大阪府商工労働部との連携事業「ものづくり中小企業と大学生の求人求職ミスマッチ解消」①

太陽パーツ株式会社を訪問しました(経済学部三木ゼミ2年生)

 2016年5月18日(水)、経済学部の三木ゼミ2年生は、堺市北区にある太陽パーツ株式会社を訪問し、代表取締役社長の城岡陽志さん、取締役部品事業部長の篠川秀樹さん、及び本学OBの若手社員にお話をうかがいました。
 太陽パーツ(株)は、2008年度に大阪中小企業顕彰事業実行委員会(注1)が実施する「大阪ものづくり優良企業賞」を受賞、大阪を代表するものづくり企業の1社です。
 経済学部三木ゼミは、グローバル人材を育成する「グローバルキャリアプロジェクトゼミ」であると同時に、民間企業出身の教員が指導するという特色を活かし、企業/行政/地域との接点をできるだけ多く持つようにしています。三木ゼミ2年生は今年度、大阪府商工労働部の連携協定に基づく事業の1つとして「ものづくり中小企業と大学生の求人求職ミスマッチ解消」という課題に取組みます。今回はその活動の一環として訪問しました。

(注1) 大阪中小企業顕彰事業実行委員会:
大阪府、大阪府商工会議所連合会、大阪府商工会連合会、公益財団法人大阪産業振興機構、地方独立行政法人大阪府立産業技術総合研究所で構成

会社概要

 私たちが訪問した太陽パーツ株式会社は、昭和55年1月に創業、昭和58年5月に設立された資本金3000万円の中小企業です。代表取締役の城岡陽志社長を筆頭にグループ合計約250人の従業員が独自のメーカー機能(自社開発・部品製造)と商社機能を活かし、お客様にとっての最良のパートナーとなることを基本使命と考え、お客様に喜ばれる企業、社会に必要とされる企業を目指しています。
 部品事業部と住宅建材事業部の2事業部で構成されており、部品事業部では、切削加工、プレス加工、板金加工、アルミ押出、ダイカストなどの部品加工の技術を駆使して数々の洗練された部品を生み出しています。これらの部品は社内に展示されており、私達も実際に数々の工夫に工夫を凝らした部品を目の当たりにしました。この部品事業部では金型代を半額に抑える製法「ダイカストカセットシステム」を開発、金型を共通化部分(ベース)と新規制作部分に分けることにより、顧客は新規制作部分のみのコスト負担で済むという画期的な製法で特許を取得、他社との差別化を図っています。また住宅建材事業部では、オリジナル商品のアイディア考案、開発を主に行っており、見学の際に見せていただいた、スムーズダウンウォール(キッチン用昇降ラック)をはじめとする、もともとある形のものに、太陽パーツ(株)自社独自の技術力とアイディアを付加することで、収納力アップや出し入れのし易さを実現させたオンリーワン商品など、キッチンや住宅設備を中心とした機能アイテムの企画開発を行っています。
 太陽パーツ(株)では、長年の経験と実績を持った技術スタッフとセールスエンジニアが、造る立場、買う立場、売る立場、いろいろな方向から物を考え、開発を手がける「技術部門」、自社工場及び協力工場約100社と連携を図り、新技術と品質の向上に務め、あらゆる要望に応えられる生産体制を構築している「製造部門」、お客さまのニーズに対応するため、あふれる迄の情報を収集、整理、加工して、プロのセールスエンジニアがお客様に必要な情報を提供すると共に、蓄積されたノウハウを提案し続ける「営業部門」、材料手配から仕掛品、半製品、完成品までの生産管理、部材管理を早く正確に行うためOA化を図り、多品種、少量、短納期のユーザーニーズに対応できる体制を構築している「管理部門」、品質の向上、安定こそ信頼を得る源泉と考えお客様に安心と満足を届けている「品質保証部門」の5つの部門が設けられており、それぞれが価値ある商品を生み出す要となっています。

今回の訪問を通じての感想・気づき

森永 弘佳 さん(2年生)

 5月から三木ゼミでは「ものづくり中小企業と大学生の求人求職ミスマッチ解消の取組み」という課題に取組むため、自分たちで実際に優良中小企業に訪問することになりました。中小企業側は人材を求めているのに就職を希望する人材が少ない(またはいない)、大企業に人材が集まってしまうため中小企業に人材が回ってこない。一方大学生側は就職したいのに就職先が見つからない、どの企業が優良中小企業かわからない、親が中小企業への就職を反対する。両者の間にはこのようなミスマッチが生じています。解決策として、中小企業は発信力を強化し、学生は中小企業を知る努力をする必要があると考えました。そこで、学生である私たちが、実際に中小企業を訪問することで、私たちは中小企業を知り、私たちから中小企業に自社の魅力発信に関する改善提案を行うことでこのミスマッチを解決する、というのがこの取組みの目的です。
 5月18日に太陽パーツ株式会社へ訪問しました。今回が「求人求職ミスマッチ解決」においての初めての中小企業訪問でした。太陽パーツはメーカー機能と商社機能を持ち合わせた企業で、中小企業には珍しく開発・製造・販売全てを自社で行っています。主な事業内容は金属部品加工、住宅設備機器の設計・製造等です。具体的にどのような商品を製造しているのかというと、キッチン収納の可動式棚「昇降ウォール」や防犯カメラの筐体部分、洋式トイレの骨組み等です。思っていたよりも身近に太陽パーツで製造されて商品があるのだということがわかりました。目に見える部分だけでなく機械の中など多くのところで使われているということもわかりました。また、国内だけでなく中国に進出しており上海と大連に工場があります。上海工場と大連工場があることで、中国の価格で日本の品質・サービスをお客様に提供することができるようになったとのお話を伺いました。今後もアジア進出に力を入れていく他にも医療機器にも力を入れていくと伺いました。太陽パーツで製造された商品がより身近に感じられる日が来るのだと思いました。
 他にも創業時から現在までの太陽パーツの話を伺いました。創業当時は社員5人の小さな会社から始まったとお話されていました。現在では海外進出し、またグループ合計250人もの会社に成長したそうです。また、テレビでも取り上げられたりしています。太陽パーツが成長してきたのには創業時からある「弱者の戦略」があったからなのではないかと思いました。以下3つのが「弱者の戦略」です。ダーウィンの進化論(進化し続けるもののみ生きられる)・企業は環境適応型・グローバル化の時代最大のリスク(何もしない事が最大のリスク)。リスクを抱えながら進んでいく事で会社も人も成長していくのだと思いました。また、「視点を変えれば、答えが見える(どうすればお客様に喜んでもらえるか)」という言葉もとても印象に残りました。この言葉はどの会社にも共通する部分だと思いました。
 さらに、太陽パーツでは業績を上げた社員だけでなく大失敗した社員にも賞が与えられる制度があります。他の企業にはない「大失敗賞」です。この賞はリスクを抱えながら一生懸命取り組んだが大失敗してしまった社員に与えられる賞です。このような取り組みはとても面白いと思いました。また、このような取り組みがある事で働く側も熱意や目標を持って仕事に取り組む事が出来ると思いました。
 今回太陽パーツを訪問して思った事は、私も自分の仕事に熱意や目標を持つ事ができる仕事に就きたいと思いました。なぜなら、話を伺った方々がとても楽しそうに会社の説明をしてくださったからです。また熱意や目標がありやりがいを感じていると伺いました。どの職業でも自分の仕事に対してやりがいを感じ目標を持つ事が大切な事だと思いました。自分がどうなりたいか、なるためにはどうしていけば良いのかを考えていく必要があると訪問を通して思いました。

石原 夏帆 さん(2年生)

 5月18日、私たち三木ゼミ2年生は太陽パーツを訪問しました。今回は私たちが就職活動をしている立場という想定でお話を聞き、見学する形で訪問しました。
 太陽パーツは、大阪ものづくり優良企業賞を受賞しているものづくり中小企業の1社です。板金加工、アルミ押出、プレス加工、ダイカスト、切削加工と幅広い加工知識をもちお客様一人一人にメリットある加工方法を提案することを目的にしており、いかに満足してもらえるものづくりをしているかよくわかりました。あまり力を加えずに高いところにあるものを取ることができるキッチン用の昇降ラックやデジタル身長計、人体蘇生練習機など私たちの身近なものもあります。加工品を実際に見ることもできたので興味深かったです。
 また、その加工品をつくっているのは国内の工場だけでなく海外にも工場をもっており、近年グローバル化が進んでいるので海外にも目を向けているのが改めてわかりました。展示会戦略では「業界初」をポイントにし、零細企業を演出(今ではできない安さ、かっこ悪さでアピール)、商品を乱雑状態に展示し、逆に集客力アップを狙ったり、新聞広告に出したり、新たなキャッチコピーを考えるなどそれまでの常識をこえて新規顧客を獲得していました。そうして今の太陽パーツができています。「何もしないことが最大のリスク」ということで社員にはたくさんのことにチャレンジさせていて、もし失敗したとしても失敗賞を渡し次のための良い経験をさせてもらえたと社員が実感できる制度を設けていて、社員のことも考えているのだなと思いました。
 経営幹部のお話をうかがった後は私たちのほうから質問する時間をいただき、阪南大学の卒業生である若手社員の方に質問しました。入社を決めたきっかけの回答で「他社と比べてやりがいがあるだろうと感じた」と聞いた時です。その方は他の企業の内定ももらっていたそうですが太陽パーツに決め、今会社に対しても自分の考えを実現させてくれ、自由度が大きいと思っていると話してくださり入社してただ働いているわけでなく目標を持って働けていることが伝わりました。
 去年も太陽パーツを訪問しましたが社長も社員も会社のことをしっかり考えていて熱意をもって働いている素晴らしい会社だと改めて思いました。今回の訪問でさらに中小企業に対する印象が変わりました。

荒木 凛太郎 さん(2年生)

 5月18日、三木ゼミ2回生は太陽パーツ株式会社を訪問しました。三木ゼミ2回生として初めてで、個人的には1回生の夏休みに続いて2回目の訪問です。
 1回目の太陽パーツ訪問までは、中小企業に対する個人的なイメージは、決していい印象は持っていませんでした。しかし、1回生の時に訪問して、直に中小企業の方のお話を聞いてみて、大きく印象が変わったので、私の中では、今回2回目の訪問が非常に楽しみでした。
 太陽パーツのすごいところは、中小企業では珍しく設計開発・製造・販売を全て自社で行っています。お客様の要望に対して細部にまでこだわり、お客様に喜んでもらえるように、開発・品質管理を強化することで、お客さんに良い商品を提供しています。そういった良い商品ができる裏で、城岡社長のおもしろいアイディアで注目を浴びているのが特徴的だと思います。
 それは、「大失敗賞」というものです。
 現在取締役をされている方が若い頃に約4000万円の損失を出してしまい、その額が当時の1年分の収益だと聞いて驚きました。社内の雰囲気は悪くなり、そこで城岡社長はこの賞を思いついたそうです。「チャレンジしたうえでの失敗は仕方がない、その損失は教育費です」という言葉が私の中で印象的です。その「大失敗賞」をもらうことで、次は頑張ろう、という気持ちになり、悪循環にはならず、「大失敗賞」というものがあることにより、好循環をもたらしているのではないかと思いました。取締役、部長等の幹部の方たちは全員「大失敗賞」をとられているそうです。
 太陽パーツの強みは、中小企業では珍しく「設計開発・製造・販売」を自社で行っていることや、良い技術、安い価格でお客様に満足いただいているなど、様々ありますが、私は2回太陽パーツに訪問させていただいて、何より「挑戦」するということだと思いました。扱ったことのない商品でも請けおい、お客様の要望に応えるとおっしゃっていて、素直にすごいことだなと思いました。私に一番欠けていることだなと思いました。そのことでなおさら、太陽パーツに惹かれているのだと思いました。「挑戦」というシンプルに思えることが、太陽パーツの強みであり、魅力であるのではないかと思いました。
 今回の訪問を通して、太陽パーツに入社したいと、前回より思いが強まり、自分に足りないもの、これからの自分の課題が見つかって良かったです。

佐野 宏太 さん(2年生)

 2016年5月18日に私たちのゼミでは「太陽パーツ株式会社」を訪問しました。今回の訪問がゼミでの中小企業訪問第一弾でした。
 初めに、代表取締役である城岡社長に中小企業と大手企業との違いや、アジア諸国における経済成長の現状などのお話をいただきました。特に印象強かったことがあります。それは、中小企業は大手企業に比べると従業員数が少ないため、社員一人一人の仕事の量がどうしても多くなってしまう。しかし、量の多い仕事を一つ一つ覚えようとする努力から、社員個々のレベルアップが目に見える形で現れるとのことです。社員の成長を肌で感じることは社長さん自身も嬉しいことなのだと話を聞いていて感じました。
 次に、取締役部品事業部長の篠川さんに太陽パーツ株式会社とはどのような会社なのかをご説明いただきました。こちらの会社の商品は私たちの日常生活でとても身近に存在しています。例えば、身体測定の際に使用する身長計や座高計、高速道路に設置されていて速度違反を取り締まるオービス、釣り竿のルアー、便器の中の金属土台などに使われる金属部品で、本当に数や種類が多かったです。太陽パーツ株式会社の強みは「開発・設計・試作・量産・製造・組立・販売」の全てを自社で行うことです。このような会社は全国的に見ても数少なく珍しいとのことです。今ではパナソニックを始めとする大手企業も含め、約500社もの会社と取引をしています。さらに、本社のある堺市だけでなく東京、静岡、石川、それに上海、大連などにも営業所や工場があります。
 次に会社の仕組みについて教わりました。会社では大手企業で務めていた経験値のあるOB・OGを各部門へ2年間雇用するのです。セミナー等に参加して話を聞くことよりも、実際に能力を備えた人間の知識や技術を身近に感じながら仕事する方が、会社としても個人としても得られることが多く成長できるのです。そしてもう一つ、「大失敗賞」というものがあります。これは目標に向かいチャレンジしたが失敗してしまった社員に対して、怒るのではなく失敗してしまったが前向きにチャレンジした姿勢を称えるという賞です。この賞を受けたことにより、社員さん達は高みを目指しさらに成長していくのです。失敗から学んだことを次の糧として再びチャレンジし、次は成功へと繋げるのです。このように、社員の成長と城岡社長の粋な計らいが会社の成長に直結していると気づきました。
 今日の日本では大手企業でさえ安定といえる職業ではなくなり、そんな中でこの先、中小企業は生き残るために様々な工夫や戦略を行っていることを知りとても興味を持ちました。

【ご参考】