2012年5月12日(土)の9時半から17時頃まで、「新世界から西成の魅力発見」というテーマで、参加者60名を超えるフィールドワークが、松村ゼミ主催で行われました。松ゼミWalker vol.93では、その趣旨や概要をゼミ生からレポートしてもらいます。

フィールドワークの趣旨と目的(レポート:昌山志保・小林志帆・小路望)

地域の隠れた魅力を発見するぞ!

 松村ゼミでは国際観光振興によるあいりん地域の再生とまちづくりを目指して、日々現場へ出て社会的実践を積み重ねています。最近は、西成特区構想であいりん地域の国際集客が注目され、歴代の先輩方が続けて来られた社会的実践が、大きく実りつつあります。日頃から新今宮TICで活動するなかで、私たちは新世界から西成にかけての地域をよく歩き、この地域でよく飲食もします。そうした経験のなかで,「これはすごい!」と思ったことが何度もありました。

 今回のフィールドワークは、松村ゼミの3・4年生が中心となって、新世界から西成にかけての地域の活性化を国際観光学を学ぶ立場から応援したいとの想いから始まりました。そのためには、まず、「この地域の魅力をもう一度しっかりと見直して発見しよう」「ついでに新今宮TICのスタッフ募集も兼ね、国際観光学部の1・2年生にフィールドワークへの参加を呼びかけ、その楽しさを体験してもらおう」ということになりました。フィールドワークには何かとお金がかかるのですが、今年から阪南大学では「フィールドスタディ(学外授業)」を支援する制度が新設され、今回はそれを利用させていただきました。

新世界と西成を応援したい

 さて,松村先生からの配布資料には、フィールドワークの趣旨が、「新世界から西成にかけての飲食店やエンターテイメント施設、さらには西成区役所との協働で、阪南大学国際観光学部の学生たちが、新世界から西成にかけての隠れた魅力やお宝を、外来者(学生)の視点から発掘・発見するためフィールドワークを行い、阪南大学ウェブサイトの松ゼミWalkerを活用して、その成果を外に向かって発信する」と書かれていました。

 具体的には、阪南大学国際観光学部の学生らが、地域の商店街やそれに隣接する住宅街などのまち歩きを行い、面白い人やお店や風景を発見し取材する。これはすごい、面白いと思う地域のお店で実際に飲食し取材する。地域を代表するエンターテイメントを体験し取材する。その成果を後日、阪南大学ウェブサイトで発信し、西成区長と懇談会を行い、新世界から西成にかけての地域を盛り上げるための提言を行う、というのがフィールドワークの目的でした。

 外と関わり、外で活動して、外向けに情報発信する……これが松村ゼミの基本方針。このレポートが今回のフィールドワークの情報発信の第一弾となります。西成区役所との協働も決まったので、フィールドワークの成果がまとまり次第、日程を調整して、西嶋西成区長のもとへ報告に伺う予定です。

フィールドワークの概要(レポーター:大宅和佳・谷河里香・吉田あゆこ)

しっかり楽しみ、しっかり観察、しっかりと記録する

 5月12日(土)、松村ゼミの3・4年生は9時に新今宮TICに集合し、松村先生を囲んでフィールドワークについての最終の打合せと確認を行いました。1・2年生は新今宮TICに9時半集合。新今宮TICでは狭すぎるので、ホテルセレーネのロビーもお借りして、各チームに分かれ、その日のフィールドワークの役割分担や行動を確認しました。

 松村先生からの指示は、「しっかりと楽しみながらも、しっかりと観察してしっかりと記録するよう。」でした。特に1・2年生でフィールドワークの経験の無い学生には、具体的に何を見てどう記録すればいいのか、3・4年生がしっかりと指導するように、と言われました。

チーム編成は以下の通りです。
【 】は訪問・鑑賞したエンターテイメント施設、( )は学年、*がヘッドで、その次の人がサブリーダーです。学生参加者は63名、松村先生が担当されている入門ゼミの1年生と基礎演習の2年生は、欠席者ゼロで全員が参加しました。この日は、松村先生、ゼミOBの濱中勝司さん、OGのキキさんも新今宮TIC運営に参加されましたので、総勢66名が活動しました。

チーム編成と行き先

チーム 行き先 参加者
新世界Aチーム 動楽亭 小路望(4*)・吉田あゆこ(3)・森本貴仁(1)・栃原智美(1)・野崎楓(1)・福崎美帆(1)・谷口真帆(1)

新世界B チーム 通天閣地下劇場 和田昂之(4*)・竹中静(1)・土居立佳(1)・橋本知明(1)・福田千晴(1)
新世界Cチーム 朝日劇場 内田裕規(4*)・橋田翔子(2)・竹村磨美(1)・中井美菜子(1)・濱崎広大(1)・山下大貴(1)
新世界Dチーム 通天閣地下劇場 高橋菜央(4*)・松川和矢(2)・井上咲季(4)・田村侑平(1)・中川光華(1)・平山あかね(1)・上垣彩夏(1)・井上文乃(1)
西成A チーム オーエス劇場 加藤宏実(4*)・川原美穂(4)・范妍希(4)・谷河里香(3)・山崎育美(4)・奥本友美(2)・上瀬幹人(2)・寺垣咲季(2)・島本ひとみ(2)・荒木志保(2)・笹田真璃(2)
西成Bチーム 鈴成座 小林志帆(4*)・坂田悠貴(4)・徐晨(3)・呉ギョウテイ(3)・大宅和佳(3)・石橋一希(2)・喜多真子(2)・花尻隼基(2)・弘田愛美(2)・水野巧基(2)
西成Cチーム 梅南座 昌山志保(4*)・村上恵美(3)・トウアコン(4)・張宝(4)・崔園園(3)・松岡大幾(2)・田中寛人(2)・浦上絵梨香(2)・傍士莉菜子(2)・小山明日香(2)
西成Dチーム 動楽亭 清水翔平(4*)・池田千紘(2)・入口裕香(2)・湯浅直哉(2)・西本拓矢(2)・山下喜央(2)

まち歩きとエンターテイメント鑑賞

 基本的に1年生全員と2年生で新今宮TICの活動を知らない学生は、10時過ぎから11時半頃まで、松村先生の案内で、新今宮TIC界隈のまち歩きを行いました。このまち歩きには西成区役所から来られた職員1名、朝日新聞の記者1名も参加されました。

 西成B・C・Dチームは朝から商店街を歩いて取材しながら、エンターテイメント施設へ向かいました。各チームからの成果報告は、出来上がり次第、順次発表していきますが、どのチームも、鑑賞したエンターテイメントが面白かったようで、興奮冷めやらぬ感じで帰って来ました。手ごたえ充分だったようです。

 松村ゼミの3・4年生は5月12日(土)、ホテルセレーネの8階全室と9階ドミトリーを貸し切って合宿。深夜近くまでミーティングを行い、翌13日(日)午前は新世界でフィールドワークを行い、午後は大槻能楽堂へ行き、「至高の華 梅若玄祥 舞台生活60周年記念祝賀能」を鑑賞しました。こちらも、松ゼミWalkerで順次レポートしていきたいと思います。

松村先生からのひと言

 5月12日(土)からの1泊2日のフィールドワークは,とても有意義でした。初めて参加した1・2年生たちも、新世界から西成にかけてのポテンシャルを感じたことでしょう。ただ、今回のフィールドワークは時間的な余裕がなく、楽しくフィールドワークする経験をしてもらおうと意識したこともあり、本格的な聞き取り調査などはできませんでした。また,機会を改めて、3・4年生に1・2年生の有志を加えて、新世界から西成にかけてのフィールドワークを行いたいと思います。今回はそのための準備調査といったところでしょうか。