インカレねむろ事業の成果を学会で発表しました

個人観光客を受け入れるしくみの必要性を発表しました

 国際観光学部1〜4年の11名が北海道標津町をフィールドに、「インカレねむろ・大学等研究プロジェクト2014」による調査研究を行っています。彼らは10月23日〜27日に現地調査を実施し、その後標津町の課題の抽出や解決に向けた方策を検討してきました。そして、12月7日(日)に大阪府立大学I-siteなんばで開催された、第29回日本観光研究学会全国大会学生ポスターセッションに参加し、「個人観光客を受け入れるしくみの必要性−北海道標津町を事例に−」という題目で、成果を発表しました。
 メンバーの多くが初めて学会発表に挑戦するということもあり、内容のまとめ方やポスターの作成方法などに苦労を重ね、連日夜遅くまで準備を進めてきました。準備に向けた苦労や当日の彼らの感想は以下に示しますが、ここで得た成果をもとに、来年1月24日(土)に根室管内で行われる最終成果の発表に向けて、引き続き準備を進めていく予定です。(森重昌之)

当日の発表の様子

  • ポスター発表の様子

  • ポスター発表の様子

  • 発表者全員で記念撮影

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参加したメンバーの報告

広い視野を持って取り組むことの大切さ
 国際観光学部2年 榊原 知恵

 12月7日に行われた日本観光研究学会全国大会に参加し、10月に訪れた標津町を事例に、個人観光客を受け入れるしくみの必要性について発表しました。
 人口が過疎化する地域では、地域資源や地域産業を生かした観光が実施されていますが、一方で課題もあります。標津町の場合は個人観光客を受け入れるしくみを整える必要があるのではないかと考え、研究しました。標津町にはイクラづくりやサケ荷揚げ見学などの漁業体験、ジャングルカヌーや芋掘りなどの自然・アウトドア体験、ちゃんちゃん焼きや芋餅づくりなどの郷土料理体験など、体験型観光のメニューがたくさんあります。他にも星空や地平線まで真っ直ぐに伸びる開放的な道など、地元の人びとにとっては日常的な景観も、私たちには感動的なものであること、それが観光資源になりうることも提案しました。標津町が体験型観光を推進した結果、町民から「地域の産業を誇りに思うようになった」、「標津町の認知度が上がった」という評価が得られました。現在、町役場や町民の皆さんが自分の職業とは別に、スタッフやガイドも兼任して観光客を受け入れているため、年度によって観光客数が安定していないという課題があります。標津町が目標とする「観光の産業化」の実現のためには、団体観光客だけでなく、新たに個人観光客の集客に向けた取り組みが必要であることを提案しました。個人観光客は団体旅行のようにスケジュールが組まれていないため自由に行動でき、町民との触れ合い機会が増えることや、顧客単価を高めることができるといったメリットがあります。そこで、まちあるきやPR方法の工夫など、受け入れの実現に向けた取り組みもあげました。
 学会発表の際に、他大学の先生の方から「どこまでが団体旅行になるのか」、「食ツアーでは、どのようなことを行っているのか」、「冬に訪れる観光客はどれくらいいるのか」などの質問や、「空き家を何かに利用できるのではないか」、「乗合タクシーのように、団体観光客とのバスの乗り合わせをすれば、足の確保や新たなコミュニケーションの創出につながるのではないか」、「コンビニエンスストアで農産物を販売すればよいのではないか」、「地元の学生に自分たちが町を盛り上げて守っていくのだと思ってもらうことが大切なのではないか」など、さまざまな方向から意見をいただくことができました。思いつかなかったことに気づく機会でもありましたし、「私のゼミ生にも見せたい」と、ポスターの写真を撮っていかれる方もおられ、私たちの研究に興味を抱いてくださることに嬉しさも感じました。
 今回のプレゼンテーションで、幅広い視野を持ち、根拠を持って自分の考えを発信していくことの大切さも実感しました。学会発表でいただいた意見も踏まえて、個人観光客を受け入れるために必要なことは何か、さらに研究を深めていきたいと考えています。

周辺地域との連携を図る必要性を感じた
 国際観光学部2年 長谷川真保

 私たちは、12月7日に大阪府立大学I-siteなんばで行われた学生ポスターセッションに参加しました。会場では、他大学の学生のポスターが掲示されていたほか、研究者の発表を聞くことができました。私たちは、10月22日から10月28日に北海道標津町を訪れ、地域産業を生かした体験型観光の取り組みについての現状を知るため、現地調査を行いました。そして、現地調査を通してわかった標津町の体験型観光の取り組みの成果や標津町の魅力、課題などを分析し、ポスターにまとめ、発表しました。
 今回のテーマは、「北海道標津町を事例に、個人観光客を受け入れるしくみの必要性を明らかにする」ということでした。私たちが現地調査で体験したこと、感じたことなどを発表しました。標津町がどこにあるのかを知っている人は少なく、私たちのポスターに興味を示してくれる人がおられました。ポスターを見て、標津町にはたくさんの体験プログラムがあると感じてくださった方もおられました。私は体験プログラムが豊富であることは、標津町が実施している体験型観光のひとつの魅力であると感じました。これまで、体験プログラムが多いことは地元ガイドの負担になるというデメリットが生じるのではないかと考えていました。しかし、今回標津町外の人びとからの客観的な意見を聞き、体験プログラムが豊富であるという魅力を生かして、個人観光客を受け入れるしくみを考えたいと感じました。
 また、標津町に限ったことではありませんが、「人口が少ない地域でまちづくりを図ろうとする時、周りの地域との連携が必要である」という意見もいただきました。私はその意見を聞いて、本当にその通りだと感じました。現在、標津町も修学旅行生を受け入れる際には、一度に大勢の生徒を宿泊させる旅館がないという現状にあります。そこで、隣の旅館と連携して「分宿」という形をとっています。しかし、もっと周りの地域と連携する体制が必要だと思います。周辺地域と連携することで体験できるメニューが増えたり、新たに宿泊施設をつくることをしなくても、今ある宿泊施設を生かして受け入れ態勢を強化することができたりするのではないかと思いました。
 今回のポスターセッションでは、私たちが気づかなかった意見をいただくことができました。そして、新たに考えなければならない課題も見つけることができました。これから、標津町とその周辺地域との連携を図るにはどうすればよいのか、考えてなければならないと感じました。

新たな課題、アイディアの創出につながった観光研究学会
 国際観光学部2年 吉田知奈

 10月22日から28日まで北海道標津町で現地調査を行い、その後12月7日の観光研究学会まで何度も会議を重ね、メンバー同士で「個人観光客を受け入れるしくみの必要性」をテーマに、さまざまな案を出し合ってきました。毎日遅くまで大学に残り、ポスターを作成し、実際に完成したのは発表の3日前でした。2日前の金曜日にもう一度メンバーで集まり、発表の練習を行いました。
 当日は1、2回生を中心に2人1組になり、ポスターを見に来て下さる方々に発表し、意見や質問をいただきました。主に発表を聞いて下さる方は他大学の先生で、先生方がそれぞれ研究されている観光学の視点から意見を下さいました。「宿泊施設が少ないので、個人観光客を増やしても、宿泊者数は増えないのではないか」、「標津町の周りの市町村と連携した観光のしくみをつくってはどうか」といったご意見のほか、阪南大学の吉兼先生にも、「団体旅行のバスに個人観光客を乗り合わせるなど、交通のしくみをもう少し考えてみたらどうか」などの貴重なご意見をいただきました。どの意見も、来年1月に行われるインカレねむろの研究発表会での発表内容を充実させるものばかりで、研究発表会に参加する前に観光研究学会で発表する機会があり、参加できて本当に良かったと感じました。
 専門の研究をなさっているからこそ考え出せるアイディアがあり、学生の私たちでは考えつかないようなご意見をたくさんいただきました。ある先生は、ポスターと私たちの写真を撮って下さり、「帰って自分のゼミ生に見せようと思う」と言って下さり、とても光栄でした。学会発表では、ポスターセッションを見て、意見をいただけるだけでなく、他大学の先生や学生と交流できる機会でもあります。江戸川大学で教授をなさっている鈴木先生には、私の地元にある奈良医科大学が行っている「空き家をレストランにする」という活動を教えていただき、とても楽しくお話しさせていただきました。おもしろい先生で、話を聞いていて惹きつけられました。他大学の研究発表もとても興味深く、同じ観光学でも本当にいろいろな考え方があり、改めて奥深さを感じました。今回の学会発表でいただいた、たくさんの貴重な意見を持ち帰り、改めて議論し、1月の研究発表会に向けて「個人観光客を誘致するための提案」の内容をもっと素晴らしいものにしたいと思います。時間は限られていますが、初めてのパワーポイントを使っての発表になるので、先生方や先輩方の発表を参考に、楽しみながら頑張りたいと思います。

標津町の現状と地域外の標津町の認知度
 国際観光学部2年 絹田祐介

 今回、12月7日にI-siteなんばにて、学生によるポスターセッションが行われました。私たちは北海道標津町を事例に、個人観光客を受け入れるしくみの必要性についての発表を行いました。学会に来られた先生方や他大学の学生に発表したところ、やはり標津町の認知度は低く、どのような観光資源があるのか知らない方が多いという現状でした。実際に標津町の場所は、11月に現地調査で訪れるまで私たちも知りませんでした。
 標津町では、地域資源や地域産業を生かした体験型観光を推進した結果、一定の評価は得ることができましたが、現在では町役場や町民ガイドが中心になって団体観光客を受け入れるしくみになっているため、年度によって観光客数が安定しません。そのため標津町は「観光の産業化」をめざしていますが、年間を通じて安定的に観光客を受け入れることができなければ、「観光の産業化」の実現は難しいといえます。そこで、現在の団体観光客を中心とした体験型観光だけではなく、新たに個人観光客を対象とした取り組みやしくみを考える必要があります。そこで、実際に個人観光客を受け入れた場合のメリットとして2つをあげました。1つ目は、現地調査に訪れた際に、標津町の主な観光資源であるサーモンパークや北方領土館などの他に、自然の豊かさや標津住民のホスピタリティの高さなども観光資源になるのではないかと感じました。しかし、団体旅行のようにスケジュールの組まれているツアーでは、観光客が自由に行動できないため、個人観光客が住民との交流機会を増やすことができるというメリットです。2つ目は、団体旅行では顧客単価が下がる傾向がありますが、個人旅行客を誘致することで、顧客単価を高めるとともに、良質なサービスを提供できるというメリットがあります。そこで、個人観光客を受け入れるしくみが必要であることを提案し、個人観光客を受け入れることによって、2つのメリットを実現させるために、いつでも対応できる専門スタッフの配置とそのためのコストをどのように確保するかといった課題があるという内容で発表しました。
 標津町について発表し、内容を知っていただいたところ、興味を持ってくださった方が多く、一度標津町に遊びに行ってみたいという意見もいただくことができました。このことから、標津町について知らない人が多いですが、興味を持ってくださる人もたくさんいることを知ることができ、改めて標津町のPRが必要であると感じました。

標津町を盛り上げる提案
 国際観光学部2年 佐藤研

 12月7日に日本観光研究学会全国大会に参加し、大学の先生方や大学院生からいろいろな意見やアドバイスをいただきました。今回初めて参加させていただきましたが、他の大学のプレゼンなど聞いて、「このような考え方もあるのか」などと学ぶことができ、自分にとってもプラスになりました。他大学の先生方からいただいたご意見やご提案を整理したいと思います。
 1つ目は標津町だけで考えるのではなく、根室管内一帯の地域で連携し、お互いに協力しながら進めていけばよいのではないかという意見をいただきました。標津町だけで考えると範囲が狭いので、考えられることが少ないと感じました。しかし、標津町の周辺地域と協力すれば、他地域の良い場所を参考にすることもでき、標津町も周辺地域も活性化できるのではないかと思いました。
 2つ目は標津町にある高等学校との連携です。高校生を使ってまちおこしをするという考えです。高校生にまちおこしにかかわってもらい、ここでしか体験できないようなことを考えてもらえば、標津町にとってもプラスになると考えました。それに観光客と地域の方々が触れ合う機会が増え、標津町の文化などを学ぶこともできるのではないかと思いました。
 3つ目は漁業が基幹産業なので、漁家民宿をつくるという提案です。漁家民宿のアイディアはとてもおもしろいと思います。しかし、夏はとても良いと思いますが、寒い時には利用客が減るのではないかと思いました。そこで、暖かい時期に海辺でしかできないイベントや行事をつくり、利用客の増加を見込んだ上で、漁家民宿で新鮮な魚料理が食べられるといったことなどを考えてみればよいと思いました。そうすることによって、いつでも新鮮な料理を出すことができ、標津町は良いところだと利用客に思っていただくことで、個人旅行者が増えるのではないかと思いました。
 これらの提案を踏まえて思ったことは、高校生しかできないイベントなどを増やせば、若者や高齢者の個人観光客が増え、利益があがるのではないかと考えました。今回学会に参加させていただき、いろいろと勉強させていただきました。自分たちの中ではできていると思っていても、他の大学の先生方から見ればまだまだ不十分なところがあるということです。例えば、ポスターで用いた「食ツアー」のグラフです。私たちは気にしなかったのですが、「なぜ食ツアーだけがこれほど伸びているのか」との指摘をいただき、細かい部分であっても大事なことだと感じました。このように細かい部分でもしっかりと調べて発表していきたいと思います。

現地調査における情報収集の重要性
 国際観光学部2年 劉俊峰

 12月7日、大阪府立大学へ学会全国大会に参加し、観光関係者に私たちの研究を紹介しました。今回の研究では、標津町を事例に、個人観光客を受け入れるしくみの必要性を明らかにすることを目的としました。近年、過疎化が進む地域では、観光によって交流人口を増加させようとする活動が盛んに行われています。標津町においても、酪農業や漁業などの地域資源や地域産業を生かした体験型観光に取り組んでいて、一定の成果を収めていますが、一方で課題も見られます。そこで、10月に現地を訪問し、さまざまな体験や見学などを行うとともに、関係者への聞き取り調査や意見交換会を行いました。
 標津町は北海道東部、根室振興局管内標津郡にある町で、現在の人口が5,430人です。624.49km2の面積の中で、森林面積が68%を占めます。主な産業は酪農業、サケを中心した漁業です。主な観光資源については、サーモン科学館やポー川史跡公園、北方領土館など、現地の人びとに知られている観光資源があります。しかし、今回の現地調査を通して、大規模な草地型酪農や真っ直ぐに伸びる道などの広大な景観、とても親切に接していただいた地域住民のホスピタリティという魅力を感じて、これも観光資源として利用できると思いました。
 標津町の体験型観光を始めるきっかけについては、1999年に隣町のイクラから病原性大腸菌O-157が発生し、風評被害を受けました。そこで、消費者に安心・安全なサケを知ってもらうための「モニターツアー」を実施しました。これが好評だったことから、2001年から「標津町エコ・ツーリズム」として体験型観光を展開することになりました。現在、標津町で行われている体験型観光のメニューは主に3つに分けられます。イクラづくりや荷揚げ見学などの漁業体験、波止釣りやジャングルカヌー、乗馬などの自然・アウトドア体験、ちゃんちゃん焼きや芋餅づくりなどの郷土料理体験というメニューがあります。これらの背景・目的、現状を説明しました。
 紹介しているうちに、各大学の先生方や観光関係者から、さまざまな質問や意見などをいただきました。例えば、「食ツアーとはどのようなツアーか」という質問を聞かれました。準備不足でしたので最初は答えられませんでしたが、すぐに調べた結果、標津町の食ツアーとは、宿泊を伴わない通過型の「こだわりのサケ料理の提供で、海と大地の恵みの収穫ツアー」とわかりました。また、「標津町だけではなく、道東の地域連携を考えるべきではないか」との指摘もありました。これは、1つのしくみとして考えられ、発表したポスターの課題であると感じました。

個人観光客誘致の必要性
 国際観光学部1年 西内拓史

 私は今回、学会大会に初めて参加しました。今回の学会発表では、自分たちが実際に北海道の道東に位置する標津町を訪れた際に出てきた課題である「個人観光客の受け入れる必要性」について発表しました。
 私はインカレねむろ事業に参加し、10月22日〜10月27日までの6日間、北海道標津町に滞在し、どのようにして観光客をさらに誘致するかを、実際に標津町の体験型観光プログラムを体験しながら考えました。この6日間で、私たちは体験型観光について、事前に予約を入れてくれる団体観光客を受け入れるしくみは整っているが、スタッフの人員不足のため、急に訪れた観光客に対応することが難しい状況であること、さらに団体観光客はシーズンによって偏りがあるため、個人観光客を受け入れる必要性があること考えました。そして、私たちは個人観光客の誘致する必要性を話し合い、大阪府立大学で行われた学会大会で発表することにしました。
 この学会大会では、各地から多くの先生や学生が参加していました。自分たちの研究成果を実際に見ていただき、さまざまなアドバイスや指摘をいただくことができ、自分たちが見落としていた点も明らかになりました。また、「団体観光客はシーズンによって偏りがあるが、個人観光客にも同じように偏りがあり、安定して集客できるわけではないのではないか」など、さまざまな意見や課題もいただきました。やはり学生の考えだけでは矛盾している点などもあるため、さまざまな先生に見ていただくことができ、感想をうかがうこともできるので、参加して良かったと感じました。研究の内容以外にも、小学生から高校生までの学生が、自分たちのまちを活性化させるための取り組みを自分たちで考え、小学3年生の女の子が耕運機を操作して、いろいろな発想でまちを活性化しようと取り組んでいる例を紹介していただき、「それを実現化しようとすることが大切なんだよ」と教えていただきました。
 今回の研究では、2回生と1回生が中心になって発表しましたが、私自身ができることでも先輩に頼ってしまった部分が多く、反省点としてあげられます。なかなか経験することのできない企画に参加させていただいているので、多くのことを勉強しようと感じた学会発表でした。
 自分たちの力だけでは足りない部分もありますが、今回の学会発表で指摘された部分を自分たちで修正し、標津町にたくさんの個人観光客を誘致し、活性化を図る方法を、これからグループのメンバーで検討したいと考えています。

個人観光客を受け入れるしくみの必要性
 国際観光学部1年 山内菜美子

 今回の日本観光研究学会の学生ポスターセッションでは、北海道標津町を事例に、個人観光客を受け入れる仕組みの必要性についての研究を発表しました。
 標津町は、北海道東部の海沿いに位置しており、人口が5,430人の町です。標津町は体験型観光を推進することで、地元産業を生かして観光客を呼び込むことができており、町の活性化にも力を入れています。その取り組みが評価され、地域ハサップや標津町の認知度が上がっています。さらに、観光の産業化をめざした取り組みも行われています。しかし、標津町に訪れる観光客は教育旅行などの団体観光客がほとんどで、個人観光客が少ないのが現状です。団体観光客は一度に多くの観光客を集められますが、年度によって団体数が変化するため、観光客数が安定しません。観光の産業化をめざしていても、安定的に観光客を受け入れなければ、観光の産業化の実現は難しいです。そのためにも、個人観光客を受け入れるための取り組みが必要といえます。個人観光客を受け入れた時のメリットは、ホスピテリティの高さを実感できることです。私たちが現地を訪問した際、まちあるきや朝のラジオ体操で住民の方が気軽に話かけてくれました。団体旅行のようなスケジュールが組まれていないツアーは、自由に行動できるので、地域住民との交流機会を増やすことができます。しかし、現在の標津町は、個人観光客を受け入れる体制が整っていないことが問題になっています。宿泊施設はネット予約ができず、体験型観光も直前の予約ができない状況にあります。今後、個人観光客を受け入れるために、いつでも対応できる各分野の専門スタッフの配置やそのためのコストを確保するのが課題です。
 これを踏まえて、聞いていただいた先生方から意見をいただきました。1つ目は、標津町は宿泊施設が少ないから、観光客を増やそうとしても泊まる場所がないという意見です。2つ目は、ツアーに途中から参加するという意見です。3つ目は、標津町だけではなく、周りの地域と連携すればよいのではないかという意見です。宿泊施設が少ないという点については、農家ホームステイを個人観光客向けにできたらいいなと考えました。周りの地域と連携することで、宿泊施設の問題も少しは改善すると考えています。今回の学会発表では、新たな課題や提案をいただきました。それを踏まえて、今後は標津町に個人観光客を受け入れるしくみをもっと考えて提案していきたいと思います。