国際観光学部学生広報誌「ラ・れっとる 第13号」 世界をかけめぐる卒業生の酒井さん

エアラインで活躍する卒業生の酒井さん

4年間の学生生活を終え、客室乗務員として働き始めたのがおよそ10年前。卒業生の酒井博誠(さかい ひろのぶ)さんは、香港を拠点とする外資系エアラインのキャセイパシフィック航空でフライトパーサーとして活躍しています。まさしく私たち国際観光学部の誇れるOBです。阪南大学在学中の学生生活や、就職活動、卒業してから現在に至るまでの体験をお話して下さいました。その方面での就職を考えているみなさんにお届けします。(大場紗耶佳)

※この活動は、阪南大学給付奨学金制度によって運営しています。

旅行会社か、航空会社か

 外資系の航空会社に勤める酒井さんですが、阪南大学に入学した当初は、旅行会社への就職を希望されていたそうです。どのような転機があったのでしょうか。

大場:エアラインをめざそうと思ったきっかけは?
酒井:在学中、2回生の時にメルボルンへ3週間の語学研修、次に2回生の終わりからオーストラリアのアデレードへ1年間、2度の留学を経験しました。
大場:短期留学に続く長期留学ですね。
酒井:留学生活で考え方が変わりましたね。それを機に「旅行も好きだが、将来は英語を使う仕事がしたい」と考えるようになったんです。
大場:留学の経験は大事ですね。
酒井:ちょうどそのころに、ひとつ上の先輩が航空会社の内定をとられまして、思い起こせば、その刺激がエアラインをめざす決め手になったのかもしれませんね。
大場:それから航空会社への就職をめざして努力されたのですか?
酒井:はい。エアリッジにも通いました。
大場:エアリッジと言えば、航空関係の仕事に就くための専門学校ですね。
酒井:そこでエアラインをめざして頑張りましたが、当時は今のように航空会社の募集は多くなかったんです。旅行会社の3社が声をかけて下さっていましたので、正直に言いまして「もう航空会社は諦めようか」とも考えました。
大場:羨ましい話です。
酒井:その後、夏の終わりか、秋でしたか、キャセイパシフィック航空の募集が出ましたので、挑戦することにしました。ともに航空業界をめざす仲間の「いっしょに受けよう」という一言がなければ、あのまま旅行会社に就職していたかもしれません。
大場:同じ目標に向かって頑張る仲間がいると、心の支えになりますね。
酒井:難関をめざす私にとって、モチベーションを保ちあえる仲間がいることは、とても大事なことでした。仲間のおかげで、今も充実した毎日を送れています。
大場:モチベーションを維持するのは難しいのですね。
酒井:就職活動が始まり、同期の学生が次々に内定をとり始めると、不安や焦りから迷いも出てくるでしょう。ですが、やりたいと思える仕事のある人は、簡単に諦めず、周囲の変化に流されず、とことん初志を追ってほしいですね。

今も思い出す青空と白雲

大場:私も夢への思いが崩れそうになるときがあります。酒井さんの言葉を忘れず、就職活動に取り組みます。ところで、酒井さんは卒業して、すぐに海外へ行かれたのですか?
酒井:はい。卒業後すぐに香港に移住したのですが、引っ越ししてわずか2日目で6週間の訓練が始まりました。4週間のセーフティー訓練と2週間のサービス訓練です。
大場:香港にそれまで行かれたことは?
酒井:そのときが初めてでした。日本にいる間は実家暮らしだったので、生活に慣れるまでが大変でした。振り返ると、このころが一番大変だったなあと思います。
大場:香港では一人暮らしをなさっていたのですか?
酒井:いえ、キャセイパシフィック航空では、就職してから2年間は同期とともに生活することになっています。同室のものが日本人でしたので、いくぶん気は楽でした。
大場:楽しい毎日が送れたのでしょうか。私には羨ましいです。訓練が終わって、常務しはじめた時のことは覚えていらっしゃいますか?
酒井:もちろんです。訓練を終えたあとの「見学フライト」で、ほっと一息ついた際、目に映ったきれいな青空と雲は、今でも鮮明に覚えています。
大場:澄みきった青空と真っ白い雲の絨毯が想像できますね。いいですね。
酒井:空の上で働いているという実感が湧いて、とても嬉しくなりましたね。

感謝されることが一番のやりがい

大場:浮いているのは、少し怖くもありますが…
酒井:その通り。はじめは機体の揺れに不安を感じたこともたびたびありました。今では多少揺れても、気にせずに歩いていますが(笑)。
大場:仕事をしていてやりがいを感じるのはどのような時ですか?
酒井:お客様から感謝の言葉をいただけた時です。みなさんがよく口にすることですが、本当にその通りなんです。「満足してもらえるサービスを提供できた」と思うと、とても嬉しくなりますね。
大場:それでは最後に、将来の抱負をお聞かせください。
酒井:定年まで航空会社で働いていたいですね。休日を使って世界中を観光できることはもちろん、10年のキャリアを積んだ今も、フライトごとに新鮮な思いがします。キャセイパシフィック航空では、勤務13年目からファーストクラスでの乗務ができるので、今はそれが楽しみです。
大場:本当に心躍るお話でした。

インタビュー後記

 インタビューの当日は、ロンドン・ニューヨーク・チューリッヒへのフライトを終えて日本に帰ってきたという酒井さん。その貴重な時間を割いて下さいました。航空会社に勤めるOBに話を伺うことができ、客室乗務員になりたいという夢を持つ私にとって、とても刺激を受ける時間となりました。世界中を飛びまわる酒井さんが一番お勧めしたいという国は、ドイツです。ビール好きにとっては、たまらない国だと言います。また、かわいい街並みも魅力的ですよね。旅行好きの皆さまは、冬休みにキャセイパシフィック航空でドイツのクリスマスマーケットを訪れてみてはいかがでしょうか?これは私からのお勧めです。酒井さん、貴重なお話をありがとうございました。