株式会社関西インフライトケイタリングを訪問見学しました(経済学部三木ゼミ2年生)

 2014年10月8日(水)、経済学部の三木ゼミ2年生は、関西空港・空港島内にある「株式会社関西インフライトケイタリング」(以下「KIC」と略)を訪問見学しました。
 三木ゼミは、グローバル人材を育成する「グローバルキャリアプロジェクトゼミ」であると同時に、民間企業出身の教員が指導するという特色を活かし、企業/行政/地域との接点をできるだけ多く持つようにしています。今回は2014年度第8回校外学習となります。

KICとは

 KICは、ファミリーレストランの「ロイヤルホスト」等で馴染みの深いロイヤルホールディングス株式会社の100%子会社で、関西空港を拠点にピーク時1日約1.4万食の機内食を提供する、関西空港における機内食シェア約6割の会社です。現在全日空、日本航空、シンガポール航空、キャセイパシフィック航空などから機内食を受託しています。

 ロイヤルホールディングスの機内食との関わりは戦後1951年の国内民間機運航再開時にさかのぼり、福岡空港で国内線に機内食納入を開始しています。これがロイヤルグループの創業の事業であり、ロイヤル株式会社設立が1956年、ロイヤルホスト1号店オープンが1971年であることからも、ロイヤル創業者の江頭匡一さんの機内食事業に対する思い入れの深さを推し量ることができます。関空においては開港の1994年にKICの前身であるロイヤルインターナショナルエアーケイタリングが機内食事業を開始しました。
 ロイヤルホールディングスは現在関空(KIC)、福岡空港(福岡インフライトケイタリング)、成田空港(ジャルロイヤルケータリング(持分法適用会社、持ち株比率49%))、羽田空港(同)、計4拠点の機内食会社を運営しています。更にロイヤルホールディングスは、那覇空港地区に、新たに機内食工場を開設することを発表しました(2014年10月9日プレスリリース)。2015年7月開業予定の当工場稼動により、ロイヤルグループが機内食の調製・搭降載を担う空港は国内5拠点となります。また、関空を拠点にする機内食会社は、関空開港当時は4社あったのが、関空特有の固定費の高さと過当競争により、現在はKICと、グルメ杵屋系列の「エイエイエスケータリング(AASC)」の2社となっています。
 KICの経営理念の中に「私どもは世界で一番信頼される機内食会社を目指します」という一文があり、それを裏付けるように様々な認証や表彰を獲得しています。2009年には、大阪府が推進する「食の安全安心」に対し、社団法人大阪食品衛生協会が認証する「大阪版食の安全安心認証制度」認証第1号施設として認められました。また2011年には、機内食業界では日本国内初となる 食品安全に特化した国際標準化機構規格ISO22000:2005を取得しました。また表彰では、各航空会社の最優秀ケイタラー賞はもちろんのこと、国際的な機内食会社監査プログラムQSAI(Quality & Safety Alliance Inflight Services)において、食品取り扱いの安全および品質について世界で最も優秀な機内食会社に贈られる「ワールドワイド・プラチナ賞」ならびに「アジア太平洋地域・金賞」を、2012年度、13年度の2年連続で受賞しました。これは、KICの従業員一人一人が、日々、衛生管理・品質向上に努め、顧客航空会社の搭乗客・乗務員に対して安全で高品質な機内食の提供を継続していることが評価されたものです。

学生の感想

グローバル基準に基づく厳重なセキュリティ管理が行われていました / 2年生 李 章徳

 今回、私たちは大阪府泉南市にある株式会社関西インフライトケイタリングを訪問しました。関西空港駅からバスで移動し、訪問先に向かったのですが、IDカードを持っていなければ空港制限区域内に入場できないことを知り、セキュリティが厳重になっていると感じました。訪問先に到着すると目の前にはジャンボジェット機があり、臨場感を味わうことができました。
 建物内に入るとここでもIDカードを渡され、「ここまで厳重にセキュリティ管理をする必要があるのか」と驚きました。最初に、会議室で会社の概要や歴史についてご説明を受けました。ご説明の中で、KICではテロ防止のためユニフォームの数を厳しく管理しているというのには驚きました。それは主に外資系航空会社のセキュリティに対する要求が厳重になっていることが要因であることがわかりました。また、規模ではスイスのGate Gourmet、ドイツのLSG Sky Chefsが上回っていますが、機内食の質の面ではKICはどこにも負けない(ISO取得、QSAI優秀ケイタラー、ハラール認証(注:イスラムの法に則り適正な方法で処理・加工・保管・運搬された食品であるという第三者機関認証)、等)ことを知りました。
 グローバル化が進む中で日本の常識は世界では常識でなく、日本の常識が当たり前だと思っていると大変なことになりかねないということを理解しなければ、外国とはつながっていくことができないと思いました。
 私はグローバルな世の中では常識というものがまったく通用しないことをこの訪問で感じさせられました。これからもよりいっそうグローバル化が進んでいく中、こうしたことを理解しておかなければならないと感じました。

人材教育の大切さを改めて感じました/ 2年生 松本光司

 私たちは今回、株式会社関西インフライトケイタリング(KIC)を訪問しました。
 まず、会議室でKIC及び機内食についてのご説明をいただき、その後に現場の作業を見学させていただきました。
 私自身、機内食はこの夏休みのゼミの海外研修で乗った飛行機で初めて口にしました。エコノミークラスでも食事の時間を楽しめるように作られていて、しっかりと考えられているのだなと感心しました。そんな私の訪問する前の機内食会社に対する個人的な印象は、機内食を作っている職場は、きっと和やかで和気あいあいと楽しげな雰囲気のもと、作業を行っているのだろうとばかり思っていました。しかし、実際は全く違いとてもシビアなものでした。
 メニューには厳密なコスト設定がされており、パセリ1つを飾りとして使うにしても1日にかなりの量の食事を作っているので全体では大きなコストになってしまったり、また常に同じメニューでは乗客に飽きられてしまうので、多数のメニューが準備されていて1ヶ月や3ヶ月毎に内容を変えていたりといった工夫がなされていました。メニュー一つにしても、エコノミークラスのメニュー、ビジネスクラスのメニューの他にスペシャルミール(機内特別食)や宗教食などといった、乗客に応じていかにして食事を楽しんでもらえるかということが第一に考えられていました。宗教食の中には、カタール、インドネシア、マレーシア、トルコなどの、イスラム法上で食することができるものが決まっている人たちのための「ハラール」専用のキッチンでのみ調理しており、他のキッチンでは調理しないといった決まりや、「ハラール」の規定に順じた屠殺方法、調理の仕方で食材を調理するなどといった、徹底した管理がなされていました。

 一通りのご説明の後、実際に職場を見学させてもらったのですが、入室前に規定服の埃取りや手洗いなどの衛生管理をきちんと時間を計って実施しているところや、室温18度のコールドキッチンで食材の品質を保ちつつ作業しているところ、「ハラール」のキッチンでは作業にも決まりの工程があるため、きちんと行われているのかを監視カメラでモニタリングしているところ、フライト出発時間のズレやミール数の増減に臨機応変に対応しているところなど、全てが完璧にされていて、今まで企業訪問をしてきた中で、最も学生と社会人の違いを痛感させられました。
 そんなKICは世界の機内食会社と比べても評価が高く、QSAIの「ワールドワイド・プラチナ賞」を二年連続で受賞しています。社員の人材教育が徹底しているからこそ二年連続で受賞できたと感じますし、それによって社員のやる気も更に上がっているようでした。
 私たち学生が就活をする時、大企業に目を向け、目指す人が多いのではないかと思いますが、大切なことは企業の大きさだけではなく、企業の中の社員のスキル、即ち人材教育が徹底していることなのだと感じました。私自身も就活の際は、人材教育がしっかりと行き届いているところを選択していきたいと感じさせられる校外学習でした。

【ご参考】