ハルカスアカデミー「中国古代長城沿線の辺境都市と日本古代の都城-都城プランと都城思想から見た東アジアにおける文化交流の一側面-」を開催しました

あべのハルカスキャンパスでは、各学部を代表する教員による本学が得意とする分野の知の財産を惜しみなく提供する公開講座『ハルカスアカデミー』を定期的に開催しております。

このたび3月10日(土)午後2時より、あべのハルカスキャンパスにおきまして
国際コミュニケーション学部の 陳 力 教授を講師としたハルカスアカデミー「中国古代長城沿線の辺境都市と日本古代の都城-都城プランと都城思想から見た東アジアにおける文化交流の一側面-」を開催いたしました。
一般的に日本古代の藤原京や平城京のような都城プランの源は、中国の魏晋隋唐時期の都城構造であると言われていますが、さらにそれを掘り下げて東アジアの古代都城プランの由来と移り変わりから東アジアの文化交流の特質について語っていただきました。
 
講座では、まず古代の東洋の理想都市という考え方について説明があり、東洋の理想都市の基本的な発想はCosmology(宇宙論)から来ており、人間と自然の調和という観点で考えられ、古代東洋の都市史上もっとも「理想都市」に近いのが奈良の藤原京であることなど中国の史料などを引き合いに話がなされました。
そして、古代の都城のプランとして、城郭の形や宮殿、市場の位置の設定など東洋的な理想都城の造り方について言及し、日本の藤原京、平城京と日本の古代都城プランの変遷をめぐる様々な学説を紹介し、それについての見解を述べられました。
そして最後に、日本の平城京のプランとされる中国の唐の都城も、遡れば漢民族の主流的な文化と異民族の辺境都市文化との交流と衝突から誕生したものであるという陳教授の見解を結論として講座が終了となりました。
 
受講者からも、「貴重で鋭い知見に満ちた講座だった。」、「文献上の理想都市が唯一実現されたのが藤原京であるという指摘は驚いた。」「今回学んだことを踏まえて実際に現地を歩いてみたい。」など、たくさんの感想が寄せられました。

あべのハルカスキャンパスでは、今後も時事問題や現代社会に生かせる教養をテーマに定期的に公開講座を開催してまいります。
(撮影:阪南大学文化会写真部)