国際観光学部学生広報誌「ラ・れっとる 第8号」カナダ・ホテルインターンシップ体験報告Ⅰ

ホテルインターンシップとは

 阪南大学では「協定留学制度」「交換留学制度」「認定留学制度」「学生海外語学研修助成制度」などの諸制度で留学を希望する学生たちをサポートしています。そのうち「協定留学制度」にもとづき、2014年度から新たに開始されたプログラムが「カナダ長期ホテルインターンシップ」です。カナダ中部のウィニペグ大学に4ヵ月間留学をしたのち、1800kmあまり離れた西海岸のバンクーバー市のホテルで4ヶ月間のインターンシップを体験して英会話を磨く実践的なプログラムです。その第1期生である市原佳乃さんと小田実春さんにお話をうかがい、2人の留学生活や心境の変化について取材しました。今回はまず市原さんの留学体験をご紹介しましょう。 (大場紗耶佳)

※この広報活動は、阪南大学給付奨学金制度によって運営しています。

市原佳乃さんのインターンシップ体験

大場:1年間のインターンシップ留学を終えて、今はどんなお気持ちですか?
市原:なにより達成感が大きいですね。ただ、「やっと日本に帰ってこられた」という気持ちも、正直ありますね(笑)。実際に海外のホテルで働くことによって、語学留学だけでは味わえない体験がたくさんできました。
大場:たとえば、どのような体験ですか?
市原:観光地としても名高いバンクーバー市内のホテルということもあり、世界中からお客様がいらっしゃいます。インターンシップをしていた時期が、ちょうどFIFAワールドカップの時期と重なりましたので、例年にも増して、たくさんの外国人が集まってきました。みなさん、たいていは英語を話されるのですが、国によって発音がまったく違うのには戸惑いました。はじめのうちは、かなり苦戦しましたが、不思議なもので、そのうち、多少発音が違っていても、聞き取れるようになってきます。一般の語学留学は1ヶ所の大学で勉強をして英語を学ぶのでしょうが、毎日同じ仲間としゃべっていては、どうしても話す相手の国籍が偏りがちになります。その点、私はいい経験ができました。
大場:長期留学を決めた動機をお聞かせ下さい。
市原:高校2年生の夏に、オーストラリアに留学していた友達の影響を受け、シドニーとタスマニア島のホバートに1ヶ月間の短期留学へ行きました。そして、この留学がきっかけで、「海外で働きたい」という夢を抱きました。そのとき「大学生になったらもう一度行こう」「次は1年間の長期留学に挑戦しよう」と心に決めたのです。入学すると、阪南大学には海外インターンシップもできる留学制度があると聞き、すぐにそのプログラムでの長期留学を決意しました。

感動的なエピソード

大場:この1年間、いろんなことがあったと思いますが、一番心に残っているできごとは何ですか?
市原:ホテルインターンシップが終わりに近づいたときのできごとです。そのころには朝食のサービスを1人で任されるようになっていました。毎日働いていますと、連泊しているお客様は、挨拶をしたり会話をしたりしますので、顔も覚えます。そのなかにハワイから来たという家族連れがいらっしゃいました。ところが、お母さんしか朝食に来られない日がありました。聞けば、「みんな寝坊してしまって」との返事。時間は閉店の10時になっていましたので、あちこちで片付けが始まっています。そこで私はパンとジャムのセットを用意して、「ご家族にどうぞ」とお渡ししました。
大場:機転が利きますね。
市原:ええ、すごく喜ばれました。チェックアウトの日の朝食の時間、家族全員で私にハワイのお土産を持ってきてくれました。そして、「あなたの笑顔は本当に素敵だわ」「ここに泊まっている間、笑顔で私たちをハッピーにしてくれて、ありがとう」と、感謝の言葉を下さったのです。
大場:感動的な話ですね!
市原:嬉しかったですね。今でも思い出すと涙が出ます。この先もずっと心に残るでしょう。「インターンシップをしてよかった」と、心の底から思えた瞬間でした。

海外留学の心がけ

大場:こちらまで嬉しくなるような話です。ところで、海外で働くのが夢ということでしたが、1年間の留学を終えた今も、その思いは変わらないですか?
市原:高校時代に行った1ヶ月間の短期留学とは違い、1年間も日本を離れたことで、外から日本を眺められ、日本の素晴らしさを改めて感じました。今は海外で働くことよりも「たくさんの外国人に日本のよさを知ってもらいたい」という思いが強くなっています。その方法は、まだ模索中ですが…。
大場:最後に、これから留学へ行く人、留学を考えている人にアドバイスをお願いします。
市原:留学に行く前の事前準備がとても大事だということを実感しましたね。英語の学習はもちろんですが、日本や、自分の住んでいる地域についても、よく勉強しておくべきだと思います。留学中、「日本の人口ってどのくらいなの」という質問もよく受けました。どうか自分の国や故郷のことを学んでから、お出かけください。
大場:そうなんですね。勉強になります。
市原:あとは、留学中の限られた時間のなかで、いかに有意義な時間を過ごすかが大事だと思います。私は「後悔しない人生」をモットーにしているので、この1年間後悔しないように過ごしました。たとえば、留学先でできた友達と旅行へ行くのも、その時にしかできないことなので、少々お金がかかっても、できることは全てチャレンジしてはどうでしょうか。どうか悔いのない留学生活を送ってもらいたいです。
大場:ありがとうございました。ちなみに、ホテルインターンシッププログラムは、協定留学制度にもとづいて実施されるので、その成果は単位認定されます。ホテルでのインターンシップは、30時間の勤務時間で1単位に換算されます。みなさんもチャレンジしてみてください。