法律学と経済学の『二刀流』を考えている皆さんへ(その1)

1 法学検定試験スタンダードコースに4名合格!!

 このたび経済学部松村ゼミから、7名の学生が法学検定試験スタンダードコースを受検し、うち4名のゼミ生が法学検定試験スタンダードコースに合格しました。今年度の全受検生の合格率が52.8%でしたが、松村ゼミの合格率はこれを上回る57.1%でした。さらに合格者4名のうち3名は2年生という結果でした。
 この法学検定試験スタンダードコースは、受験生が標準的な法学部三年生の学力に達しているのかを測定する試験(→詳細については こちら をご参照下さい)です。この検定試験は全国の大学に浸透してきており、そうした他流試合で合格を勝ち取ったということは、松村ゼミの学生が全国の法学部の学生に引けをとらない学力に達したことを意味します。
 松村ゼミのゼミ生達は経済学部に所属している以上、当然、経済学に関する授業をしっかりと受講しなければなりません。ですから、法律学の学修に割ける時間数だけを表面的にみれば、通常の法学部生と比べると圧倒的に少ないものであり不利であるはずです。
 しかし、今回の法学検定試験の結果は、この時間的に不利であるということを覆すものと言えます。法学部に進学したといっても法学検定試験スタンダードコースに合格するためにはやはりそれなりの自主的な学修が必要となりますし、ましてや2年生の段階で合格するというのは、なかなか難しいことです。

2 経済学部で法律学を学ぶ⇒理解が深まる⇒有利

 実は以前から、私は経済学部で法律学を(しっかりと)学ぶこと(=他大学の法学部生に伍していく学力を獲得すること)は充分に可能であると考えていました。学修時間が限られているなかで、とくに激動する経済社会の動きに対応できる法的な素養を身につけるためには、経済学部で経済学をしっかり学びながら法律学を学ぶことは大変有利である、というのが現時点での結論であり阪南大学経済学部のビジネス法パッケージの紹介をするときに述べているものです。ただそのためには漫然と法律学を学ぶのでは無理であって、法学部生が躓(つまず)きがちな点を踏まえながら、担当教員が先達として法律学を効果的に学修するポイントを絞りながら講義なりゼミを進めて行くことが大切です。とくに経済学部では主要な経済学関連分野を学びながらになるため、学生の皆さんの勉強時間も法学部生以上に限られたものとなります。そのため、講義やゼミでもこうした視点を踏まえることが法学部以上に重要となってきます。
 では、そもそも法学部出身の私がなぜ経済学部で法律学を学ぶのは有利であるという考えに至るきっかけはどのようなものか。実は、私自身の過去の経験なのです。
 あるとき、私の専攻している会社法(六法の一つ)の講義を、同じ学期中に法学部と商学部とでそれぞれ教えることになりました。当初は、商学部生は法律学に触れることが少なく法的な議論には馴染みがないだろうから、理論的な部分を強調しても退屈に感じるだろう。だから、時事的な問題の中で会社法に関連するもの(株主代表訴訟など)を切り口にして受講生の理解度に応じて講義を進めて行く予定でした。別の言い方をすれば、会社法というものに触れてもらうことが主眼であったわけです。いざ実際に講義を始めると、商学部生の理解度は高く瞬く間に法学部の講義内容・レベルに追いついてしまいました。そのため途中からは法学部と同じ内容・レベルの講義を行い、定期試験も全く同じ問題を出すことになりました。試験の結果は法学部生の最高答案に近いものが商学部生から複数出てきたのです。平均点で言えば商学部生の方がずっと高かったのです。そのときは偶然かなと思ったのですが、その後も商学部に限らず経済・経営系学部で教えたときに似たような結果が出てきました。
 なぜそのような逆転現象が発生するのか。長い間考えていますが、決定的な解答には到達しておりません。ただ、法律学の隣接分野といえる経済・経営系学部でそうした現象が生じていることを踏まえると、やはり受講者が法律学以外の分野をしっかりと学んでいることと試験結果との間に相関関係があるのではないか、という考えに至りました。法律学も経済学も実学ですし、いずれも経済社会がどのようなものかを知らなければ理解はなかなか深まりません。阪南大学経済学部で「ビジネス法パッケージ」を選択すると、自動的に経済学と法律学をバランスよく学んでいくことになるため、受講者が知らないうちに学力がアップするようです(今回の合格者も同じような感想を持っています)。

3 試行錯誤しながら

 松村ゼミのゼミ生達は一所懸命に法律学の学修をしました。それが法学検定試験スタンダードコースに2年生段階で複数の合格者を出すことになった一番の要因であることはもちろんです。ただ、そうした日々の努力が結実するようなポイントを絞った学修の大切さをゼミ生達が徐々に意識付けするためのゼミでの様々な取り組みも重要といえます。
 では、法律学と経済学の『二刀流』を実現するために、松村ゼミで行った取り組みとはどのようなものか。次回は、その具体的なものを紹介していきます。