2018.3.7

室田伊緒女流二段来学(基礎数学特別講義)

室田伊緒女流二段来学(基礎数学特別講義)

 経営情報学部基本選択科目の基礎数学では、学生の論理的思考力向上を目的として、約20年前より将棋を取り入れています。今年度は、特別講師として日本将棋連盟室田伊緒女流二段にお越しいただき、受講生に将棋を教えていただきました。

大学の普通の授業の中で将棋を取り入れているところは非常に珍しい

 室田さんは最初のあいさつの中で、
「大学の普通の授業の中で将棋を取り入れているところは非常に珍しいです。私も今日は楽しみにして来ました。」
と話されました。

注:将棋テーマとした科目を設置している大学として、東京大学・明治大学・東京富士大学があります。


 基礎数学では、将棋経験者と未経験者に分かれて将棋を学びます。指導対局は将棋経験者組を対象にお願いしました。指導いただいた2クラスのうちの1クラスでは、何と13面指しでした。
 対局終了後は、室田さんとのツーショットをお願いする学生もいました。
以下では、授業中の質問コーナーと、授業後の受講生を交えた昼食会でのお話しとを併せてお伝えします。

藤井君に勝率5割!?

Q 一度にすごい数の人と対局されて、終わった後に指し手を戻して感想やアドバイスを言っておられましたが、指し手を全部覚えているのですか?
A はい。全部再現できます。
Q 藤井君(藤井聡太4段(当時;現6段))は小さい頃はどんな感じだったんですか?
A 小学校3年生の頃から、強い子がいる、と地元では有名でした。

注:室田女流2段は藤井聡太4段と同門(姉弟子)で、かつ同郷です。
Q 藤井君と指したりすることはあるんですか?
A 藤井君が奨励会に入る直前に指して、私が勝ってしまって師匠(杉本昌隆7段)が驚いていました。藤井君がプロになった後には杉本一門研究会で指したことがあって、その時は負けました。だから私は藤井君とは一勝一敗の勝率5割です(笑)。

勘違いで将棋を始める

Q 室田さんが将棋を始めたきっかけは何ですか?
A 弟が将棋教室に通っていて、「お姉ちゃんも一緒にやろう」と言われたんですけど、最初は興味がなくてやらなかったんです。でも、初心者の大会に出てみたら2勝2敗で、「私でもできるじゃん」と勘違いしたのが始まりですね。
Q プロを目指したきっかけは?
A アマ6級の頃でしたけど、矢内理絵子さん(女流タイトル6期)や中倉彰子さんを見て、女流棋士になろうと思いました。
Q 師匠の杉本昌隆七段とは元々面識があったんですか?
A はい。私が行っていた地元の支部に半年か1年に1回くらい指導に来られていました。私が女流育成会に入るかどうかというときに、アマの大会で全国優勝したら育成会入りを認めようという話があり、それで優勝したので師匠をお願いしました。当時私は中学生だったので、育成会の例会のたびに親が東京まで付いてきてくれました。

注:女流育成会は、当時あった女流棋士養成機関(現在は研修会に統合)で、例会は東京で開催。育成会入りするには、奨励会同様にプロ棋士に師匠になってもらうことが必要でした。

将棋をする女の子が増えた

Q 室田さんが女流棋士になられた頃は女流棋士が少なかったのですが、今はどんどん増えているのはどうしてでしょう?
A それは将棋をする女の子が増えたからだと思います。昔は親が女の子には将棋を教えなかったりして、私が将棋を始めた頃は、将棋教室にいる女の子は一人か二人しかいませんでした。将棋大会に行っても、昔は100人に1人くらいしかいませんでした。女の子は周りに女の子がいないと止めちゃうので。でも今は大会でも1~2割が女の子です。親の意識が変わってきたこともあると思いますし、里見香奈さんなど、活躍する人を目にする機会が増えたこともあると思います。
Q 室田さんは大学生の頃(室田さんは愛知淑徳大卒)はどんな生活だったんですか?
A 女流棋士としての仕事と学生の両立でした。夏休みは大阪でウィークリーマンションを借りて毎日研究会をやってました。
Q 研究会はいろいろやっておられるんですか?
A はい。棋士や奨励会員ともやってます。藤井先生(藤井猛9段(竜王3期))に教わることもあります。
Q え?藤井先生に?藤井先生は東京ですよね?
A 昔、師匠とNHKの番組をやっていた頃(2008年)ですけど、師匠が藤井先生と研究会をやっておられたので、私も収録のたびに藤井先生のお宅で教わっていました。


授業終了後、受講生からは、
「6枚も落としてもらったのに負けるとは思わなかった」(将棋経験者男子)
「初めて将棋をして、ただの遊びではなく、とても頭を使うことがわかりました」(将棋未経験だった女子)
等の感想が寄せられました。

授業終了後、受講生からは、
「6枚も落としてもらったのに負けるとは思わなかった」(将棋経験者男子)
「初めて将棋をして、ただの遊びではなく、とても頭を使うことがわかりました」(将棋未経験だった女子)
等の感想が寄せられました。