2017.2.16

大阪と京都にて古民家カフェなどの古民家再生の成功事例を視察しました

大阪と京都にて古民家カフェなどの古民家再生の成功事例を視察しました

 地方にある古民家を改装して、宿泊施設や飲食店としての活用を支援する官民ファンドの創設が検討されています。古民家を生かした地方活性化のモデルとされているのが、兵庫県篠山市で、ここには築100年を超える古民家を改装したホテルが開業し、料金は高めにもかかわらず観光客を増やしているそうです。
 都市である大阪や京都でも昭和初期あるいはそれ以前に作られた建物を改装して飲食店などを入居させている例が数多くあります。新谷ゼミでは今回、大阪と京都で古民家カフェなど古民家を再生することによりビジネスとして成功している事例を視察しました。
 大阪市内で大学からそう遠くないところでは、昭和町、空堀に古民家を改装した飲食店があります。古民家には現代の建物には見られない良さがあります。高い天井や太い梁などは風情があって歴史を感じます。
 阿倍野区昭和町には登録有形文化財に指定された長屋を再生して、日本料理や中華料理のお店が営業する「寺西家阿倍野長屋」があります。昭和初期に作られた築70年の木造2階建ての建物ですが、取り壊しを考えていたものの宮大工により再生させたものです。
 空堀にも登録有形文化財に指定されている古民家再生店舗があります。地下鉄長堀鶴見緑地線の松屋町の近くにある空堀は、太平洋戦争の大空襲を逃れたことから古民家が多く残っている地域です。大正時代のお屋敷や長屋を改装した「萌」「練」「惣」は、カフェや雑貨などの複合ショップとして営業しています。
 続いて京都。京都の場合は町家と表記されることが多いようです。昭和25年以前に伝統的木造軸組工法で建てられた木造家屋のことを京町家と定義しています。
 京町家は京都の歴史・文化の象徴といえますが、京町家を保全し、再生を促すための支援策として「京町家再生プラン」が策定されています。そのため、さまざまな再生活用事例があります。カフェやレストランだけでなく、貸家やシェアハウスなどの賃貸住宅として活用されています。また、京町家を改装した旅館には1日1組限定で1棟まるごと貸し切るものもあります。古都の風情が感じられるのが魅力のようです。
 今回は時間的な制約もあり、河原町、烏丸、祇園などの狭い範囲での視察となりました。この界隈だけでも古い建物を改装したお店がたくさん並んでいますが、今回視察したなかで最も驚いたのが、ブランドショップです。エルメスが京都祇園の町屋に9ヶ月間の期間限定でオープンしました。大丸が創業300年を記念して、地域貢献の一環として町の活性化を目指すべく企画して出店したものです。
 当ゼミでは以前、明治時代の銀行の建物を改装した建物などで有名な滋賀県長浜の黒壁スクエアへの視察を行ったことがあります。古い建物を壊して新しい現代的な建物を作るだけでなく、古い建物の良さを生かすことによって、ビジネスとして成功している例が数多くあることを学生に理解してもらえたのではないかと思います。