ルクアイーレとグランフロント大阪、堂島ホテルにフィールドリサーチに行きました

 1月13日、流通学部杉田ゼミ2年次生はルクアイーレ、グランフロント大阪、そして堂島ホテルにフィールドリサーチに行きました。今回の目的は、流通学部学科科目である「ファッションビジネス実践」でも講師を引き受けて下さった中村貞裕氏が代表取締役社長を務める(株)トランジットジェネラルオフィス(以下TGOと略)が手がけた店舗を調査し、その魅力とマーケティング戦略について理解することです。

 トランジットジェネラルオフィスのビジネスについて一言で説明することは非常に困難ですが、同社のHPでは、「“空間創造総合企業”としてファッション、建築、デザイン、アート、音楽、飲食などをコンテンツに遊び場を創造しユニークでエッジの効いたテイストやセンス、サービスを心がけ、常に顧客に満足を提供する」とあります。

 そもそも今回のフィールドリサーチを企画したきっかけは、「ファッションビジネス実践」に出席したゼミ生がすっかり中村氏の魅力にとりつかれ、熱心に同氏が設立したTGOについて調べたい、と希望したことでした。そこで、杉田ゼミでは、今回のフィールドリサーチに先立って、TGOがどのようなビジネスを行っているのか

その競争力の源泉やマーケティング戦略の特徴について以下の四点にまとめました

 ①人と人の輪が広がっており、様々な人を巻き込んでいること。
 ②「大胆さ」があること。
 ③大人にとっての「遊び場」をつくろうと心がけていること。
 ④他には無い全く新しい空間づくりを行っていること。

 今回のリサーチでは、大阪府内の梅田エリアを中心にTGOが手がける店舗が集中していることに目を付け、上記理解が正しいかどうか確認することを目的としています。

 まず最初に訪れたのは、2015年4月に開業したルクアイーレの玄関口に居を構え「MAX BRENNER CHOCOLATE BAR LUCUA osaka」です。この店舗はイスラエルで創業され、世界中で人気を集めるチョコレート専門のカフェバーです。関西ではこの店舗が初出店で、見学当日も行列ができるほどの大盛況でした。

 次に訪れたのが、同じルクアイーレの地下2階にある「あおざしからり茶屋」です。この店舗は上記MAX BRENNERとは打って変わって和をベースにしつつもどこか現代的でスタイリッシュな雰囲気をつくりだしていました。

 三番目に訪れたのは、グランフロント大阪北館1階の「DOWNSTAIRS COFFEE」というカフェです。この店舗はメルセデス・ベンツとコラボレーションして生まれたもので、カフェの中に自動車のショールームを組み込んだ珍しいつくりとなっていました。

 四番目に訪れた店舗は、同じグランフロント大阪北館1階にある「SOHOLM CAFE + DINIG」です。ここは北欧スウェーデン発祥のインテリアショップ「ACTUS」とコラボレーションしたカフェ・レストランです。北欧ならではのスタイリッシュな家具に囲まれて、美味しいコーヒーと食事を楽しむことができる空間となっていました。

 最後に訪れたのは、梅田から15分ほど南へ歩いた場所にある「堂島ホテル」です。このホテルは2006年にリノベーションする際、そのブランディングプロデュースをTGOに依頼しました。TGOによってこのホテルは大人にとって気軽かつ快適に「遊び場」として利用できるよう場へと生まれ変わり、リニューアル以降数多くのファッションブランドのパーティーが開かれるなど大成功しています。
 いずれの施設も、「他にはない空間」を持っており、かつ大人にとって居心地の良い場所となっていること、そしてそれが他の店舗と比べての差別化を生み出していることが確認できました。この差別化を生み出していたのは、「人と人の輪のつながりを新しくつくりだすこと」であったと思われます。例えばDOWNSTAIRS COFFEEでは異なるフィールドのブランドを組み合わせて、またMAX BRENNERやSOHOLM CAFÉ + DININGでは日本国内には無い海外のおしゃれな店舗を導入することで、それを実現していました。
 今回のフィールドリサーチでは、TGOのビジネスの秘密について少し探ることができたという点で意義がありました。杉田ゼミ2年次生は来年度も引き続き、TGOと同社が手がけるプロデュース手法をマーケティング論の立場から明らかにしていきます。