フィールドワークについて

メンバー

松村嘉久(教員), 山田裕也(4回生),前田紗央里,井原成美,多田恵理,仲田美穂,尾松真理絵(以上,2回生),城彩子,片岡稚菜,桑本聡美,加藤宏美,藪田佳史,和田昴之(以上,1回生)

利用チケット

 『大阪周遊パス2009』(大阪エリア版:一人あたり2,000円)を利用した。この1日限定のお得チケットは,大阪市内の地下鉄・市営バスが乗り放題で,大阪市内の25施設を無料で楽しめるクーポン券が付いており,その他の施設でも割引やプレゼントをもらえる。大阪市営地下鉄の各駅の駅長室,地下鉄構内の売店などで販売されている。
 ちなみに,外国語版のチケットはこれらの施設では販売されていない。基本的に日本人旅行者をセールス対象としているが,外国人も当然利用できる。大阪市営地下鉄の初乗り運賃は200円なので,2ヶ所くらいの観光スポットを回り,3・4回ほど地下鉄を乗り降りすれば,すぐにモトがとれるお得なチケットである。
 今回のコースで利用した通常運賃と入場料の合計は,一人あたり4,190円であったので,2,190円も得したことになる。

コース紹介

ホテルオアシス出発(徒歩・5分弱)→地下鉄堺筋線動物園前駅(北千里行・15分・230円)→堺筋線天神橋筋六丁目駅(徒歩・5分)→大阪くらしの今昔館(入場料600円・徒歩・5分)→谷町線天神橋筋六丁目駅(八尾南行・5分・200円)→東梅田駅(徒歩・30分弱)→空中庭園展望台(入場料700円・徒歩・20分)→御堂筋線梅田駅(なかもず行・10分・230円)→御堂筋線心斎橋駅(徒歩・20分)→とんぼりリバークルーズ(乗船料700円・徒歩・20分)→道頓堀・法善寺横丁・上方浮世絵館(入場料500円・徒歩・10分)→千日前線日本橋駅(南巽行・5分・200円)→千日前線鶴橋駅(徒歩・5分)→鶴橋国際市場(徒歩・5分)→千日前線鶴橋駅(日本橋駅乗り換え・10分・230円)→堺筋線動物園前駅→ホテルオアシス(徒歩・15分)→通天閣(入場料600円)→ホテルオアシス泊

お得なチケットについて

 『大阪周遊パス2009』には,大阪エリア版以外にも,関西私鉄各社も乗り放題で利用できる拡大版がある。京都観光と絡めて京阪拡大版2,200円,奈良観光と絡めて近鉄拡大版2,500円,関空利用と絡めて南海拡大版2,300円などは,新今宮を拠点とする日帰り観光で充分に利用できる。例えば,京都や奈良から新今宮へ向かう場合,早朝の出発時にこの拡大版を購入して,とにかく新今宮の簡宿へたどり着き,荷物を預かってもらってから,地下鉄やバスを利用して大阪市内を動き回ればとてもお得である。関空から夜間便で出国する日に,南海拡大版を購入して,大阪を最後に満喫してから関空へ向かうという楽しみ方もできる。いずれにしても,拡大版の上乗せ額がそう高くないので利用の幅は広い。

多言語表示について

 チケットの制約から移動手段としては大阪市営の地下鉄かバスしか利用できない。地下鉄に関しては,駅構内・切符売り場・駅ホーム・車内とも,少なくとも英語表記されている。ネットや主要駅で多言語化された路線図を入手でき,各路線が色分けされ各駅に番号がふられているので,初来日で日本語の分からない外国人でも,比較的迷うことなく移動できるであろう。
 ただし,駅の改札口を出ると基本的には地下街を歩くことになるため,別の路線に乗り換えたり,観光スポットに行くのは,目標となるランドマークがなく,例え日本語を理解できたとしても,スムーズに行けるとは考え難い。地下街の案内表示は,多言語化された表示箇所が少ないこともあり,外国人とってはなおさら困難で時間のかかることと推察できる。このチケットを外国人に販売するならば,多言語化された路線図と市内詳細地図は必携なので同封すべきである。
 日本語の分からない外国人が,今回我々の選択した周遊コースを行こうとするならば,1.5倍近い時間がかかると見積もってよかろう。

観光案内所について

 今回のフィールドワークでは特に立ち寄らなかった。歩いたコースでも全く見かけなかった。少なくとも,街歩きのなかで観光案内所の存在は意識されなかった。

まとめ

 『大阪周遊パス2009』がとてもお得なチケットであることは確かである。そのお得感の源泉は,25施設を無料で利用できることにあり,いわば観光集客施設を周遊するタイプの旅行者に最適である。我々が利用した空中庭園展望台(700円),とんぼりリバークルーズ(700円),上方浮世絵館(500円),通天閣(600円),この合計で2400円となる。しかしながら,逆に考えると,これらの個々の施設の入場料などが高いのではないかと懸念する。
 4,190円のうち純粋な運賃は1,790円のみであり,観光集客施設を巡るのではなく,街そのものを歩いて楽しむような,成熟した旅行者ならば,周遊パスを利用しない方がお得となる。周遊パスを持っているから利用するが,持っていなければ,利用するのかしないのか迷い戸惑う施設が多い気がする。

大阪市内への日帰り観光についての感想

 集客施設を巡るとお得な『大阪周遊パス2009』は,新今宮発の街歩きには適している。新今宮駅は地下鉄網へのアクセスがとても良く,駅からそう遠くない所に無料で入場できる施設が多い。例えば,通天閣(600円)・天王寺動物園(500円)・大阪市立美術館(300円)などである。早朝に梅田へ出て空中庭園に登り,昼前に道頓堀へ行き食事と街遊びして,夕方に新今宮へ帰り,ひと休みしてから通天閣にのぼる。これで充分もとはとれる。
 外国人旅行者がこのチケットを使う際の大きな問題点は,第一に英語版ほか外国語版が日本語版ほど手軽に入手できないこと,市営の地下鉄やバスの乗り換え時で迷い時間がかかること,などであろう。しかしながら,周遊パスホームページは多言語で書かれていて充実しているので,そこで予習すれば外国人個人旅行者の強い味方となる。周遊パスを使い,1日でざっと大阪を見て回り,面白そうな所を発見してから,日を改めてじっくりと訪問する,といった使い方もできる。私鉄の乗り放題も付いた拡大エリア版も充実しているので,可能性は広がる。
 ただし,この手のチケットではいつもそうなのであるが,JRとの乗り入れが実現していないため,特に外国人にとっては不可解であり不便である。また,大阪観光の魅力を高めるためには,施設巡礼のような観光ではなく,街そのものを楽しむような観光の在り方も希求されるべきである。

参加メンバーの感想・意見

前田紗央里(2回生)

 フィールドワークでは,今まで見たことのない大阪を見た。船から見た道頓堀やスカイタワーから見た大阪,大阪は色々な顔を持っていると実感できました。

仲田美穂(2回生)

 私は大阪出身ですが,今回のフィールドワークで訪れた場所は今まで行った事のない所ばかりでした。周遊パスのおかげでいろんな建物にも入れ,今までとは違う角度から大阪を見ることができた。ただ,入館料が意外と高い所もあったので,周遊パスを持っていなかったら入らないだろうなとも思いました。

尾松真理絵(2回生)

 今回初めてフィールドワークに参加させていただき,松村先生の解説と天候に応じてのコース選択,松村ゼミの先輩たちのゼミ活動の意欲,全てに衝撃を受けました。普段よく出かける場所でも,一本道を外れると,全く知らない光景が広がり,近くまで行ったが見たことのなかった場所が沢山あり,フィールドワークの楽しさやおもしろさを知りました。フィールドワークに参加するのは今回が最初だったので,何も出来ませんでしたが,次回は経験をいかして取り組みたいと思います。

桑本聡美(1回生)

 私は松村先生のグループで大阪をフィールドワークしました。私は和歌山から出てきたばかりで,まだ大阪のことが良くわかりません。とくに電車の乗り換えには毎回苦労します。日本人の私でも案内表示は分かりにくく,よく間違えます。今回のフィールドワークで外国人になったつもりで初めて歩きましたが,電車や駅や場所によっては,日本語だけの案内の所もあり,とても不便だろうなと感じました。外国人のことを考えた案内や電車のアナウンスが必要だし,街なかの分かりやすい所に,英語や中国語などで対応できる案内所を設けなければと思いました。そうすれば私たちが1日2,000円で周遊したお得な大阪を,外国人旅行者もうまくまわれると思います。

和田昂之(1回生)

 今回のフィールドワークは,先輩方に任せっきりで何もできないまま終わってしまった。ただ観光客気分で大阪を歩いていた気がする。ただ観光気分で行っていた私でも学ぶことはたくさんあった。そして,いろんな角度から大阪というまちを見つめ直せた。まず,私の印象に残っているのは,空中庭園からの景色だ。私は以前,通天閣に登ったことはあったが,空中庭園からの眺めは通天閣とは全く違うものだった。田舎に住んでいた私にとって,大阪は憧れであった。縁あって大阪暮らしを始めたが,大阪のイメージは「都会」であった。空中庭園からの眺めは,そのイメージを裏切らないものだった。
 しかし,大阪という町は面白い街である。というのも,一歩大通りから外れると,パンフレットにはないような世界が広がっているからだ。新世界でも,法善寺横丁でも,裏通りを歩いて,大阪に対するイメージも変わった。今回のフィールドワークで大阪を知ることができ,参加してよかったと感じている。
 今回の目的であった「外国人の目線から」という点では,もっと改善していかなかればならないと思う点がいくつもあった。特に,電車のなかと駅を降りてからだ。大阪の駅は場所によってはとても複雑で,日本語の下に書いてある英語表記だけでは,外国人はどうしたらいいのかわからないと思う。あと,電車での英語テロップと音声がないと困ってしまうと感じた。少しでも早く目的地に着くため,ディープな大阪を知ってもらうためには,交通面での不自由はなくしていかないといけないと感じた。
 「大阪は,東京に比べて面白そう」と感じ,大阪に興味をもって来てくださる外国人観光客がいるというのもテレビで見たことがある。大阪が世界の人々から注目されている今,私たちは大阪の観光を少しでも変えていかなければならないと思う。