スマホとパソコンの普及率

 最近、パソコン教室で不思議な光景を見ました。目の前にパソコンがあるのに、スマホで調べものをしている学生。決して、私的なSNSをしているわけではありません。ごく稀ですが、家にパソコンがない、という学生もいます。他方、携帯電話は持っているがスマホを持っていない学生は、数年前に1人出会ったきり、見かけません。

 そこで、スマホとパソコンのデータを調べました。下のグラフ(図1)を見てください。(調査方法の違いで数値に差がありますが)スマホ普及率(赤い折れ線)はどんどん上昇して7割に達しているのに対して、パソコン普及率(緑の点線)は、また落ちてきています。パソコンの出荷台数(棒グラフ)も最近はかなり減っています。
 つまり、今やパソコンよりスマホの方が、情報通信機器として優勢になってきているとも言えます。

エクセル使えない新入社員

 そんなことは当然、とも言えますが、経営情報学部の教員として一抹の不安、釈然としない気持ちになっていたころ、キャリア支援に関する研究所「ハナマルキャリア総合研究所」の代表者である上田晶美氏が、日本経済新聞のコラム「就活のリアル」で次のように述べられています(2017年5月1日夕刊)。

・最近の学生はスマホですべてをこなしていて、パソコンが苦手になってしまった。
・企業に入るとエクセルが使えないと困る職場は多いはずだ。
・CMで「英語よりもパソコンが必要」というものがあったが、あながち間違いとも言えない気がする。

新入社員アンケート

 このことを裏付けるデータと考えられるものがあります。次の図2は、東京商工会議所が毎年行っている新入社員の意識調査のデータから作成したものです。いくつかの調査項目の中に「これから仕事をしていく上で、不安に感じること」というものがあります。これは、「その他」を含めて12の選択肢から3つ選ぶものです。
 一番多いのは1の「仕事に対する自分の能力」ですが、こう思うのは当然ではないでしょうか(これを選ばない人は、相当な自信家では?)。選択肢の中で一貫して上昇しているのは、4の「パソコンなどの情報機器の操作」だけです。そして図中に示した表の通り、学歴別内訳をみると、短大・高専卒以上では文系大学卒が「パソコンなどの情報機器の操作」について不安に思っている割合が抜きん出ています。

 また、次の図3の通り、この「パソコンなどの情報機器の操作」は、2014年度から「語学力」を上回っています。

経営情報学部で学んで不安解消

 経営情報学部では、1回生でパソコン実習「情報処理入門」が開講されています。これは他の大学・学部でも同様ですが、2回生では、エクセルを使って現実の経営データを分析する実習科目が必修になっています。例えば、コカ・コーラなど飲料メーカーの販売戦略、任天堂の株価の変動、近鉄グループの事業別売上高です。

 マルチメディア・情報システムコースに進めば——他に経営・会計コースと、マーケティング・e-ビジネスコースがあります——、もちろんプログラミングを含めてパソコン技能に習熟します。コンピュータは学ぶより慣れろといわれます。経営情報学部では、コンピュータを様々な機会に使うことになりますので、情報機器活用からシステム開発まで、レベルに合わせて学ぶことができます。
 このような経営情報学部で学べば、前述の上田晶美氏が指摘する問題点が解消され、新入社員の不安から解放されると言えましょう。