2013.7.5

第6回関西国際関係合同ゼミナールに段ゼミ生が参加しました

第6回関西国際関係合同ゼミナールに段ゼミ生が参加しました

 6月29日(土)、神戸大学百年記念館で開かれた第6回関西国際関係合同ゼミナールに段ゼミナールの3、4年生の学生6名が参加しました。関西国際関係合同ゼミナールは、関西圏で国際政治学および国際関係論を専攻する大学ゼミナールが合同で開く研究大会で、2008年に第1回が神戸大学で開かれました。段ゼミナールは第1回から5年ぶり2度目の参加です。今年度は、神戸大学、関西大学、阪南大学、同志社大学、立命館大学、金沢大学、名古屋市立大学、京都女子大学、京都産業大学の12ゼミが報告しました。
 合同ゼミナールで発表されたテーマは、外国人労働者受け入れ問題、国防と平和に関する安全保障問題、EUへのクロアチア加盟問題、尖閣諸島漁船衝突事件をめぐる政策決定過程、シリア内戦と人道支援問題、アメリカの銃規制問題、東南アジアにおける領土を巡る武力衝突事件、アジア共同メディア論、アフリカにおける水問題と政府開発援助、ソフトパワー、中国・ロシア・北朝鮮関係、労働者の権利問題など多岐にわたっており、各ゼミ20分の報告後に学生間で活発な質疑応答が行われました。
 今年度段ゼミが発表したテーマは「マレーシア・ボルネオ島におけるスールー王国領土問題」でした。本テーマについて段ゼミは、今年2月にマレーシアのサバ州にフィリピンから上陸した武装集団が、19世紀末まで実在した「スールー王国」の領土返還を求めて地元当局と交戦した経過を、現地メディアや様々な文献資料と情報を駆使して国際関係論の視点から分析し報告しました。
 本報告は、日本ではあまり知られていない問題であるということと、日本での報道が多くなかったこともあり、参加者した学生と大学教員から高い評価を得ました。大会のまとめでは、私が全体の講評を行いました。(段家誠)

第6回国際関係合同ゼミナール 全体講評

 今年度の合同ゼミナール大会も国際関係に関する幅広くまた深いテーマで行われた。
ひとえにそれは国際関係論、国際政治学のエリアの広さとその多様性を象徴するもので、また国際関係論これらその学問を志す若き研究者・学生たちの、世界と自国に対する深い関心と造詣を表していたといえよう。長年の経済停滞が続き、閉塞感がただよう日本社会において、今日参加した学生諸君の研究発表は、国内外、世界の事象にただ関心を示すだけではなく、それらを深く調べ、学び、また議論する機会を提供した。その成果を共有する機会を持つことは、この国とそれに関わる諸外国の将来が決して暗いものではなく、明るい未来の希望すら感じた。
 日常的に話題となっているテーマからあまり知られていないが様々な問いかけを行うテーマまで、報告内容は多岐に渡っていた。
 日本国内における外国人労働者問題、平和・安全保障問題、EU・国際統合論、領土問題と政策決定過程、中東における内戦と人道支援問題、アメリカの銃規制問題、東南アジアにおける領土を巡る武力衝突事件、共同メディア論、アフリカにおける人間の安全保障、ベイシックソーシャルサービス、ソーシャルビジネス、ODA、ソフトパワー、文化政策、中国、ロシア、北朝鮮に関する極東アジア情勢、労働者の権利問題等々、今日見た内容は決して世界のあまねくすべての問題を網羅しているわけではないが、私たちが生きる社会において、必要かつ早急な対応や解決が求められる非常に重要なテーマ、イシュー、トピックである。
 今日最も感じられたことは、多くの発表テーマやトピックがほぼ共通して、弱者や少数者、被害を受けた人たちの視点を強く意識したものであったように思われた。それは、ともすれば、強者の論理や視点で展開されがちな国際政治学において、良い意味で日本・アジア的価値観、視点が随所にみられた。
 これらは最近311以降いわれる日本社会における若者の傾向のひとつとみられる。
 一言で言えば、皆は他者の困難に共感できる心や体験を持つといえるのではないか。いたずらに国際政治学の理論や政策論を振りかざすのではなく、また自己や企業あるいは自国の利益や儲け、経済成長ばかりを追求する学問や政策、政治家、企業家、個人が、社会やメディアなどで跋扈する世の中で、今日集まった人たちの研究は、きっとこの世界や社会を変える力を持つものであると期待する。
 初学者である皆さんは、今日の自校の報告と他校の報告を参考に、改善すべきところは謙虚にあらため、また質問や議論で勇気づけられ、そのテーマの必要性をさらに確信した者はさらにその点を極めるよう、今日から明日からまた日々の研鑽を続けて欲しいと思う。

2013年6月29日
阪南大学教授 段家誠