東日本大震災の影響は…まだ続いているのか…?!(レポーター:3回生 大宅和佳・2回生 橋田翔子)

町あるきポスター

 FIT向けのまち歩きツアーは,FITの募集が重要な要素のひとつです。今回は5月26日(土)の新今宮TICスタッフ(村上恵美・大宅和佳・小路望・谷河里香)が,新今宮TICの運営の合間に,ポスターとチラシの英語文案を作りました。26日は松村先生の家族が新今宮TICに来訪され,1回生たちが新世界ツムテンカクのイベントにボランティア参加した忙しい1日,チラシの配布は後日になりました。
新今宮TICと連携するゲストハウスにチラシ配布のお願いに行ったのは,3・4回生のゼミがある5月31日(木)。この日のゼミは南キャンパスではなく,新今宮のホテル中央セレーネに13時半集合,セレーネのロビーを占拠してゼミを行いました。
 3回生はみんなで連携するゲストハウス8軒を回り,コミュニティスペースにポスターを貼らせてもらい,フロントでチラシを配布して,参加者を勧誘していただくようお願いしました。まち歩きツアー本番は6月3日(日),本番3日前のことです。
 6月2日(土)の新今宮TICの運営日,この日のスタッフはこまめに連携ゲストハウスを回り,まち歩きツアーの参加申込書を回収しつつ,FITを見つけたらとにかく勧誘しました。「ホテルみかど」で何名かの外国人に声をかけ,韓国人男性1名から参加申し込みをゲットしました。次に「ホテル東洋」へ行くと,マレーシアの女性3人組がいたので勧誘したところ,快くOKをいただきました。本番前日の2日(土)の段階で,11名の参加申込者があり,ひと安心でした。

 6月3日(日)のまち歩きツアー当日の午前,これも恒例になりつつありますが,新今宮TICに初めて来た学生たちを対象に,松村先生が新今宮TIC界隈のゲストハウスや国際観光対応の現状についてのフィールドワークをやられました。今回は同志社大学から4名,阪南大学国際観光学部の新入生3名が参加しました。
 さて,ツアー参加者の集合時間の12時半が近づくにつれ,集合場所の新今宮TICには続々と参加者が集まり始め,すぐ手狭になったので,ホテル中央セレーネのロビーへと誘導していきました。
 結局,当日の飛び込み参加もいて,FIT参加者は18名でした。日本から遠い国順に挙げると,スウェーデン人男性1名,フランス人カップル2名,イタリア人男性1名,メキシコ人女性2名,アメリカ人女性2名,カナダ人男性1名,マレーシア人女性4名,台湾人男性2名女性2名,韓国人男性1名となり,女性11名の男性7名とちょうどいい感じのバランスでした。基本的にツアーでの言葉は英語ですが,今回は中国語を話す人が5名いたので,留学生が中国語でも対応しました。

町あるき風景

 例年この時期のまち歩き参加者は10名くらい。今回はそれ以上に多くの参加者が集まり,みんな驚きました。しかし,関東方面の旅行が震災と原発事故の影響で敬遠される傾向があり,東南アジアからのLCC客が関西圏で増えているとのことで,まさにその実態がこの参加者から読み取れました。2012年,このまま大きな事故もなく過ぎれば,新今宮TICを日々運営する経験から予測すると,関西圏の訪日外国人数は,2010年の水準を確実に超えると思われます。
 さて,今回のまち歩きでは,日本人参加者もたくさんいました。新今宮TICの運営には,4回生3名とOBの濱中勝司さんが残ってくれました。まち歩きツアーは晴れの舞台,居残っての新今宮TIC運営は,正直なところあまりやりたくない仕事です。それを先輩方が率先して引き受けてくださり,感謝しています。
 まち歩きツアーには,松村先生,4回生11名,3回生7名,2回生3名,1回生3名が阪南大学から参加,同志社大学から日野みどり先生と学生6名が参加したので,日本人は全部で32名となりました。外国人と合わせるとちょうど50名,チンチン電車の小さな車両は,ほぼこのグループで満員状態,小さなプラットフォームからはみ出す勢いでした。

住吉大社で神前結婚式を見たい…(レポーター:3回生 村上恵美・2回生 増森千絵)

町あるき風景

 まち歩きツアーの行程は,阪堺電車(以下,チン電車)に乗り,住吉大社,堺伝統産業会館へ行き,チンチン電車で恵美須町まで帰って,通天閣すぐ近くのTower Knives Osakaを巡るというものでした。
出発は午後13時の予定でしたが,ぞくぞくと集まる参加者の対応に手間取り,15分ほど遅れての出発となりました。チン電車の南霞町の駅で電車を待つ間,大宅和佳と呉ギョウテイがチン電車の歴史や,1Day Free Pass「てくてくきっぷ」切符の使い方などを参加者に説明しました。
 チン電車に乗っていると,先発隊として住吉大社に先回りして下見に行った山崎育美さん(4回生)らから,松村先生に連絡があり,「今日の住吉大社での神前結婚式は1組だけで,その1組の結婚式がもう始まっている!!」ということがわかりました。6月3日は6月の日曜日で大安吉日でしたので,いくつもの神前結婚式が行われるはず…と予想していた私たちはあわてました。これを見逃すとFITはがっかりするに違いない…。私たちは先発隊とこまめに連絡を取り合いながら,神前結婚式を見られるようベストを尽くしました。

住吉神社結婚式風景

 チンチン電車に揺られること20分弱,私たちは住吉鳥居前という駅に着きました。駅では先発隊の和田昂之・山崎育美さん(ともに4回生)が出迎えてくださり,内田裕規さん(4回生)が神前結婚式のそばで待機されておられました。
 内田さんから「もう結婚式は終わりそう…」との連絡があり,「早く結婚式へ!!」と思ったのですが,何かと興味を示しては立ち止まり,写真を撮りまくるFIT参加者をまとめきれなかったため,「ああ,結婚式が終わってしまう…!!」と心底あせりました。
 絵になる太鼓橋で記念撮影するFIT参加者たちに,「帰りに必ずまたここに来るから…」と急かして,第1本宮へと向かいました。神前結婚式は新郎新婦と親族との記念撮影に入っていましたが,何とか間に合いました。FIT参加者たちは,日本人でも滅多に出会えない伝統的な結婚衣装を見て笑顔を見せ,何枚も写真を撮って満足された様子でした。

堺伝統産業会館で和菓子作りを体験(レポーター:3回生 徐晨)

町あるき風景

 まち歩きツアーは,次に,再びチン電車に乗って妙国寺前駅へ向かい,堺伝統産業会館を目指しました。ここはかつて,堺刃物ミュージアムと呼ばれていた施設ですが,現在では堺の打ち刃物だけではなく,堺の和菓子・線香・自転車などの様々な伝統産業が展示されています。
 まち歩き当日はここで,和菓子作りの実演が行われていました。まち歩きツアー一行が貸切り状態で実演会場を独占し,4回生の井上咲季さんが英語通訳となり,和菓子職人による季節の茶菓子作りをみんなで見学しました。
実演されていた和菓子職人は,「日本の和菓子には季節があります。6月ならばカキツバタ,もう少し前の春だと梅や桜。四季折々の風情が和菓子では楽しめます。こんなのは世界でも日本にしかありません。」と自慢げに説明されていました。
 職人さんは説明しながら,次から次へと和菓子を作っては並べていかれました。パフォーマンスが終わると,FIT参加者たちは前に出て来て,和菓子を撮影したり,材料の餡や道具を触ったりさせてもらいました。最後は試食,FIT参加者たちはとても喜ばれていました。

TOWER KNIVES OSAKAで堺刃物の切れ味を楽しむ(レポーター:3回生 吉田あゆこ・2回生 岡村綾佳)

町あるき風景

 今回のまち歩きツアーで最後に向かったのは,通天閣のすぐ近くにあり,とても明るくおしゃべり上手のベルギー人のビヨンさんが経営するTOWER KNIES OSAKA(以下,TKO)でした。
 ビヨンさんは堺の刃物会社に勤めて,輸出関係の仕事をしながら,TKOにて堺や日本各地で生産される包丁や刃物などを展示・実演・販売されています。ベルギー語・英語・日本語・フランス語・ドイツ語をしゃべれる方で,とても面白い魅力的な語り口で日本の刃物に対する熱い情熱を語られます。
 松村先生とビヨンさんはとても仲が良く,何度もここに外国人を連れて来られています。先日は先生のご家族もここへ来て,何本もの包丁を試し切りし,お気に入りの1本を購入されたそうです。
 TKOではまずビヨンさんから,堺の打ち刃物が出来上がるまでの工程の説明,良い包丁の選び方などを教えていただきました。

町あるき風景

 その後,実際に堺の打ち刃物の切れ味がどれほど良いのか,FIT参加者のひとりひとりに体験してもらいました。
FIT参加者たちは最高の状態の刃物を使って,代わる代わるニンジンやトマトを切りました。切れ味抜群の刃物でトマトを切ると,なかから汁がもれることもなく,切られたニンジンの断面はツルツルのスベスベでした。
 調理経験が未熟な人でも,ビックリするくらいトマトやニンジンが薄くスライスでき,光にあてれば透けて見えるほどの薄さでした。これには,FIT参加者たちも驚きの声があがりました。

町あるき風景

 ビヨンさんからみんなへのメッセージは,「良い包丁は値段の高い包丁ではなく,自分の手にあう包丁。切れ味が良いと大怪我することもない。良い包丁を大切に長く使えれば,決して値段は高くはない。何よりも良い包丁で作った料理は味が良く,料理が楽しくなる!!」でした。
 日本には,世界に誇れる産業がたくさんあります。堺で作られている包丁もそのひとつです。見た目も美しく繊細な日本料理も,このような包丁があるからこそ成り立つのだな,と改めて感じました。日本人にとって「ありふれた日常」の包丁が,外国人参加者にとっては「ささやかな非日常」の体験となりました。
 ビヨンさんにお礼を言ってTKOを出ると,もう17時少し前。FIT参加者のみなさんに松村先生が,『新世界・西成 食べ歩きMAP』を配られ,「私たちが作成したこのマップを見て,この近くで美味しいディナーをお楽しみください」と話され,最後に私(吉田)が終わりの挨拶をして通天閣の真下で解散しました。

新今宮TICに帰って3回生で反省会(レポーター:3回生 谷河里香・3回生 呉ギョウテイ)

町あるき風景

 ツアーを終え,私たちスタッフが新今宮TICへ帰ると,松村先生から「4回生は解散,3回生はここで反省会」との指示が出ました。今回のまち歩きツアーは,3回生が中心となって行い,4回生がサポートすることになっていました。3回生が残るなか,松村先生の第一声は,「集団を自分らが動かしているっていう意識がない」でした。
 具体的な反省点として,大きく二つのことが挙げられました。
ひとつは隊列が長くのび過ぎた点です。先頭は歩き始めているのに後ろがついていけなく,隊列のところどころで間があき分断されました。「先頭が説明ポイントに着いているのに後ろが来ないと,先頭の間が持たない。待ちくたびれて先頭が説明を始めると,それが終わった頃に後がやって来る。後は到着したらすぐ出発ということになり,また遅れることになる。」「今回は住吉大社や堺伝統産業会館で比較的長くいられたから何とかなったが,次回の平野郷のだんじり祭りのまち歩きツアーでは,今回のように隊列がのびると,間違いなくバラバラになる!!」と鋭い指摘を受けました。

町あるき風景

 隊列がのび始めたら,私たちスタッフが意識して,前へ詰めるよう指示するとともに,FIT参加者を前へ誘導するような形で歩かなければならないことを学びました。
 もうひとつの反省点は,松村先生や先輩方から出た指示が,隊列の途中で止まってしまい,後ろまで伝達できなかった点です。「自分だけが指示を聞いてそれを理解してもアカン。その指示を後ろへ伝えて,その指示の意図をくんで自分が動くだけでなく,集団を動かそうとせなアカン。」とのことでした。
例えば,チン電車を降りる時も,「次の駅でおりる」という指示が出れば,順々と後ろのスタッフに伝えていき,自分がおりるのはもちろん,FITが次の駅で無事におりられるよう準備して,駅に到着したらFITにおりるよう促す,そうすることで集団としての行動がスムーズになる,と教わりました。
 今回の反省点を踏まえて,これからのまち歩きツアーでは,状況をよく見ながら余裕を持ち,集団を動かせるよう,ゼミ生同士でアイコンタクトをとりながら行動しようと心がけます。

ツアーに参加した学生からの感想

まち歩きツアーに初めてスタッフとして参加して(レポーター:3回生 崔園園)

町あるき風景

 6月3日(日)は早起きして,松村セミのまち歩きツアーに初めてスタッフとして参加しました。予想以上に多くの外国人参加者が集まり,最初はとても緊張しましたが,とても面白く充実した1日が過ごせました。
チン電車に乗って住吉大社へ行ったのですが,外国人と日本人学生の大集団が,チン電車の小さな駅で待っている風景はすごかったと思います。
 住吉大社でタイミングよく結婚式を見られたのは幸運でした。堺伝統産業会館での和菓子作り体験,ビヨンさんのところでの試し切り体験は,外国人だけでなく,私たち留学生も日本人学生も楽しめるものでした。
 とても歩き疲れた1日でしたが,多くの外国人と出会えて,英語の練習にもなり,有意義な1日でした。今後のまち歩きツアーも,反省点を踏まえて積極的に参加して頑張ろうと思います。

体験しなければわからないことがある…(レポーター:1回生 久保佳奈【塩路ゼミ】)

町あるき風景

 松村ゼミの外国人向けのまち歩きツアーに初めて参加させてもらいました。入学したばかりで初心者の私が参加しても大丈夫なのかと心配でしたが,松村先生も先輩方も優しくて,こんな素晴らしい環境で国際観光学を学べる場があるのかと感激しました。
 まち歩きするなかで,先輩方が英語や中国語やフランス語で外国人の参加者に話しかけ,コミュニケーションをとろうとしている姿がとても印象的でした。私はただ先輩方を見ているだけでしたが,楽しそうに話す先輩方を見て,こういうチャンスを活かして,もっと外国語を使う努力をしなければいけないと思いました。
 まち歩きツアーの参加者をまとめて行動する難しさも実感しました。住吉大社も堺も,初めて行ったところでしたが,予想以上に楽しくて,この楽しさをどう伝えるのかが,観光客をもてなすことにつながると思いました。大学に入学して,実際に観光の現場と関わる機会はまだあまりありませんが,今回のまち歩きツアーのように,実際に体験してみないと分からないことがたくさんあると気づきました。

先輩方を目標に…(レポーター:1回生 角谷瑠衣【森山ゼミ】)

町あるき風景

 初めてまち歩きツアーに参加して,改めて人を動かすことの大変さを学びました。18名もの外国人と一緒に大人数で行動するのは,それだけでも大変なのに,まちを歩きながらガイドするのはもっと大変で,列があいてしまって遅れることもありました。
 先輩方の指示を聞きながらの行動でしたが,自分ではどう動いていいのかわからず,英語でのコミュニケーションも積極的に行うことができませんでした。それでも,外国人の参加者と簡単な単語で会話ができると,とても嬉しかった。
チン電車,住吉大社での結婚式,和菓子作りの実演と,初めての体験ばかりでしたが,先輩方が外国人参加者に説明されているのを見て,自分自身がもっと大阪のことや日本文化を知らないといけないなと思いました。と同時に,先輩方の外国人参加者と普通に会話しているのを見て,自分の英語力のなさを思い知り,とても良い刺激になりました。先輩方を目標にもっと英語を勉強したいと思います。
 次回のまち歩きにもぜひ参加させていただき,今度はもっと積極的に話しかけて,まわりを見て動けるよう頑張りたいと思います。

ゼミ活動の伝統を受け継ぎたい(レポーター:1回生 谷口 真帆【松村ゼミ】)

町あるき風景

私は松村先生の入門ゼミの学生で,今回のまち歩きツアーは,松村先生から「参加したい者は各自の意志で私に直接連絡するよう,参加したい者は受け入れる」とお誘いしていただき,友達2名と一緒に参加しました。入学前から外国人と一緒のまち歩きに興味を持っていたので,1回生の早い段階でこの活動に参加できて良かったと思います。
 今回は準備段階には全く関わらず,当日だけの参加だったので,外国人参加者と同じよう,連れて行っていただく形になってしまいました。
そのため,次はどこに行くのか,何をするのか,自分は何をしたらいいのかが分からず,全く自分からは動けませんでした。そして,せっかく外国人と会話できるチャンスなのに,急に怖気づいてしまい,話しかけることすらできませんでした。自分で自分が情けなく思いましたが,今の自分に足りない部分を明白に知ることができました。
 また,今回のまち歩きツアーでは,3・4回生の先輩方とお話しする機会があり,大学生活のことや松村ゼミの活動について,詳しく教えていただきました。3回生の大宅和佳さんに,「今回のツアーは和佳さんが仕切っているのですか?」と質問したところ,「責任を持って仕切っているのは3回生やけど,出来ないことも多いので,4回生が強力にサポートしてくれている。松村ゼミはこうやって,伝統を代々受け継いで行くねん。」とおっしゃっていました。2回生の先輩方も参加されていましたが,私もその伝統を受け継げるよう,これからもゼミ活動に積極的に参加していきたいです。

松村先生からのひと言

レクチャーする松村教授

 今回の住吉大社・堺方面のまち歩きツアーには,ビヨンのTOWER KNIVES OSAKAを組み込み,通天閣の真下で『新世界・西成 食べ歩きMAP』を配布して解散しました。毎回毎回,少しずつまち歩きの新しいネタを試して,FIT参加者の反応を見て,洗練するよう心がけています。
 ビヨンのTKOは予想通り,巧みで楽しい話術と驚きの試し切り体験が大好評でした。ツアーの起点となる新今宮TICからTKOまで,歩いて10分もかからないし,TKOは観光名所の通天閣のほぼ真下。堺へ行かない他のツアーでも,最後にTKOを訪問してMAPを配布してディナーへ誘うのもありかな…と思っています。
 さて,次回のまち歩きツアーは7月13日(金),平野郷杭全神社の夏祭りのだんじりを見に行きます。まち歩きツアーのなかでは,例年,最もFIT参加者が多く盛り上がる1日で,おそらく今回以上に大人数での移動となります。加えて,私は学内業務があるため,最初から参加できない可能性が大です。今回の反省点を踏まえて,3回生を中心に,1・2年生も誘って入念な下見を行い,次回のまち歩き当日を迎えたいと思います。