【松ゼミWalker vol.102】 平野郷でだんじり祭りを見る!!(レポーター:3回生 村上恵美・3回生 吉田あゆこ)

今年は宮入を見よう!

ゼミの様子

 松村ゼミでは毎年7月に外国人向けまち歩きツアーを2回実施するのが,ここ数年来の恒例になっています。松村ゼミ,怒涛の7月から夏休みにかけての忙しい日々が,ここから始まります。

 その最初が7月13日(金),私たちは平野郷杭全神社の夏祭りを見に行きました。例年このツアーでは昼過ぎに集合して,夕方までの3時間くらいを費やして,まちなかをだんじりが走り回るのを見て,現地の杭全神社で解散してきました。

 ところが,今年は下見を踏まえてみんなで相談した結果,初めての試みとして,16時半に集合して,夕方から夜にかけて,夏祭りのクライマックスであるだんじりの宮入を見学することになりました。

 ツアー当日,松村先生は阪南大学内での会議のため,途中参加するしかなく,平野郷で直接合流することになり,私たち学生だけで外国人参加者をまとめなければなりませんでした。

参加者は予想を超える19名

説明風景

 外国人参加者の集合は16時半でしたが,3回生は15時過ぎには新今宮TICに集まり,ツアールートの最終確認や受付の準備,JR平野駅までの切符の事前購入などを済ませ,いざまち歩きへ,と気を引き締めていました。外国人参加者の集合時間前に把握できていた参加人数は10名ほど。このくらいならば問題ない…と思っていたのですが,受付けを始めると,駆け込みの参加者が多く,最終的には倍近い19名となりました。

 このうち,男性が13名,女性が6名でした。国籍で見ると,アメリカ人3名,シンガポール人3名,アイルランド人2名,香港人2名,ブルネイ人2名,オーストラリア2名,デンマーク人2名,韓国人1名,フランス人1名,日本人旅行者1名となりました。松村ゼミのツアーは今回でもう20回を超えますが,ブルネイ人の参加者は初めてだそうです。

大雨が降り出し不安な出発

 出発の準備は整いましたが,外ではとうとう雨が降り始めました。昼間には太陽も見えていたのに…。
3回生の吉田あゆこが,ホテル中央セレーネのロビーにて,今日のツアーの予定と杭全神社の夏祭りについて説明し,JR新今宮駅へ向かいました。外国人参加者には片道160円の切符を買ってもらい,17時ちょうどの電車に乗り,17時10分にはJR平野駅に到着しました。

 ところが,JR平野駅に着いた途端,雨が急に激しくなり,「こんな大雨の日に祭りなんてやっているのか?」と疑問を持つゲストもおられました。平野郷のだんじり祭りは,警察が出動しての大規模な交通規制も予定されているので,そう簡単に予定が変更されることはないはずです。それを信じて出発したのですが,傘をさしていても,足元がびしょ濡れになるような大雨のなか,私たちも少し不安になりました。

出発風景

商店街で野堂北組のだんじりに遭遇

だんじり

 さて,私たちは大雨のなか,下見を踏まえて当初から計画していた通りのルートで歩き始めました。事前に入手しただんじり曳行ルートを踏まえて,だんじりが集結する地点へと向かいました。

 JR平野駅から歩いて20分弱で,平野本町通り商店街に到着しました。この商店街はアーケードがあり,雨が降っていても濡れません。商店街を歩いていると,野堂北組のだんじりに遭遇しました。だんじりも雨のなか,アーケードの下で雨宿り休憩をされていたようで,野堂北組のみなさんは,気前よく記念写真を撮らせてくださり,着ていた法被も貸してくださりました。

 せっかく外国から見に来てくれたのだから…と言って,休憩中にもかかわらず,だんじりのなかに入りだんじり囃子の演奏もしてくださり,本当にホスピタリティ精神に溢れる方たちでした。

だんじりの宮入を追って南港通りから杭全神社へ

杭全神社

 野堂北組のだんじりとお別れして,午後6時頃に平野郷を走る全てのだんじりが集結する南港通りを目指しました。途中少し道に迷いましたが,地元の人に尋ねて軌道修正。南港通りに出ると,野堂町南組のだんじりと遭遇しました。外国人参加者からの「だんじりってそもそも何なの」というような根本的な問いに,私たちは勉強不足でうまく答えられませんでした。雨が降り続くなか,雨宿りしながらも,南港通りで外国人と一緒に時間を潰すのは,とても大変でした。

 そうこうしているうちに18時くらいとなり,松村先生が大学から駆け付け,南港通りで合流。ツアーの先頭を任されていた3回生の大宅和佳と谷河里香は,松村先生の顔を見て,とにかく安心した様子でした。私たちは早速,松村先生にこれまでの旅程を説明して,今後どうするのか話し合いました。結果,雨を避けながら杭全神社へ向かい,雨に濡れないところで宮入を待とうということになりました。

だんじり

 杭全神社近くまで歩いてくると,これまで雨に打たれ続け,服もびしょ濡れで疲れている外国人参加者の姿が気になりました。杭全神社近くの「宮前」交差点に着いたのが18時半過ぎ。あと30分ほどで宮入の第一陣が到着する予定でしたが,疲れて帰りたがっている様子の参加者もいるので,ここでいったん解散をかけることになりました。

 4回生の井上咲季さんから,もう30分ほどでまさにこの場所で宮入という一番の見せ場が始まる,杭全神社の参道にはたくさんの屋台が出ていて楽しい,私たちはこれから杭全神社の屋台を楽しみながら宮入を待つ,私たちと楽しみたい人は残ってください,新今宮へ帰りたい人は申し出てください,JR平野駅までご案内します…,と最後の挨拶がありました。

 解散後は自由参加という形になりましたが,10名を超える外国人参加者が居残り,私たちと一緒に夜の20時半頃まで,屋台や宮入を見学して時間を共有しました。新今宮TICに帰り着いたのは21時頃,さすがにスタッフも疲れ切っていました。

松村先生からのひと言

 関わる全員がケガすることなく,無事に帰ってさえ来れば,まち歩きツアーに決して失敗はあり得ません。海外からの旅人が地元の学生や住民と出会える貴重な機会を提供することから,行うこと自体にとても意義があります。そのような意味において,失敗はなく全て成功の世界なのですが,より良い成功を求めて,上手くできたのかどうか,反省すべき点を見出して次回につなげる必要があります。4年間にわたるその繰り返しが,松村ゼミのまち歩きツアーを洗練してきました。

 今回の平野郷のまち歩きツアー,最大の反省点は,激しい雨のなか,外国人参加者を歩かせたことに尽きます。天候が過酷な場合はとにかく無理せず,参加者の様子をよく観察しながら,飽きさせないように上手く時間を潰し,天候の回復を待つか,時には大胆に計画を変える勇気も必要です。

 先頭を歩くリーダーは,その辺を見極める能力,臨機応変に対応できる引き出しの多さ,その対応に向けて集団を動かす統率力などが求められますが,それは大学の教室での講義では決して学ぶことはできません。何度も現場で経験を積み重ねることで初めて体得できることだと思います。