【松ゼミWalker vol.103】 鶴橋・桃谷のまち歩きツアーはあつかった!(レポーター:3回生 XU CHEN・3回生 谷河里香)

祭りの見本市

ゼミの様子

 JR鶴橋駅から桃谷駅にかけての地域には,生野区の彌榮(やえ)神社と御幸森(みゆきもり)天神宮,東成区の比賣許曽(ひめこそ)神社などがあります。2012年7月15日(日)は,この三つの神社が,揃って夏祭りを行いました。

 各神社から出ただんじりはまちなかを走り,比賣許曽神社からは枕太鼓や獅子舞行列も出ました。平野郷の夏祭りはだんじりが中心ですが,この地域の夏祭りはとてもバラエティに富んでいて,祭りの見本市のような楽しさがあります。

 私たち松村ゼミは,この7月15日(日),新今宮界隈に宿泊する外国人旅行者を募り,まち歩きツアーを行いました。この日は日曜日なので,新今宮TICは朝9時からいつも通り運営。

 まち歩きツアー先発隊のWU XIAOTING(3)・大宅和佳(3)・張宝(4)・和田昂之(4)の4名は,だんじりや枕太鼓の曳行ルート情報を収集するため,9時半過ぎにJR鶴橋駅へと先に向かい,三つの神社を駆け足で巡りました。写真は彌榮神社境内にあるだんじり倉庫で,この扉の横にだんじり曳行表が貼り出されます。

参加の呼びかけと情報収集

説明風景

 まち歩きツアーを仕切る松村ゼミの他の3回生と4回生は,朝10時に新今宮TICに集合して,周辺のゲストハウスのフロントを回って外国人参加者の数を確認しました。

 同時に,コミュニティスペースでくつろぐ外国人に参加を呼びかけました。ところが,15日は祇園祭の宵々山の日でもあり,やはり祇園祭見物へ行く予定の外国人が多く,呼びかけの手ごたえは,あまり感じられませんでした。しかしながら,午前のひと回りで7名分のツアー参加申込が確認でき,参加者ゼロという事態はないので安心しました。

 その間,先発4人組からは,携帯の写メールでだんじりほかの曳行情報が続々と送られてきました(写真参照)。新今宮TIC内では,3回生を中心に松村先生と一緒に,その情報をもとに,まち歩きルートの詳細を決める最後の打合せを行いました。情報を総合すると,13時40分から14時の間に,JR鶴橋駅北側のJR高架付近を,だんじりや枕太鼓や祭り行列が通るということがわかりました。ツアーでは最初のインパクトも大切なので,まずはそこを目指して夏祭りのハイライトを見学し,その後,鶴橋の国際市場やコリアタウンへ向かうことになりました。

ゲスト参加者は11名,なぜか吉兼秀夫先生も…

説明する松村教授

 この日の昼食,松村ゼミのほとんどが,『新世界・西成 食べ歩きMAP』掲載のうどん屋「おたべや」へ行きました。「おたべや」のきつねうどんとたぬきそばは,ともに230円ですが,この日は,松村ゼミの関係者に限り,無料で食べられました。実際は松村先生が後でお金を払いに行かれるそうなのですが,ゼミ生たちは「おたべや無料キャンペーン」と呼んで,ありがたく利用させていただきました。

 集まった参加者はゲストが11名,吉兼秀夫先生とゼミOGのキキさんも,大学院の授業の一環として参加されました。ゲスト11名のうち,男性が10名で女性は1名のみ。国籍別に見るとマレーシア人4名,日本人旅行者2名,韓国・アメリカ・オーストラリア・香港人が1名,台湾人女性1名でした。このうち4名は,13日の平野郷まち歩きツアーのリピーターでした。

出発風景

国際市場を歩いてからJRの高架下へ

街を歩くツアー参加者

 ツアーの一行は12時45分くらいに出発,JR新今宮駅から大阪環状線でJR鶴橋駅へ。鶴橋駅には13時5分に到着しました。この間,ツアーの先頭集団は,鶴橋駅で待つ先発隊と連絡を取り合っていました。JR鶴橋駅中央改札を出ると,そこには先発の大宅和佳と張宝が待っていました。

 ところがここで問題が…。鶴橋駅近くにだんじりや枕太鼓が来る13時40分頃まで,実に30分ほどの微妙な時間が空きました。この日は太陽の日差しが強く蒸し暑く,炎天下で待つのは良くない状況でした。先頭集団に「どうしよう…」という空気が漂うなか,先に鶴橋の国際市場を歩いて,時間を潰すことになりました。狭い路地が連なる迷路のような国際市場は,アーケードがついているので日差しが防げ,お店からの冷気が路上も冷やすので,屋外よりはずっと楽に歩けます。ここを松村先生の先導と解説で歩いて回り,JRの高架下へと向かいました。(以上,XU CHEN)

JR環状線を挟んで祭りの共演

 先発隊のWU XIAOTINGと内田裕規は,ずっとだんじりを追いかけて移動。そこから常に,だんじり情報がまち歩きの先頭集団に入ってくるので,連携はバッチリでした。ボチボチとだんじりが予定の場所へ向かう,との情報を受けて,まち歩き本隊はJR高架下へ向かい始めました。

 13時半過ぎにJR鶴橋駅北側の高架下に着くと,そこには枕太鼓の一団が休憩されていました。待つこと数分,だんじり囃子の音色が聞こえ出し,JR環状線の東側に,比賣許曽神社のだんじりと祭り行列がやって来ました。比賣許曽神社のだんじりと祭り行列はここで休憩に入り,かわって,枕太鼓が動き始めました。

 その様子を見学していると,今度はJR環状線の西側から,彌榮神社のだんじり囃子が聞こえてきました。私たちの一団は環状線の西側へ移動,彌榮神社のだんじりを見学。すると,今度は環状線の東側で比賣許曽神社の祭り行列が動き出し,また東側へ移動。環状線の高架下を東へ西へと移動しながら,祭りの共演をたっぷり20分ほど楽しみました。

彌榮神社・御幸森天神宮からコリアタウンへ

だんじり倉庫の見学風景

 祭りの共演を楽しんだ私たちは,14時過ぎから,できるだけ日陰の道を選びながら,生野区の職住一体の住宅街を通り抜け,疎開道路を渡り,彌榮神社へと向かいました。炎天下での移動はとにかく大変,いつも涼しげな吉兼先生でさえ,自動販売機で飲み物を買われ,ゴクゴクと美味しそうに飲まれていました。

 彌榮神社へ入ると,境内にだんじり倉庫があり,一般開放されていました。倉庫のなかには,だんじりの顔とも言える「しがみ」の彫刻が飾られていました。しがみは「獅子噛み」とも書かれるもので,だんじり正面の上部を獅子がガブリと噛みついている彫刻のことです。写真はだんじり倉庫のなかで,「しがみ」を見上げて説明する風景です。

まち歩きは無理をせず…

 彌榮神社から御幸森天神宮へはわずか数分くらい。御幸森天神宮の境内には10軒ほどの屋台が出ていました。猛暑のなか,アメリカ人男性の参加者がカットフルーツの屋台へ駆け寄り購入。右手にパイナップル,左手にマンゴーを持ち,美味しそうに食べられていました。

 御幸森天神宮からコリアタウンへと入りましたが,下見で訪れ休憩する予定にしていた班家食工房はお客で満杯。ゆっくりと涼める空間と時間は,確保できませんでした。新今宮を出発してわずか2時間しか経過していませんでしたが,猛暑のなかの移動で参加者のなかには疲労が目立つ方もいました。

 そこで,予定を短縮して,桃谷の商店街へと向かい,15時ちょうどくらいにJR桃谷駅でいったん解散しました。解散後,まだ余力のある外国人参加者たちは,3回生の大宅和佳らの案内でコリアタウンへと戻り,余力のない参加者たちは無理をせず,松村先生らと一緒に新今宮TICへと帰りました。(以上,谷河里香)
  • 勇壮で迫力のある枕太鼓  

    勇壮で迫力のある枕太鼓  

  • 比賣許曽神社のだんじり

    比賣許曽神社のだんじり

  • 彌榮神社の獅子舞     

    彌榮神社の獅子舞     

  • 彌榮神社のだんじり

    彌榮神社のだんじり

松村先生からのひと言

 まち歩きツアーの前半で,祭りのハイライトをじっくりと見学できたので,その後は,その興奮と勢いで押し切れました。このツアーの成否の鍵は,先発隊と本隊との連携で,今回はこれが上手くいったので,わずか2時間ほどのまち歩きでも,参加者のみなさんを満足させられたと思います。

 反省すべき点は…,まち歩きの解説ポイントで,外国人参加者を解説者の近くに集めようとするスタッフの意識が弱く,集まりが悪かったことくらいでしょうか。いつもみんなに注意していることですが,スタッフは自分が動くだけではダメで,まわりのスタッフや外国人参加者に声をかけて,集団を動かそうとする意識が大切です。これも,経験さえ積めば,次第とできるようになります。