流通学部スポーツマネジメントコース主催「ワールドカップ分析講演会」を開催

 6月28日(土)あべのハルカスキャンパスにて、流通学部スポーツマネジメントコース主催「2014FIFA ワールドカップ分析講演会」を開催いたしました。前回(6/5)好評であった企画の第2弾で、今回はグループステージが終了し、決勝トーナメントが翌日より開催されるという段階で今後のみどころも踏まえ、実施しました。

 講師は前回に引き続きサッカーアナリストとして著名な庄司 悟氏。1975年からドイツに33年間居住され、ドイツサッカーの4つの哲学「ボールは丸い」「試合時間は90分」「試合後は試合前」「ベストコンディションはいつもボールである」をポリシーとし独自のゲームデータの分析を行っておられます。ブンデスリーガを始め、スペイン、アメリカ、日本、バルサ、レアルなどチームを分析し、NHKの海外サッカー番組にも情報を提供しておられます。

 今回は庄司氏が2014FIFAワールドカップブラジル大会のグループステージの全試合を分析された結果を講演いただきました。多くのサッカーファンにとっての今大会の最大の驚きが、前回優勝国のスペインが初戦でオランダに1−5と大敗したこと、さらに2戦目にして早々に敗退してしまったことです。
 しかし、庄司氏の分析によると、スペインの不振はほんの一例であり、このような事象は大会全体でみられるとのことでした。今回の講演でも「パス本数」と「パス1本を受けるためのチーム全体の走行距離」から全チームを類型化し、試合結果と照らし合わせたところ、前回大会では優勢であったポゼッション型のチームが、今大会では軒並み勝てていないようです。前回大会では、常にボールを支配し、パスを回しながら相手を切り崩す戦術が有効であったのに対して、今大会では、相手にボールを持たせておいて、(相手ゴールから近い位置で)ボールを奪ってからは時間をかけずに相手ゴールを目指すカウンター戦術を得意とするチームが多く勝ち残っていることがデータからもはっきりと見てとれました。
 日本代表が戦った3試合については、出場選手別にさらに詳細なデータが提示され、それによると全体としてパスはよく回っていたものの、後方の選手を中心にパスが回っていた(攻めあぐねていた)試合があったり、本田や香川といった攻撃の中心となる選手にボールは渡るものの、彼らのパス成功率が非常に低い試合があったりと、効果的な攻撃ができない試合が続いたことがよくわかりました。
 カウンター戦術を得意とするチーム同士の対戦はどのような試合になるのか、また、ポゼッション型のチームが苦戦する一方で、スペインと双璧をなすほどの質の高いパスサッカーを披露するドイツ(米国戦でのパス本数は実に800本を超えたそうです)も勝ち残っており、どちらのタイプのチームが栄冠を手にするかといった新たな見どころが提示されました。

 参加者の方が何回も頷く様子が見受けられ、日本はグループステージ敗退という残念な結果になってしまいましたが、今回の庄司氏の講演を聴くと決勝トーナメントも新たな観点で観戦できると思います。
  • 司会は流通学部須佐教授(サッカー部監督)

  • 約80名の方が受講されました

  • 最後は庄司氏と須佐教授の対談も

阪南大学流通学部スポーツマネジメントコースについて

社会的な健康意識の高まりや、スポーツが持つ教育的価値の認知により、人々のスポーツへの関心がかつてないほど高まっています。スポーツは今や世界的なビッグビジネス。スポーツ業界の大きな流れを見据え、ビジネスとして関わっていくことができる人材が求められています。スポーツビジネスの最前線を「流通学」で分析し、その成果を社会に発信するのがスポーツマネジメントコースの目的です。「将来はスポーツにかかわる仕事を」という声にこたえて、Jリーグやプロ野球の球団経営をテーマとしたシンポジウムを開催するなど、スポーツ最前線と交わる教育を実践しています。