大阪府商工労働部との連携事業「ものづくり中小企業と大学生の求人求職ミスマッチ解消」⑮ デンゲン株式会社を訪問しました(経済学部三木ゼミ2年生)

 2017年6月21日(水)、経済学部の三木ゼミ2年生は、大阪市西淀川区にあるデンゲン株式会社を訪問し、専務の樋上一誠さん、技術部の渡部尚明さん、営業課の長坂憲人さんにお話をうかがいました。
 デンゲン株式会社は昭和36(1961)年創業、自動車用バッテリー充電器のメーカーとして、マーケット占有率トップの座を維持しています。それ以外にもクーラーサービス機器、スポット溶接機、フロンガス回収装置、計測器を開発・製造・販売、自動車整備機器製造業としてその地位を築いてきました。平成21年(2009年)には大阪中小企業顕彰事業実行委員会(注1)が実施する「大阪ものづくり優良企業賞」を受賞、平成26年(2014年)には経済産業省近畿経済産業局「関西ものづくり新撰2014」に選定、また大阪府よりEV開発プロジェクトで助成金を交付されるなど、大阪を代表するものづくり企業です。
 経済学部三木ゼミは、グローバル人材を育成する「グローバルキャリアプロジェクトゼミ」であると同時に、民間企業出身の教員が指導するという特色を活かし、企業/行政/地域との接点をできるだけ多く持つようにしています。三木ゼミ2年生は今年度も昨年度に引き続き、大阪府商工労働部の連携協定に基づく事業の1つとして「ものづくり中小企業と大学生の求人求職ミスマッチ解消」という課題に取組んでいます。今回はその活動の一環として訪問しました。

(注1) 大阪中小企業顕彰事業実行委員会:
大阪府、大阪府商工会議所連合会、大阪府商工会連合会、公益財団法人大阪産業振興機構、地方独立行政法人大阪府立産業技術総合研究所で構成


 以下に今回の訪問見学で得られた、学生たちの気付き(一部)を紹介します。

経済学部2年生 杉本 佑介 さん

 6月21日にデンゲン株式会社に企業訪問に行きました。阪神なんば線の出来島駅から徒歩で15分くらいのところにあり、今まで訪れた企業のなかでは近いなという印象を受けました。建物はとてもこじんまりしており、とても時代を感じる建物でした。中に入ると応接室に通され、デンゲン株式会社はどのような物を製作しているのかをうかがいました。
 デンゲン株式会社では自動車用充電器や、フロンガス回収装置、溶接機、クーラー機器等を製造していることが分かりました。デンゲン株式会社はトランス(変圧器)が起源となっており、その技術を活かして業務用の充電器を製造したところ、大手メーカーを退け業界No.1になったそうです。またデンゲン株式会社では機器のスイッチを自社で製作していることが分かりました。何故スイッチを自社で製作したかというと、他社製品では納得のいく物が見つからず、また壊れた際にはパーツを取り寄せなければならず、古い機器になってくるとその部品の在庫が無かったりしました。しかし自社で作り、在庫の保管も行うことによって、その問題を解決したそうです。専務の方はこのスイッチを自社で開発したことによって、競合する他社との差をつけることが出来たと思うとおっしゃっていました。他には、自動車補修業界で日本初の塗膜破壊機能付きスポット溶接機の開発に成功していることです。これはスポット溶接をする際は、表面の塗料を剥がさないと溶接することができませんが、この機械を使うと溶接できてしまうのです。これをデンゲン株式会社が開発したのは驚くような技術力だなと思いました。
 会社説明が終わると工場見学をして、若手社員に質問する時間がありました。質問は色々としましたが、「この事業の将来性はありますか?」と質問したところ、「事業の将来性は感じているが、今と同じことをしていてもだめなので、もっと色々なことに挑戦して新たな可能性を見つけることが大切」とおっしゃっていました。
 今回の企業訪問では、会社説明をしている時から自社の製品に自信を持ち、この事業での将来性を感じる企業でした。実際に塗膜破壊機能付きスポット溶接機はとても素晴らしい発明と思いましたし、既存の製品だけでなく、新しいジャンルでの機械の発明などにも力を入れるような姿勢もあり、このような発明をする企業ならもっと唯一無二の素晴らしい発明ができる企業になるのではないかと思いました。

経済学部2年生 岡嵜 維也 さん

 デンゲンさんは業務用の充電器で大手企業を駆逐し、業界トップになった実績を持っていました。業界トップになれた理由は電源のスイッチだとおっしゃっていました。大手や普通の企業は他の企業に製造をお願いしていますが、デンゲンさんは自社で製造していました。その結果大手や普通企業はすぐダメになってしまい修理が多かったがデンゲンさんの製品は壊れなかったため信頼を勝ち取れたとうかがいました。普通ならしないようなことをできるのが素晴らしいって感じましたし中小企業ならではだと思いました。
 これまで見てきた中小企業は一つのことに専念して大手に対抗していましたが、デンゲンさんは充電器から始まりクーラー機器、溶接機といくつもの事業に挑戦していました。そして各事業で成果を上げていました。大手ならお金も人も力もあるからできてもおかしくないですが、人やお金、ましてはブランド力もない中小企業ができてしまうのはとても驚きでした。また日本初の製品を3つ出していて、自動車関連という共通部分はあるものの3つとも違う分野の製品なので技術力でいったら大手と同等ではないかと思いました。全国に中小企業はたくさんあると思いますが、デンゲンは多方面の分野に挑戦して大手に引けを取らない数少ない企業だと思います。技術力の高さは売り上げに出ていると思いました。他社向けOEMがあったとはいえ年間10億を突破していたこともあります。ですが課題は人手不足だとうかがい、実力も実績もあってもやはり中小企業だと感じました。今回の会も本当の説明会のつもりで行うとおっしゃっていたので相当人が不足していて早急に欲していると感じ、これも中小企業の現実だと思いました。
 デンゲンさんの訪問は僕自身の中小企業の概念を大きく変えるための良いきっかけになりました。訪問するたびに中小企業への考えは変わりますが、これまで見た企業とは異なる部分が多かったので中小企業に興味が湧きました。僕自身は銀行に就職したいと考えていますが、デンゲンさんのように素晴らしい企業なのに人手不足で困っている中小企業は多いと思うので中小企業にも目を向けて就職を考えていきたいです。

経済学部2年生 鈴木 麻友 さん

 今回訪問したデンゲン株式会社は「環境問題と共にある創世」を指針としているため、近年環境問題で重要視されているフロンガスを回収する装置やガソリンの使用から排出される二酸化炭素を削減するためのHV/EV用充電器など、産業発展の裏側で疎かになっている環境問題にとても需要のある企業だと感じました。また、クーラー機器にも力を入れていて30%以上の売り上げを占めるなど様々な商品に特化している会社です。
 これまで訪問してきた企業のなかで私が感じた大きな違いは、会社のありかた・将来性について考えられているということです。これまでの企業も将来性について考えられていなかった訳ではないけれど、取引相手が限られていることから新しい顧客の開拓はどうするのか、たくさんの人に商品を知ってもらうために新しい何かをつくるとか強みにしている商品をより良くするために働きかけているのか、私はあまり強く感じることができませんでした。しかし、デンゲン株式会社はこれから先どのような商品が必要となってくるかを考え製品開発をしていることや、海外にも取引の拡大を試みていることなど現在でも高いブランド力があるのに更なる発展を目指し様々な努力をしていることにとても魅力を感じました。また、配られた資料にもデンゲン株式会社はまだまだ成長することができるとありました。自信を持って会社の将来性を語れる企業は多くはないと思うし、需要があり続ける企業であるためにこれからこうあるべきだ・自分の会社にはこの点が足りないなどと様々な点を日々考え発展しようとしていると感じることもできました。
 高い技術・商品・ブランド力はあるのに従業員の46人中営業が6人と少ないことや若い社員が少ないことにも驚きました。良い商品が生み出されても営業によって沢山の人に商品を知ってもらわないともったいないと感じました。若い人が足りていないという問題はデンゲン株式会社だけではなく様々な企業も抱えている問題の一つだと思います。その原因に若い人に中小企業のほとんどが知られていないということが大きな要因だと思います。若い人に知ってもらうには、コマーシャルなどメディアの媒体を使うのも一つの手だと考えたけれど高い資金も同時に必要となると思うのですべての企業が実践できないと感じました。しかし、中小企業の商品を今よりもどのように改善したら需要を拡大することができるのかを考え・実行すれば商品が売れ少しずつ認知度が上がってくると自然と若い人の目にも留まると思いました。
 このことから私も自分の常識・考えだけにとらわれることなく広い視野を持って自分の就きたい仕事を手に入れることができるように知識を深めていきたいです。

ご参考