松原ブランド研究会目的・目標

 当研究会は、松原市および南河内における地域ブランドの創設・育成・発展に資するため、現在の地域名産品が直面している課題について、産官学に加え、広く一般の市民の皆様にも参加を呼び掛けることで、そうした課題解決へと向けた施策を練り上げるとともに、ビジネスとして成立するビジネスモデルを構築することになります。また、地元の生産物を生かした地産地消の観点から新たなブランドを創造することで、この地域の街起こしの起爆剤ともなるような人が集い語らう場としてのビジネスの立場からの場のブランド価値の創造もおこなっていくことになります。こうした過程でさまざまな意見を収集し相互に交流するとともに、地域ブランド創設へ向けた実態調査や研究、報告をおこないながら、具体的には松原ブランドという地域ブランドを立ち上げることで地域の活性化に貢献することが第一義的な目標であり、 続く段階としては松原市の名前および南河内の地域を全国区にすることを最終的な到達目標としています。

 2月24日(金)に第8回松原ブランド研究会が開催されました。今回は第1部として本研究会会員である水野清美氏から「福祉のルネッサンス」と題した基調報告をいただきました。かつて松原市は、老人福祉制度が全国的にはほとんど確立していなかった昭和50年代に、全国に先駆けて独自の老人介護のシステムである「松原方式」を誕生させ、「福祉の街、松原市」として全国の注目を集めていました。今回の報告会では、こうした福祉制度を生み出してきた経緯やその後の変遷、そして現在の課題についてお話を伺いました。

 報告会ではまず、松原市の老人福祉に永年携わってこられた社会福祉法人聖徳会の水野清美氏から松原市における老人福祉制度の歴史的変遷についての概要が報告されました。それを受けて、松原市福祉部部長の山下修氏が行政の立場から、さらに聖徳会理事長の岩田俊郎氏が施設の面から補足的な報告をされました。

 昭和50年、大阪府下で最後の開設となった松原保健所は、当時注目されつつあった寝たきり老人の介護に保健所として関わる方向を打ち出しました。当時は寝たきり老人に対する援助は在宅での日常生活の介助が中心であって、介護を行うことには限界がありました。そこで松原市では保健所、福祉事務所、社会福祉協議会ヘルパーの三者会議を開催、さらに昭和55年に老人福祉施設である大阪新生苑・松原デイケアセンターを加えた四者会議を確立し、ここに保健・医療・福祉の連携である「松原方式」が生まれました。これによって在宅の寝たきり老人もデイケアやショートステイによる介護が可能となり、当時の松原市は日本の老人福祉の情報発信基地として全国的に注目され、全国各地からひっきりなしに視察に訪れ、マスコミにも度々取り上げられました。その後この「松原方式」は全国的に拡大していくことになりました。

 平成12年、「21世紀に向けた安心できる介護システムの構築」として社会保険制度として介護保険が導入されました。介護保険制度の開始により、一般企業も介護福祉分野に参入するようになり、老人介護が利益の対象となる側面が広がっています。その結果、人間性が失われ、介護が報酬で換算され、さらに個人情報保護のもとで相手が見えにくくなるなど、高齢者福祉は大きく変化しています。報告を受けた討論では、急テンポで高齢化社会が進展している昨今、老後も安心して暮らせる松原市の福祉ブランドを回復していくための協力体制を発展させる必要性が確認されました。

 第2部では、各部会からの活動報告が行われ、各分野の取り組みの進捗状況について議論しました。そして、各部会の活動成果と今後の方向性を次回研究会までに明確にしていくことを確認しました。