2014.9.11

経済学部三木ゼミ 2年生夏季海外研修レポート1

経済学部三木ゼミ 2年生夏季海外研修レポート1(全体概要・香港フードエキスポ編)

 2014年8月13日(水)〜20日(水)、経済学部の三木ゼミ2年生は夏季海外研修(香港・バンコク)を実施しました。香港では香港貿易発展局主催の食品展示会「香港フードエキスポ」での就労体験、バンコクでは日系製造業現地工場の視察と支援機関でのヒアリング、また香港・バンコクの両方で百貨店、スーパーマーケット等を中心とした市場視察を実施しました。内容が盛り沢山なため、2回に分けて内容をレポートします。今回は「全体概要・香港フードエキスポ編」となります。
 三木ゼミは、グローバル人材を育成する「グローバルキャリアプロジェクトゼミ」であると同時に、民間企業出身の教員が指導するという特色を活かし、企業/行政/地域との接点をできるだけ多く持つようにしています。今回は2014年度第6回校外学習となります。

今回視察研修の実施目的

・香港フードエキスポに出展者側(のお手伝い)として参加し、また見学者として各ブースを回ることにより、グローバル化を図る日系食品関連企業の動きを実感・体感する
・日系製造業(大企業/中小企業)の海外工場を見学し、海外生産が進む日系製造業の実態を知る
・香港、バンコクに進出している日系外食産業・小売業等を見学する
・在バンコク日系企業支援機関を訪問し、現地事情のブリーフィングを受ける
・日本語が通じない環境に身を置くことにより、語学の重要性を身にしみて感じてもらう
 なお、以上の内容はゼミ全体としての実施目的であり、それぞれの学生は個別に明確な参加目的を設定しています。

全体スケジュール

2014年8月13日(水)
<午前> 関空→香港移動 CX567便 0920発 1220着
<午後> 香港そごう/citysuper見学
8月14日(木)
<終日> 香港フードエキスポ参加(出展社のお手伝い)、飲茶(やむちゃ)体験
8月15日(金)
<終日> 香港フードエキスポ参加(出展社のお手伝い)
<夜> 菊池食品工業様、かね善(香港)様、かね善様、香港人学生との夕食懇談会
8月16日(土)
<午前> 生鮮食料品市場/Wellcomeスーパー見学、ビクトリアピーク見学、雑貨市場見学
<午後> 香港→バンコク移動 CX703便 1705発 1900着
8月17日(日)
<午前> UFM Fuji Super/Emporium Shopping Complex/GATEWAY EKAMAI/マックスバリュ見学
<午後> Siam Paragon/Central World Plaza見学、足裏マッサージ体験
8月18日(月)
<午前> Panasonic Appliances Cold Chain (Thailand)訪問
<午後> バンコク日本人商工会議所/京都銀行バンコク駐在員事務所訪問
<夜> Thai NNP Internationalとの夕食懇談会
8月19日(火)
<午前> 王宮及び周辺寺院見学
<午後> Chizu Electric (Thailand)、Asahi Electric (Thailand)、Taiyo Technology Industry (Thailand)訪問
<夜> バンコク→香港移動 CX702便 1850発 2240着(乗継)
8月20日(水)
<午前> 香港→関空移動 CX566便 0140発 0620着

香港フードエキスポとは

 香港フードエキスポは、香港貿易発展局が主催するアジア最大級の食品展示会で、第25回の今回は2014年8月14〜18日に香港コンベンション&エキシビションセンターで開催されました。日本からは252団体・企業が出展、全体では世界中から1,180を越えるサプライヤーやメーカーが出展しました。今回も日本ブースには注目が集まり、林芳正農林水産大臣も会場を訪れました。2014年の来場者はバイヤー20,000人強、一般消費者460,000人にのぼりました。
 海外視察研修の前半日程は、かね善様及びかね善(香港)様の強力なバックアップのもと、香港フードエキスポに出展した菊池食品工業株式会社様ブースでのお手伝い、及び株式会社みゆきやフジモトの藤本専務様によるプレゼンテーションのお手伝いをという形での就労体験を実施しました。
  • 菊池食品工業様の展示・試食品

  • みゆきやフジモトの藤本専務様によるプレゼンテーションの場で、試食品を配る松本くんと李くん

 今回の香港フードエキスポ就労体験の内容、及びかね善様の会社概要については、過去に掲載した下記内容も併せてご参照下さい。

感想・ご講評

改めて「英語を勉強するぞ」と決意しました / 2年生 李 章徳

 私は8月14日と15日の2日間、香港フードエキスポ2014にかね善(香港)様のお手伝いとして参加させていただきました。かね善(香港)様は今回自社での出展はせず、現地代理店として日本からの出展企業を応援する立場での参加で、実際は菊池食品工業様のブースと、みゆきやフジモト様のプレゼンテーションのお手伝いをさせていただきました。香港フードエキスポは香港コンベンション&エキシビションセンターの1、3、5階で開催されますが、1、3階の「パブリックホール」は一般消費者への販売が中心、5階の「トレードホール」はバイヤーとの商談が中心となっています。菊池食品工業様、みゆきやフジモト様は5階の「トレードホール」に出展しました。私は主に試食の用意、資料の配布、荷物運びなどをしました。菊池食品工業さんが展示した商品は昆布の佃煮、豆の佃煮、黒豆のエキス等で、日本の食材特に北海道産であるという点をバイヤーにアピールしました。香港では北海道が一種の「ブランド」として扱われていました。
 私が菊池食品工業様のブースで、昆布の佃煮試食を配っていた時の体験を紹介します。最初は緊張して、何をしていいのかわからず、声もまったく出ませんでした。展示会出展経験のある三木先生からは「日本語でもいいのでとにかく何か声を出さないと」と言われましたが、なかなか声が出ませんでした。確かに、ずっと突っ立っているだけでは何も起こらないので、通訳をしている香港人学生に、こういうときは広東語ではどう言うのかを教えてもらい、その通り発音しバイヤーに話しかけました。緊張気味な声でバイヤーに話しかけると案外通じたのか反応を示してくれたので、それまであった緊張感が少し無くなりました。それから私は積極的に前に出て、広東語は十分話せなくとも声によるアピールでは負けないようにしました。
 今回、菊池食品工業様が出展している場所は5階だったので、バイヤーが来てくれるのかどうか不安でしたが、午後になると一気にお客さんが増え、皆さん慌しくなり、試食もどんどん無くなっていきました。展示している商品を売ってくれないかというバイヤーも現れて、大賑わいでした。そうこうしているうちに林農林水産大臣がVIPとして日本のブースを視察にお越しになり、たまたま私のいたブースに立ち寄られたので試食をお渡ししました。そんな立場の方と直接お目にかかる機会など今までなかったので、凍りついたように固まってしまいました。でもこれもいい経験になりました。
 みゆきやフジモト様ではプレゼンテーション用の試食を作り配布するなどのお手伝いをさせていただきました。試食を作るのに時間があまり無く、途中で試食の数が足りないことに気づき急いで作ったり、プレゼンテーションの途中でブレーカーが落ちてしまい通訳の声が聞こえなくなるなどのアクシデントが発生したりと、ひやひやさせられましたが、無事にプレゼンを終えることが出来て、少しは役に立てたのかなと思うことができました。
 空いている時間に他の国のブースを回ってみましたが、日本のブースほどは賑わっていませんでした。私はそこで試食をしましたが、そんなにおいしいとは感じられず、逆に日本ほど食べ物にこだわっていておいしい国は無いのではないかと思い、日本のすばらしさを身にしみて感じました。
 菊池食品工業様とみゆきやフジモト様のお手伝いをさせていただいたことを通じ、言葉は通じなくても自分がこの商品をアピールしたいという強い気持ちがあれば、声も出て相手にも伝わるということが理解出来ました。しかし、私が試食を配っていた時、バイヤーに「これは何?」と聞かれたら「昆布の佃煮です」としか言えず、その先は香港人学生の通訳が説明するので、その面では悔しいなと感じ、英語が重要であることを痛感させられました。今回通訳している学生さん(広東語、中国語、英語、日本語が話せる)と話をしたところ、皆さん独学で語学を身に付けたと言っていたのでそのことに感銘を受け、なおかつ刺激を受けることができました。今まで、英語をあきらめかけていた私でしたが、今回の就業体験で英語を勉強するぞと決意しました。私は香港フードエキスポへの参加を通して、語学力の重要さに気付くことと日本のブースにどれだけの人が来ているのかを見てどんなものが香港の人に好まれているのかを自分の目で確認することを目標にして参加しましたが、その目標を達成することが出来ました。
 今回の就労体験で貴重な体験をさせてくださったかね善(香港)様、菊池食品工業様、みゆきやフジモト様には、この場を借りて心から感謝申し上げます、本当にありがとうございました。

この研修で私の中の世界観が変わりました / 2年生 松本光司

 私は、今回参加した三木ゼミ2年生海外研修で、香港フードエキスポに出展者側(のお手伝い)として参加させていただきました。香港フードエキスポでは出展食品企業が実際に来場している一般人への商品の販売、また企業人(バイヤー)との関係を築くための場として現地では毎年賑わっている有名な展示会です。
 私は、企業人のみ来場可能な5階の「トレードホール」で、菊池食品工業様ブースのお手伝いとして参加させていただきました。私自身、日本でもこのようなことは全く経験が無かったので不安でしたが、自分でやれるところまで頑張ってみようと懸命に努めていました。基本的に現地の通訳として応援に来ている香港人学生が商談まで持ち込み、私はそのサポートといった感じの流れでした。平日なので、来場者の数はたいしたことはないのではと思っていたのですが、あまりの人の多さに圧倒されました。
 私が今回の海外研修、特に香港フードエキスポに参加させていただくにあたって立てた目標は「苦手意識を持っている英語の大切さを、必要性を日本語が通じない環境に身を置くことで感じる。また、実際に英語を使うことで英語の楽しさを感じ取る。」「日本人の考え方だけでなく、外国人(現地人)の物事の考え方を聞き、世界の広さを実感する。」でした。そして実際に香港フードエキスポに2日間参加して、私が最も痛感したのはまさに「語学力不足」でした。来場者は香港人が多いので、常に広東語が飛び交っていて、最初会話はおろか、コミュニケーションすら全く取れない状態でした。そんな中でも通訳の香港人学生は広東語、中国語と英語、そして日本語を駆使して、色んな方との商談を進めていました。同じくらいの年齢で数多くの言語を巧みに使う姿を目の当たりにして、もちろん単純比較はできないのですが、それでも明らかな劣等感を覚えました。このまま自分が何も行動しなければ、この海外研修で得られるものが少ないと思い、通訳の香港人学生に積極的に広東語を教えてもらい、少しでも自分の言いたいことが伝わるように努めた結果、少しだけコミュニケーションをとることができました。日本でただただ暮らしていく分には、日本語以外の言語を使う必要性や機会が少ないため、今まで私は苦手意識を持っていた英語を身につけることに対して逃げてきましたが、他国の人とでも通じ合える喜びを知ったことで、何が何でも英語を会得したいという気持ちにさせられました。
 その他にもみゆきやフジモト様のこんにゃくを使ったヘルシー料理のプレゼンテーションのお手伝いをさせていただいたり、かね善(香港)様の事務所でちょっとした仕事を頼まれたりと、すごく慌ただしいながらも学ぶことがたくさんあり、非常に充実した日々を送りました。
 展示会を離れて菊池食品工業の菊池社長様とお話させていただいた時に、「今の新入社員は人生というものを焦りすぎだ」というお話をいただきました。人生とは長い観点で評価されるべきであるのに、何年間での自分の努力に対してすぐに評価されるべきだと考える人たちが増えているとのこと。また、自分の本当にしたいことが入社してから何年も経った頃に見つかり退職する人もいるとのこと。私はその話を聞いて、就職への不安から色々焦っていた自分を見つめ直すことができました。また、自分自身が立てた目標については、日本語が通じない環境に身を置くこと、企業人(出展企業、バイヤー)の方々とのコミュニケーション、通訳の香港人学生との今後の社会情勢についての会話や日常会話によって語学の重要性・必要性また香港人の価値観を十分に知る機会となり、当初の目標以上に達成できたのではないかと思っています。そして新たな目標として「帰国後3ヶ月で英会話を習得するぞ」との思いに至り、夜の懇親会で皆の前で宣言しました。高い目標ではありますが、全力で努力しようと思います。
 今回の海外研修で私の中の世界観は大きく変わりました。この先自分のしたいことがすぐには見つからないかもしれませんが、残りの大学生活でしっかり知識と経験を積んで、自分の未来の選択肢を広げていきたいと思います。

かね善 岡本主任様からのご講評

 無事おかえりなさい。
 お手伝いして頂いた松本君、李君には、初日からとても協力的また精力的に動いていただき大変助かりました。特にみゆきやフジモト様のプレゼンテーションについては、お二人のサポートがなかったら到底実施できませんでした。
 香港では予想以上に私(岡本)がバタバタしてしまい、申し訳ありませんでした。なかなか配慮が行き届かなかった中、事前打合せで私が「香港では、目的をしっかり決めて、自分で動かないと誰も指示してくれないよ」と指導していたことを受け、展示会二日目には二人とも「私は○○がしたいです」「○○してきます」と能動的に動きまた自己主張できるようまでなったので、とても嬉しかったです

 これから松本君、李君は、もっといろんな人に出会い、もっと社会に揉まれていくと、とても素敵な社会人になれると思いました。
 お手伝い頂き、本当にありがとうございました。また来年も機会があればご一緒できればと思います。