花を育てる人の文化を大切に 国際観光学科3回生 武田文佳

 4時間に及ぶ会議のなかばに参加者全員が自己紹介をする時間が設けられました。学生たちがそれぞれの思いを発言したあと、高木治夫さんは自己紹介のかわりに、フラワーツーリズムの重要性を説かれました。いきなり私たちに投げかけられたのは、「世界の産業の中で最も成長している業種は何だと思う?」という質問でした。「サービス業」「自動車生産」「IT産業」などの答えが出されたあと、高木さんの口から「観光産業です」という答えが出ました。世界の観光産業のGDP(国内総生産)は518兆円とも言われ、世界最大の成長産業であるとのことでした。観光学科に所属していながら、そんなことも知らずにいたのは勉強不足でしたが、観光に関わっていることを嬉しく思える情報です。
 ただ、世界の観光産業の平均はGDP全体の9.2%を占めているのに対し、日本の観光産業は4.3%しかなく、世界平均の半分にも満たないそうです。その数値に再度驚きましたが、逆に言えば、これから力を入れるべき産業であるということです。日本には美しい自然と豊かな文化があり、しかも「治安がいい国である」というセールスポイントがあるのですから、努力すれば、観光産業はいくらでも成長するでしょう。「まだまだ伸びるチャンスがあります」と、高木さんは確信をもって説かれました。日本の観光を伸ばす手段として、高木さんは自らがプロデュースする京都フラワーツーリズムの例を出され、京都における月ごとの観光客数を示した棒グラフをスクリーンに映されました。それを見ると3月から5月、10・11月といったところが高い山になっています。それはちょうど花と紅葉の時期に当たるのです。多くの観光客をひきつけるものは花であるという、説得力のある結論に思わず納得しました。花が観光資源であるならば、花の情報をリアルタイムで伝えることが、より多くの観光客を集める手段となります。

 そこで、高木さんは観光の未来に関するもうひとつの話題を出されました。ハイアットリジェンシーの経営に代表される滞在型の個人旅行者を確保する戦略が有望であると指摘されたのです。たしかに欧米人はパッケージツアーから離れ、個人でのんびり、思いのままに旅行を楽しむ傾向が早くからあり、最近ではその傾向がアジア世界にも広がっています。そのような個人旅行者はICT(情報通信技術)やSNS(ソーシャルネットワーク)を駆使して、難なく世界中を旅するそうです。そこで注目されるのがiPhoneやiPadなどの小型通信機器です。ノートパソコンを持ち歩く時代は過ぎ去り、ビジネスマンや旅行者の大半が世界で使用可能なスマートフォンを携帯しています。そのような傾向を分析すれば、新しい機器に対応したアプリケーションを作り、花の情報を発信してはどうか、という発想につながります。こうして生まれた京都フラワーツーリズムの「花なび」は順調に成長し、それに倣ったご当地なびが次々と生まれています。ただ、その運営にあたって一番大事なことは、花や情報を生むのが人であるということです。見せたい、伝えたい、という人の気持ちとネットワークがあって、はじめて人が集まるのだ、ということを常に意識して下さい。このことが高木さんの結論でした。
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