学会大会の学生ポスターセッションで発表しました

他大学の先生方や学生から意見をいただき、研究を発展させる機会になりました

 12月4日(日)、森重ゼミ3年生14名が江戸川大学で開催された第31回日本観光研究学会全国大会学生ポスターセッションに参加しました。今回は「若者が求める観光情報とメディアによる情報発信の相違に関する研究−鹿児島市を事例に−」の題目で、これまでの研究成果を発表しました。
 発表内容は次の通りです。まず、若者が旅行に出かける動機やきっかけに関する先行研究をレビューし、カテゴリーを作成しました。次に、鹿児島市を紹介した旅行雑誌に掲載されている観光資源をピックアップし、前述したカテゴリーごとに整理しました。そして、現地調査を実施し、若者向けの観光情報の発信という観点で資源評価を行うとともに、その課題を洗い出しました。
 今回は中間成果の報告ということで、学会大会に参加した先生方や学生からさまざまな意見をいただき、研究を発展させる機会になりました。学会大会の参加を通して学んだことを、以下でゼミ生が報告します。今後は、いただいたさまざまなご意見をもとに研究内容を見直し、鹿児島市の若者向け観光情報ツールの作成に結びつけていく予定です。(森重昌之)

当日の発表の様子

  • ポスターの内容を説明するゼミ生

  • ポスターの内容を説明するゼミ生

  • ポスターの内容を説明するゼミ生

  • ポスターの内容を説明するゼミ生

  • ポスターの内容を説明するゼミ生

  • ゼミ生全員で記念撮影

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参加したゼミ生の報告

多角的に“観光”を学べるポスターセッション
国際観光学部3年 栗田真衣

 12月4日に、千葉県の江戸川大学駒木キャンパスで行われた第31回日本観光研究学会全国大会学生ポスターセッションに参加しました。研究調査場所を鹿児島市と決定し、「若者が求める観光情報とメディアによる情報発信の相違に関する研究」と題して、約1年間の研究成果をポスターにまとめ、多くの観光研究者や他大学の先生方や学生に向けて発表しました。
 鹿児島市は歴史・自然資源が特に多く、魅力あるまちであるにもかかわらず、それらの観光資源を十分に活かし切れておらず、若者に向けた情報発信が不十分であることが明らかになりました。歴史好きな人びと以外にも鹿児島市の歴史の魅力を発信するためには、さまざまな観光資源と組み合わせて発信していくことで、多くの若者の集客につながるのではないかと考えました。鹿児島市の現地調査の際に、9月5日に鹿児島県大阪事務所への聞き取り調査で教えていただいた「屋台村」へ実際に訪れました。屋台村は旅行雑誌などの掲載が少なかったのですが、鹿児島のさまざまな「食」を体験できるところでした。食は旅行の際に欠かせない要素ですので、「食と歴史」を組み合わせるなどの工夫した情報発信が必要になるのではないかと考えました。
 私たちの研究に足を止めて下さった方の中には、「おもしろい研究だね」と声をかけていただく一方で、「若者とはどの範囲までを指すのか」、「カテゴリー別に分けた際、女性はSNSや旅行雑誌などを使って情報を収集する傾向が強いが、男友達で旅行に出かける際の情報源は必ずしも同じとは限らない」などという意見をいただき、本研究での課題もたくさん発見できました。普段、観光研究者に発表する機会が少ないため、はじめはとても緊張しましたが、質問やアドバイスを積極的にいただき、とてもやりがいを感じました。観光研究者の目線でアドバイスをいただく機会は、とても貴重な学びとなりました。
 さらに、発表以外の時間に他大学のポスター発表を見学しました。学生ポスターセッションには愛媛大学や立教大学の学生、阪南大学の他のいくつかのゼミも発表していました。同じ「観光」という分野でも、さまざまな視点から立体的に観光を捉えており、とても勉強になりました。中には昨年先輩から受け継いだ研究を継続している大学や、新たに個人で研究している学生など、さまざまでした。特に愛媛大学は、尾道と道後の観光の現状を比較し、工夫された研究のほか、見やすいポスターに多くの人が集まっていました。発表内容ももちろん大切ですが、タイトルやポスターの「インパクト」の大切さも感じました。

学会発表で気づき、感じたこと
 国際観光学部3年 佐々木麻希

 私たち森重ゼミ3年生は、12月4日に千葉県流山市にある江戸川大学にて開催された、第31回日本観光研究学会全国大会学生ポスターセッションに参加しました。今までのゼミ活動での研究成果として、「若者が求める観光情報とメディアによる情報発信の相違に関する研究−鹿児島市を事例に」についてポスターにまとめ、発表を行いました。
 「鹿児島市のイメージは」と問われると、桜島などの自然観光資源や仙巌園などの歴史的観光資源を答える人が多いと思います。一方で、若者を惹きつけるような観光資源が乏しいことに着目し、「若者が関心を示す観光資源が少ない」、「若者向けの情報発信が乏しい」という2点を課題に設定し、研究を進めました。現状では、鹿児島市の観光客数は横ばい傾向にありますが、若者向けではなく、2018年に放送予定の大河ドラマ「西郷どん」とタイアップした企画など、シルバー世代に向けた取り組みがほとんどだということがわかりました。そこで、若者が旅行に出かける動機や条件などを調べ、ジャンル分けを行いました。また、事前調査として、ガイドブックやウェブサイトから観光資源についての情報を収集し、実際に現地調査に出かけ、これらの資源の実態を確認しました。次に、事前調査で得た情報と現地調査時の印象を比較し、表にまとめました。結果として、若者が興味を示す観光資源は少なくないにもかかわらず、現在の観光資源の実態と事前調査で調べた情報に差があることがわかりました。
 今回、初めてポスターセッションに参加し、私たちの以外にもさまざまな人びとが観光について学んでいることを実感しました。私のグループの発表担当時間は周囲に人が少なく、1組の学生にしか説明することができませんでした。しかし、他のグループが5組も発表しているところを見ると、人が少ないなりにも自分から積極的に声をかけ、いろいろな意見をいただくべきであったと反省しています。中には1人で発表されているポスターもあり、驚きました。
 他のグループがいただいた意見として、「男友達と女友達では、観光資源の情報の入手方法が違うのではないか」がありました。確かに、女友達で旅行に行く場合は、食事やその土地の土産などを検索し、それをグループ内で共有・評価することが多いです。しかし、男友達の場合は、あまり事前に検索をせずに旅行に出かけることが多いようです。これからどのような形で鹿児島市に提案を行うのか具体的なことはまだ決まっていませんが、この男女間の違いをどのように解決するのか、男女間で違いが出るなら、一人旅やカップルでの違いはどうなのかなどについて検討し、いただいた意見を有効に活用していきたいと思います。

若者に伝わる情報発信とは
 国際観光学部3年 梶原奈津希

 12月4日、千葉県の江戸川大学で行われた第31回日本観光研究学会全国大会学生ポスターセッションで発表しました。私たち森重ゼミ5期生は、これまで鹿児島市の調査を行ってきました。それらの事前調査や現地調査の結果をポスターにまとめました。
 鹿児島市は桜島や歴史資源の印象が強いため、魅力があるにもかかわらず、若者を引き付ける観光資源に乏しいと考えました。鹿児島市の観光入込客数は横ばい傾向にありますが、若者よりもシルバー世代をターゲットにした観光施策が中心となっています。先行研究から、若者が旅行に行く動機を分析し、ジャンル別に調査したものを表にまとめました。事前調査として、学内の図書室でガイドブックに掲載されている鹿児島市の観光資源を抽出するとともに、出現頻度を確認し、観光名所や温泉、飲食店、宿泊施設、特産品に分類しました。その結果、観光名所の歴史・自然資源が中心に紹介されていることがわかり、逆に温泉や宿泊施設の紹介が少ないことがわかりました。現地調査では、鹿児島市役所や鹿児島観光コンベンション協会の方に若者向けの観光資源があるかどうか調査し、その方々に教えていただいた観光資源や私たちが事前に調べた観光資源を各グループに分かれ、実際に訪れました。そして、事前に調べた情報と、実際に自分たちの目で確認した現地調査の結果を比較しました。すると、若者が興味を引くような観光資源があるにもかかわらず、「食」以外のジャンルでは適切に情報発信ができていないという結論に至りました。今後は、「食」以外の面で工夫されたパンフレットの作成が必要ではないかと考えています。
 今まで現地の方々やゼミ生と議論を交わすことは多々ありましたが、このような研究の成果を人前で発表するのは初めてでした。全国各地から先生方や学生が集まっていました。まとめた研究の結果を人前で発表するのは少し緊張しましたが、今までにない達成感を得ることができました。お褒めの言葉をいただいたことが嬉しかったのはもちろんですが、私たちの持っていない着眼点で意見をいただいたことがとても貴重な体験となりました。足りない部分がまだまだたくさんあり、これから改善していく必要があると、改めて実感することができました。いただいた意見を真摯に受け止め、今後の研究に生かしたいです。
 最後に、かかわっていただいた鹿児島市の方々や指導してくれた先生、今回のポスターセッションで足を止めて貴重な意見を下さった先生方や学生に深く感謝申し上げます。

ポスター発表から見えてきた課題
 国際観光学部3年 仲田玉徳

 私は12月4日に千葉県の江戸川大学で開催された第31回日本観光研究学会全国大会学生ポスターセッションに参加し、「若者が求める観光情報とメディアによる情報発信の相違に関する研究-鹿児島を事例に」の題目で発表を行いました。
 発表の概要は、次の通りです。鹿児島市は明治維新の歴史資源の印象が強い都市であることから、若者向けの観光資源が少ないのではないのかと考えました。私たち森重ゼミでは、若者が旅行に行く動機を調べ、鹿児島市の観光資源を紹介したパンフレットやガイドブックを用いて、若者が関心を示す観光スポットをまとめました。その上で、現地調査を行ったほか、鹿児島県大阪事務所や鹿児島市役所、鹿児島観光コンベンション協会に聞き取り調査を実施しました。事前調査と現地調査を比較したところ、若者が関心を示す資源があるのにもかかわらず、ガイドブックなどで適切に発信できていないなどの課題が見られました。これらの調査から、若者を惹きつけるためには、たんに観光資源を紹介するだけではなく、若者に焦点を合わせた資源の紹介の工夫を考える必要があると考えました。
 自分の発表の時、緊張のあまり相手の顔色をうかがいながら、おどおどした発表になってしまい、人前で発表するには練習が足りていなかったと痛感しました。来場者の方々からは、「なぜ鹿児島なのか説明してほしい」、「事前調査と現地調査を比較した表をもう少し具体的にしてみてはどうか」、「客観的事実と自分たちのイメージを分ける必要がある」、「若者とは何歳から何歳までを指しているか」など、ご指摘や貴重なアドバイスをいただきました。これからの研究で得た改善すべきポイントを改め、さらに深く研究を進めていきたいと思います。
 私が今回のポスターセッションで特に印象に残ったのは、立教大学の「東京におけるイスラミックツーリズム−現地調査から見えた東京のムスリム観光客受け入れの現状」という発表です。イスラミックツーリズムとは、ムスリム観光客をターゲットとした観光形態です。この発表で特におもしろいと感じたところは、イスラム教の方々でも人目を気にせずに祈りを行える教会をつくる、食文化を取り入れるなど、東京オリンピックを見据えた研究を行っていた点です。自分たちの研究とは違い、良い刺激を得ることができました。
 ポスターセッションを経て、自分たちの意見だけではなく、外部の意見を取り入れることで新しい発見ができたように思いました。今回の経験を生かし、今後の展開に向けて必要な課題も見つかったことから、若者に関心を持ってもらえるような観光マップの制作やカテゴリーごとに分けたルートづくりなどに力を注ぎたいと思います。

伝えて初めて気づくこと
 国際観光学部3年 山田奈緒子

 私たち森重ゼミは、12月4日に日本観光研究学会が主催する学生ポスターセッションに参加しました。鹿児島市に若い世代の観光客を誘致するための調査を約8ヶ月間行ってきて、初めての発表の場でした。
 ポスターセッションが始まると同時に、まず私は他大学のポスターを見て周りました。他大学の発表の方法などを見て、今後の参考にするためです。自分たちのポスターとはまったく違ったレイアウトで、字が大きく読みやすくつくられた大学のポスターを見て、感心する点が多くありました。何よりも、他大学の学生の発表中の話し方に圧倒されました。誰に発表する時でも物怖じせず、堂々と話をする学生を見て、負けていられないと感じました。とても良い刺激になりました。
 私たちはまだ研究の途中経過での発表になってしまったのですが、他大学の先生方や学生から、自分たちでは気づくことのできなかった点を多く指摘していただけました。最も多くいただいた意見は、私たちが作成した「カテゴリー別の鹿児島市の観光資源」の表がわかりにくいということでした。実際に調査を行った私たちは見るだけで理解できる表ですが、私たちの発表内容を聞いてくださった方々にとっては、確かにわかりづらい表になってしまっていたと思います。自分たちがこれで理解してもらえると勝手に判断するのではなく、聞いてくださる方がすぐに理解できる表になっているかということを、これからは考えないといけないと感じました。一方で、「若者に絞って研究をすることは良いことだ」というお褒めの言葉もいただきました。若者は観光地で多くのお金を落とさないかもしれませんが、情報発信力ではどの層よりも優れているということでした。そして、その情報発信力を活用し、若者にターゲットを絞ることはおもしろく、この研究の完成を楽しみにしていると言っていただけました。このような意見をいただき、私自身のこれからの活動意欲を上げることができました。
 私たちの研究には正解がありません。そのため、研究を続けてきたこの約8ヶ月間、これで良いのか、このやり方で合っているのかと不安になることもありました。しかし、私たちの研究内容に興味を示してくださる方がたくさんいて、この方法で間違ってなかったと安心すると同時に、少しの自信につながりました。来年には鹿児島市役所や鹿児島観光コンベンション協会に、私たちの研究成果を発表する予定です。今回のポスターセッションで指摘していただいた点を改善し、完成度の高い発表にしたいと思います。

鹿児島市の若者観光客を増やすための課題が明確になった貴重な経験
 国際観光学部3年 森川奈央

 私たち森重ゼミ3年生は、12月4日に千葉県にある江戸川大学で、第31回日本観光研究学会全国大会学生ポスターセッションに参加しました。私たちは、歴史的観光資源はたくさんあるものの、若者を惹きつける観光資源に乏しいと考えられる鹿児島市に目を向けました。そして、若者が求める観光資源が鹿児島市にあるのかどうか、ガイドブックやウェブサイトなどで観光資源を抽出し、カテゴリー別に分け、事前に調べた情報と現地調査の結果を比較して表にまとめ、ポスターセッションで発表しました。
 ポスターセッションでは、全国各地の他大学の先生方や学生から貴重なご意見やご質問をいただきました。例えば、「つくった表がわかりにくい」というご意見をいただきました。私たちも説明する上で今のままの表では伝えにくく、私たちが伝えたい結果と見た瞬間に感じられる結果が違うものになると気づきました。
 次に、ガイドブックを参考にする観光客層についてです。これは、私たちが若者を「カップル」、「一人旅」、「男友達」、「女友達」のカテゴリーに分け、それぞれの視点で評価を行ったのですが、それに対して「どのカテゴリーがガイドブックをよく利用するのか調査し、ターゲットを絞ってみても良い」という意見をいただきました。確かに、男友達で旅行に行く際は、ガイドブックで事前に調べてから行くというよりも、現地に到着してから行く場所を決めることが多いというイメージがあります。一方、女友達の旅行では、みんなでガイドブックのおすすめコースなどを見て、事前に下調べして行くことが多いように思います。自分たちだけでは気づかなかった貴重なご意見だと感じました。
 最後に、何度も鹿児島市を訪れているという方から、「確かに、鹿児島市には若者が興味を持つ観光資源が少ないし、鹿児島市自体もあまり若者を呼び込むための活動を行っていないが、実際にシルバー層の方が一度に使う消費金額が多く、市内に落ちるお金も多い。今の若者はお金を落とさないが、情報発信力がある。君たちの研究は鹿児島市にとって、とても意味のある研究だと思うので、市役所などと協力して進めてほしい」と言われました。なれない発表をほめていただき、鹿児島市で発表する前に自信を得られたほか、たくさんのご意見をいただき、今後進めていくことが見えてきました。
 今後はなぜ若者を呼び込むべきなのかについてきちんと説明し、その上で情報発信を正しく行うために、若者向けの広告やチラシ、マップなどをつくる作業を進めていきますが、そのためにもとても良い機会になりました。