ドイツ語学研修体験レポート

本学の語学研修制度を利用して、当時、国際コミュニケーション学部1年生だった3名が、ドイツの古都ケルンに
1ヶ月間の語学留学をしました。

 世界の国際化にともない、英語はコミュニケーション・ツールとしての地位をますます高めています。今日では、英語力は国際社会に飛び出そうとする学生にとって、必須のスキルといえるでしょう。喜ばしいことに、国際社会で活躍したいと望んでいる学生たちの中には、よりグローバルな舞台で活躍できるよう、英語にとどまらず、さらには中国語やドイツ語など経済大国の言語の習得に努めている人もいます。
 今回紹介する3名は、いずれも国際コミュニケーション学部の所属です。彼女たちは、移民大国であるドイツにおける実践的な言語教育を体験し、異文化間コミュニケーションにおける言語の重要性を実感しました。こうした経験は、彼女たちの言語習得に対するモチベーションを大いにあげたようです。
 以下のレポートを読んでいただければ分かるように、彼女たちの語学留学の陰には、溝井高志先生による留学支援活動がありました。筆者の前任者である溝井先生は、長きにわたりドイツ語の勉強会を開催しておられ、多くの学生をドイツ留学へと導き、国際的な人材の育成に努めておられます。筆者も、先生の後任として恥ずかしくないよう、学生の教育に力を注ぎたいと考えております。(細川裕史)

※なお、この学生教育研究活動は阪南大学学会より補助を受けています。

ドイツでの貴重な経験
国際コミュニケーション学部 2年生 大原あゆみ

 私は、春休みに自分を含めた3人で、ドイツへ1ヶ月間、語学留学をしました。最初の1週間はドイツ観光をしてたくさんの都市に行きました。その中でも私が一番心に残っている場所は、フュッセンというところです。ディズニーランドのシンデレラ城のモデルにもなった、ノイシュバンシュタイン城がある場所です。今までずっと写真でしか見たことのなかったお城を目の当たりにして、本当に圧倒されました。想像以上に大きくて、とても綺麗でした。城に行くまでの山道はとてもきつかったけれど、近づくにつれて、興奮が高まっていきました。帰りの山道は、馬車に乗って帰りました。

 そしてもう一つ心に残っている場所は、リューデスハイムというところです。とてもかわいい街で、ジブリの映画にでてきそうな街並みでした。日本人が経営するワイン専門店もありました。ドイツ観光はたったの1週間だけでしたが、とても内容が濃くて本当に楽しかったです。
 ドイツ観光を終えて、語学学校のあるケルンに向かった当日、カーニバルが開催されており、ケルンの街はとても賑やかでした。人ごみで道がふさがっていて、大荷物を持って歩くのはすごく大変でした。道に迷っていると、若い女の人が「どこに行きたいの?」と声をかけてくれました。その女の人は、通りすがりの男の人にも声をかけて一緒に場所を調べてくれるなど、本当に親切でした。そして、その人たちのおかげで、無事に語学学校に着くことができました。

 語学学校と同じ建物に寮があり、私たちはそこで生活しました。毎週月曜日から木曜日まで授業があり、私たちのクラスは午後に授業を受けました。語学学校では、さまざまな国の人たちと一緒に授業を受けて、その人たちともすごく仲良くなりました。私のいたクラスに教育実習で来ていたドイツ人のジャニナは、アジアが大好きで日本語を勉強しているらしく、日本語で喋りかけてくれました。とても上手で驚きました。日本のことについてたくさん聞いてくれたので、ドイツ語と日本語を交えて教えました。お好み焼きの作り方を書いてプレゼントしたり、折り紙をあげて一緒に折ったりしました。授業は、もちろんすべてドイツ語でしたが、先生のダリアの教え方がていねいで、理解しやすかったです。クラスメートで助け合ったり、常に辞書をひいて調べたりして、毎日楽しく語学を学びました。宿題も多かったけれど、本当に楽しくて、まったく苦ではありませんでした。
 週末には、ケルンの街に出かけて買い物をしたり散歩をしたりしました。語学学校のすぐ近くにある、“Vapiano”というパスタ屋さんが本当においしくて、みんなで毎週のように通いました。パスタの種類とソースを自分で決めることができて、さらに目の前で作ってくれるので、見ていてとても楽しかったです。日本人の私が街中でドイツの方に「“Vapiano”はどこにあるの?」と聞かれるくらい、とても有名なパスタ屋さんです。他にも、ドルトムントという都市へ行って、サッカーが大好きな私がずっと見たかったスタジアムを見ることができました。私たちが行った日はちょうど試合があり、スタジアムの周りにはユニフォームを着たファンの人たちがたくさんいました。すれ違ったドルトムントファンの夫婦に声をかけて、一緒に写真を撮ってもらいました。とても優しくてフレンドリーな夫婦でした。
 最初は、きちんと電車に乗れるのか、自分のドイツ語の能力で相手にきちんと通じるのか、語学学校はどんなところなのだろうかなど、いろんな不安がありましたが、結局、なにも問題はありませんでした。今回、語学留学に行ったことで、自分が今までどれだけちっぽけなところにいたのかということを、思い知らされました。しかし、それによって視野が広がり、ドイツ以外の国の人ともたくさんコミュニケーションをとることができました。これからも視野をどんどん広げて、今後の大学生活に活かしていきたいと思いました。

留学してはじめて実感できたこと
国際コミュニケーション学部 2年生 鵜飼亜須佳

 私は、海外語学研修制度を利用して、2014年3月に1ヶ月、ドイツのケルン市にある語学学校に留学しました。なぜドイツに留学したかというと、溝井先生のドイツ語の授業を受けてドイツ語に興味を持ち、さらに、先生に見せていただいたドイツのきれいな街並みに惹かれて、この目でこの風景を見てみたいと思ったからです。
 留学するにはお金がかかるので、金銭的に不安がありましたが、海外語学研修の助成金制度に助けられて、少ない負担で留学することができました。

 私が生活したケルンはドイツでは比較的大きな町です。ですが、都会的なゴミゴミとしたところはまるでなく、町には大きなライン川が流れていますし、町のシンボルである大きなケルン大聖堂をはじめ、美しい建物のならぶきれいな街です。
 私が到着した日は、ちょうどカーニバルが盛大に行われていて、押し寄せる見物人のせいで学校にたどり着くまでとても苦労しました。ですが、親切な人が「どこへ行きたいの?」と声をかけてくれたり、学校の近くまで連れて行ってくれたりと、到着したばかりなのにドイツ人の優しさにふれることができ、感動しました。
 私が入ったのは一番下のレベルのクラスでした。クラスメートには日本人がひとりもおらず、ロシア人やクロアチア人など、これまで出会うこともなかった国の人ばかりで、年齢もバラバラでした。
最初は、授業が理解できるか、クラスメートと馴染めるかと不安でしたが、授業はとてもわかりやすく、担当の先生は、私が理解できるまで繰り返し、ていねいに教えてくれました。それから、クラスメートとは、簡単な英語とドイツ語でコミュニケーションをとったり、一緒に折り紙を折ったりして、すぐに仲良くなることができました。
 留学中は寮に住んでいました。寮では、一緒に留学した阪南大学の友人と3人部屋に住み、キッチンとバスルームは、他の部屋の寮生と共用でした。寮には、日本人は私たち3人以外にはいなくて、韓国人、中国人、ロシア人など様々な国の人がいました。寮生のなかでも、日本語の勉強をしている韓国の方には、日本語でスーパーの場所やATMの場所を教えてもらうなど、いろいろと助けてもらいました。
 帰国間際になると、リスニングが上達して、先生の言っていることが最初よりわかるようになり、自分の語学力が向上しているのだと少し実感することができました。とはいえ、帰国したときには、「ドイツ語が上達したと言うには、やはり1ヶ月じゃたりないなぁ」という思いが強かったです。そのため、今は、「もっと日本で勉強して、またドイツに行きたい」と考えています。
 ドイツに1ヶ月留学して、海外で生活することの大変さや自分の語学力の未熟さを思い知りましたが、そのおかげで、留学以前よりも、もっと英語やドイツ語を頑張ろうと思っています。そういう意味では、わたしの留学体験は、とても有益だったと思います。

初めての留学 ドイツで学んだこと
国際コミュニケーション学部 2年生 大林佳織

 今年の2月から3月にかけて、私を含めた鵜飼、大原の3人はドイツに短期留学をしてきました。1か月というとても短い期間でしたが、それ以上にたくさんの経験と今までの自分にはなかった何かが得られたと実感しています。
 私には、これまで自分が留学するということは全く視野にありませんでした。しかし、周りの友達が次々と留学していき、現地での楽しそうな顔や、帰ってきてからの話などを聞くと外国はとても魅力的で、さらに現地の言語や文化、食なども身近になり、それらを含めたたくさんのことを学べることができるだろうと感じ、考えが一変しました。しかし、留学へ行くと言ってもどこへ行くのかも迷っていましたし、今の自分の力で留学など出来るのかという不安もありました。でも、運良く溝井先生からドイツへの留学を勧めていただき、私の決心も揺るがないものとなったのです。
 留学へ行くことが決まったのは、去年の9月になります。そこから約5か月、私たちは放課後や休みの日などに先生の研究室へ通い、先生の優しくも厳しいご指導のもと、最初はなにがなんだか分からなかったドイツ語も、少しずつですが自分の中に入っていきました。
 ドイツへ行く直前、海外に行くのが初めてだった私は、見送りに来てくださった溝井先生の顔を見たとき、心の底からホッとしたのをよく覚えています。でもそれと同時に、ドイツへ行くという喜びと、ドイツで色んなことを学んでくるんだという勢いこんだ気持ちでいっぱいでした。

 通っていた語学学校“Fremdsprachenforum”での授業は、私たちを含めた5人のクラスでした。少人数のクラスでしたが、先生のダリアもとても良い先生で、ドイツ語が伝わらなければ英語でフォローをしてくれる友達も出来、毎日学校へ行くのが本当に楽しみでした。毎日宿題が出るという環境にはあまり慣れていないせいか、何枚もあるプリントを仕上げるのは本当に大変でした。でも、分からないところは聞きあったり教えあったりと、日々助け合っていました。

 私は改めて、周りに頑張っている人がいるという環境を、とても有難く感じました。「何時までだけ勉強しよう」と決めていても、目の前に昨日買ったチョコレートがあっても、分かろうと必死で、予定を越えて、何時間も集中して宿題を終わらせていました。私たちは本当に毎日楽しくドイツ語に触れていたと思います。
 学校では、日本が好きなドイツ人のジャニナという女の子と出会いました。日本語も少しですが話すことが出来、私たちが分からないドイツ語は日本語で教えてもらったりと、辞書を片手に会話をするのがとても新鮮でした。日本の料理ではお好み焼きが好きだという話になり、お好み焼きのレシピを日本語とドイツ語で書き、空いたスペースには挿絵も書いてプレゼントしたことは、とてもすてきな思い出です。また、クラスや寮の友達には、日本の折り紙やホッカイロをプレゼントすると予想以上に喜んでくれたので、とても驚きました。日本語を話すことができる韓国人とも出会い、スーパーや銀行の場所などを教えてもらったりと、生活の面では本当にたくさんのことでお世話になりました。1か月でこんなに色んな人との出会いがあるとは思いませんでした。

 今から思えば長いようで短い1か月でしたが、楽しくない日がないくらい、私たちはとても充実した1か月を終えることが出来たと思っています。電車の時刻表の見方や食事、私たちが発音する言葉は通じるかなど、最初はたくさんの不安や心配がありました。しかしドイツの人たちはとてもあたたかく、重い荷物をなんの躊躇もなく持ってくれたり、荷物を置く場所を確保してくれたり、道を聞けばその場まで連れていってくれたりなど、これらの経験を通して、ドイツには日本ではあまり見られない優しさが溢れていると感じました。日本人も躊躇のない優しさを積極的に出すべきだと強く思いました。また、ドイツ人と会話をするとき、英語やドイツ語が未熟である私たちの話す言葉を真剣に聞いてくれ、伝えようとしてくれることに優しさを感じ、何より嬉しかったことを覚えています。英語が伝わる人もいれば、ドイツ語しか伝わらない人もたくさんいます。そんな経験を今までしたことがなかった私は、毎日が本当にカルチャーショックだらけでした。
 しかしこの留学のおかげで、日本へ帰ってきてからは、今まで気にもしたことがなかった日本の文化に目が行き、日本の文化は素晴らしいものであると改めて実感することが出来ました。そして、ドイツ語と同じように、英語も今まで以上にもっと深く学んでいきたいと、勉学への意欲も湧いてきました。

 私は、この留学は自分への挑戦だったと考えています。留学へ行く前は甘えが数えきれないほどたくさんありました。しかし、色んな人との出会いや、日本では味わえないような出来事がここには書ききれないほどにたくさんあり、これらは私を少しずつ成長させてくれていたと思います。しかし何より、一緒に留学した他の2人が頑張っている姿を見たからこそ刺激を受け、自分もしっかりしないといけないと思えたのだと感じています。
 週4回では物足りないくらいの楽しい授業、そして色んな人たちとの出会い、そして毎日の生活での助け合いも私たちを成長させてくれました。

 私たちが溝井先生の研究室へ通い留学へ向けて勉強していた時期、先輩方が「私たちも、もう1回ドイツに留学したい」と口を揃えて言っていた気持ちが、この留学を通して本当によくわかりました。留学する前の自分よりは、確実に成長できたと胸を張って言うことが出来ます。1か月でこんなにもたくさんの経験ができたことを、留学へ行かせてくれた両親、ドイツ語を教えてくださり、チャンスをくださった溝井先生、そして1か月を共にしてきた2人に感謝したいと思います。