渡辺ゼミでは、2016年4月に13人の新入生(女子10名、男子3名)を迎えました。3人のSA(女子2名、男子1名)とともに、私含め、17人でゼミ活動を開始しました(写真1)。以下、その活動を報告します。
  • 写真1

1.新入生向けのオリエンテーション

 4月にはラウンジでタコパ(たこ焼きパーティー)をしたり、キャンパス内をみんなで探検しました(写真2)。また、新入生向けのオリエンテーション(運動会)をおこないました。うちのゼミ生のチームワークはとてもよく、ドッチボールではすぐ負けましたが、しっぽ取り競争では優勝しました(写真3)。
 5月には明日香(あすか)村へ遠足にゆきました。初夏のあつい日差しのなか、吉兼ゼミや塩路ゼミと合同でわらぶき屋根作りの体験をしました(加次報告を参照)。
 6月には、梅雨のなか、キャンパスの前庭で水遊びをして、事務職員の方からしかられました(写真4)。水鉄砲がエスカレートして、ホースで水をかけあうようになったのがまずかったです(写真5)。「いくら授業でも資源の無駄遣いは辞めて下さい」とおしかりを受けました。以来、渡辺ゼミは学部内で「遊んでばかりいて怒られたゼミ」との汚名を着ることになりました。
 7月には、七夕祭りの時に、みなでスイカ割りをしました(写真6)。国際観光学部では、七夕祭りと言って、その日1日、学生も教員も浴衣を来て登校する日があります。学生は朝から浴衣を着込んで登校します。午前の授業が終わると、学生委員主催の七夕祭りコンテストに参加します。うちのゼミからは、1年生の男女2名が浴衣でヒップホップダンスを披露し、喝采を受けました。
  • 写真2

  • 写真3

  • 写真4

  • 写真5

  • 写真6

明日香村でのフィールドワーク:わらぶき屋根のふき替えとあすかルビー
国際観光学部1年 加次床

私たち渡辺ゼミは、2016年5月14日(土)に奈良県中央部にある明日香村に行き、フィールドワークを行いました。まず、明日香村に着くと、吉兼・塩路・渡辺の3ゼミ合同で、わらぶき屋根のふき替え作業をしました。私たちを指導して下さったのは、吉兼ゼミの先輩と明日香村でボランティアをしている方々です。吉兼先生は古代衣装を着て登場し、私たちをおどろかせました。わらのふき替えははじめての作業でしたが、指導してもらたおかげでスムーズに作業をすることができました。
手順としては、わらを束にして結び、それを重ねて細長い板の上に並べて縛り、順番にわらぶき屋根の上に取り付けていきました。わらまみれになりながらも、ゼミの仲間と楽しく作業することができました。3ゼミ合同だったので、他のゼミ生とも仲良くなれるきっかけになりました。出来あがったわらぶき屋根の前で、みんなで写真撮影をし、とても思い出に残りました(写真1)。
次に、キトラ古墳へ行きました。ここは日本で二番目に発見された壁画古墳です。古墳の前には、古代の壁画の模様が入った石板があり、その上に持参したトレイス用紙を重ねて、色鉛筆で上からなぞり、写し取る体験をしました。このように観光客が楽しめる工夫がされてあり、とても印象に残りました。
当日は、初夏の強い日差しのせいで、午前中から気温が上がり、ものすごい暑さになりました。そのため、体力がなくなり、キトラ古墳の次に見に行く予定だった高松塚古墳は見に行けませんでした。その代り、駅の近くで売っていた明日香村名物の「あすかルビー」というイチゴの果肉入りソフトクリームを食べました。イチゴそのもの味が堪能でき、とても美味しく、1日の疲れが吹き飛んで行ったように感じました(写真2)。
正直に言うと、暑くて大変でしたけど、なかなかできない貴重な体験をすることができました。ゼミの仲間ともより仲が深まり、とても充実したフィールドワークを行うことができました。
  • 写真1 完成したわらぶき屋根の前で3ゼミ合同記念撮影

  • 写真2 あすかルビーのソフトクリームをほおばるゼミ生

2.読書選書の買い出しになんばへゆく

 それで、ちょっとは何かまじめな所を見せようではないかと、みなで思っていた矢先に見つけたのが、読書マラソンでした。うちの大学では、学生に紙の本になれてもらうため、本を5冊読んで感想文を書くと、大学から図書券がもらえるのです。しかも、ゼミ選書という制度まであります。図書館に入れて欲しい本があったら、ゼミで書店にゆき、本を選んでくると、図書館が購入し、優先的に貸し出してくれるのです。これは利用しない手がないでしょう。
 さっそく7月になんばの書店にゼミ選書の本を選びにゆきました(写真8)。学生たちは「図書館のような本屋だ」と、めいめい自分の好きな本を探してきました。本をレジに持ってゆくと、書店から大学に転送し、それを大学が購入し、図書館のシールを貼って、ゼミ生に貸し出してくれるのです。
 本屋の帰りに、みなで昼食後、道頓堀(どうとんぼり)を遡り、高津宮(こうずのみや)という神社に行ってきました。『古事記』によると、仁徳天皇の時代、この辺りには高津宮(たかつのみや)という宮殿がありました。なにわの港に入った船が高津宮(たかつのみや)の前を通り過ぎ、木津川(きずがわ)へ抜けて行ったとのことです。それでこの辺りなのだろうと思い、みなを誘ってちょっと散歩して来たのです(写真9)。
 ちょうど神社の境内では夏祭りをしておりました。社殿の前には大きな茅の輪ができており、これをくぐると無病息災なのだそうです。学生たちも「めずらしいものが見れた」と、満足しており、何よりでした(写真10)。
  • 写真8

  • 写真9

  • 写真10

3.読書マラソンに挑戦する

 夏休みが終わってからは、心機一転。まじめなゼミに生まれ変わりました。卒論のように長い文章を書くためには、まず読解力をやしなってゆかねばなりません。そこで、後期は、夏前にゼミ選書で買ってもらった本を夏休み中に読み、読書感想文を発表することを続けました。まずはSAの先輩たちに発表してもらいました。学生は、これを手本に、400-800字程度の感想を書き、レジュメにして配布しました。ゼミの時間には、それを順番に発表しました。発表者は、自分の感想文をみなの前で読み上げ、他のゼミ生からの質問に答えるのです。
 取り上げる本の多くは、私自身が読んだことも、聞いたこともないものばかりでした。しかし、学生にはわりと名の知れたものらしく、図書館の司書さんからは「よい本を図書館に入れてもらいました」と、好意的なコメントを頂きました。

表1 学生が読書感想文の発表をした本

尾崎世界観2016『祐介』文藝春秋
藤沢久美2016『最高のリーダーは何もしない:内向型人間が最強のチームをつくる!』ダイヤモンド社
住野よる2016『また、同じ夢を見ていた』双葉社
ムーギー・キム、ミセス・パンプキン 2016『一流の育て方』ダイヤモンド社
鎌田洋2012『ディズニーサービスの神様が教えてくれたこと』ソフトバンククリエイティブ
佐藤美由紀2015『世界でもっとも貧しい大統領ホセ・ムヒカの言葉』双葉社
森絵都2000『カラフル』理論社
竹内桃子2014『イマドキ、明日が満たされるなんてありえない。 だから、リスカの痕ダケ整形したら死ねると思ってた。』ワニブックス
尾縣貢2007『ぐんぐん強くなる!陸上競技』ベースボールマガジン社
新海誠2016『小説君の名は。』角川文庫
時海結以(著), 大野一興・桑原眞二(原作)、 山田耕大・高橋亜子・清本由紀(脚本)
2012『マリと子犬の物語:山古志村 小さな命のサバイバル』小学館ジュニアシネマ文庫
坪田信貴2015『学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶応大学に現役合格した話』角川文庫
大田忠道2016『飲食店・ホテル旅館の飲食を楽しくするプロの接客サービス帳: 挨拶からクレーム処理まで、すぐに身につく』旭屋出版
豊田美加(著)黒岩勉(脚本)2016『僕のヤバイ妻』小学館文庫
アレックス・ロビラ, フェルナンド・トリアス・デ・ベス(著); 田内志文(訳)2004『Good Luck』ポプラ社(原題:La buena suerte)
辻村深月2012『ツナグ』新潮文庫

4.京都・清水寺でのフィールドワーク

 11月下旬にはゼミのみなで京都に行って来ました。行き先は学生が話し合いで決めました。河原町から清水寺まで往復してきました(写真11から14)。
 頼もしかったのは、当日、みな遠足気分で行ったわりには、学部の授業で習った観光の問題にひきつけて、考えていたようです。多くの訪日外国人旅行者を見ながら、彼らの受入態勢のことに想いをはせる学生がいました(吉田報告を参照)。みなと一緒に京都を旅して、京都のみやげ物屋には女子を楽しませる工夫がたくさんあると気づく学生もおりました(西岡報告参照)。また、フィールドワークが終わったあとに、もう一度京都に行った人もおりました。嵐山は紅葉や桜がよいと思っていたけど、まっすぐ空に向かって伸びる竹林も美しいとのことです(福西報告参照)。ライトアップされた紅葉の庭を見ながら、どこか郷里の自然と違うと気づいた学生もいました。京都の庭はつくられた自然だというのです(窪報告参照)。
 しかし、こうしたことを私が知ったのは、実際にはもっと後のことです。1月になって、学生が学部ホームページに掲載する活動報告を読んで気がつきました。教員としては、「フィールドワーク」とはいえ、学生主体のたんなる遠足ぐらいにしか考えておらず、うれしい誤算でした。
  • 写真11

  • 写真12

  • 写真13

  • 写真14

清水寺を訪れて:訪日外国人旅行者の受入態勢について考えたこと 国際観光学部1年 吉田翔一

 私たち渡辺ゼミは2016年11月27日に清水寺を訪れました。私たちがフィールドワークを計画するにあたり、日本らしい情緒が入り混じり、世界でも名高い評価がある京都のまちを選びました。
 まず、私たちが訪れた京都・祇園の街は、観光まちづくりの一環として、エコツーリズム・緑化活動に非常に力を入れておりました。ここでは、ポイ捨ての禁止のみならず、至るところに花や草木を植える活動が行われており、散策するだけで、京都らしい奥ゆかしい文化が漂うことに魅力を感じました。そればかりか、コンビニエンスストアや商店街では、京都の町の奥ゆかしさを表すために、照明の明るさが黄色や赤などの暖色を取り入れており、より風情を感じる観光地として、町づくりが行われていました。
 そして、このフィールドワークの大きな目的である清水寺参拝では、当日雨天にも関わらず多くのインバウンド(訪日外国人旅行者)が参拝しておりました。京都の町の文化と伝統には多大なインパクトがあり、多くの観光客を引き付ける影響力に感銘しました。
 「京都の事典」というサイトの「清水寺の歴史」によれば、奈良末期778年に僧・延鎮が開山し、平安建都まもない延暦17年(798年)に坂上田村麻呂が仏殿を建立したと伝えられています。現在でもその建立時の形を残していることから、本堂は国宝として認定されています。また、「京都のおもしろスポット」というサイトの「清水寺」というページによると、仁王門や三重塔、鐘楼は重要文化財として指定されています。それに加えて、1994年には清水寺がユネスコ世界遺産に登録され、世界的に高く評価されています。
 そのため、観光への対策はしっかりと行われ、私たちが訪れた雨天の日には立ち入り区域を設けたり、雨具の提供があるなど、非常に充実していました。また、清水の舞台からは、紅葉と京都の町が一望できました。目で見て楽しめる、他の観光地にはない絶景がとても魅力的で、この景観が人気を博す理由がよくわかりました。そして、清水寺周辺の町では、京都らしい着物を着付けやレンタルなど、京都の観光を楽しめるように考えられていました。
 私たちは、世界遺産・清水寺を訪れることで、観光を考える上で非常に重要なことをフィールドワークで学びました。ここでは、京都のよさを昔の歴史ある形のまま存続しつつ、多言語対応やモバイルサービス、音声案内など、観光情報が新しい形で提供されており、現代の大衆的な観光や個人旅行やインバウンドにあわせて、創意工夫がなされていました。また、観光地に多言語対応の案内者がいることで、訪日した外国人旅行者が京都に足を運びやすいように町が整備されておりました。このため、彼らが持ち帰る情報によって情報が拡大し、より多くの外国人旅行者を集める波及効果にもつながっていることが、ゼミのフィールドワークを通して感じとれました。
 私たちは、課外活動として京都を訪れ、世界遺産・清水寺の魅力について学ぶことで、国際的な観光地としてまちづくりするための知恵を、京都の観光地から深く知ることができ、とても有意義な機会となりました。

参考文献

これまで知らなかった京都:清水寺でのフィールドワーク
国際観光学部1年 西岡諒太

 私たち渡辺ゼミは2016年11月27日の日曜日に京都の清水寺へフィールドワークにゆきました。その準備として、京都の魅力について調べようと考えたため、京都河原町を選びました。私たちが訪れた京都の町は、歴史・文化が今も残っていて、四季の変化を楽しめる部分が魅力的です。それで河原町から世界遺産にも認定されている清水寺を訪れました。
 あいにくその日は雨でしたが、お寺で雨具などを提供するなど、観光客の受入態勢が充実していました。雨天にもかかわらず、四季折々の京都の町を一望できて、京都特有の風情を楽しめました。非常に多くの団体のツアー観光客やインバウンド<訪日外国人旅行者>から人気を集めていることがフィールドワークを通じてわかりました。
 京都の清水寺ではおみくじなども人気があり、そのなかでも恋みくじが一番人気がありました。私自身はこの恋みくじをやっていませんが、同じゼミの子らは何人かやっていてほぼ大吉だったようです。ただし、なかには小吉の人もいました。そういった楽しめる部分がよいと感じました。
 また、清水寺の前には急な坂があり、まわりには色々な店がありました。そのなかでも人気がある店では、八つ橋のお菓子や、抹茶関連のお菓子(抹茶のキットカットなど)、京都でしか売っていない食べ物が非常に人気ありました。清水寺のすぐ近くにある京町屋のアイスクリーム専門店では、抹茶たて体験と京抹茶パフェ作りを体験できることを高校時代の友達から聞きました。お値段は1人2200円で2つの体験ができます。もっと早くから知っていれば体験していたのにと思いました。雨で天気がひどい時など、行くところがなくなったときにお勧めです。
 清水寺は四季折々の変化を楽しめますが、一番の人気は紅葉が見れる秋の時期だと思います。理由は景色がよいというのはもちろんのことなのですが、夜景が特にきれいとのことです。幻想的な雰囲気のなかで拝観ができ、清水寺から夜空に向かって放たれる一筋の光や、京都市街の美しい光景が見えると高校時代の友達から聞いたので、また秋の紅葉の時期に行ってみたいと感じました。秋以外にも春や夏にも特別に夜の拝観ができるので、その時期に拝観しに行くのもいいですね。
 こうして京都のフィールドワークに同級生と行くことによって、これまで自分では関心を持たなかった京都の姿を知ることができました。恋みくじや抹茶パフェを今後私が体験することはないと思いますが、これを機に私の知らない京都について知りたいと感じることができ、よい機会になりました。

清水寺と嵐山を観光して:紅葉、桜、竹林、足湯
国際観光学部1年 福西玲美

 去年の11月30日の土曜日に、ゼミのフィールドワークで京都の清水寺に行きました。その日は現地集合で、みんなバラバラに向かっていて、阪急線が人身事故で止まってしまい、集合時間に半分以上が遅刻しました。その上、その日は雨で、とても寒かったです。
 午前12時、1時間30分遅れでみんなそろってから清水寺に向かいました。まず、八坂神社の少し歩いたところのカレーうどん屋さんに入り、みんなでお昼ご飯にしました。その後、清水坂を登り、清水寺に向かいました。清水寺に向かう道でも、お寺の境内のなかでも、11月であり、紅葉シーズンだったので、観光客が思った以上にいました。雨が降っていたので、人はたくさんいないだろうと思っていたのですが、少しあまかったようです。
 でも、紅葉やイチョウの葉が鮮やかで、景色もすごくよかったです。雨が降っていないときにもう一度この景色を見たいと思いました。そして、夜にライトアップをやっている時に、もう一度行きたくなりました。
 清水寺は紅葉もよいですが、桜が咲いている4月もとてもきれいだそうなので、ぜひ行ってみたいです。私は四条河原町から清水寺まで歩きました。途中、お店などあり、見ながら向かうので、思ったより疲れなかったです。ぜひ、紅葉や桜が咲いている時期に観光してほしいです。
 その後、嵐山にも行きました。以前、桜が咲きかけの時期に行った時には人もそれほど多くなく、観光を楽しめました。嵐山の桜もとてもきれいですが、今回私が行った冬には桜は咲いていなかったので、竹林へ行きました。初めて見る竹林がすごくきれいで、心が落ち着きました。晴れていて、竹林から透き通るような日差しが、とても印象に残りました。外国人観光客は竹林をレンタルサイクルで観光していました。
 私はトロッコに乗りたくて嵐山に行ったのですが、お昼過ぎに駅に行ったのに、すでにチケットが売り切れていました。今度行くときは早めにチケットを取っとくべきと思いました。嵐電・嵐山駅の近くにはたくさんのお店があり、湯葉を使ったソフトクリームなど、他の所では売っていないものもありました。嵐電・嵐山駅のホームには足湯があり、他の駅では見たことがなく、印象に残りました。そして、駅の周りにはオブジェがあり、夜になるととてもきれいでした。
 京都はたくさん観光できるところがあり、デートや外国人観光客でたくさんの人が集まります。これから桜が咲く季節になり、さらに人が多くなりますが、それでもぜひ京都の美しい景色を満喫してほしいです。

京都 ~つくられた自然~
国際観光学部1年 窪悠里

 京都と言えば、京料理や着物、和雑貨、和菓子など日本の伝統文化を根強く残しつつ、四季折々の美しい自然の風景が見られる、とのイメージを私たちは持っています。今回、私たちは、その京都が特に賑わう紅葉シーズンの11/27(日)に、清水寺に行きました。その後、12/4(日)、私は嵐山の天龍寺にゆき、紅葉のライトアップを見ました。
 しかし、そうして京都の紅葉を見るうちに、私は京都の自然に違和感をもちました。そして、京都の自然はどうも自然ほんらいの姿というよりは、つくられた自然なのだと思うようになりました。
 フィールドワーク当日はあいにくの雨でしたが、それでも清水寺まで向う途中の三年坂や清水坂がぎっしり埋まるくらい多くの人が、おそらく紅葉を見に訪れていました。清水寺の境内に入り、清水の舞台まで行くと、素晴らしい景色が待っていました。
 舞台からの景色を拝んだ後、地主神社に立ち寄りました。縁結びで有名な神社です。女子はパワースポットを好む傾向にあると思うので、このようなパワースポットが多くあることも、京都に人を惹きつける理由の一つではないかと思いました。清水寺を出てからは、坂の途中にあるお店に寄ったり団子などを食べたりしました。
 明るいうちに見る紅葉も美しいものでしたが、暗くなってから紅葉をライトアップするところがあると、京都のガイドブックを見て知り、興味を持ちました。そこで、後日、12月4日(日)に夜間特別拝観を行っていた嵐山・天龍寺の宝厳院へ行ってきました。入る前からところどころライトが見えていて、初めて見るライトアップされた紅葉はどのようなものかと期待を膨らませながら入っていくと、想像以上の綺麗さでした。この日も天候には恵まれませんでしたが、そんなことを感じさせないくらいの美しさで、気付くと入口から出口までずっと写真を撮っていました(写真1)。
 私が今まで見に行ったことのあった紅葉は、山にあるような自然のままの自然や、公園などで整備はされてあっても、自然が主役と言ったものでした。一方で、京都では、多くが寺・神社などの建物の庭として、紅葉や四季の景観があります。これは、先人が何百年とかけてつくってきたものですが、あくまでもつくられた自然です。それが悪いわけではなく、実際に私もそれに惹かれてしまうのも確かですが、なぜ広大な自然より清水の舞台から見る自然なのでしょう。どうして各地にある荘厳な滝より音羽の滝なのでしょう。京都にあるのは、みなつくられた自然です。
 私の郷里の鹿児島県にある雄川の滝は、自然にあふれる雄壮な滝で、他県の人が見ても音羽の滝に決して劣らない滝だと思います(写真2)。それなのに、なぜ世間の人は音羽の滝は知っていても、雄川の滝は知らないのでしょう。
 どちらが良いかは個人の好みによりけりだとは思います。ただ、自然に触れ、癒されたい人が求めているものが京都にはぎゅっと詰まっているような感じがします。つまり、京都を観光する人が多いということは、自然のままの自然よりつくられた自然の方が良いということなのでしょう。もちろん京都の魅力はそれだけではないのでしょうが、つくられたからこその魅力が京都にはあるのでしょう。
 今度さらに増えるであろう京都を訪れる観光客には、京都の庭のような芸術の域にまでつくりこまれた自然の美しさだけでなく、より人の手が加わっていない日本各地の自然の美しさも知って欲しいと感じました。
  • 写真1 嵐山・天龍寺の宝厳院のライトアップ

  • 写真2 鹿児島県肝属郡(きもつきぐん)南大隅町(みなみおおすみちょう)雄川(おがわ)の滝

5.京都の本を読んで京都に行こう

 せっかく現地に行ってきたのだから、形に残るよう記録を残したいものです。ただ、学部ホームページに載せるのに、みなが清水寺のことばかり書いたのでは似たような記事になってしまうでしょう。そこで、12月、京都から帰ったあとは、読書マラソンに戻りました。今度は京都に関係する本を読んで、その感想をゼミで発表することにしました。冬休みに作品のゆかりの地を訪ねれば、感想文と紀行文をあわせて、ちょっとしたレポートになるだろう。そう考えたからです。
 内容としては、京都を舞台とした小説を読んだ人が多かったのですが、京都のおもてなしや絶景に関する本を読んだ人もいました。意外と京都に関係する本は多いことに驚きました(表2)。京都だからなのでしょう。歴史的な観光名所をつなぎ合わせた恋愛物語だとか。京都の老舗のビジネス手法とか。いろいろな切り口の京都本があることを知り、私自身が勉強になりました。

表2 京都に関する読書感想文で学生が発表した本

七月隆文2014『ぼくは明日、昨日の君とデートする』宝島社文庫、 万城目学2009『鴨川ホルモー』角川文庫 木村幸比古(文)、三村博史(写真)2000『京都幕末維新をゆく』淡交社 森見登美彦2008『夜は短し歩けよ乙女』角川文庫 白石まみ2014『舞妓はレディ』幻冬舎 細田高広2015『いますぐ行きたくなる 物語のある絶景』文響社 地球の歩き方編集室(編)2016『御朱印でめぐる京都の古寺(改訂版)』ダイヤモンドビック社 武田雄二2007『京都の事典』ランダムハウス講談社 ヨシノブ モトコ(著)2015『京都のえほん/のりものくらししぜん』光村推古書院

七月隆文(著)『ぼくは明日、昨日の君とデートする』の舞台を訪ねる京都観光
国際観光学部1年 大門沙紀

 ゼミの時間の読書感想文を書くために、七月隆文(ななつきたかふみ)さんの『ぼくは明日、昨日の君とデートする』という本を読みました。
 別世界に住む男女が5年に1回40日間だけ会えるという決まりで、ちょうどお互いが、20歳の時出会って恋をします。2人の流れている時間が逆なため、彼の今日は彼女の明日になり、彼にとっての初めてな出来事が彼女にとって最後の出来事になってしまいます。それでも、限られた日のなかで2人が乗り越えていく京都が主な舞台の恋愛物語です。
 この作品は映画でも上映されていて、ロケ地にも足を運んでみました。
 1つ目のロケ地は主人公の2人高寿(たかとし)と愛美(えみ)がよくデート中に行くカフェです。原作でも、抹茶ロールケーキを食べている場面など、カフェが何度か登場していました。ロケ地は、「さらさ西陣」という店の名前で、築80年の銭湯をリノベーションし、2000年に開いた京都市にあるカフェです。そこは昼の12時から店が開店するので、12時半頃に行きました。待たずに入ることができたのですが、食事を終え店を出るときには店の前に列ができていました。店内は、銭湯でよく見かけるマジョリカ・タイルがそのままの内装で使われていたり、小学校の時に冬になると使用していたブルーヒーターで、店内を温めていて、懐かしい雰囲気を醸し出していると思いました。
 店のランチメニューは週替わりで、私が選んだメニューは「鶏のオーブン焼き~きのこのクリームソース~」と「牛しぐれ丼」です。2つのメニューを半分にして頂いたきました。どちらも素材の味が生かされていておいしかったです。サラダとスープも付いていて、女性からするとうれしいですが、ボリュームが多いと感じたので、シェアするのも良いかと思いました。
 2つ目のロケ地はデートで訪れていた伏見稲荷大社です。映画では主人公2人が話をしながらゆっくりと鳥居のなかを歩いていた場面だけでした。どこの神社にもある手水舎(ちょうずや)で手を洗い、口をすすいで本殿でお賽銭をいれ、参拝をしました。どれだけ上に登っても赤い鳥居が並んでおり、鳥居の裏には名前と建てられた時の月日が書かれていました。熊鷹社というところまでは登れたのですが、休日ということもあり、人が多く疲れてしまったので、途中で登るのを諦めてしまいました。しかし、次にこの場所に来たときは、1番上まで行ってみたいと思います。海外からの観光客も多かったと思います。ツアーガイドさんが話しているのが日本語ではなかったことと、手水舎で水の汲み方や駅に行くまでの説明までが日本語の下に英語で書かれていました。本当に有名な観光地だということを感じました。
 3つ目は映画には出てきていないですが、原作でデートで行ったと書かれていた清水です。清水寺には、何度も行きましたが、最近、ゼミのフィールドワークで行きました。河原町から歩いて、味味香(みみこう)という名前の京のカレーうどんを売りにしている店に行きました。味の濃さが選べ、トッピングも自由に頼めるので、自分にあった好きなカレーうどんを食べることが出来ます。その時はチーズをトッピングしました。カレーとチーズの相性が良く、身体が温まりました。近くまで行ったときには、ぜひ食べてほしいと思います。食べ終わると、八坂神社の横を通り、清水寺へ向かいました。坂を上がっている時何人もの着物を着ている人を見ました。着物は歩きにくいものだから着たいと思いませんが、京都の街並みを背景に写真を撮りたいと思う人が多いのかと思います。ここでも海外からの観光客が大勢いました。行った日の天気は雨でした。清水の舞台は人がさしている傘ばかり見え、曇っていてあまり綺麗な写真が撮れたとは言えませんでした。紅葉を見に行く際や景色の写真を撮りたい人は晴れた日をおすすめします。
 このように本を読んだり、映画を見てから行くと、実際に物語の主人公の気持ちがあじわえると思います。これからは本を読んで興味を持った所に出かけてみたいです。

参考文献

森見登美彦(著)『夜は短し歩けよ乙女』を読んで訪ねた京都・先斗町
国際観光学部1年 佐々本双葉

 ゼミのフィールドワークに、当日、体調不良で参加できませんでした。このため、後日、京都に住む友人に頼み、案内をしてもらいながら、『夜は短し歩けよ乙女』の舞台である京都に行ってきました。この作品はゼミ活動の1つである読書マラソンの1つに私が選んだものです。現実味とファンタジーが程よく調和している世界観がとても素敵な作品です。
 物語は京都大学と考えられる大学や、その近くの町を舞台に展開します。恋愛ファンタジーで、大学生の「先輩」と彼が恋する後輩の「黒髪の乙女」二人の視点で語られます。彼女にどうにかして近づこうと頑張る先輩ですが、好奇心旺盛でまっすぐ何事にも進んで行く彼女に追いつくことができず、空回りしてしまいます。それがとても可愛く、読んでいると思わず応援してしまいます。ジャンルはほぼ恋愛だと思いますが、切なさなどは一切なく、テンポよく進むコメディのような作品です。
 物語の全体は四章で構成されており、第一章は、乙女が結婚式の二次会に参加しないことを知った先輩が、彼女を追いかけ、2人きりで会おうと探すお話です。ですが、乙女は逃げている訳ではないのに、先輩の思うように話は進まず、彼女と会うことはできません。
 第一章で作者である森田登美彦先生の世界に一気に引き込まれ、それが私のなかでとても印象に残ったため、乙女と先輩や登場人物がどのような街で何をしたのかが気になりました。そこで、第一章の舞台は先斗町(ぽんとちょう)と文章に書かれていたため、実際の先斗町を味わってきました。
 友人と駅で待ち合わせをし、地下鉄河原町駅から地上へ出ると、一気に都会が広がっていました。こんなところからどうやってあの細い道の先斗町に繋がっているのだろう、と思いました。
 ですが、四条大橋に向かってまっすぐ歩き、橋を渡る直前に左に曲がると、一気に今までの道から雰囲気の変わる先斗町がありました(写真1)。道が狭くて、奥までずうっと続いているような通りを歩いていると、ここに乙女と先輩が本当に来ていて、あのお話を繰り広げたんじゃないかと思ってしまうほどの場所でした(写真2)。提灯や店の看板、たまに家の間から見える鴨川など、第一章のイメージにぴったりのものがたくさんあって、ここまで足を運んでよかったなと思いました。
 その後、物語は夜のお話となり、乙女はお酒を呑みます。ですが、私は未成年ですし、向かったのはお昼だったため、先斗町のなかにある私の友人おすすめのお店でオムライスを食べました。そこに向かう途中でも、細い道や迷いそうな道を歩きました。お昼でも少し暗く、薄暗い先斗町を歩き回ることで、まるで乙女になった気分になりました。
 この日は先斗町に滞在できる時間があまりなかったため、あまり奥まで散策することができませんでした。しかし実際に本の舞台に行くことじたい、私ははじめてだったため、自分が登場人物になったかのように体験できたのは新鮮で楽しかったです。また時間ができれば、この本の他の章や、別の本の舞台を巡ったりしてみたいと思いました。
  • 先斗町の入口。横切る道は四条通り

  • 先斗町のせまい路地

参考文献

  • 森見登美彦『夜は短し歩けよ乙女』角川グループパブリッシング2008年

細田高広(著)『いますぐ行きたくなる:物語のある絶景』を読んで訪れる京都・嵯峨野観光鉄道トロッコ電車
国際観光学部1年 岡玲衣奈

 渡辺ゼミでは、ゼミ活動の一環として京都の図書紹介を後期から半年にわたって行った。
そのなかで私は、『いますぐ行きたくなる 物語のある絶景』という本を紹介した。この本は、普段私たちが何気なく訪れている観光地をはじめ、全国各地の絶景を厳選したものである。そして、その絶景の背景には、じつは驚くべき物語がひそんでいたのである。
絶景とは自然に出来上がって今日まで存在しているものだと、わたしは思っていたが、この本を通して、絶景とはすべてを懸けて守ってくれた人がいるからこそ存在しているものだと、実感するようになった。写真で絶景を眺めるのも良いが、やはり自分で足を運んで絶景を目にしたいと思った。
そこで、私はこの本のなかで紹介されてある嵯峨野(さがの)観光鉄道のトロッコ電車に乗ってきた。書籍によると、ここはかつて廃線であったが、嵯峨野観光鉄道の初代社長が廃線となった山陰本線を活用して観光列車を走らせたのだ。廃線は嵯峨から嵐山、保津峡を経て亀岡に至る7.3kmの路線である。当時、廃線から1年半も経っていたため、あたりにゴミが散乱し、線路の路肩は崩れ、枕木は腐食し、赤錆たレールは背丈を超える雑草に覆われるなど、荒れ放題であった。お金も人も足りない状況のなか、社長みずから先頭に立ち、生命を懸けて保線工事に奔走した。
 こうして3年で消えると噂されていた廃線は、四季を旅する路線へと生まれ変わったのだ。桜、新緑、もみじ、冬景色をくぐり抜けるトロッコ列車は、またたく間に全国で評判になった。今では年間100万人以上の人がトロッコ列車を利用している。このようにすべてを懸けてくれた人がいるからこそ、絶景というのは今日に存在し続けているのだ。
私が足を運んだ際には雪も降っておらず、紅葉のピークも終わっていたという微妙な時期だった。このため、本のような絶景は見られず残念だった。しかし、景色の見所では鉄道の速度を少し落として走ってくれるというサービスもあり、写真も撮りやすく、絶景を堪能できたように感じた。
 次回は桜のシーズンの春や、新緑の夏、そして紅葉シーズンに足を運びたいと思った。また、せっかく嵯峨野まで行くのであれば、保津川下りも体験したいと考えているので、夏に足を運びたい。行きはトロッコ列車、帰りは保津川下り、そして周辺の観光地である竹林の道や渡月橋など、嵐山を散策するプランを実行したいと思う。

参考文献

  • 細田高広『いますぐ行きたくなる 物語のある絶景』文響社 2015年

6.大学入門ゼミは終わっても、ゼミ活動は続く

 冬休みが明けて1月になると、「先生、読んだで」と、5冊読んだ印のついた図書館のスタンプカードを持ってくる学生がちらほらあらわれはじめました。そして、1月下旬には、とうとう13名全員が読書マラソンを完走し、図書券をゲットしました。また、冬休み中に京都を訪れ、読んだ本の舞台をめぐり、学部ホームページにレポートを寄稿してくれた人もいました。
 学生の立場からすると、教員に無理矢理読まされて、感想文を書かされたと思うのでしょう。でも、電子的な誘惑が多い現代にあって、みなが紙の本を読んで感想文を書き、ゼミの友人に本の楽しさを語ることができるようになりました。1年生の時のゼミの経験がじわじわと血となり、肉となり、身体の一部になってゆけばよいと、私は思っております。