2009.3.6

松ゼミWalker vol.16 柳本顕市会議員との座談会

観光案内所を拠点とした調査活動のまとめと報告

西成プラザに集結!?

 3月6日(金)は朝から激しい雨でしたが,午前11時から大阪市立大学の西成プラザで,西成区選出の大阪市会議員の柳本顕先生を囲んでの座談会がありました。参加したのは全部で20数名,観光案内所の運営に携わった松村ゼミの学生ボランティアたち,観光案内所も手伝ってくれた柳本事務所のインターンシップ生たち,松村先生,中央グループの山田英範社長,動物園前一番街の村井康夫会長,ジェイコムの母倉修さんでした。
 そもそも,今回の観光案内所の試験的運営を行うのに際して,柳本市会議員から外国人旅行者の総合的な調査を行ってほしいという依頼があったそうです。その依頼を受けて,松村ゼミと母倉さんに山田社長も加わり何度か相談を重ね,簡宿経営者への聞き取り調査・外国人旅行者へのアンケート調査・観光案内所利用者のニーズ調査を行うことになったそうなので,今日の座談会は松村ゼミから柳本市会議員への報告会も兼ねています。

一味違う観光案内所だった?!

 最初に松村先生が観光案内所の試験的運営の成果を報告し,続いてゼミ長の佐藤有さんが簡宿経営者たちへの聞き取り調査の成果を報告しました。二人の報告を聞いていて,「この約1ヶ月間,みんなよく頑張ったなぁ」と色々なことを思い出していました。観光案内所の利用者は,国別で言うとオーストラリア人が圧倒的に多く,例年ならこの時期多い韓国人が円高ウォン安の影響でとても少なかった。利用者への対応時間は10分を超えるものが56ケースもあり,利用者のニーズも単なる行き先案内だけでなく,「面白いところを提案して(17件)」,「旅の相談(33件)」,「滞在・生活系ニーズ(25件)」なども多く,これまでの観光案内所とは違う特徴が明らかになりました。
 運営体制の問題点については石橋涼子さんから報告があり,それに基づいて皆で意見を出し合いました。ボランティア学生たちの語学力やコミュニケーション能力が不充分だ,外国人旅行者に対応する時のチームワークがイマイチで利用者が退屈そうにしていることもあった,大阪や関西の観光地に行ったことがなく知識もないので困った,各簡宿のフロントともっと上手く連携する方法はないのか,などなど。特にコミュニケーション能力の向上は,多くのボランティア学生が共通して必要だと感じていました。
 次に松村先生が,観光案内所の継続的運営に向けた課題や提案を説明しました。ボランティアスタッフとして必要な人材をどのように集めるのか,どのようにしてスタッフの能力とやる気を高めるのか,などなど。松村先生によると,海外語学留学から帰ってきた学生,これから海外語学留学に行く予定の学生,AO入試で入学してきたやる気のある新入生などなど,多様な人材をいかにうまく巻き込むのかが重要であるとのことでした。学生ボランティア中心の継続的運営を目指すならば,平日の参加は難しいので土日のみの運営が一番現実的。その場合は,観光案内所発の新世界ツアーや大阪近郊のまち歩きツアーを実施しなければ,実質的な意義はあまりなく,4月からの「外国人個人旅行者向けの街歩きツアー」がその実験にあたるそうです。

西成区を活性化する方法は…

 一通りの説明が落ち着いた頃,柳本市会議員から「新世界の方ではなく,西成の方を実際歩いて,皆さんがどのような感想を持ったのか,率直なところを聞かせて欲しい」と投げかけられました。参加者からは,やはり,新世界と比較してマイナスのイメージが多く語られ,それらをどう改善していけるのかが議論されました。動物園前一番街の村井会長からは,近い将来に商店街の景観を整備する計画があるそうで,「商店街の集客やイメージアップにつながる提案があれば,ぜひとも聞かせていただきたい」と商店街の活性化についての質問が出ました。松村ゼミ3回生の久山茜さんは,「動物モチーフにこだわるよりも,シックな昭和モダン調の方がいい」と意見を述べました。そこから話が広がり,「偽物の昭和レトロではなく,ほんまもんの昭和を売りにすべき」,「飛田という地域資源を抜きにあの商店街は語れない」などの意見も出されました。
 今では大阪を代表する観光地のひとつとなった新世界,ここに来る人たちを動物園前一番街へと引き寄せることは出来ないのか,という話にもなりました。これには松村先生・母倉さん・山田社長も意見を持っておられ,とても熱い議論が繰り広げられ,私たち学生にはとてもよい学びの場になったと思います。
 柳本市会議員が議会のため退室された後も,西成区の活性化,外国人旅行者と労働者との共存,などが話し合われました。もともと観光案内所のまとめと報告をしようという座談会だったのですが,話は大きく広がりました。(レポーター:窪堀愛子)

松村先生からの一言

 観光案内所の新装開店が地域の将来に向けて,とても重要なことは間違いないと確信しています。と同時に,観光案内所を拠点とした今回の三つの調査の成果が,地域の活性化を推し進める契機になると期待しています。ちゃんとしたデータがあれば,そのデータに基づいて分析して,将来に向けた議論ができます。
 それはさておき,ゼミ生の皆さん,4月からのゼミ活動は,この地域の活性化の命運を握る重要なものです。今回の座談会でそれがよくわかったと思います。ゼミ生の皆さん,自分の特技を活かしてゼミ活動に貢献して,そのなかで自分の能力を高めるよう努力してください。
 4回生はもう卒業,4月からは新入生も入ってくるので,君らが新しいリーダーにならなあかんねんで。わかったか!?