経営情報学部 水野ゼミ【連載シリーズSカレ総合優勝戦】悲願の総合優勝までの軌跡 Episode 2:「攻め」の決断

2016.11.2

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経営情報学部 経営情報学科 水野 学

経営情報学部 水野ゼミ
【連載シリーズSカレ総合優勝戦】悲願の総合優勝までの軌跡 Episode 2:「攻め」の決断

 2016年10月9日に立命館大学いばらきキャンパスで開催されたSカレ総合優勝戦において,「もらってウレシい段ボール小物」テーマの覇者として参加した経営情報学部 水野研究室のチームC. Clover fl(西川貴之,泉 和輝,西岡勇希,小畠 崚)が他のファイナリスト6チームを抑え見事に優勝、27大学30ゼミ 130チームの頂点に立ちました。このレポートは、4人がここに至るまで道のりを記録した「苦難と笑いの物語」です。

〜Episode 2「攻め」の決断〜

数で攻める!

 大一番前だというのに、よくも悪くも“平常運転”のチームC. Clover flの4人。メンバーの大遅刻のため、水野教授を交えた時間は15分程度しかない。Sカレ2016の審査員の仕事があるからだ。この15分間で、チームには話し合わねばならないことがある。それはプレゼンの一部を変更するか否かという、きわめて重要な作戦変更だ。
 最終プレゼンの基本戦略は、すでに6月には決定していた。徹底的に「数の力」で押しまくるというものだ。彼らの商品は,上新電機のプラモデル販売販促用グッズとして、この頃採用が正式決定していた。その数はSカレ史上最高となる5,000セット。この販売数量をとことんアピールすることで、真正面から攻める戦略だ。
 ただ不安材料があった。それは他のテーマで自分たち以上の販売数量を達成されてしまった場合である。過去の例からすれば、どのチームも数百レベルにとどまる可能性は高い。しかしこれはすべてのチームが、Cuusoo Systemという共通の販売システムと使って販売していたことが影響している。このシステムは予約による受注生産・販売が基本となっていたため、どのチームも学生たちが予約を集めてくることができる範囲の数しか販売できなかったのだ。ところが今回からは、その販売システムがなくなり、各テーマが独自のチャネルを使って販売することになる。そうなると、独自の販売チャネルや販路を持っているDHC、ニチレイマグネットなどの大きな企業が本気になってくれば、この販売数量を上回る可能性は十分にある。その脅威に備えるためチームでは、冬カンでテーマ優勝を遂げたチームの動向を定期的にチェックしてきたが、エントリー締め切りである9月末の段階で、我々の5,000セットを超えるチームはないと判断。「数押し戦略」の継続を最終決定したのだ。この方針のもと、プレゼン練習を繰り返してきた。

迫られる決断

 ところが直前になって状況が変化した。DHCとニチレイマグネットの2チームが、自分たちの販売実績を上回る販売計画を最終プレゼンで示してくることがわかったのだ。Sカレのルールでは、プレゼンテーションはフェイスブックを使っておこなうことになっている。各チームはフェイスブック上に自分たちのページを作成、そこにパワーポイントなどで作成した原稿をアップし、当日操作しながらプレゼンテーションを行う。このページは誰でも閲覧できるため、前日の段階でライバルたちが、どのような内容でプレゼンを行うのかがお互いにわかるのだ。
 すでに頻繁にチェックしてきた西川から衝撃の報告が入る。最大のライバルと考えていた立命館大学DHCチームは1万個、法政大学ニチレイマグネットに至っては何段階かにわかれるものの、最終的には数万個の販売を予定する提案をぶち上げるようなのだ。
 チームに動揺が走る。
計画とはいえ、自分たちの数字を大きく上回っている。そして背後にいるテーマ企業には、それを実現できるだけの規模ある。審査委員がそこを評価したらどうしよう。プレゼンの基本戦略が根底から崩れてしまう。

 「ってか、それはなしでしょう!?」

 泉が思わず声を出す。ただここで愚痴をいっても始まらない。締め切りを過ぎた今、スライドそのものの変更はできない。打てる手は1つしかない。セリフを変えるだけだ。すぐさま2つのプランが検討された。
 1つめはあえて変更なし。これまで十分な練習をしてきたのだから、下手に変えずにそのまま行こうというものである。もう1つは、さらに攻撃的に攻めるというもの。他チームの数字は「計画」でしかなく、一方で自分たちは「実績」であることをもっと強調するセリフを足そうというものである。
 さらに攻撃強化のパターンも2つが用意された。1つは5,000セットが「実績」であることを強調するだけのややマイルドなもの。そしてもう1つは、大きな数字を計画として出してきたチームに対して、挑発の意味も含んだ攻撃的なセリフを付け加え、審査員に決断を迫る方法だ。水野教授がアドバイスする。

「審査員に実績の重要性を再認識してもらうには、確かにこの超攻撃パターンが一番わかりやすい。ただその反動として反感を買う可能性もある。ここは安全策のマイルドパターンの方もありなのではないか」

リーダーの重い一言

 メンバーが3パターンのセリフを使って、シミュレーションを始めた。どれも一長一短があり、なかなか結論が出ない。そんな中、リーダーの西川がボソッとつぶやいた。

 「ここでもし実績が計画や予定に負けたら、冬カンを2回やってしまうことなる」

 確かにそうだ。計画とは本来冬カンで語られるべきものであり、だからこそ冬カンの1位は「プラン優勝」と名付けられるのだ。総合優勝戦はそのプランがいかに実行されたかを競う戦いだ。ここでまたプランが評価されるようなことがあれば、冬カンの意味も、そして総合優勝戦の意味もなくなる。徹底的に攻めよう。総合優勝戦とは一体何なのか、それを堂々と問おうではないか。

 泉が笑いながらこう言った。
 「最後まで攻めた方が、うちの大学らしいじゃないですか」

 最終方針は固まった。結果的にこの戦いの意義も、チーム内で共有された。戦場へ向かう4人に、迷いはなかった。

つづく

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