である大村教授のゼミ生へのレクチャーを快く引き受けてくださったそうです。「どの学生さんも、私の解説を聞く表情が真剣そのもので、誠実さを感じました」と語り、「ファッション業界で働きたいなら華やかな表の部分だけで無く、地味な裏の部分もトータルで理解することが大切です。そして自分の好みでないテイストを扱っている商業施設も自分の目で確かめてほしいですね。現地で現物を見ることは大きな武器になりますよ」と学生たちに今後のヒントとエールをくださいました。そして「自分で考え創造したものへのお客様の反応をダイレクトに見ることができる、とてもやりがいのある仕事です」とデベロッパーという仕事の面白さもアピールされました。

自らのアルバイトの現場経験に照らし、ルクアイーレを観察

百貨店のセレクトショップでアルバイトをしている立山杏奈さん(大村ゼミ・2年生)は「スタッフのために専用のコンビニまであることに驚きました。またファストファッションとハイブランドが共存している点も新鮮でした」と、ミナミのファストファッションの路面店でアルバイトをしている片岸千乃さん(大村ゼミ・2年生)は「フォーエバー21のバックヤードでの在庫量と整然としたストックのされ方がアルバイト先とは違いました。
またアルバイト先もフロアごとにターゲットを決めていますが、年齢や性別で分けているだけなので、企画書のような詳細なキャラクター設定が印象に残りました」と、郊外型ショッピングモールでアルバイトしている大部宙君(大村ゼミ・2年生)は「大型という点では共通していますが、搬入の仕方やオフィススペースの取り方などビジネスのしくみが全く異なることがわかりました」と、JR大阪駅構内でのアルバイト経験がある高井亮介君(大村ゼミ・2年生)は「全ての規模が大きいことは知っているつもりでしたが、大量のトラックを受け入れ可能な搬入エリアの規模には驚きました」と、各自のアルバイトでの現場経験と比較しながら感想を述べてくれました。現場を大切にする大村ゼミの学びの姿勢は、2年次の時点から既にしっかりと養われているようでした。

考え抜かれた戦略なくして、成功は生まれない

大村教授は「ルクアイーレは、ルクアの成功事例をそのまま持って来たのではなく、全く異なるアプローチで作られた商業施設だということをゼミ生たちもわかってくれたと思います。消費者目線のみで見れば、梅田にある最新の人気スポットということになるのでしょうが、この成功は偶然ではなく、成功するために考え抜いているということに気づいてほしいです。そして複雑な分析結果をわかりやすく伝えてこそ人を説得できるので、企画・分析力に加えて、プレゼンテーション力も身につけてもらえたら」と、2年生への希望を語りました。物流・MD・デベロッパーとファッション業界にあらゆる角度から切り込む大村ゼミの挑戦は、今後も続きそうです。