活動テーマ:グローバル人材輩出のための、外国語教育に関する考察と提言
連携先:リンガ・エスプレッソ、桃山学院教育大学、大阪みなみ日本語学校、他


 少子高齢化が進み人口が減少に転じ、高い経済成長が望めない日本から、グローバルに活躍の場を広げる企業が増えているものの、グローバルで戦える人材の不足に大手・中小企業を問わず苦しんでいる。
 この活動では、グローバル人材の育成・輩出を、外国語能力という観点に絞り
1)なぜ日本人は外国語(英語)が話せないのか
2)海外における日本語教育はどのようになっているか
3)理想の外国語教育とは?
の3点について多面的に分析しその内容をベースに提言としてまとめる。

 具体的な活動内容としては
1)国語教育・外国語(英語)教育専門家からのヒアリング
2)日本語を学ぶ外国人学生との交流・インタビュー
3)ベトナムにおける取材・アンケート
4)自分たちを実験台とした「聴解改善」による英語力向上効果測定
を中心に実施する。

経済学部 3年生 飯尾 梨紗

学生活動状況報告

 少子高齢化が進み、人口が減少しているのに加え、労働人口の減少も著しく低下しており、高い経済成長が望めないのが、日本の現状ではないかと思う。そんな日本ではグローバルに活躍の場を広げている企業が増えているものの、グローバルで戦える人材の不足や、育成に大手・中小企業問わず苦しんでいる。
 日本では義務教育として小中高と英語教育が行われてきたのにもかかわらず何故このような事態になってしまったのかについて、調査をはじめた。この調査では ?なぜ日本人は外国語が話せないのか、?海外における日本語教育はどのようになっているのか、?理想の外国語教育とは、という3点に絞った。
 まず英語教育の専門家である先生方や日本語学習者、日本語教育者へのヒアリングを行った。意見を元に立てた仮説が『教育の質』・『聴解の重要性』の問題である。この仮説を実証するために現在私たちが実験台となり、発音を重要視している外部講師の先生に週1回、90分間のオンライン通話での講義を受けた。自分達が実験台となった結果、やはり、仮説通り、『教育の質』・『聴解の重要性』の問題であることが分かったが、それに加えて、『目的意識』が非常に大事であると分かった。
 また、ベトナムインターンシップを行なったゼミ生と共同してベトナムでの日本語教育についても調査を行った。日本語学校や大学、日本語交流施設に足を運びアンケートをとった結果、やはりどの言語においても『聴解の重要性』は必要不可欠であることがわかった。さらに新しい発見として言語学習者個々人の『目的意識の違い』が大きく関わってくることがわかり、その『目的意識の違い』によってどれだけ質の良い教育を受けても習得に差が出てくることがわかった。
 国語教育・外国語教育専門家からのヒアリング、日本語を学ぶ外国人学生との交流会・インタビュー、ベトナムにおける取材・アンケート、自分達を実験台とした『聴解改善』による英語力向上効果測定を行った。これらを行う前は、『教育の質』『聴解の重要性』が大切だという仮説を立てたが、実証してみて分かったことは、これに加えて、英語を学ぶ意義、所謂、目的意識が英語力向上に大きく関わってくることであった。そして、目的意識を明確化し、個人の勉強量も重要であるとベトナム人学生にアンケートをとって、痛感した。
 理想の外国語の勉強を行うためには、現時点での日本の英語教育では限界があり、ただ闇雲に、英語を教えるだけではなく、なぜ学ぶのか、学んだ結果、今後の人生にどんな効果をもたらすのかまで、教えることが大事であると考えた。

経済学部 3年生 荒木 凛太郎

参加学生一覧

荒木 凜太郎、飯尾 梨紗、石原 夏帆、佐野 宏太、武村 勇汰、二階堂 秋華、森永 弘佳

ゼミ集合写真

連携団体担当者からのコメント

オンライン英語学校リンガ・エスプレッソ
代表 河田恭郎氏

 私どもが普段教えている方々と全く異なるバックグラウンドを持つ皆さんを教えることを通じ、それまでにはなかった新たな知見が多々得られ、私にとっても非常に貴重で有意義な経験となりました。英語の音的側面については、通常、発声機序を理解させ、正しい音を真似させる、といった方法で、正しい音のイメージが定着することを狙います。しかし、いわゆる「カタカナ英語」の誤った音のイメージが既に学習者の頭の中に強固に存在する場合これをなかなか除けず、それらの方法を超えるよりラディカルな方法を取る必要を感じました。また、語学に限らない学習一般のプロセスを理解し実践できない人もおり、その場合そこをサポートしないと始まらない、というのも大きな気づきでした。今後同様の機会をいただけることがあれば是非これを反映させ、学習効果をさらに高めていきたいと思います。

教員のコメント

経済学部 三木 隆弘教授

 かなり難しいテーマだったと思いますが、有識者ヒアリングを通した仮説の設定、ベトナムでの現地調査、自分たちを実験台とした聴解の改善、等を通じて、様々な角度からの分析ができたと思います。報告会でのご講評も高評価だったと思います。
 しかしながら、分析や発表は立派でしたが、残念なことに自分たちのことになると、聴解を改善する機会を得ただけでは英語力のアップにはつながりませんでした。聴解以前の問題として、鼻先にニンジンがぶら下がっているか、サボるとケツを叩かれる仕組みがないと、機会を与えられても人間なかなか動けない、という状況に陥っています。その前に「英語って、楽しい♪」と思わせるような中学での教育ができていればベストですが、今さら中学時代に戻ることはできないので、何をモチベーションとして英語学習に取り組むのか、自分たちなりに再考することが必要です。引き続きの精進に期待します。