【金剛山活性化プロジェクト】金剛山活性化の参考として、六甲山を視察しました

金剛山でも応用できることを考えながら、フィールドワークを行いました

 金剛山活性化プロジェクトでは昨年度、金剛山活性化に向けて山カフェや観光ガイドなどの提案を行いました。今年度はこれらを実施している事例を参考にすることにしており、8月2日(土)にメンバーで六甲山を視察しました。当日はあいにくの天候でしたが、六甲山高山植物園でガイドツアーに参加したほか、英国フェアが行われている六甲ガーデンテラスや雪まつりで賑わう六甲山カンツリーハウスを訪問しました。雨天のため閉鎖されている施設もありましたが、雨でも山上で楽しく過ごす方法など、金剛山でも応用できることを考えながら視察を行いました。視察を通じて感じたことや参考になったことなどを、以下でメンバーが報告します。(森重昌之)
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当日の活動の様子

  • 高山植物園でのガイドの様子

  • 六甲山ガーデンテラスにて

  • 六甲ケーブル下駅にて

参加学生の報告

金剛山に娯楽施設を
 国際観光学部3年 磯野 晃

 今回は金剛山の活性化を図るためのヒントを得るため、金剛山より人気が高い六甲山で調査を行いました。六甲山へ行く際に、事前に「六甲山レジャーきっぷ」を購入しました。これは阪神版と阪急版があり、今回私たちは阪神版を購入しました。六甲山レジャーきっぷとは、購入した駅から阪神御影駅までの往復切符、駅からロープウェイまでの往復切符、ロープウェイで上がった後、施設へ移動するバスの1日フリーパスや施設入場の際の割引などがついて、1,550円という価格で販売されています。とてもお得であり、利用しやすい試みがされており、金剛山を利用するよりも容易なため、このようなところで違いを感じました。
 また、六甲山は金剛山に比べ、登山に来るというよりも娯楽施設を利用し、遊ぶことが目的とされていると考えられます。以前アンケートを行った結果を見ても、登山目的にあげられたのは、健康維持や自然観察などが大部分を占めており、今回調査した際の利用者の平均年齢は六甲山の方が圧倒的に低く、家族連れやツアーなどの団体客が多いように感じました。ここからも、登る目的が娯楽施設の利用であることがわかります。六甲山では娯楽施設を利用する際に入場料を徴収するため、その入場料などのお金を施設運営や雇用に回すことができ、より良いサービスを提供することができ、利用客増加やリピーターの獲得がうまく連動し、利益を上げ、六甲山を活性化させることができていると思いました。
 上記のことから、これから金剛山で行っていく必要がある項目は2つあると考えました。1つ目は娯楽施設を建設し、健康維持や自然観察などの利用目的に、山で遊ぶ魅力を加え、利用客増加、リピーターの獲得に力を入れていき、そこで徴収したお金で施設運営、雇用、金剛山へ再投資することで、金剛山全体の価値を高めることです。2つ目は近鉄や南海バスなどと協力し、割引やお得に金剛山を訪れることができるチケットを出すことです。私は金剛山に2回ほど訪れたことがありまるが、個々の交通機関でお金がかかり、高額になってしまうなどのマイナスイメージをずっと持っていました、しかし、今回の六甲山レジャーきっぷを知ってから、チケットが高いとしても、そのチケットを利用するだけでお得になるなどという話題性のある宣伝なども利用客が金剛山を知ることにつながり、行ってみようと思ってもらえるきっかけになると思いました。
 今回の六甲山の調査で学んだことは、登山目的の選択肢を増やすことや利用しやすい環境をつくることであると学ぶことができました。これからの金剛山を活性化させるためのヒントにし、これからも活動をがんばっていきたいと思いました。

金剛山と六甲山の客層の違い
 国際観光学部3年 小関佑佳

 今回、金剛山活性化プロジェクトの一環で、兵庫県の六甲山でフィールドワークを行いました。その中で、同じ山なのに金剛山とはお客さんの層が違うことが気になったので、それについてまとめようと思います。
 まず、私が金剛山と六甲山で最も客層の違いを感じたのは、若者が来ているか否かです。金剛山は何度も登られているお年を召された登山者の方や、自家用車で来るファミリー層がほとんどであるのに対し、六甲山はお年を召された方や家族連れはもちろん、若いカップルや海外からのツアー客も来ていました。金剛山には何度か訪れているのですが、一度もカップルや外国人を見かけたことがなかったので、とても驚きました。
 私以外にもやはりみんな気づいていたようで、今回のフィールドワーク後にプロジェクトメンバーで会議をした際に、このことが話題になりました。なぜ六甲山にはカップルが来るのに金剛山にはほとんど来ないのか。話し合った結果、まず六甲山は気軽に行きやすいことがあげられました。これはイメージの問題もあるとは思いますが、金剛山は山登りのイメージが強いのに対し、六甲山は自家用車で気軽に行くことができます。山登りよりもハイキングのイメージが強いようです。また、個人的には金剛山は駐車スペースが少ないと感じました。金剛山の大きな魅力である自然を壊さない程度に、人の手による整備が必要なのかもしれません。
 次に、六甲山は神戸の夜景を見ることができるので、カップルで行こうとなるのではないかという意見が出ました。こちらは金剛山でも夜景は見ることができるので、解決策をつくりやすいのではないかと思います。こちらもイメージの問題だと思うので、もっとアピールしても良いのではないかと思います。
 また、どうすればカップルが金剛山へデートに来てくれるのかについて考え、金剛山の魅力である豊かな自然を活かし、天体観測ができるスペースや寝転んで満天の星空を観察できるシートをつくり、ウェブサイトやSNSなどでアピールしていけば、カップルや若者にも来てもらうきっかけになるのではないでしょうか。
 今回、金剛山以外の山に訪れたことで視野が広がり、こんなことができるのではないか、あんなことができるかもしれないと話がはずみ、プロジェクトメンバーみんなでもっと金剛山の魅力を伝え、もっと多くの人に観光に来てもらおうという意識が高まりました。六甲山のように老若男女に来てもらえる山となるよう、自分たちが出でき来ることをやっていく必要があると感じたフィールドワークでした。

雨でも楽しめる六甲山植物園
 国際観光学部4年 小山明日香

 私たち金剛山活性化プロジェクトチームは8月2日、今後の提案内容をより深めるために、兵庫県の六甲山へ現地調査を行いました。六甲山や摩耶山へ行く際に、阪急電鉄と阪神電鉄の電車・バス・ケーブルすべてがセットになっていて、多くの施設で割引や特製カンバッチがついたお得な「六甲山レジャーきっぷ」があります。今回はこの切符を利用して、六甲山高山植物園や六甲ガーデンテラス、六甲山カンツリーハウスなどを訪れました。
 当日はあいにくの雨で、景色は真っ白でした。霧で風景がかすんでいましたが、雨の日ならではの楽しみ方もありました。その中でも特に印象に残った、六甲高山植物園を紹介します。六甲山植物園は山頂近くにある植物園で、約1,500種を栽培しており、高山植物を中心に六甲自生植物などが生息し、園内はゆっくり観察すれば、40分程度の時間で一周することが可能です。橋や池・コイ(魚)・小便小僧など、写真スポットも多く、訪れていた人の中には本格的なカメラを持参してきている人も見られました。雨のおかげで緑はイキイキとしていて、キレンゲショウマなどの1日しか咲かない一日花やいろいろな種類のアジサイ、ユリなど、さまざまな花が咲いていました。
 植物園では無料で30分程度のガイドを行っています。女性のガイドさんが1つ1つ季節の花や木を詳しく紹介してくれます。私たちがガイドしてもらった時には、私たちの他にも5〜6人の方が参加していました。ガイドの中で一番印象に残ったのは「ニッコウキスゲ」というユリ科のオレンジ色の花で、1日だけの美しさという意味があります。ニッコウキスゲの咲いている周辺がオレンジ色一色に染まっていて、とてもきれいでした。六甲山高山植物園では、無料ガイド以外にもジャムづくりや木工クラフト体験、スタンプラリーなどのイベントを開催しています。
 金剛山と六甲山を比べると、六甲山植物園はFacebookを使って2〜3日に一度のペースで開花報告やイベントの告知や様子などを報告しています。リアルタイムに情報を知ることで、今咲いている花の種類がわかったり、画像を見たりすることができます。山には何千種類もの植物が生息していて、一日花や朝しか開花しないといった特殊な花々が多いのも魅力の1つですので、Facebookでの情報発信はとても便利だなと感じました。
 また、先ほど写真を撮っていた人がいたことを紹介しましたが、六甲山では写真コンテストも行っていました。金剛山でも香楠荘主催で写真コンテストを行っていますが、六甲山では総数289点(平成26年度前期)の応募数があり、イベントとして浸透していることがわかりました。このように金剛山でも山をもっと身近に感じてもらえるようなイベントや対策を考えていきたいです。

家族連れを呼び込むイベント視察
 国際観光学部2年 吉田知奈

 8月2日、あいにくの天気でしたが、金剛山でなにか新しいことをできないかと考えた私たちは、近畿のさまざまな山を調べ、イベントや施設を多く設けて来場者を集めている六甲山に視察をすることにしました。
 六甲山では、ピーターラビットの英国フェアや高山植物園で理解を深めるためのガイドなど、幅広い層の来場者が楽しめるイベントが行われています。その中でも私が興味を持ったイベントは、今年で36回目を迎え、六甲山ではもう夏の風物詩となった夏のイベント「六甲山真夏の雪まつり」です。この雪まつりは子ども向けに大量の雪を広場に用意して、雪の中に埋められた子どもたちが喜ぶおもちゃや文房具、ジュースなどのお宝を探し出す「宝さがしゲーム」という人気のあるイベントで、7月19日(土)から8月31日(日)の期間限定で行われています。当日は少し雨が降っていて、私たちは寒いと言いながらすぐに見学してしまいましたが、子どもたちは本当に楽しそうにはしゃいで楽しんでいました。雪まつりに参加していたほとんどの子どもたちは、専用のスコップを売店で買い、そのスコップを使って雪を掘り、お宝を手に入れていました。雪まつり自体に参加することは無料ですが、雪まつりが行われているカンツリーハウスの入園料とスコップ、雪遊びができるグッズでお金を落とすことができるしくみになっていました。
 金剛山でも同じようなイベントができるのではないでしょうか。夏休みは家族で山登りにくる人も多いと思うので、暑くなって汗をかいている時にこのような涼しげなイベントがあれば、登山者に喜んでいただけるのではないかと感じました。自由研究や虫取りで金剛山に来ている子どもたちに、その目的以外でも楽しい思い出をつくることができるのではと考えます。また、金剛山はリピーターの登山者が多い山ですが、よく登る登山者も一緒に楽しめる新しいイベントを設けると、次は孫や子どもを連れて登ろうと考えていただけるのではないかと感じました。
 六甲山には、他にもふれあい牧場やトランポリン、ゴーカートなどのアクティビティも楽しめるようになっていました。もともとある施設でも十分楽しめるようになっていましたが、雪まつりや英国フェアなど、次々に新しいイベント提案し、開催していました。金剛山と比較してみると、登山というよりは観光スポットである印象を受けましたが、金剛山でもできるようなイベントもあったので、参考になりました。今回の六甲山視察を生かし、新しいイベントを提案できればと感じました。

山のテーマパーク化
 国際観光学部1年 荻原 駿

 私たち金剛山活性化プロジェクトでは、プロジェクトの参考にするため、他の山の視察計画を7月16日に立て、8月2日に六甲山でフィールドワークを行いました。
 私は阪神電車を利用して御影駅まで行き、そこから六甲山のケーブルカー乗り場までバスで向かいました。私たちは六甲山へのアクセスに、御影駅までの切符・ケーブルカーの往復切符・六甲山シャトルバスのフリーパスがセットになった「六甲山レジャーきっぷ」というものを利用しました。このレジャー切符は通常支払う金額より2,000円ほどお得になり、六甲山のさまざまな施設を割引価格で利用できるようになる代物です。実際に現地ではシャトルバスを使うことが多く、そのたびに料金を払うのはとても手間であり、そのレジャー切符がとても役に立ちました。
 私たちが訪れたとき、六甲山では「真夏の雪まつり」や「ピーターラビットフェア」など、さまざまなイベントが行われており、その中でも金剛山活性化の参考になりそうな高山植物園やカフェなどを視察しました。そこで気になったのが、来客者の年齢層です。高山植物園に訪れていた方々は年齢が高めでしたが、それ以外の施設に訪れているお客さんの年齢は、私たちとほとんど変わらないように見えました。私は、そこに六甲山に対するイメージが関係しているように思います。六甲山を視察している時に、六甲山を山というよりは自然体験型テーマパークのような印象を持ちました。数々のアトラクション施設、多数の飲食店などから、登山というよりは遊園地に来たという感覚の方が近いような気がしました。今回の視察で多く目にした、恋人と六甲山を訪れている人たちについても、恋人と遊園地に訪れていると考えたら、なんら不思議なことではないように思えます。そこから、今の若い人たちは六甲山に来ることを登山ではなく、テーマパークに遊びに行くように気楽に捉えているのではないかと思いました。また、六甲山に対する意識調査を行えば、金剛山との違いが明確になると思うので、機会があれば実施してみたいと思いました。
 今回六甲山を訪れてみて、これが新しい山のカタチなのかなと思うことがありました。しかし、あれほどの規模で施設を運営するとなると土地だけでなく、維持費、人件費も莫大な額になると思うので、普通の山では経営することが困難であると思います。今回のフィールドワークをヒントにして、金剛山でもできる何かをこれから見つけていきたいと思いました。

周遊するしくみを金剛山でも生かしたいと感じた
 国際観光学部4年 浦上絵梨香

 8月2日に、六甲山へ視察に行きました。今回の目的は施設が多く、イベントをたくさん行っている六甲山のしくみを学び、金剛山に活かすことです。私は初めて六甲山に行きましたが、大阪から1時間弱で到着し、思ったよりも近く、交通の便も良かったです。六甲山までは「六甲山レジャーきっぷ」を利用しました。六甲山レジャーきっぷは、阪神線と阪急線の2種類あり、?各線各駅から御影駅までの往復切符、?御影駅から六甲ケーブル下までの神戸市バスの往復、?六甲ケーブルの往復、?六甲山上ケーブルバスと六甲摩耶スカイシャトルバスがセットになった切符です。この切符を提示すると、六甲山上の12の施設の入場料が割引になります。阪神線は1,550円で、阪急線は1,700円、六甲ケーブルの通常料金が往復で1,000円ですので、かなりお得に六甲山を周遊することができました。
 私が六甲山に訪れて最も印象的だったのは、山の上なのに施設がたくさんあり、それを周遊するしくみが整っていたことです。私たちは六甲山高山植物園と六甲山ガーデンテラス、六甲山カンツリーハウスに行きました。どの施設も、バスで1〜2分、歩いても10分かからないぐらいの距離だと思います。当日は雨だったので、バスで移動できて便利でしたが、晴れていたら歩いて移動すると、ちょうど良い運動になりそうです。バスも20分に1本来るので、あまり待たずに乗れました。施設が多くあったことで、山に来る目的が「山登り」ではなく、「植物園」やカンツリーハウスでの「自然体験」になったように思いました。山登り以外の目的があるせいか、金剛山ではあまり見かけないカップルや、ヒールやサンダルで来ている人もいました。
 金剛山は、六甲山に比べて自動車が通る道はほとんどなく、山の中をバスが走ることは難しいと思います。しかし、イベントを数箇所で行い、それを歩いて周遊するしくみをつくることができたら、金剛山にも「山登り」以外の目的で訪れてくれる人が増えるのではないかと感じました。例えば、ちはや園地、展望台、山頂、国見城跡などでイベントを行うと、それらの場所をつなぐことができます。山登り以外の目的があると、初めての人や観光客も気軽に来ることができて、経済的効果も大きくなると思います。金剛山には奈良側からも大阪からも登ることができて、ルートがたくさんあるので、周遊するしくみはつくりやすいと思います。8月31日に金剛山へアンケート調査に行くときには、どのようにすれば実現できるかも考えながら、フィールドワークをしたいと思います。

リピーターによる観光ガイドの可能性
 国際観光学部3年 山本紗希

 8月2日に六甲山の視察を行いました。2013年2月から金剛山活性化プロジェクトが始動し、この1年間で金剛山を活性化させるために金剛山の現状の調査、来訪者のニーズを把握するためのアンケート調査などを実施してきました。そのアンケート調査の結果、金剛山活性化に向けて山カフェ、ビアマウンテン、リピーターによる観光ガイドの実施といった提案がまとまりました。そこで、関西有数の山で、気軽に訪れることができる山として有名な六甲山で行われている取り組みを参考にできるのではないかと考え、六甲山を視察することになりました。
 当日は電車、市バス、ケーブルカー、山上バスがセットになり、六甲山上の施設が割引になる特典がついている「六甲山レジャーきっぷ」を購入しました。阪神御影駅で集合し、市バスで六甲ケーブル下まで行き、六甲ケーブルで六甲山上まで向かいました。ケーブルカーはクラシックタイプとレトロタイプの2編成で、箱形車と展望車の2両連結で運転しています。私たちは展望車の方に乗りましたが、当日は雨が降っており、霧が濃く、景色を見ることができませんでした。雨が降っていたにもかかわらず、来訪者は多く、家族連れや外国人の方が目立ちました。登山用の服装をしている人は少なく、観光目的で訪れる人が多いように感じました。金剛山の登山客の多くはリピーターであるので、新規登山客を獲得するために、PR方法を参考にできるのではないかと考えました。
 六甲高山植物園では、約30分間の花のガイドが毎日開催されています。私たち以外にも参加者がいて、ガイドの話を興味深く聞いていらっしゃいました。季節によって異なる園内の花を詳しく紹介していただきました。金剛山にも珍しい高山植物がいくつかあるので、ガイドがいたら興味を持ってもらえるのではないかと思います。金剛山でのアンケート調査の結果、リピーターの方々の50%が観光ガイドに協力してもよいと回答しており、コストもそれほどかからず、持続的に取り組めるという点で、実現の可能性は高いと考えます。また、リピーターによる観光ガイドでも、植物に詳しいガイドや野鳥に詳しいガイド、歴史に詳しいガイドなど、何種類かに分けると、リピーターの詳しいジャンルだけで良いので、気軽に協力していただけるのではないかと思いました。
 今回の視察で他の山が取り組んでいる事例を調査し、体験することで、金剛山にも活かせる新しい発見がありました。

周遊するしくみづくりの必要性
 国際観光学部3年 谷口真帆

 これまで私たちは、金剛山に観光目的で訪れてもらうためにはどのようにすればよいのかということを考えて、アンケート調査や資源調査を実施してきました。そして今回は、同じ関西にある山で、観光目的での来訪者の多い六甲山が参考になるのではないかと考え、8月2日(土)に六甲山でフィールドワークを行いました。
 当日は雨が降っており、ケーブルカーで山に登ると濃い霧で、下界とは景色や気温がまったく違いました。この日、私たちは「六甲山レジャーきっぷ」を利用し、植物園、ガーデンテラス、カンツリーハウスを周りました。この切符は、阪神版と阪急版の2種類があり、電車・バス・ケーブルカーの運賃を通常よりも安く設定したうえ、六甲山上のレジャー施設での入場割引やプレゼント優待が受けられるなどの特典が付いている切符です。また、チラシに「六甲山上バスで巡る」と書いてありましたが、六甲山上バスは乗降フリーとなっているので、何度でも利用することができます。私は、このお得な切符を利用することで、六甲山を周遊するしくみができているのではないかと思いました。
 金剛山は「施設を周る」というより、「山を登って下りる」というイメージがありますが、千早赤坂村全体を視野に入れると、周遊するしくみを考えることができると思います。例えば、「六甲山レジャーきっぷ」のように、電車・バス・ロープウェイ・マス釣り・飲食店での優待をセットにした切符を近鉄版と南海版で販売するというものです。また、以前から私たちが考えていた山カフェは、山頂にカフェを設置するだけではなく、もともと村内にある喫茶店やお茶屋さんを登山客に紹介し、登山の前後に立ち寄っていただくというしくみもできると思います。「食べログ」というサイトで調べてみると、村内にも3軒ほどカフェのようなものがあることがわかりました。
 今回、六甲山でフィールドワークを行って、金剛山のちはや園地や香楠荘に比べると、六甲山のレジャー施設はどこも充実していた印象を持ちました。登山プラス観光ではなく、観光だけを目的に訪れたとしても、一日中遊べる施設となっていました。また、六甲山にあったカフェはカップルがたくさん訪れていたので、やはり山に可愛らしいカフェがあったら、観光目的で訪れてもらえるのではないかと思いました。今回六甲山で見てきたものを、金剛山活性化につなげていきたいと思います。

金剛山活性化に向けて山の観光地化を学んだ六甲山視察
 国際観光学部4年 水野巧基

 金剛山活性化プロジェクトでは、昨年度実施したアンケート調査の分析によって、観光目的で登山をする人びとの誘致が金剛山の活性化に向けて必要であると考え、8月2日に六甲山視察を実施しました。六甲山の来訪者の特徴は、金剛山と異なり、学生やカップルなどの若者、子ども連れの家族が多いことがあげられます。中には、外国人のグループや家族も見受けられました。また、服装も登山靴ではなく、スニーカーを履き、軽装で来訪しており、登山をするような格好ではない方が多くいました。理由として、六甲山はバスで周遊するしくみができており、六甲山牧場や六甲山カンツリーハウス、六甲山ガーデンテラス、フィールドアスレチック、自然体感展望台、高山植物園などの観光施設が多くあり、登山ではなく、観光施設を目的にバスで周遊するしくみができていることがあげられます。ただ、施設を設置するだけでなく、スタンプラリーの実施や雪まつり、イルミネーションなどのイベントを積極的に実施していることも、観光客が来訪する要因ではないかと感じました。
 交通面に関しても、阪神電車や阪急電車と連携して「六甲山レジャーきっぷ」を販売し、電車やバス、ケーブルカーを正規販売価格より安価に利用でき、観光施設の割引特典もついており、施設も周遊してもらえるような工夫がなされていました。また、生駒山とも連携して、生駒山の割引券がついたチラシも設置してあり、他の山との連携も金剛山活性化において必要になってくるのではないかと感じました。ただ施設を設置するだけでなく、交通会社と連携し、交通費を安価に設定し、それに伴う観光施設の割引特典も付けて、モデルコースを提示し、登山をするだけでなく観光施設を周遊してもらい、金銭的利益を生み出しやすいしくみになっていると感じました。さらに、観光施設には豊富なお土産の販売、飲食店でのご当地料理の提供などを行っており、登山をするという感覚ではなく、観光をするという感覚に近いのではないかと考えました。
 今回の六甲山視察を実施して、金剛山活性化に向けて若者やカップル、家族連れを対象に観光目的で来訪してもらうしくみを実施し、新規登山客の誘致を行う必要があることを再認識できました。しかし、六甲山のような大規模な観光施設の設置やバスでの周遊は、立地面や規模的に金剛山では難しいと考えられます。そこで、大規模な観光施設ではなく、若者やカップルを誘致対象にした簡易施設を設置することも新たな提案として考えていきたいと感じました。六甲山に若者やカップル、家族連れなどの来訪者の特徴が見られるのは、観光施設だけが要因でなく、ネームバリューや夜景というイメージが強いからではないかと考えます。金剛山を六甲山と比較してみると、夜景や観光を目的に軽装で来訪できるというイメージが低く、登山を楽しむという印象があるのではないかと考えます。しかし、金剛山もネームバリューはあるので、今までのような登山を楽しむ山というイメージも残しつつ、夜も楽しむことができるというイメージづけが必要ではないかと考えます。
 そこで、金剛山は大阪府内でも星空が綺麗にみえる数少ない天体観測スポットでもあるので、この星空鑑賞を新たなイメージづけに活用することは有効ではないかと感じました。簡易的なシートやベンチを設置して、星空シートと名づけ、カップルに向けて星空デートを提案することで、若者が夜に金剛山に来てくれるしくみができるのではないかと考えます。この新たな提案や六甲山視察を経て感じた情報を整理して、次回は8月31日に金剛山で夏季アンケート調査を実施する予定です。

六甲山フィールドワークを通して感じた、金剛山活性化の新たな視点
 国際観光学部4年 増森千絵

 今回は六甲山にてフィールドワークを行いました。なぜ六甲山かというと、さまざまなイベントが開催されている六甲山でフィールドワークを行うことで、金剛山の新たな活性化につながるアイディアやヒントが見つかるのではないかと考えたからです。六甲山では季節ごとにさまざまなイベントが開催されており、夏は「真夏の雪まつり」があります。私はこの「真夏の雪まつり」がどういったものなのか、非常に楽しみにしていました。イベント内容としては、雪の広場に埋められたおもちゃなどを探す「お宝探しゲーム」や「雪玉ストラックアウト」、「雪だるまづくり」など、主に「雪」で遊び涼しむといった内容で、家族連れのお客様が多くこのイベントに参加しているように見られました。
 私たちがフィールドワークを行った日は非常に天候が悪く、雨と風が強い日だったので、参加する方は少ないだろうと思っていました。しかし、開始前にはたくさんの方々が集まっており、遊びに来ていたお子様も無我夢中で宝探しゲームに参加していたので、お子様の遊びには寒さなど関係ないのだと思いました。また、最近は暑い時期が続いているので、あえて冬の風物詩である「雪」で遊ぶというイベントは非常に斬新で、少し涼みたいという方でも気軽に何度も遊びに来ているのではないかと感じました。何よりこのイベントは約1ヶ月間も開催され、お子様の夏休み期間中、何度でも遊びに来ることができます。
 私は以前、金剛山の夏のイベントである「金剛山夏まつり」に参加したことがありますが、期間としては1日限定でした。「金剛山夏祭り」以外のイベントが他の日にも開催されていますが、同じ夏祭りとしては期間が短く、都合が合わなくて参加できなかったお客様も多くいるのではないかと思います。そこで、「金剛山夏祭り」もさらに期間を長く設けるようにすれば、より多くのお客様が金剛山を訪れるのではないかと考えました。また、イベントごとに何か交通機関や施設利用料金の割引券を付けるのも良いのではないかと考えました。
 これまでは金剛山に人を集めるために、アンケート調査や現地調査を繰り返し、新たな提案としては山カフェを設置することなどを中心に考えてきました。今回、六甲山でフィールドワークを行ったことで、他の山の取り組みとの違いを知り、新しい考え方や視野も広がったように感じます。金剛山が活性化するためにはまず、今までのやり方や考えた方を変えていく必要があります。残り半年ほどで私は卒業しますが、これまで以上に金剛山のことを考え、活性化に向けてどのようなことができるのか、金剛山プロジェクトのメンバー全員で見つけ、良い成果が出せるよう私も精一杯調査研究に努めていきたいです。

六甲山の魅力は多様な資源と情報の集約
 国際観光学部4年 白野紘平

 金剛山を活性化するにあたり、兵庫県の六甲山へ類似の資源や金剛山でも同じように利用できるような資源がないか、フィールドワークを行いました。当日は悪天候で、空には分厚い雲がかかり、小雨が降る生憎の天気の中でのフィールドワークとなりました。天候はよくありませんでしたが、団体ツアーや家族連れなど多くの人が訪れていました。
 六甲山は、大小さまざまな山から成り立ち、山域は神戸市や芦屋市、西宮市、宝塚市に属しています。また、山頂では、高山植物を中心に世界の寒冷地植物や六甲山の自生植物を見ることができる「高山植物園」があります。また、眺望スポットの「六甲ガーデンテラス」では、晴れていれば神戸の景色が一望でき、夜には函館や長崎の夜景と並ぶ、日本三大夜景の1つに数えられる「1,000万ドルの夜景」が楽しめます。神戸の夜景が1,000万ドルと評されるようになったのは、2005年に六甲摩耶鉄道株式会社が試算を行ってからで、その時に1,000万ドルを超える結果が出ました。今年8月末まで英国フェアを実施しており、ピーターラビットの世界を感じることができます。私たちが訪れた日、六甲山上は悪天候の影響で霧がかかり、数メートル先は真っ白で何も見えず、とても山頂からの景色を見られる状態ではありませんでした。しかし、英国フェアが行われている六甲ガーデンテラスは、少し霧のかかっている状態が欧風の建物を幻想的にさせていました。この他にも、六甲山にはオルゴールミュージアムやアスレッチック、六甲山ホテル、冬季限定の人工スキー場などのレジャースポットや宿泊施設、真夏の雪祭りや英国フェアなどのさまざまなイベントが季節ごとに催されています。
 後日、このレポートの考えるために六甲山の公式サイトを参考にしました。その際に、改めてレジャースポットが多いことや、それらが公式サイトで1つに集約されている点が金剛山と比べて優れていると感じました。六甲山の公式サイトの運営会社は六甲山観光株式会社で、主に六甲山のケーブルカー、路線バスの運行および遊園地、植物園、博物館の事業などを行っていました。金剛山には現在、公式サイトがありません。金剛山のロープウェイや宿泊施設の「香南荘」、星空を観察できる施設「ちはや星と自然ミュージアム」は別々のホームページを持っており、千早赤阪村役場の観光情報のページからそれぞれが紹介されています。六甲山のように公式サイトを制作して、金剛山の情報を1つにまとめることで、金剛山のことをより多くの人に知ってもらえるのではないかと感じました。

周遊できるしくみが顧客獲得につながる
 国際観光学部2年 上江洲清輝

 8月2日土曜日に、六甲山にて調査を行いました。今回の六甲山調査の目的は、金剛山の活性化にあたり何が必要かを考えるため、知名度の高い六甲山に訪れ、金剛山で活用できそうな何かを探すことでした。また、山カフェの実現に向けて、実際に山カフェを実施している六甲山にて、山カフェの様子を見ることでした。
 事前調査で情報収集をした結果、六甲山には豊富な施設があり、各所でさまざまなイベントを実施していることがわかりました。実際の六甲山でも各施設に案内のパンフレットがあり、細かな情報はもちろんのこと、イベントの情報が記載されていました。このことから、豊富な情報公開が来訪者数の増加につながるのではないかと感じました。また、アクセス時に運賃が安くなる「六甲山レジャーきっぷ」というものがあることがわかりました。しかし、こちらの切符には阪神版と阪急版があってわかりにくく、「金剛山ハイキングきっぷ」に比べ、使いにくいことが印象でした。
 六甲山には、カンツリーハウスやガーデンテラスなど多数の施設があり、各施設でイベントが行われているので、多数の施設を訪れたいと感じました。また、六甲山で入手したパンフレットの1つに「六甲山大学つうしん」というものがありました。そのパンフレットの概要は、六甲山や摩耶山を六甲山大学のキャンパスとし、各団体が行うイベントを大学のカリキュラムと見立てて情報発信し、六甲山の魅力を広めるというものです。これらのことから、六甲山では、来山者が周遊できるしくみが整っていることがわかります。一方、金剛山では、イベントは行われていますが、テーマが単数に絞られており、周遊ができない状況であると感じます。そこで、金剛山を周遊するためには、以前千早赤阪村に提案した山カフェが重要になってくるのではないかと思いました。山カフェを運営することにより、金剛山で周遊したいと思える施設が増え、また何かイベントを行ううえで活用可能なスペースになるであろうと思います。実際に金剛山で周遊できるイベントのテーマとして、楠木正成が活用できると思います。楠木正成とは、鎌倉時代から南北朝時代にかけて活躍した武将で、建武の新政の立役者として足利尊氏らとともに活躍した人物のことです。楠木正成の千早城跡が金剛山中腹にあるため、十分に活用できると思います。
 今回の六甲山調査を振り返り、六甲山は施設やイベントに資金を費やし運営していることが感じられました。その分、施設の入場料だけでなく、施設内の遊び場でも料金がかかるしくみになっていました。しかし、金剛山の良さは、手の加えられていない自然が豊富であることだと私は思います。そこで、自然の良さを活かしたイベントを運営し、周遊できるしくみをつくることが金剛山独特の魅力につながると考えます。