歩いて知る文化財を保存することの大切さ 国際観光学科3回生 北川雄一郎

歩いて知る文化財を保存することの大切さ

 このたびの集合場所は近鉄南大阪線の道明寺駅で、前回取材の終点場所です。そこから西へ進み、応神天皇陵を参拝したのち、南に下って羽曳野市役所へ向かう道をたどりました。早い昼食をとって正午に集合し、市役所で会議が始まる午後2時までの2時間で藤井寺市と羽曳野市の境にそって分布するいくつかの古墳を取材することが今回の予定です。前回の取材で感じたことですが、注意深く道を歩けば、歴史や観光にかかわるさまざまな情報を拾ってゆけます。そのような情報は先生に教えられて、はじめて気づいたのですが、今回は学生みずからが感じとり、記事にしなければなりません。
 3月15日(木)の天候は、陽は差しているものの、風が冷たく、つま先がしびれるほどの気温です。3月なかばにもかかわらず、まだまだ防寒対策が必要でした。私は少し早めにと、集合時間の10分前に到着したのですが、すでに2回生の4人と3回生の3人が先に到着し、寒い中、陽だまりで待っていました。取材に対する意気込みを感じます。まだ来ていない1人の学生を待つ間、地図が配られ、取材のコースと記事執筆の分担が決められました。手短な打ち合わせが終わるころに最後の学生も到着し、12時ちょうどに道明寺駅を出ました。
 街中を歩くと、宅地に包まれながらも、あちらこちらに古墳が残っています。古市古墳群を形成した集団は古墳時代の半ばに全国を支配した人々であると考えられていますが、彼らが持っていた強大な力を古墳の数に感じることができます。とはいえ、小さな古墳は、高度経済成長期に急速に広がった住宅や高速道路の建設によって破壊され、姿を消してしまったものも少なくありません。破壊を食い止め後世に残すためにも、古墳の必要性をより多くの人々に知ってもらう必要がある。そういう思いをもって古墳を見ていますと、草が生い茂って打ち捨てられたように見える古墳の姿が気になります。清掃をして、周辺に花を植えて美しい姿にすれば、住民や訪れる人たちも古墳に親しみ、保存への意識が高まることでしょう。文化財行政の視点から言えば、手つかずのまま残すことが一番でしょうが、文化財の存在が人々の心の中から消えてゆけば、破壊の危機が訪れたときに声をあげてくれる人もいなくなるでしょう。前回に訪れた津堂城山古墳では、四季おりおりの花を楽しめるようにと、市民が周濠に花畑を作っていました。このたび再度訪れた古室山古墳にも白梅や紅梅が美しい花を咲かせていました。そのような姿は、草ぼうぼうの古墳とは対照的に、「もう一度訪れたい」という気持ちを見る人に抱かせます。整備には行政や市民の力が必要ですが、私たちの活動がそのような運動のきっかけになればと、取材する気持ちを新たにしました。
 応神天皇陵を参拝したあと、東山古墳・はざみ山古墳・野中宮山古墳・野中古墳・墓山古墳と巡り、予定通り14:00前に羽曳野市役所に到着。会議は古市古墳群のナビゲーション制作説明会とナビ制作の方針を話し合う場となりました。総務省地域情報化アドバイザーの高木治夫さん、ナビ制作事業の発起人であるアスウェル株式会社の黒川哲子さんと社員の坂本勝洋さん、事業の主体となる羽曳野市産業振興課の細川佳洋さん、我々と同じくナビの情報提供者となるフィールドミュージアムトーク史遊会の理事長、細見克さんと理事の岡本良孝さん。説明会と会議の詳細はメンバーたちが詳しく説明してくれますが、高木さんからはお聞きしなければならないノウハウがたくさんあり、後半ではナビの方針についての議論が白熱しましたので、会議は長時間におよび、終わったのは夕方の6時でした。社会に出ると、当たり前のことなのでしょうが、大学生活でこんなに長い会議を経験したことがありませんでしたので、何度か集中力が切れかかりましたが、実社会の会議に参加したのだ、という充実感を味わっております。具体的な話を聴くにつけ、かなりの活動量が必要であることがわかってきました。大学生活の残された時間をこの事業に費やせば、そのまま卒業研究となるでしょう。就職活動に励む一方で、この活動に力を入れてゆこう。そう決意しました。
 今回も取材のタイムキーパーを務めました。以下には所要時間とコースの地図を掲載します。

道明寺駅から羽曳野市役所までのコースと所要時間

道明寺駅(12:00)―242m―道明寺天満宮門前(12:05〜06)―80m―道明寺五重塔礎石(12:13〜15)―50m―西の宮(12:16〜17)―577m―盾塚古墳(12:28〜33)―293m―史跡古室山古墳(12:40〜44)―10m―赤面山古墳(12:45)―175m―史跡大鳥塚古墳(12:50〜12:54)―130m―応神天皇陵古墳拝所(13:00〜1304)―1.6km―野中宮山古墳(13:36)―344m―野中古墳(13:46)―423m―羽曳野市役所本庁(13:55)
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