フィールドワークについて

メンバー

安達七菜(3回生)・田谷成美(2回生)・小林志帆(1回生)

利用チケット

 私たちは『高野山・世界遺産きっぷ』(新今宮駅発で一人あたり2,780円)を利用しました。このチケットは,南海各駅から高野山駅までの割引往復乗車券に,高野山内バス2日間フリー乗車券が付き,特典として金剛峯寺ほかの拝観料2割引,お土産1割引なども付いています。1年間通じて販売されていて,2日間有効のチケットです。
 南海電車で途中下車はできませんが,2日間有効というのがいいところです。高野山の宿坊に泊まってゆっくりするのに適しているチケットと言えるでしょう。

コース紹介

ホテルオアシス出発(徒歩・10分弱)→南海電鉄新今宮駅(南海高野線快速急行極楽橋行・90分弱・850円)→極楽橋(南海高野線ケーブル高野山行・5分・380円)→高野山駅(南海りんかんバス・10分弱・280円)→千手院橋(徒歩・10分弱)→金剛峯寺(拝観料400円,通常なら500円・徒歩・10分弱)→高野山霊宝館(入場料350円,通常なら600円・徒歩・20分弱)→中央案内所(徒歩・5分弱)→千手院橋(南海りんかんバス・10分弱・140円)→奥の院口/一の橋案内所/奥の院休憩処/奥の院御廟/中の橋案内所/奥の院前バス停(南海りんかいバス・15分弱・400円)→高野山駅(南海高野線ケーブル・5分・380円)→極楽橋(南海高野線急行橋本経由・100分・850円)→新今宮

お得なチケットについて

 新今宮から乗るとお得でないので私たちは利用しませんでしたが,私鉄や大阪市交通局と連携した『高野山1dayチケット』は,関西圏から高野山への日帰り観光に最適のチケットです。例えば,大阪市交通局版(2,850円)ならば,有効期限1日間で,大阪市営の地下鉄・ニュートラム・バス全線が乗り放題となり,南海高野線および南海りんかんバスが乗り放題となります。
 南海新今宮駅発の『高野山・世界遺産きっぷ』が2,780円で,差額はわずか70円。有効期限が1日か2日かという差を考えなければ,地下鉄1区間乗るならば,こちらの方が断然お得で,途中下車もできるから便利でしょう。高野山への日帰り観光は時間がかかるので,新今宮に帰ってから時間的にも肉体的にも余裕がないかもしれない。でも,ホテルをチェックアウトして荷物をホテルにあずけ,たっぷり高野山を楽しんで新今宮に帰り,それからもうひと頑張りして京都や奈良に向かうなら,このチケットの購入を勧めるべきだと思います。

多言語表示について

 南海電車ではチケット販売窓口とホームに英語表記があります。電車名,時刻表の曜日は英語表記で,それ以外は日本語表記のみ,電車内のアナウンスもすべて日本語のみでした。ケーブルカー乗り場には「For cablecar」と表示してありましたが,駅名以外は日本語表記のみでした。英語でのアナウンスもありましたが,とても聞き取り難い状況でした。
 高野山駅に着くとバス乗り場までの英語表記はありませんが,駅を降りたすぐ目の前が乗り場なので問題は感じませんでした。南海りんかんバスでは路線図とアナウンスは日本語と英語の表記で,車内の電光掲示板に停留所名がローマ字でも流れるので,目的の停留所で降りる事ができます。また,バスの乗り方,時刻表の見方,路線図が書いているパンフレットが置いてあり,初めて日本でバスにのる外国人にも分かりやすい内容でした。このあたりはさすがに世界遺産登録されている観光地だなと感心しました。
 次に案内所についてですが,ほとんどの案内所は英語のみの対応でした。しかし,中央案内所・一の橋案内所で音声ガイド(英語・フランス語・韓国語・中国語)の機械を貸し出していました。有料ボランティアもいて,週一回,英語で高野山を回るツアーがあると聞きました。
 金剛峯寺には拝観料,撮影禁止,土足禁止などのマナーについて英語表記がありました。展示の説明は日本語と英語の表記がありました。霊宝館では仏像などの名前,材質,高さは英語での説明がありましたが,詳しい説明は日本語のみでした。弘法大師の生涯など重要な人物の説明も日本語だけで,仏像の意味などは理解出来ないのではないかと感じました。奥の院御廟では諸注意は日本語・英語のみでしたが,音声ガイドでの詳しい説明がありました。

観光案内所について

 中央案内所:千手院橋バス停のすぐ目の前にあり見つけやすい。運営スタッフは14名で,民間と宿坊組合が運営しています。
 一の橋案内所:奥の院口バス停の近くにあるが,規模が小さいので見逃すかもしれません。運営スタッフは1人で,民間と宿坊組合が運営しています。
 中の橋案内所:奥の院前バス停の近くにあるが,見逃すかもしれません。あまり訪問する人がいないようでパンフレットがたくさん置いてありました。

まとめ

 ある程度の日本での滞在経験があり,日本語ガイドブックなどで下調べした外国人観光客なら行けるかもしれませんが,何も知らない初来日の外国人が高野山をめぐるのはとても難しいと感じました。日本史の好きな外国人が奥の院に行くととても興奮するかもしれませんが,細かな説明は少ない。歴史的背景を知らない外国人が奥の院に訪れても,お墓ばかりであまり楽しめないかもしれません。
 多言語表記については英語のみの対応で韓国語,中国語の対応はあまりされていませんでした。パンフレットだけは,日・英・仏・韓・中がありました。また,音声ガイドの貸し出し時間が朝8時半から夕方4時半と短く,広範囲に見所が点在しているため,時間が限られるとこも,問題だと感じました。有料ボランティアが所属している“Visitor Information Center”が日曜日に休館するので,外国人旅行者も不便に感じるのではないでしょうか。また,山間部にありバスの本数が少ない上に,パンフレットに載っている時刻表と電車の時刻表が一致していないなど,全体的に交通機関の外国人旅行者への対応が遅れていると感じました。

高野山への日帰り観光についての感想

今回のフィールドワークでは新今宮からの日帰り観光を意識して色々と調べました。しかし,高野山の場合は,交通の便が良い新今宮からでも,たどりつくまでにたっぷり2時間はかかります。バスの本数も少ないため,高野山でゆったりと時間を過ごすには,日帰り観光よりも1泊した方がいいかもしれません。
 高野山にはこの地域独特の宿坊と呼ばれる宿泊施設が50軒余りもあります。このなかで外国人に日本の仏教文化を伝えるしっかりとした所があれば,そこに1泊して高野山を堪能するのもいいかもしれません。高野山の宿坊にどんな所があるのか調べる必要があると思います。早朝や深夜の高野山は,昼間とは全く別の姿を見せてくれることでしょう。
 今回利用した『高野野山・世界遺産きっぷ』は有効期限が2日間なので,高野山で1泊するのに最適のお得なチケットです。新今宮を離れる最終日にこのチケットで高野山へ行き,高野山で1泊してから日本の他の地域や関西国際空港に向かうという旅程も考えられます。また,『高野山1dayチケット』は地下鉄や私鉄も乗り放題なので,新今宮から高野山へ日帰りで行き,その日のうちに京都や奈良へ移動するバックパッカーには,とてもお得なチケットです。荷物を担いでの長時間の移動でとても疲れるでしょうが,少しでも安くという体力のある若者ならば,試してみる価値はあります。

参加メンバーの感想・意見

田谷成美(2回生)

 私は高野山のフィールドワークに参加しました。訪日外国人が高野山へ行くのならば,事前に下調べをしておき,現地に着いたら,母国語のパンフレットや地図がないとスムーズに観光できないのではないかと思いました。
 世界遺産であるにもかかわらず,観光案内所では英語のパンフレットが不足していたり,英語以外の言語は対応していなかったり,外国人には不便なところがたくさんあると思いました。音声ガイドを借りて観光している外国人を何人か見かけました。しかしながら,思っていたよりも外国人旅行者の数は少なかった。あと,高野山は大阪市内と比べると,とても寒かったので,そうした気候の特徴なども外国人に知らせておいた方がいいと思いました。

小林志帆(1回生)

 私は高野山に行くチームに入りました。高野山には色んなお寺がありますが,いくつかの重要な観光スポットをあげて,その観光モデルコースを示した方が,高野山観光にとってプラスになると思います。お寺が多すぎて,見どころがはっきりしなかったように感じました。
 今回のフィールドワークでは,観光案内所の方にいくつかの質問をしました。安達先輩は事前に下調べをされていましたが,今回私は全くせずに参加しました。だから,観光案内所の方の答えがよく理解できませんでした。フィールドワークは準備が大事だと感じました。